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長谷工、高齢者事業を開拓 認知症向けデイサービス買収

長谷工コーポレーションは4月にも認知症を対象にしたデイサービスの運営事業者を買収する。有料老人ホームなどの高齢者住宅は2020年までに現在の3割増となる計50施設まで増やす。主力の国内マンション建設は今後、市場縮小が予想される。長谷工は拡大が見込まれる高齢者向け事業で幅広いサービスを用意し、新たな収益源として育成する。
高齢者向けデイサービスを展開する、ふるさと(川崎市)を買収する。同社は川崎、横浜市で約50施設持ち、重度の認知症の高齢者も受け入れるのが特徴。土・日曜日も営業するなど利便性が高い。買収額は20億~30億円とみられる。

長谷工は子会社を通じて三大都市圏で高齢者向け施設を37カ所運営する。有料老人ホームでは要介護者向け、健常者向けなど幅広い用途を用意している。デイサービス施設も運営しており、今回新たに認知症の高齢者を対象にした施設を加える。
20年までに都内や神奈川県、愛知県などで新たに高齢者向け施設を10カ所程度増やす。有料老人ホームが軸になる見通しで、まず来春にも神戸市で新設する。土地を所有する公益財団法人が地上11階建ての建物を建設。長谷工はこのうちの8フロアをホーム入居者の居室として利用する計画。約80室が入る見通しだ。
長谷工は高齢者施設事業で、土地の有効活用を求める所有者と組む。建設費は原則として所有者が負担し、完成後に長谷工がフロアを借りて高齢者施設を開設、運営する。
子会社で老人ホームを運営するセンチュリーライフ(東京・港)と生活科学運営(同)の売上高は合計で約100億円。長谷工は4月1日に高齢者向け事業を統括する中間持ち株会社、長谷工シニアホールディングス(HD、東京・港)を設立し、子会社2社を傘下に収める。同社が主導して高齢者事業の戦略立案などにあたる。25年までに長谷工シニアHDの売上高を200億円、経常利益を20億円とそれぞれ現在の約2倍に伸ばしたい考え。
長谷工が高齢者向け事業に力を入れるのは、主力のマンション建設事業は少子化などで先細りするとみられるからだ。
15年3月期の同社のマンション建設受注額は4243億円と前の期に比べ3割増となった。足元でも堅調に推移しているが、15年の首都圏の新築マンションの発売戸数は14年比9.9%減の4万449戸(不動産経済研究所調べ)と2年連続で減少した。今後は需要減に加え、マンション入居者の高齢化も予想される。そこで長谷工はマンション周辺部に老人ホームなどを開設する。

人口の高齢化を受け、有料老人ホームは定員、施設数ともに大きく伸びている。大手不動産開発会社では東急不動産が開発に力を入れている。首都圏を中心に10施設以上運営しており、15年3月期の同事業の売上高は64億円。東京建物も首都圏でサービス付き高齢者向け住宅の展開を強化している。
各社とも自社開発した分譲マンションの入居者らが定年退職した場合などを想定。新たに高齢者向けの住宅を建設し、転居を促すことによってグループ全体で顧客を囲い込んでいきたい考えだ。

【日経新聞】




厳しい環境が予想されていても他業種からの介護への分野への参入は止まりません。
by kura0412 | 2016-03-15 14:29 | 介護 | Comments(0)
介護業界、体力勝負に ソニーが4月開業のホーム公開

介護業界に体力勝負の様相が広がっている。
ソニーは10日、4月に開設する有料老人ホームの内覧会を開いた。7日には損保ジャパン日本興亜ホールディングスがメッセージを子会社とし、ニチイ学館に次ぐ業界2位に躍り出たばかり。年間売上高300億円で上位10社に入るという介護業界はまだ勢力図が固まっていない。大企業の本格参入は新たな再編の呼び水になる可能性がある。

「顧客視点というソニーのDNAを踏襲し、あるべき介護の品質をつくりたい」。ソニーグループで介護事業を統括するソニー・ライフケア(東京・渋谷)の出井学社長は有料老人ホーム「ソナーレ祖師ケ谷大蔵」(東京・世田谷)の内覧会で意気込みをこう語った。
ソニーの介護参入は2013年。きっかけはソニー生命保険の顧客から介護施設の紹介依頼を受けたことだ。金融事業の顧客基盤は入居者募集に生きるとみて、既存の老人ホームを買収した。
企画・開発から運営まで自前で手掛けるソナーレには暮らしやすさへの配慮が随所にある。居室の洗面台は車いすのまま使えるように電動の昇降機能を装備。「ライフマネージャー」と呼ぶスタッフも配置し、入居者の生い立ちや趣味、価値観を聞き取り、ケアプランなどに反映する。

