またものや朝日新聞が

安倍首相の戦後70年談話で
朝日新聞が「重大誤報」!?
~官邸の陽動作戦に引っかかったのか

まず「トーンダウン」があった
この欄「ニュースの深層」で複数の筆者が執筆されているが、首相・安倍晋三の「戦後70年談話」について書き残しておきたいことがある。それは、決定のプロセスと、新聞報道に関することだ。いつ、どこでこの談話が決まったかが正確に報道されているとは言えず、少なからず「誤報」もあったからだ。
この談話を作成したのは、安倍と首相秘書官・今井尚哉の二人だ。とりかかったのは6月上旬からだった。今井の補助として、秘書官付の佐伯耕三が加わった。一部で報道された内閣官房副長官補・兼原信克は有識者会議「21世紀構想懇談会」の報告書のとりまとめに当たっただけで、この打ち合わせには加わっていない。

談話の内容、決定方式をめぐる本格的な報道が始まったのは6月下旬からだった。朝日新聞が同23日付朝刊で「70年談話、閣議決定せず 自身の歴史観反映か 首相方針」と報じた。
《安倍晋三首相は戦後70年を迎える今夏に発表する「安倍談話」について、閣議決定をしない方針であることがわかった。首相周辺が22日、明らかにした》
朝日は翌24日朝刊2面「時時刻刻」で「『個人の談話』あえて選択 安倍首相、閣議決定見送りへ 村山談話「上書き」せず」という見出しで詳細に続報した。
《安倍晋三首相は、今夏に出す戦後70年の「安倍談話」を閣議決定しない意向を固めた。政府の公式見解となる「首相談話」ではなく、あえて首相個人の「首相の談話」と位置づけることで、閣議決定された戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話の上書きはしないとの姿勢を示す》
朝日はよほど自信があったのだろう、25日の社説で「戦後70年談話 いっそ取りやめては」と書いた。しかし、一連の報道から約1ヵ月半後の8月6日付朝刊1面で「安倍談話、閣議決定の方向 14日発表で調整 戦後70年」と180度転換した。
《安倍晋三首相は、戦後70年の談話(安倍談話)について、14日に発表する方向で調整に入った。政府関係者が明らかにした。政府の公式見解とするため、閣議決定する方向で検討している。》
《首相は当初、談話の閣議決定を見送る方向で調整していた。連立与党を組む公明党が村山、小泉両談話を大きく書き換えることに慎重で、閣議決定には公明党の閣僚の同意も必要になるからだ。しかし、首相周辺から、談話が「個人の見解」となることに異論が出たうえ、公明党も、首相が同党と事前に調整して閣議決定することを求めた》
「意向を固めた」とまで書いたのに、事実上の訂正記事で「見送る方向で調整していた」とし、さらに後で記す15日付社説で「傾く」とトーンダウンさせるのは潔くない。しかし、記事がこのように転換したのは必ずしも「誤報」ではない。私が6月24日、安倍と会食した際、与党との調整が必要になることを理由に閣議決定に消極的だったからだ。
しかし、この理由だけでは閣議決定の有無を決める根拠に乏しいと判断したし、安倍は「決めていない」とも語っていたので、朝日の報道は踏み込みすぎだと思った。

3日時点で「おわび」はあった
とはいえ、報道によって状況が変わることはよくあること。朝日の報道をきっかけに閣議決定をした方がよいという意見が官邸内で強まり、安倍も考え方を徐々に変えていったのは事実だ。この点では朝日に全面的に非があるわけではない。
しかし、9日付朝刊1面の「安倍談話『おわび』盛らず 首相原案、公明『侵略』明示要求」は「誤報」だ。

《安倍晋三首相が14日に閣議決定する戦後70年の談話(安倍談話)をめぐり、首相が7日夜に自民、公明両党幹部に示した原案には、戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話に盛り込まれたアジア諸国への「おわび」の文言が入っていないことが分かった。公明は、おわびの気持ちを伝えるとともに、「侵略」という文言も明確に位置づけるよう注文を付けたという》
ご承知の通り、70年談話には「おわび」が盛り込まれていた。私の取材では、70年談話の原案は7月中旬には出来上がり、同下旬には閣議決定することが固まっていた。

