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食事指導や受診促進で医療費抑制

2018年度 同時報酬改定 糖尿病性腎症 重症化防ぎ医療費抑制 食事指導や受診促進で

高齢化を背景に増え続ける医療費。1年間に全国の病院へ支払われた医療費の総額「国民医療費」は、30年間で倍増し、2015年度には42兆円に達した。伸びを抑制するため多くの自治体が取り組むのが、糖尿病の進行に伴って生じ、人工透析の要因となる「糖尿病性腎症」の重症化予防だ。国は地域によって大きく異なる医療費のデータを示し、取り組みを促す。

「ラーメンを食べるなら野菜を入れたら栄養バランスがよくなりますので、食べても構いませんよ。ただスープは飲まないでくださいね」。10月中旬、糖尿病患者を対象とした東京都荒川区の栄養相談。主治医の紹介で訪れた70代女性に、管理栄養士が助言した。女性は「ラーメンは大好きなんだけれど、カロリーが高いと思って我慢していました」と笑みを浮かべた。
糖尿病は年齢が上がるほど患者が増える傾向にあり、高齢化の進展とともに増加の一途をたどる。厚生労働省の調査によると、16年時点で過去最多の約1000万人。調査を始めた20年前と比べ、約310万人増えた。透析を受ける人も増え、日本透析医学会によると15年末時点で約32万人に達している。最も多いのが糖尿病性腎症で、約4割を占める。
自治体が糖尿病性腎症の重症化予防に取り組むのは、適切な食習慣を続ければ予防できることに加え、透析を始めると医療費が1人年間500万円と高額になるためだ。
荒川区は全国の中でも、早くから重症化予防に取り組んできた。栄養相談の他に、区の国民健康保険では、受診記録に当たる診療報酬明細書(レセプト)や特定健診のデータから病名や投薬状況を分析して透析が必要になる恐れの高い人を見つけ、主治医と連携しながら個別に半年間の保健指導を実施している。

厚労省も、こうした取り組みを広げるため16年に「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定し、各地でプログラムを作って対策を始めるよう促した。
長野県はいち早くプログラムを作った。同県では糖尿病性腎症が悪化して透析を始める人は年間約240人。特定健診とレセプトのデータから、糖尿病性腎症の進行度の目安となる「ヘモグロビンA1c」の血中濃度が高いのに未受診だったり治療をやめたりした人に、市町村職員が電話や自宅訪問をして健康診断の受診を勧めている。医療費削減効果は透析を始める人をゼロにできれば最大11億8000万円になるという。
同県松本市は、薬剤師にも協力してもらうユニークな事業を15年から始めた。医師と患者との相談の上で、「減塩しょうゆを使う」「食後にお菓子を食べない」などの実現できそうな目標を立て、かかりつけの薬剤師が月1回面談して目標達成をサポート。2年間で計29人が参加し、現時点で参加前より腎症が重症化した人はいないという。
同市の国民健康保険は、被保険者の高齢化に伴う歳入不足のため、16年度に保険税率を引き上げている。担当者は「医療費の抑制、適正化のためには、できることは何でもやっていかなければいけない状況だ」と危機感をあらわにする。

「地域差」半減目指す 達成できれば2兆円超削減
都道府県ごとの医療費に地域差があることは以前から言われており、医療費の高い地域は、人口当たりの医師・病床数が多い▽人口当たりの糖尿病や肝臓病患者が多い--などが共通している。
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は2015年、医療費の地域差を半減するよう提言した。医療費削減効果は、1人当たり医療費が最少の千葉県(当時)に対する各都道府県の差額を半分にすれば、2兆1600億円になると試算した。
医療費削減のため国は人工透析や磁気共鳴画像化装置(MRI)の撮影件数などデータの「見える化」を進め、どこで差が生じるかもわかるようになってきている。
厚生労働省によるとさらに、同じ月に複数の医療機関から同種の薬を処方される人や、多種類の薬をもらっている人の割合にも都道府県差があることが判明している。