保険業界には保険金の代わりに介護サービスを提供する「現物給付型保険」を視野に介護事業との相乗効果を探る動きもある。
今後の展開について「量を決めるのは質」という出井社長は当面、入居者に支持される施設づくりに注力する考え。一方では「次はさいたま市。17年度までには」との青写真も描く。
介護保険適用サービスの市場規模は14年度で約10兆円。高齢者人口の増加に伴い、25年度には約21兆円まで膨らむ見通しだ。小規模事業者が乱立する介護サービスは大企業に参入余地の大きい成長市場と映る。知名度と資本力を生かし、参入する大企業が相次ぐ。
居酒屋チェーン、ワタミの介護事業も買収した損保ジャパン日本興亜ホールディングスの介護関連の売上高は年間1100億円規模となる。今後は見守りセンサーなどのICT(情報通信技術)関連に積極投資し、サービスの生産性向上を目指す方針だ。
大企業が介護事業の本格展開に乗り出すなか、既存事業者は対抗策に乏しい。慢性的な人手不足が背景にあり、サービスの質の向上が思うように進まないためだ。最大手のニチイ学館でも国内の介護サービス利用者数は16カ月連続の前年割れ。16年3月期の介護関連の売上高は1444億円と前期比微減を見込む。
一部で発覚した入居者虐待などで消費者が介護業界に向ける目は厳しくなっている。一方、首都圏などでは施設が供給過剰という地域がすでにある。施設展開や集客、人材確保で強みとなる体力とブランドを併せ持つ大企業の攻勢が強まれば、業界再編を促す圧力になる。

【日経新聞】



体力勝負となると個人経営はどんな生きる道があるのでしょうか。
by kura0412 | 2016-03-14 14:45 | 介護 | Comments(0)
医療行政の舞台裏◎要件に異例の「医師会の協力」も登場
新診療報酬に反映された日本医師会の復権

中央社会保険医療協議会は2月10日に開いた総会で、4月に実施予定の診療報酬改定案を取りまとめ、塩崎恭久厚生労働相に答申した。今回は、診療報酬本体の改定率がプラス0.49%とわずかにとどまったこともあり、初・再診料など基本診療料の点数は据え置かれた。
病院に比べて算定できる診療報酬項目が限られる診療所にとっては、初・再診料の引き上げこそが望ましい。だが、国の財政状況や諸々の情勢を考えれば、今回の改定での実現が難しいことも事実だ。
そのため、診療所開業医を会員に多数抱える日本医師会(日医)は頭をひねったに違いない。今回決まった改定項目の中には、診療所にとって経営的にメリットが大きい内容が、目立たない形で盛り込まれることになった。実現の可能性が低い初・再診料の引き上げを声高に叫ぶのではなく、着実に実利を得に動いた日医の戦法が奏功した格好だ。

今回の改定論議では、薬剤使用の適正化が重要課題の1つに挙がっていた。医療費のムダにつながるとして特に問題視されたのが、大量の薬の飲み残し、いわゆる残薬だ。その解消に向け、患者宅にある服用薬を保険薬局に持参させて残薬削減に取り組むという方針が、中医協では早い段階から議論されてきた。
ところが、議論は思わぬ展開を見せる。残薬整理は保険薬局の薬剤師に任せる方向で話がまとまるかと思いきや、日医出身の診療側委員から「物言い」が付いた。大病院での行き過ぎた長期処方が残薬につながっているとして、長期処方に制限を掛けるべきだとする主張を打ち出したのだ。
結局、それが通る結果となり、4月からは、30日を超える長期処方を行う際には次のような取り扱いをすることになった。医師は患者に対して、長期投薬が可能な程度に病状が安定し服薬管理が可能であるかを確認し、病状変化時の対応法を伝えておく。それができない場合には、(1)30日以内に再診する、(2)200床以上の病院なら200床未満の病院か診療所に文書による紹介を申し出る、(3)病状は安定しているが服薬管理が難しい場合は分割指示処方せんを交付する──のいずれかを実行しなければならない。
要は、初診も再診も処方期間は30日を原則とし、それを超える場合は理由を書く。それが嫌な大病院は、診療所や中小病院に患者を紹介して診てもらえ、という話だ。明らかな患者誘導策であり、後者にとってうまみが大きい。