そして、8月3日、官邸で開かれた「正副長官会議」で原案が提示された。正副長官会議とは、首相を中心に官房長官・菅義偉、官房副長官・加藤勝信、世耕弘成、杉田和博、それに今井が加わる官邸の司令塔だ。ほぼ連日、内々に開かれている(この会議の詳しい内容は拙著『安倍官邸の正体』を参考にしてほしい)。
この原案は、その後、5日午前に自民党幹事長・谷垣禎一、総務会長・二階敏博、広島から帰京後の6日午後に副総裁・高村正彦、政調会長・稲田朋美、総務相・高市早苗、公明党出身の国土交通相・太田昭宏、7日夜に公明党代表・山口那津男、井上義久に、10日夕にケネディ駐日米大使らに事前に示された。
原案はすべて回収された。安倍は14日夕に記者会見して談話を公表したが、13日までの段階で原案を持っていたのは安倍、今井、佐伯の3人だけだった。3日に正副長官会議で示された原案と、実際に発表された談話は違っていたのか。正副長官会議に出席した6人のうち複数のメンバーはこう断言している。
「まったくと言っていいほど変わっていない」

「悲惨な迷走」はどっちのほうか
以上から、9日付朝日新聞の報道は「誤報」だったということだ。私たちも気をつけなければならないので内実を一つ明かしておく。正副長官会議で、あるメンバーが内容に驚きこう提案した。
「よくここまで踏み込まれました。14日まで厳秘にしましょう。外にはできるだけ『期待値』を下げるように話しておきましょう」
3日以降、官邸の要人は記者からの取材に対し、できるだけ期待値を下げるように話したわけだ。朝日は官邸の陽動作戦にひっかかってしまったのではないか。にもかかわらず、朝日は15日付朝刊社説で「戦後70年の安倍談話 何のために出したのか」と題してこう書いた。

《それにしても、談話発表に至る過程で見せつけられたのは、目を疑うような政権の二転三転ぶりだった。安倍氏は首相に再登板した直後から「21世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したい」と表明。村山談話の歴史認識を塗り替える狙いを示唆してきた。
そんな首相の姿勢に中国や韓国だけでなく、米国も懸念を深め、首相はいったんは閣議決定せずに個人的談話の色彩を強めることに傾く。それでは公式な政府見解にならないと反発した首相側近や、公明党からも異論が出て、再び閣議決定する方針に。節目の談話の扱いに全くふさわしくない悲惨な迷走ぶりである。
この間、国内のみならず欧米の学者も過ちの「偏見なき清算」を呼びかけた。世論調査でも過半数が「侵略」などを盛り込むべきだとの民意を示した。そもそも閣議決定をしようがしまいが、首相の談話が「個人的な談話」で済むはずがない。日本国民の総意を踏まえた歴史認識だと国際社会で受け取られることは避けられない。それを私物化しようとした迷走の果てに、侵略の責任も、おわびの意思もあいまいな談話を出す体たらくである。》

「目を疑うような二転三転」、「悲惨な迷走」をしたのは政権ではなく、朝日新聞である。朝日の社説は「論」として立派かもしれない。しかし、誤った報道に基づいて「論」を構成するなら、砂上の楼閣ではないか。(敬称略)

【田崎史郎:ニュースの深層】




マスコミ関係者がここまで「誤報」と断じることは珍しいことです。ここでも非常に気を使いながら書いています。同じマスコミ人として朝日新聞の書き方が堪んないのだと思います。
提灯記事を書く必要はありませんが、少なくても誤りのない報道は、今の朝日新聞には求められているはずです。
# by kura0412 | 2015-08-24 11:27 | 思うこと
厚労省にも4月にサイバー攻撃 年金情報流出検証委が報告