厚労省は、自治体と医療機関が連携して取り組みやすい、糖尿病性腎症の重症化予防▽薬の重複投与防止▽後発医薬品の使用率向上--などにより地域差の縮減を目指しており、都道府県に主体的な役割を求めている。

(毎日新聞)



この視点で取り組めば歯科からの要望は認めてもらえるはずなのですが。
by kura0412 | 2017-11-30 11:15 | 医療政策全般 | Comments(0)

ピンピンコロリの条件に

「ピンピンコロリ」を実現する5つの習慣

長寿国・日本の現実は「寝たきり大国」だ。ほかの国に比べて「ピンピンコロリ」は少なく、「ネンネンコロリ」が際立って多い。なぜなのか。そして、「ピンピンコロリ」を実現するための5つの習慣とは――。
日本は世界でも指折りの長寿国として知られています。しかし、その実態は、最期まで元気に活動して天寿をまっとうするピンピンコロリ(PPK)は少なく、男性は平均9年、女性は同12年も介護された末に死んでいくという、ネンネンコロリ(NNK)が他国に比べて際立って多い「不健康長寿国」なのです。

病院は決して安全な場所ではない
なぜでしょうか。最大の理由は、病院などの病床数の多さにあります。日本では人口当たりの病床数がアメリカの4倍以上あり、患者の入院期間も3倍近く長いのです。
病床数が多ければ、いざというときすぐに入院できるので安心だと日本人は考えがちですが、後期高齢者の場合、病院のベッドで点滴の針を刺したままトイレにも行かず過ごしたら、間違いなく寝たきりになるでしょう。ベッドがたくさんあってすぐに入院できる一見理想的な環境が、逆に寝たきりの高齢者を増やしている。これが日本の現実です。
また、これも多くの人は誤解していると思いますが、病院は決して安全な場所ではありません。病院に近づけば医療事故や薬害などの危険にさらされます。
たとえば肝臓がん。酒の飲みすぎが原因だと思われがちですが、男性の肝臓がんによる死亡率を見ると、新潟、岩手、秋田など酒どころといわれる県では低く、比率の高い福岡や大阪の3分の1程度でしかありません。実は、肝臓がんは飲酒ではなく、医療事故によるC型肝炎ウイルスの感染が最大の発症要因なのです。
医療事故がどれくらい起こっているか知ったらびっくりすると思います。EUの公式資料によれば、病院の医療事故で死亡した人数は年間約15万人。そのため、EU域内に住む人の約53%が、病院は危険なところだと認識しています。
わが国の実態は公表されていませんが、数十万人規模での医療事故や薬害が起こっていると思われます。

歯科医にはこまめにかかったほうがいい
では、どうすればNNKを避け、PPKを実現できるのでしょうか。それはなんといっても医師に頼りすぎず、自分の健康は自分で保つのだという気概が持てるような支援環境を公的に整備することです。そのうえで各種の情報を調べ、納得のいく治療を受けるようにしましょう。
一方で、歯医者さんにはこまめにかかったほうがいいようです。私たちの調査では、「かかりつけの歯科医師がいる」と答えた人が長生きでした。どんなメカニズムが働いているのか明確なところはわかりませんが、私は次のような仮説を立てて追跡調査をしています。
まず、歯科医の支援を受けることで望ましい口腔ケアの知識が得られ、高齢になっても歯と口の健康を保つことができる。食は生きることの基本ですから、歯や口が健康であることには大きな意味があります。また、定期的なケアを受けるため、歯医者さんへ「お出かけ」していることも健康長寿には望ましいのです。

「ピンピンコロリ」を実現する5つの習慣
生活習慣という切り口から見ると、次の5つの習慣を身に付けることがPPKには大事だということがわかってきました。

1、運動。毎日やらなくても週に1回運動していれば、生存率がかなり高くなることが証明されています。
2、質のいい睡眠。
3、朝食。食べないと脳や身体機能が活性化しません。その際、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を食べ腸内細菌を増やして体温を高めると免疫力が高まり、がんになりにくくなります。
4、禁煙。発がん物質を含むたばこは百害あって一利なし、確実に寿命を縮めます。
5、適度な飲酒。私たち研究チームが高齢者1.3万人を対象に3年間追跡調査したところ、男性では毎日飲酒する群、女性では週に1、2回飲酒する群の死亡率が最も低く、逆に死亡率が高かったのは男女とも「ほとんど飲まない」と回答した人たちでした。