別の改定項目にも、日医のしたたかさは見て取れる。
4月から解禁されることになった「在宅医療専門診療所」の開設要件がそれだ。
近年、在宅医療を主力業務とする診療所は珍しくなくなったが、現状では外来診療を行わずに往診と訪問診療のみを手掛けることは認められない。この規制が緩和され、(1)無床診療所である、(2)在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定する、(3)外来医療が必要な患者に対応できるよう、地域医師会から協力の同意を得るか、地域内に協力医療機関を2カ所以上確保する──などの要件を満たせば、在宅専門診療所を開設できるようになる。
ここで注目したいのは3番目の要件だ。「地域医師会から協力の同意を得る」が、クリアすべきハードルの1つとなっている。診療報酬上、医師会のお墨付きを得なければならないとする要件が明文化されたのは恐らく初めてのことであり、極めて異例だ。
安倍晋三政権と日医の現執行部の関係は良好で、「蜜月」とさえいわれる。今回の改定内容を見る限り、民主党政権時代に自民党推薦を変えなかったばかりに冷遇されていた日医は、完全な復権を遂げたといっていいだろう。

【日経メディカル】




前のブログにある調剤とは随分雰囲気が異なります。では歯科の今回の改定結果は・・・
by kura0412 | 2016-03-10 10:43 | 医療政策全般 | Comments(0)
果たすべき役割が明確に示された2016年度調剤報酬改定
薬剤師・薬局は今まで通りではいられない
日本薬剤師会常務理事/中央社会保険医療協議会委員 安部 好弘氏

2月10日、中医協は2016年度診療報酬改定について厚生労働大臣に答申した。かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価や、いわゆる門前薬局の評価の適正化などが色濃く示された印象だ。中医協委員として議論を重ねてきた日本薬剤師会常務理事の安部好弘氏に、改定に込められたメッセージについて聞いた。(聞き手は本誌編集長、佐原 加奈子)

─中医協委員の立場から、2016年度調剤報酬改定の印象は、いかがですか。
正直なところ、非常に厳しい議論でした。
財源が限られた中での改定であり、規制改革会議や財政制度等審議会で様々な課題が示されていたことに加え、昨年起こった薬歴未記載問題の影響は少なくありませんでした。
残薬の解消や疑義照会など、これまで薬剤師が一生懸命、取り組んできた成果をいくら説明しても、「やるべきことをやっていないじゃないか」と言われてしまい、こちらの主張が聞き入れられず難渋する局面が何度もありました。
しかし全体としては、薬剤師・薬局に求められる機能や姿などについての議論がなされ、メッセージ性の高い改定になったと思います。2025年に向けて日本の医療全体が病院完結型から地域完結型へとシフトしようとしています。地域医療が変われば薬局の在り方も当然、変わらざるを得ません。その中で、薬局がどのような機能を果たすべきか、幾つかの新しい視点が示されたと思います。

─特に「かかりつけ薬剤師指導料」に戸惑う薬剤師も多いようですが。
調剤報酬体系では、これまで人に特化した点数はありませんでしたので、違和感を覚える薬剤師も少なくないでしょう。しかしこれまでも、「あの薬剤師がいるからあの薬局へ行こう」と、薬剤師との関係性で薬局を選んでいた患者が少なからずいたはずです。点数としては新しいですが、実際にはこれまでやってきたことであり、それを評価したものといえます。
ただ、点数化されたことで、これまで以上に患者とコミュニケーションを取り、薬学的知見と経験を用いて患者の問題を解決するよう求められます。そうしたサービスを提供してくれる薬剤師がいる薬局を選ぶべきだと国民が理解し、「かかりつけ薬剤師を持つ」という意識が広がるような仕事をすることが大切です。
70点という点数は、調剤報酬の中では非常に大きな点数です。それだけ期待されている業務といえます。基本的には、全ての薬剤師がかかりつけ機能を持つべきであり、算定する薬剤師の裾野を広げていきたいと考えています。
とはいえ4月1日からすぐに、全ての患者を対象に算定していくような点数だとは思っていません。まずは今、信頼関係を築いている患者に、(1)かかりつけ薬剤師指導料という点数ができたこと、(2)費用は掛かるけれど、服用する全ての薬について自分が責任を持つこと、(3)家族との付き合い、過去からの経緯や服用歴を踏まえ、薬剤師が重複投与や相互作用、不必要な薬が出ていないかなどのチェックをすることで、より安全に薬物治療が受けられること、(4)その結果、薬が減ってトータルの費用が安くなることもあること──などを説明し、理解を得ることから始めていただきたい。
結果的に、かかりつけ薬剤師指導料が効果的に機能して、医師との連携の下、残薬や重複投与、相互作用などが解消され、処方の適正化が進めば、次回以降の改定で評価され、さらに高い点数になることも考えられます。