サイバー攻撃を受けて日本年金機構の個人情報が流出した問題で、有識者で構成する検証委員会(委員長・甲斐中辰夫元最高裁判事)は21日、機構を監督する厚生労働省も「サイバー攻撃への対応や意識が不十分だった」とする報告書をまとめた。
機構への攻撃が始まる前の4月に、厚労省が手口の似たサイバー攻撃を受けていたことも新たにわかった。
検証委は、20日に調査報告書を公表した機構とは別に、第三者の立場から流出問題の原因や再発防止策をまとめた。厚労省と機構は報告書の内容を踏まえて、関係者の処分を検討する。

報告書によると、4月22日に厚労省年金局などが標的型メールを受信。端末がウイルス感染し、約2時間後にネットワーク環境から遮断した。これについて内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)から「同種のウイルスに感染した場合、被害が大きくなる可能性がある」との注意を受けていた。
だが、厚労省は5月8日に機構が似た攻撃を受けた際にも、機構に情報提供しなかった。この段階で情報提供しても一連の情報流出がすべて防げたかは不透明だが、検証委は「(危機感を)意識することはできたはず」と分析している。
報告書では、厚労省の情報セキュリティーを担当する専任の職員が実質1人しかいなかったことも指摘、「到底十分な体制とは言いがたい」と批判した。サイバー攻撃を受けた機構のLANシステムの担当部署が、厚労省内で不明確になっている点も問題視し「監督官庁としてあり得ない」と断じた。

【日経新聞】



これでマイナンバーは大丈夫なのでしょうか。
しかし犯人は誰?
# by kura0412 | 2015-08-22 10:39 | 政治

もう暫くかかりそうです

日歯連「違法献金事件」で関係先を新たに捜索

日歯連=日本歯科医師連盟をめぐる違法献金事件で、東京地検特捜部が、当時の会計責任者の関係先などを新たに家宅捜索していたことがわかりました。

日歯連はおととし、自民党の石井みどり参議院議員を支援する政治団体に、法律の上限を超える総額9500万円の寄付を別の団体をう回させるなどして行った疑いがもたれています。
関係者によりますと、特捜部は、20日、日歯連で、当時、会計責任者を務めていた男性が現在会長を務める歯科大学の同窓会事務所など数か所を家宅捜索したことが新たにわかりました。
特捜部は19日も関係先の捜索を行っていて、金の流れなど、実態解明をさらに進めるものとみられます。

【TBS Newsi】



再び捜索されたということで、一応の結果が出るにももう暫くはかかりそうです。
# by kura0412 | 2015-08-21 10:57 | 歯科
日医・医学部長会議が医師の偏在解消に向け緊急提言
医療機関の管理者要件に「医師不足地域での勤務経験」を

日本医師会と全国医学部長病院長会議は8月19日、医師の地域や診療科ごとの偏在の解消に向けた緊急提言の骨子を発表した。正式な提言は今後の検討を踏まえて発表される見通し。
骨子では冒頭、「現状の医師不足の本質は、絶対数ではなく、医師の地域・診療科偏在にある」とした上で、この課題解決のためには、「医師自らが新たな規制をかけられることも受け入れなければならない」と、一定の規制はやむなしとの考えを初めて表明した。

ここまで踏み込んだ提言を出したのは、これまで日医などが懸念を示し続けてきた千葉県成田市での医学部新設が現実味を帯びたため。政府は7月31日、「国家戦略特区」に指定されている成田市に、早ければ2017年度にも大学医学部を新設する方針を決めた。今秋をめどに医学部の開設を禁じている文部科学省の省令を改正する。
そうした状況に何とか一矢報いようというのが今回の緊急提言の狙いだ。
柱となる施策は、各大学医学部に、卒業後の医師の異動を生涯にわたって把握する「医師キャリア支援センター」(仮称)を設置するというもの。すべての医学生・卒業生は出身大学のセンターに必ず登録しなければならない仕組みとし、各センターでは医籍登録番号を活用して医師の異動を追跡する。
そのほか、センターは、医学生や卒業生に対して、学部教育、研修医マッチング、臨床研修、生涯教育などの様々な場面で相談に乗り、キャリア形成を支援する。このうち臨床研修については、自由に場所を選べる現在の仕組みを改め、出身大学の所在地域(出身大学の関連病院のある範囲を含む)で行うことを原則とする。臨床研修医の需給が均衡していない地域では、全国の支援センターをつなぐ組織として新設する「全国医師キャリア支援センター連絡協議会」(仮称)が各地域の情報を共有し、地域ごとの需給調整を進める。
さらに医師の偏在解消に向けて、提言では、「一定期間、医師不足地域で勤務した経験があること」を病院・診療所の管理者要件に新たに加えることも盛り込んだ。へき地などでの勤務経験を医療機関の管理者要件にするプランは、過去に厚生労働省が示したり、地方団体が要望してきたものの、日医などの強い反対に遭って実現せずにきた経緯がある。それが今回、一転した格好だ。