「地域活動にも積極的」がPPKの必須条件
日本では多くの人が誤解しているのがコレステロール値の評価です。高コレステロール群と低コレステロール群では、明らかに前者のほうが長生きです。コレステロールはビタミンDや細胞膜、がん免疫細胞の材料であり、体の中で重要な役割を担っています。その一方、コレステロールを下げる薬の服用により死亡率が高まることが証明されています。
環境や住居も健康長寿に大きな影響を与えます。都市部よりも長野県のような地方で平均寿命が長いのは、水や空気がきれいだというのも理由のひとつ。夏になるとホタルが乱舞するなど、多様な生物が生きられるところでは、人間も長生き。考えてみたら当たり前のことなのです。
日本では毎年約1万7000人がヒートショックで亡くなっていますが、風呂場が寒すぎるなど家の中の温度較差が原因です。これは住宅の断熱・気密性能を向上させる無垢材の活用で改善します。また、クロス張りの壁を珪藻土や土壁に変えればホルムアルデヒドなどの害がなくなり、湿度調整もうまくいくため睡眠の質が高まります。こうした住環境の良質化もPPKのためにはぜひ取り組みたいポイントです。
そして、忘れてはならないのが心の健康。年をとっても生きがいを持ち、地域や趣味の活動にも積極的に参加しているというのはPPKの人の特徴であり、必須条件だともいえます。65歳を過ぎても生きがいを持って働くというのも、要介護にならないための賢明な選択だといっていいでしょう。

これがピンピンコロリの条件だ!
・かかりつけの歯科医師を持つ
・口腔をケアし良好な状態を保つ
・やや太めの体形である
・総コレステロール値が高い
・お出かけが好き
・断熱に優れ土壁を使った健康住宅に住む

首都大学東京名誉教授 放送大学客員教授 星 旦二
1950年、福島県生まれ。福島県立医科大学卒業。医学博士(東京大学)。東京都衛生局、厚生省、英ロンドン大学留学などを経て現職。著書に『ピンピンコロリの法則』『新しい保健医療福祉制度論』など。

(PRESIDENT ONLINE)
by kura0412 | 2017-11-24 10:53 | 医療全般 | Comments(0)

歯科の技術料は90%

門前薬局の報酬下げ、かかりつけ機能を重視 調剤報酬を抜本改革へ 

厚生労働省と財務省は2018年度予算編成で、薬剤師の調剤行為に支払う調剤報酬を見直す。近接する特定の病院への依存度が高い「門前薬局」の報酬を下げ、地域のかかりつけの薬局への報酬を手厚くする。利益重視になりがちな門前薬局に薬の重複投与の防止などへの取り組みを促し、医療費の抑制につなげる狙いだ。

16年度末時点で全国5万8678の薬局のうち過半が、特定の病院からの処方箋に頼る門前薬局。病院内の薬局に比べ手厚い報酬を得られ、全国で急増している。ただ地域に根ざし、様々な病院に通院する患者の飲み合わせを管理する「かかりつけ」の機能を果たしていないとの批判がある。
両省は16年度、特定病院に処方箋が集まる大規模な門前薬局の報酬を下げたが、減額になった薬局は全体の10%。今回は小規模な門前薬局や、病院の敷地内の「門内薬局」の報酬も下げる。かかりつけ機能を果たす薬局の報酬は厚くし、メリハリをつける方針だ。
また後発薬の普及へ報酬上の加算も見直す。後発薬の調剤割合が「65~75%以上」の場合に報酬を上乗せするが、両省は対象を「75~85%以上」に引き上げる方向だ。
処方薬の金額が同じでも、門前薬局など病院外で処方される際の技術料は、病院内の処方に比べ3倍ほど高い。患者負担は大きくなる。
高齢者の薬の飲み残しは年間500億円分とされ、無駄は多い。薬剤費や薬剤師の技術料にあたる調剤医療費はこの10年で6割増えた。調剤報酬を見直せば、数百億円規模の医療費抑制につながる可能性がある。