─かかりつけ薬剤師になるには、薬剤師としての実務経験、在籍期間や就労時間、研修認定の取得などが要件にあり、ハードルが高過ぎるという声も聞こえてきますが。
かかりつけ薬剤師は、患者の服用薬などを一元的に管理し、薬に関する問題を解決することが求められますから、ある程度の経験が必要です。また、かかりつけ薬剤師が薬局にいる時間が短いと、患者は相談したいときに相談できず不便を感じることもあるでしょう。それらをある程度勘案し、ルールを決めました。
今回は、例えば実務経験を3年以上にしたり、「ほぼ常勤」という条件を週に40時間ではなく32時間の勤務に落ち着かせたりしましたが、それらが妥当かどうかの検証は、これからです。子育てや介護をする薬剤師への配慮なども必要だと思っています。実際に取り組んだ現場からの意見に耳を傾け、丁寧に議論していきたいと思っています。
薬学や医学の進歩に対応するためには、薬剤師は一生学び続ける必要があります。そのための生涯学習への取り組みの実績が算定要件に加わったことも注目すべきことでしょう。
対象となる認定や研修は、現在調整中です。基本は「頑張った人が評価される仕組み」ですが、評価のための客観的な指標は不可欠です。研さんを積んできたが認定は取得していない人は、ぜひ何らかの形で必要な要件を満たすようにしていただきたいと思います。

─調剤基本料が細かく分けられ、チェーン薬局には厳しいと言われています。
中医協では、薬局の規模や立地によってではなく、薬局の機能と役割、その実績で評価してほしいと言い続けてきました。ただ、医療経済実態調査などで、病院門前の大型薬局は圧倒的に経営効率が良いという結果が出ています。調剤に限らず診療報酬体系の中では、突出して効率が良い部分は、抑制の対象となります。社会保障費で賄われており、完全な自由主義経済にはなり得ない部分だと思います。
ただし、近隣に他医療機関や薬局がないために特定医療機関からの集中率が高く、応需処方箋枚数は多いものの、かかりつけ薬剤師がたくさんいて在宅医療にも取り組んでいるなど、地域医療を支える役割を果たしている薬局は、除外されます。
基準調剤加算についても、これまで基準調剤加算1(12点)を算定していたけれど、新たな基準調剤加算の要件を満たせない薬局では、経営上の影響は少なからずあると思います。そこは、在宅や地域医療連携に取り組むなどして、地域に密着した薬局になるための1歩を踏み出し、ぜひ算定を目指していただきたい。

─薬剤服用歴管理指導料は、初回は50点、2回目以降で患者がお薬手帳を持参した場合は38点、手帳の持参がない場合は50点と、今までに例のない点数配分になっています。
お薬手帳についてはこれまで、薬剤服用歴管理指導料に包括すると「何もせずに点数だけ取っている」と言われ、出来高では「点数算定するためにお薬手帳を出している」と言われ、いずれにしてもすっきりしない点数となっていました。
お薬手帳を持参すれば、薬物治療における安全性は高まります。持参することで点数が安くなれば、患者の医療に参加する意識を促すことにもつながります。薬局にとっては、手帳があれば患者から他科受診や服用薬に関する聞き取りの手間が省け、情報収集の客観性と効率性が大幅に向上します。その分、費用も安くなるという考え方です。うまく活用してほしいと思います。
今回の改定は、昨年、厚労省が「患者のための薬局ビジョン」で示した考え方が色濃く出ているわけですが、これまでに日薬が公表した「薬剤師の将来ビジョン」「薬局のグランドデザイン2014」、医療薬学会の「薬局の求められる機能とあるべき姿」と、基本的な考え方は同じです。ただし、行政として大きく舵を切ったという点が新しい。目指す姿は今までと同じだけれど、決して今までと同じではいられないというのが、今回の改定です。
患者にとって最善の薬物治療を提供しながらも、医療経済上、医療費削減、効率化という観点で一定の結果を出すことも求められています。その結果いかんによって、次の改定の議論が変わってくるでしょう。