ただし、新たに管理者となる医師だけを対象にするのかどうか、医師不足地域や勤務期間をどう設定するかなどの詳細については、まだ詰め切れておらず、今後明らかにしていく方針だという。
日本医師会と全国医学部長病院長会議では、今回の骨子に基づく正式な提言書を近く取りまとめ、厚生労働省に示すとしている。

【日経メディカル】



自主的なこうゆう動きする医科の政策を実現する力は流石です。
# by kura0412 | 2015-08-21 09:42 | 医療政策全般

美容整形大国・韓国

なぜ韓国は「美容整形大国」となったのか

韓国で医学部生に最も人気のある診療科の一つが形成外科です。その根底には、美を追求する国民意識があります。

なぜ韓国では美容に対する意識が高いのか?
韓国での美容外科、美容医療の発展の根底には、美に対する韓国人の関心の高さがありますが、これは韓国が「美容整形大国」「美容整形先進国」などと言われるずっと前から存在する価値観の一つではないかと考えます。
韓国では子供の頃、もっと言えば生まれた時から、容姿や外見を評価されます。男女限らず、この子は美男だ、美女だ、あるいはその逆も、歯に衣を着せず周りからはっきり指摘されます。それは幼少時から大人になるまで続き、褒められるにしろそうでないにしろ当然強く意識するようになるでしょう。
人間は様々な環境、仕事の中で、自分の個性や能力を持って評価されるものですから、外見だけにこだわり続けることはありません。しかし、潜在意識の中に容貌に関する価値観は持ち続けます。
韓国のように価値評価の中で外見の占める割合が高いと考えられている社会では、特に女性の場合、美を追求することが自己価値を上げると考えるのも当然と言えば当然です。
最新の美容法や化粧品が広がる以前から、民間療法的な美容法や美肌法が多くあるのも、韓国女性が昔から美容に高い関心を持ち、実践してきた証拠でしょう。

形成外科が人気、国の観光事業にも
美容に対する関心と需要に後押しされるように、韓国における形成外科は瞬く間に人気の科目となり、目指す研修医も増えました。
日本の場合、大学の医学部を卒業し医師国家試験に合格すれば、何科を専攻するかは本人が自由に選択できます。しかし、韓国では専門医の数を厳格に管理しているため、人気の科に希望しても必ずしも思い通りにはなりません。
私が卒業した当時はまさに形成外科が人気の的で、狭き門でした。成績はもちろん、噂では人間関係(?)やコネも必要だという話まで出ていたくらいです。とにかく形成外科に優秀な卒業生が集まったのは事実です。しかし形成外科医が増加し、他の科の医師まで美容医療に関心を示すことから、最近はさすがに美容医療への集中もやや落ち着いてきたようです。
現在、韓国全体では美容外科、美容皮膚科のクリニック、医院が4000ほどありますが、その40%がソウルに存在します。ソウル市の高級住宅街がある江南(カンナム)地区には、いわゆる「美容整形通り」と言われる場所があり、そこだけで800のクリニックが密集しています。いくら需要があるとはいえ、さすがに国内では飽和状態になってきているのも事実です。
このような状況の中で、韓国は海外の患者を受け入れるべく、医療観光を国の経済政策の一つとして力を注いでおり、美容外科の高い技術力をベースにソウル以外でも医療特区として指定されている地域もあります。

【現代ビジネス:鄭 憲(テイ ケン)】



聞くところ、審美歯科も積極的に行われているようです。
# by kura0412 | 2015-08-20 09:39 | 医療政策全般

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412