(日経新聞)


http://www5.cao.go.jp/keizaishimon/kaigi/special/reform/wg1/291108/shiryou1-5.pdf#search=%27%E8%AA%BF%E5%89%A4%E5%A0%B1%E9%85%AC%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%94%B9%E5%AE%9A%E7%8E%87%E3%81%AE%E8%A8%AD%E5%AE%9A%27
(「調剤報酬に対する改定率の設定」で検索してください。)


今回の改定で調剤にはメスが入りそうですが、ネットでいろいろ検索していると上記の資料が面白いことが分かりました。
財務省からの提出資料の中に「調剤報酬に対する改定率の設定」という項目に、診療報酬の構造として、医科・歯科・調剤の技術料の割合が示されており、それが80、90、20%と示されていました。
歯科の技術料90%です。これでは歯科だけが一向に改善されないわけです。
by kura0412 | 2017-11-17 15:02 | 歯科医療政策 | Comments(0)

フレネミー

フレネミーを知ってますか(一目均衡)

ソニーの吉田憲一郎副社長によると、米ビジネス界の今の流行語は「フレネミー」だという。似たような趣旨で「コペティション」という言葉もよく使われるそうだ。この2つの単語がどんな意味か、察しがつくだろうか。
フレネミー(frenemy)とは友達(friend)と敵(enemy)を合成した言葉で、ビジネスの文脈では、競争相手でありながら同時にパートナーでもある関係性を指す。コペティション(coopetition)も同様に競争(competition)と協力(cooperation)を結びつけた言葉で、やはり競争しつつも協力もするという多面的な関係を意味する。

ソニーにとってのフレネミーは誰か。吉田副社長によると、例えばネット動画配信の米ネットフリックスがそれに当たる。ソニー傘下にドラマ製作のソニー・ピクチャーズ・テレビジョンという会社があり、そこの最大顧客の一つが自社ブランドコンテンツの作製に膨大な予算を注ぎ込むネットフリックスだ。同社の配信で世界的にヒットした連続ドラマの『ハウスオブカード』や『ザ・クラウン』を実際につくったのは、実はソニーだ。
一方で両社は競合関係にもある。ソニーはゲーム機の「プレイステーション4」経由で、お茶の間のテレビに映画やアニメを届ける有料サービスを展開しているが、これはネットフリックスの牙城の動画配信市場への挑戦に他ならない。
目を凝らせば、フレネミー関係はビジネス界のいたるところで観察できる。世界最大級のフレネミーは米アップルと韓国サムスン電子だろう。両社はスマートフォン市場で激しくぶつかる一方で、薄型パネルやメモリーなどの部品では相互依存の関係にある。自動運転技術をめぐっては、自動車とIT(情報技術)の世界を代表するトヨタ自動車やグーグルの間にもフレネミー的関係が形成されるかもしれない。

直接の接点がないフレネミーもある。国内のタクシー業界は、米ウーバーテクノロジーズなどが展開するライドシェアサービスの「日本上陸絶対阻止」を掲げ、街頭デモに繰り出さんばかりの勢いだ。
その一方でライドシェアが打ち出した新機軸を取り入れ、同じ方向にいく見知らぬ客同士が1台のタクシーを利用する「相乗りサービス」の実用化に動き始めた。タクシー業界の敵視するライドシェアサービスは、実はタクシーの進化の方向を示してくれる「友人」ないし「教師」のような存在かもしれない。
フレネミー時代に必要なのは、他社との関係を適切にマネジメントする能力だ。どの領域で相手の力を借り、どの領域で競争するかを分かりやすく定義し、自社の強みを最大限発揮できるような「関係性の網の目」をつくる。それが経営者の役割である。

(日経新聞)



歯科でのフレネミーとなると医科、調剤となるのでしょうか。
by kura0412 | 2017-11-07 09:36 | 経済 | Comments(0)