インタビューを終えて
今改定で新設された「かかりつけ薬剤師指導料」について、現場では賛否が分かれています。しかし安部氏が指摘するように、「点数としては新しいが、実際にはこれまでやってきたことであり、それを評価したもの」です。目の前の患者と1対1の関係を築き、治療と健康をサポートし、患者から信頼を得るべく努力しよう、というメッセージと捉え、前向きに取り組んでいくことが大切ではないでしょうか。結果として、患者からの「○○さん、ありがとう」という言葉が増え、薬剤師の職能を社会に知らしめることになると思います。(佐原)

【DI ONLINE】
by kura0412 | 2016-03-10 10:32 | 医療政策全般 | Comments(0)

病院受診手配サービス

原点は「医師からの総スカン」、病院受診手配サービス
メットライフ生命とティーペックの「ベストホスピタルネットワーク」

がんなどの重い病気にかかった時、どの医療機関で治療を受けるかは、患者にとって大きな選択だ。かかりつけ医が、必ずしも最適な医療機関や専門医を紹介してくれるとは限らない。「がんの名医」などの情報はちまたにあふれているが、そうした情報はしばしば患者の悩みをかえって深める。
そんな患者に対し、最適な医療機関や専門医を紹介し、受診の手配までをサポートするサービスが、民間から生まれた。電話健康相談や医師紹介を手掛けるティーペック(T-PEC)が仕組みを構築し、メットライフ生命保険が保険商品付帯サービスとして2016年4月に提供を始める「ベストホスピタルネットワーク」だ(関連記事)。
治療方針を決めるに当たり、主治医以外の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を利用する患者は最近では少なくない。保険商品付帯サービスとして提供されるケースも増えてきた。だが受診までを手配し、専門医療機関での治療への道筋を付けてくれる民間サービスは業界初だ。

このサービスが生まれるまでには、長い道のりがあった。20年以上前、まだセカンドオピニオンという言葉が一般的ではなかった時代に、ティーペックの砂原健市氏(現・代表取締役社長)が知り合いの医師たちから受け取った“冷ややかな言葉”。原点はそこにある。サービス開発に至るまでの道のりと今後の展開について、ティーペックの砂原氏と、メットライフ生命保険の前田晃弘氏(執行役員 コンシューマーマーケティング担当)に聞いた。

“憤り”から起業
もともと保険業に携わっていた砂原氏がティーペックを立ち上げたのは、元号が平成に変わった1989年。きっかけは、母親がくも膜下出血で倒れ、初めにかかった病院から専門病院への転院に時間を要したために、重い後遺症が残ったこと。初診時の病院を「訴えようかと思った」(砂原氏)ほどの憤りが、医療のあり方を変えることを目指した会社を立ち上げる原動力となった。
まず立ち上げたのが、医師や看護師による24時間体制での電話健康相談サービス。
1991年に、生命保険事業者としていち早く同サービスを導入したのが現在のメットライフ生命だった。24時間体制で健康相談を受け付けるというアイデアは各方面で注目を集め、サービス開始から間もなく、砂原氏は通産省(当時)が主催する「モダンヘルスケア研究会」で講演する機会に恵まれる。
それが運命的な出会いの場となった。研究会の座長を務めた、聖路加国際病院院長(当時)の日野原重明氏との出会いだ。「『24時間体制で患者を見守ることには大きな意味がある。医学界ができなかったことに、民間の立場から挑んでいるのは素晴らしい』と励ましの言葉をもらった」(砂原氏)。

「他人の診断にケチはつけない」
当時、健康相談サービスの先に見据えていたのが「名医紹介」だった。砂原氏は20歳の頃、親戚が肺がんと診断され、わずか1カ月で亡くなるという経験をする。ところがその10年後には、末期の胃がんと診断された別の親戚が、有名医の手術で救われるという経験をした。「名医であればこそ、救える命があることを知った」(砂原氏)。そこで、親しくしていた数十人の知り合いの医師に「名医紹介サービス」の構想を話して回った。
反応は冷ややかだった。2つの側面から強い反対にあったという。第1は「日本には世界に冠たる医療制度があり、それは主治医と患者の信頼関係で成り立っている。主治医とは別の医師を紹介したところで、他人の診断に“ケチをつける”医師などいない」(砂原氏)というもの。第2は「医師に対する評価を一民間会社がくだすのか」(同氏)という批判だった。
意気消沈した砂原氏が頼ったのは、ティーペックのサービスに早くから協力してくれていた日野原氏だった。ところが、同氏からも芳しい反応は得られなかった。「同じ病院内でも、『第一外科』と『第二外科』では使う手術器具までもが違っていたりする。まして、医師が異なる医療機関の医師に接点を求めることは非常に難しい」(砂原氏)と諭されたという。