次期改定のターゲットは

薬局が病院の周りにやたらと溢れかえる事情結局、
患者の薬代負担を増やした政策の是非

「何でこの薬局を選んだのかだって?そりゃ、いちばん近かったからパッと入っただけだよ。それ以外の理由は特にないねえ」。そう話す70代の男性が通う東京都立墨東病院は、墨田、江東、江戸川3区で唯一の救命救急センターを備える、東京都東部地区の中核病院だ。外来患者は1日平均約1400人。病院の外来入り口から緩いスロープを30メートルほど歩くと、細い道を挟んだ向かいに6店の薬局が目に入る。

目につく違いは看板の色ぐらい
「処方せん受付」「保険薬局」・・・・・・、掲げている内容はどこも同じで、目につく違いは看板の色ぐらいだ。男性は横断歩道をわたってすぐの、病院正門から最も近い薬局に入ったが、ひとえに「近さ」がここを選んだ理由だという。正門真正面の2店の薬局は、5~15人ぐらいの患者で待合室は満席が続いていた。他方で、少し奥まった立地だと、まばらな客入りの薬局もあった。同じ薬局から出てきた70代の女性は病院への不満を募らせていた。「もう何年も通っているが、いつも処方箋をもらって薬局に行って、また会計で病院に戻るなど、行ったり来たりの繰り返しで疲れる。なぜ病院で全部済ませてくれないのかと、ずっと思っている」。病院内にはこう掲示されている。「当院では厚生労働省が推進する医薬分業に沿い、原則、すべての外来患者さんに院外処方箋を発行し、お薬を院外の保険薬局でお受け取り頂いております」。
現在、日本全国の薬局数は約5万8000店。病院などとは異なり薬局の開設許可には需給面からの規制がなく、右肩上がりで増加している。同じく伸長しているコンビニの店舗数(約5万4000店)より多く、ガソリンスタンド(約3万2000店)や郵便局(約2万4000店)といった社会インフラをはるかに凌駕している。
薬局急増の背景には、薬の処方は医師が、調剤は薬剤師が分担して行う「医薬分業」が、国策として強く推し進められてきたことがある。病院が院外処方箋を発行するようになると、それを目当てに病院の近隣に多くの「門前薬局」が林立するようになった。同様の風景は大病院の近くでは随所に見られる。東京・品川区の旗の台駅から商店街を抜けると、一際高いビルがそびえ立つ。1日平均の外来患者数が同じく約1400人の昭和大学病院だ。周囲には飲食店に交じって、背の低い14の薬局が密集して軒を連ねている。以前は静かな住宅街だったところで再開発が進み、薬局の出店が断続的に続いた。「もうそろそろ飽和しただろうと思っていたら、また1店建ったという感じで、気がついたらずらりと並んでいた」。地元の商店主は当時を振り返る。それから十数年、店舗の入れ替わりはあっても、薬局の数は減っていない。商店主は、「これだけあるのにどうやって経営を成り立たせているのか、つくづく不思議に思う」と話す。

門前薬局ほど楽な商売はない
「門前薬局をビジネスとして考えると、これほど楽な商売はない」。あるチェーン薬局の幹部は実情を語る。病院の前に店さえ出せば、自動的に患者が入ってきてくれるため、「顧客開拓なんて必要ない。その病院に合わせた薬に限ってそろえればいいので、在庫リスクも小さい。保険収入なので、取りはぐれがないのも大きい」。そうしたビジネスモデルのため、「買収案件は枚挙にいとまがなく、これまでは個人経営の小規模店であっても、だいたい年商ぐらいの値段がついた」と、ある薬局コンサルタントは話す。この人物が知る中でも数年前、2店で年商5億~6億円ほどの薬局に、やはり同額ぐらいで買い手がついたという。チェーン薬局幹部によれば、「門前薬局の決め手は何と言っても立地。病院の出入り口に近ければ近いほどいい。それで評価額も大きく変わってくる」のだという。
こうした状況を国も問題視している。
2015年、政府の経済財政諮問会議で当時の塩崎恭久厚生労働相は、「病院前の景色を変える」と発言し、乱立する門前薬局のあり方の是正に意欲を見せた。後任の加藤勝信厚労相も同様の認識を示し、2018年度の調剤報酬改定では、門前薬局に厳しい内容が見込まれる。実際、10月25日に開催された財務省の財政制度等審議会の分科会では、薬局の調剤報酬の大幅な引き下げを据える方針を示した。

財務省がそうした方針を示した背景には、薬局の収入である調剤医療費は、2001年度の3.3兆円から2016年度には7.4兆円へと2.2倍に膨らんでいることがある。この急増の理由の一つとして考えられているのが、先に触れた医薬分業の推進だ。
医薬分業を進めるため、病院や診療所が薬を出す院内処方より、外の薬局で受け取る院外処方の技術料が高く評価されてきた。薬剤師の人件費など薬局の運営費用を考慮したためだが、その結果、同じ薬を処方する場合であっても、院外処方の場合は院内処方と比べて3倍超の技術料が算定されている。
国が医薬分業を推進したのは、処方される薬を医師と薬剤師双方がチェックすることで安全性を担保するとともに、医師が薬から利益を得るために患者に不用な薬を大量に出す「薬漬け医療」を減らせば、医療費も大幅に抑制できると判断したためだ。だが実際は薬剤費に薬局の技術料分が上乗せされるため、医薬分業が進めば進むほど、調剤医療費は増加することになる。国の狙いは外れ、大手チェーン薬局が高収益を享受する一方で、調剤医療費は逆に膨らむ羽目になった。
実際、財務省が示した高血圧や糖尿病などで28日分の内服薬が処方されたケースでは、薬剤費を除く投薬費用に関しては、3割の自己負担分だけでも、院内処方だと420円で済むところ、院外処方だと1820円と4倍以上になる。問題は患者がこの差を納得できるだけの機能を、薬局が果たしているのかどうかだ。薬局の報酬となる技術料(調剤医療費7.4兆円のうちの1.8兆円)は、処方箋受け付け1回ごとに算定される「調剤基本料」、処方する医薬品の錠数などによる「調剤料」、服薬指導の「薬学管理料」から成る。

調剤も服薬指導も誰がやっても同じ作業
その実態は、「基本料は単なる入場料で、調剤も医師の処方箋の記載どおりの作業。服薬指導もマニュアルどおりに話せばよいだけ。つまり誰がやっても同じ作業で、薬学部で学んだ専門性を生かす機会がまったくない」と、複数の薬剤師は口をそろえる。
こうした指摘に対して、厚労省は2015年10月、「患者のための薬局ビジョン」を発表した。核となったのが、「かかりつけ薬剤師・薬局」だ。2025年までにすべての薬局は24時間対応や在宅対応を果たすことが必要だとする、薬局再編像を示した。この方針を受けて前回の2016年の報酬改定で新設されたのが「かかりつけ薬剤師指導料」だ。一定の要件を満たした薬剤師が患者の同意を得れば、従来よりも高額の報酬を算定できることになる。
厚労省幹部は「医薬分業にはコストに見合うメリットがあるというのが厚労省の考えで、かかりつけ薬剤師の果たす役割はそれを示すものだ」と、その狙いを語る。ただこれは、院内処方に比べ3倍超かかる費用に見合う価値を薬局・薬剤師が提供しているのかという、本来の問いに対して直接答えたものではない。「批判をかわしたどころか、逆に新たな加算をつけるなど肥大化している」(政府関係者)といった声もある。
調剤報酬の改定をめぐる議論が11月から本格化する。
今回の財務省の問題提起は、特定の形式ありきではなく、患者にとって本当にメリットのある薬局・薬剤師のあり方とは何なのか、ゼロベースで議論する格好の機会になるといえそうだ。
(東洋経済ONLINE)



次期改定でターゲットになっている調剤です。どこまで医薬分業の対価としてのメリットをアピールできるか。それが成せなければ調剤への風当たりは暫く続きそうです。
by kura0412 | 2017-11-06 11:18 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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