医学界を横断するネットワークをつくる
あきらめきれなかった砂原氏は、1994年ごろから「医学界を横断するようなネットワークを作ろうと動き始めた」。日野原氏の紹介などを通じ、7つの旧帝国大学医学部の教授など、医学界の権威たちとのコネクションを次々に作っていった。
医学界は「“徒弟制度”の伝統が残る世界。ネットワークを作りたいなら“上から”作れ。こんなアドバイスに従った」(砂原氏)。こうして「ドクターオブドクターズネットワーク(Doctor of Doctors Network)」と呼ぶ、国内有数の医療機関とそこに勤務する専門医から成るネットワークが徐々にできあがっていく。
砂原氏はまず、このネットワークを生かしてセカンドオピニオンサービスを始めようと考えた。だが、そこに至る道もいばらの道だった。大学病院のような有力医療機関からセカンドオピニオンサービスへの協力を取り付けるには「業務提携という形を取らなくてはならない。ところがそれには理事会や教授会の承認が必要で、一民間企業にはハードルがとても高かった」(同氏)。
それでも粘り強く交渉を続け、知己を得ていた武藤徹一郎氏(現・東京大学名誉教授、がん研有明病院名誉院長)が副院長に就任していたがん研有明病院などと、数年がかりで契約にこぎつける。2003年ごろからセカンドオピニオンサービスを本格的に開始することになった。
このサービスでは、各診療科の「総合相談医」との電話や対面での相談を、カウンセラーがアレンジ。
対面でのセカンドオピニオンでより高度な専門性が必要と判断された場合には、その分野の専門の臨床医を紹介する。総合相談医や専門の臨床医としてこれに協力するのが、ドクターオブドクターズネットワークの医師たちである。

「安心感」で終わらせない
セカンドオピニオンに必要な紹介状に2006年から保険が適用されるなどの追い風もあり、セカンドオピニオンはその後、広く一般に浸透する。この間、ティーペックはサービス体制を拡充。現在までに、ドクターオブドクターズネットワークに協力する全国の医療機関はおよそ100施設、評議員・総合相談医を務める医師は500人近くに達した。
ただしセカンドオピニオンはあくまでも、他の医師の意見を聞いた上で主治医のもとへ戻ることが前提だ。「主治医の判断に対する賛同を得たという安心感が、セカンドオピニオンの効用であることが実際には多い」(砂原氏)。
がんなどの疾患の治療実績は、医療機関によって大きなばらつきがある。患者にとってはその中から最適な医療機関を選ぶことが望ましいが、自身や主治医の判断で最適な施設を選び、受診にまでこぎつけることはしばしば困難だ。従来のセカンドオピニオンサービスでこの問題に応えることは難しい。
そこでティーペックが、かねて協力関係にあったメットライフ生命とも協力して開発したのが「ベストホスピタルネットワーク」だ。従来のセカンドオピニオンサービスとの大きな違いは、その患者に最適と考えられる医療機関の紹介・手配までを担うこと。主治医が自分では対応できないと判断した症例について、患者がティーペックに受診先の紹介・手配を依頼。紹介・手配が可能な場合、患者が主治医に紹介状を依頼した上で、ディーペックが手配した医療機関を受診する仕組みだ。
2016年4月に、メットライフ生命が保険商品付帯サービスとして提供を始める。既に24の医療機関から協力を取り付けており、この数をさらに増やしていく計画だ。

保険のターゲットも“病気以前”へ
メットライフ生命にとって今回のサービスは「消費者としての目線も持つ保険加入者に訴える、差異化要素になる」(前田氏)。同社はこれまでも、ティーペックとの協業などを通じ、業界を先駆けるサービスを開発してきた。
2013年には、ティーペックによる「ガン総合サポートサービス」「メンタルヘルスサポートサービス」「糖尿病総合サポートサービス」を保険商品付帯サービスに追加。ガン総合サポートサービスについては、業界初をうたう「粒子線治療サポートサービス」の提供も始めた。先進医療の対象となる重粒子線や陽子線によるがん治療をサポートするものだ。がんに罹患した加入者が粒子線治療を希望した場合、総合相談医の面談を実施し、必要に応じて治療施設を紹介する。
近年のサービス開発でメットライフ生命が強く意識しているのが「病気になった“後”をサービスの対象と捉えるのではなく、病気になる“前”を含めたサービスを提供していく」(前田氏)との視点だ。治療から「発症予防」「重症化予防」へと医療の比重がシフトしつつある中、保険会社にとってもこうした流れに即したサービス開発が必要になってきた。

ウエアラブル活用も視野
そうした取り組みの1つが、検診の重要性を広く訴える活動だ。例えばメットライフ生命はGEヘルスケアと組み、若い女性をターゲットとした乳がん検診の啓蒙活動に取り組んでいる。
技術にかかわるイノベーションも今後、保険サービスのあり方を大きく変える可能性があると前田氏は話す。例えば「ウエアラブル端末を取り込んだサービスなどが考えられる」。ウエアラブル端末で加入者の生活習慣や健康状態を可視化し、それを保険と連動させるようなサービスだ。
技術だけでなく「業種の壁を乗り越えるような、ビジネスモデルのイノベーションも重要な要素」(同氏)。ティーペックとともに、民間企業が医学界に深く入り込むことで実現したベストホスピタルネットワークは、それに先鞭を付ける取り組みとなる。

【日経デジタルヘルス】
by kura0412 | 2016-03-08 14:18 | 医療政策全般 | Comments(0)
衆参同日選の可能性「ほぼゼロ」~安倍・菅両氏を取材して、この結論にたどり着いた

安倍・菅両氏と話して得た感触
来年度予算案が衆院を通過すると、その後の政局の見通しを書くのが政治報道の習わしである。各新聞社の記事を読み比べると、各紙がどんな政局観を持っているかが浮き彫りになる。今年の場合、7月の参院選に合わせて衆院選を行うかどうか、すなわち衆参同日選の有無について見立てが真っ二つに割れた。
衆院通過翌日の今月1日付朝刊で、同日選の可能性をもっとも強く示唆したのは朝日新聞だった。「予算案通過、年度内に成立」という型通りの主見出しのわきで「同日選・改憲にらむ首相」という見出しを取った。朝日は今年1月1日付朝刊で「首相、衆参同日選も視野」と書いて以来、一貫して同日選があり得るという視点で報道している。
朝日以外で同日選に触れたのは日経、産経の両紙だ。日経は「消費増税先送り 衆参同日選 首相判断、サミット節目」と、産経は「永田町 ダブル選に照準」とそれぞれ書いている。両紙が同日選の可能性を「永田町の観測」としているのに対し、朝日は本文で「安倍晋三首相が衆参同日選も視野に入れ」と書いている。主語が安倍となっていることが両紙と異なっている。
これに対し、読売、毎日の両紙は同日選に触れず、参院選と書いた。読売は「観測」を報じることはあっても、「首相の意向」として書いたことはなく、朝日とは視点がまったく違っている。

「観測」が広がる根拠は確かに多い。以下、列挙すると――。
①安倍が衆院解散の事実上の前提となる衆院の定数削減・是正に積極的に取り組み、今国会での成立を目指している。
②安倍は憲法改正について「在任中に成し遂げたい」と述べるなど、選挙の争点づくりに励んでいる。
③来年4月に予定される消費税率10%への引き上げる条件について、それまでの「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態」から「世界経済の収縮」と微妙に言い回しを変えた。内外の有識者による「国際金融経済分析会合」も設置すると発表した。これらは5、6月ごろに再増税を断念し、それを同日選で問う布石ではないか。
④沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐる訴訟で、国が県側と和解したのも基地問題の争点化を避けるためではないか。
これらを「兆候」ととらえ、民主党政調会長・細野豪志は5日、静岡県内の会合で「もはやダブル(同日)選は必至だ」と指摘した。
しかし、どんな兆候、観測があっても、解散権を持っているのは安倍だ。安倍本人と、一心同体で動く官房長官・菅義偉がどう考えているかがカギだ。私は二人とそれぞれ話している。だが、二人とも同日選に極めて否定的だ。言葉遣いはともあれ、彼らの思考回路をたどってみたい。

3分の2を確保することは、実は難しい
彼らが最重視しているのは、衆院で現在公明党と合わせ3分の2の勢力を維持していることだ。これが国会運営の大きな重石になっていることを、彼らは熟知している。
たとえば、昨年秋、安全保障関連法の国会審議で、参院自民党が採決やむ無しという判断を固めた時のこと。党執行部が参院が採決しなければ否決したとみなし、衆院で再可決できる「60日ルール」(憲法59条)の適用を検討し始めたのがきっかけだった。
衆院での3分の2は定数475なので317議席。公明党は30議席前後と仮定すると、自民党は287議席以上獲得しないと、3分の2には達しない。
小選挙区比例代表並立制導入以降、衆院選における自民党の獲得議席は291(14年12月)、294(12年12月)、119(09年8月)、296(05年9月)、237(03年11月)、233(00年6月)、239(96年10月)だった。
290を超える議席数を2回連続して獲得したことは中選挙区時代を含めてない。現在の議席はめったに得ることができない「宝物」であり、安倍政権にとって究極の政権安定装置と言える。
「今、解散したら、自民党の議席は20~30減るだろう。公明党を合わせて3分の2を確保するのは非常に難しい」
これが選挙のプロたちの読みだ。そんな可能性がある衆院解散・総選挙を断行して、参院選における自民党をバックアップする必要性があるのか-。ここが解散を行うかどうかの判断のポイントだ。

「虎の子」を危険にさらす必要はない?
過去2回、7月に行われた参院選の自民党議席は13年が65、10年が51。このうち比例代表当選者は13年が18人、10年が12人だった。
10年は自民党が野党時代のことで、業界団体の多くが自民党から離れていた。それが政権復帰後に戻り、かつ現在の政党支持率や参院選投票動向で自民党は2位民主党に3倍前後の差を付けている。このため、よほどの異変がなければ、比例代表で自民党は「16~18議席を獲得する」とみられている。
選挙区選では、共産党が改選数が1の「1人区」で候補者を降ろし、民主党に協力するため、宮城、新潟、長野、滋賀、三重、岡山などで接戦となりそうだ。しかし、比例議席の上積みによって、自民党が50議席台半ば~60議席程度を獲得するのは可能だ。非改選議席を含めると、自公で過半数を占めるのは確実で、自民党が27年ぶりに単独過半数を取るのも夢ではない。
こうした情勢を踏まえ、安倍、菅は現段階で「虎の子」の3分の2を危険にさらしてまで、同日選に踏み切る意味はないと考えている。これが真実だ。(敬称略)

【田崎史郎・ニュースの深層】




消費税増税延期、W選挙が既成事実のようにいわれている中でしが、この考えには説得力があります。
by kura0412 | 2016-03-08 10:13 | 政治 | Comments(0)
日本医師会が「かかりつけ医」認定制度開始へ

日本医師会は、新年度・平成28年度の診療報酬改定で、患者の健康を日常的に把握して治療などに当たる「かかりつけ医」が推進されることを踏まえ、独自の研修を設けてかかりつけ医の認定制度を始めることになりました。

医療機関に支払われる診療報酬の新年度の改定では、患者の健康を日常的に把握して治療などに当たる「かかりつけ医」を推進するため、小児科などの分野で診療報酬を加算することなどが盛り込まれました。
これを踏まえ、日本医師会は来月から全国の都道府県の医師会と連携して独自の研修を設け、かかりつけ医の認定制度を始めることになりました。
具体的には、幅広い知識を持つ医師であることを示す日本医師会の「生涯教育認定証」を取得したうえで、かかりつけ医に必要な倫理や具体的な症例などを学ぶ「応用研修」と、地域の学校や自治会などで医療に関する活動を行う「実地研修」で、一定の単位を取得した医師をかかりつけ医として認定するとしています。
日本医師会は「この認定制度は、地域のかかりつけ医として活動し、研さんを続けていることを示すもので、地域住民からの一層の信頼につなげたい。かかりつけ医を持っていない人が、かかりつけ医を持つきっかけにもなってほしい」としています。

【NHK NEWS WEBE】



研修の中に摂食嚥下障害がありました。後追いでも日歯も研修医制度が必要のようです。
by kura0412 | 2016-03-07 10:25 | 医療政策全般 | Comments(0)
かかりつけ薬剤師で「薬剤師の選別始まる」- 保険薬局協・中村会長

2016年度の診療報酬改定が官報告示されたことを受け、日本保険薬局協会の中村勝会長(クオール社長)は4日に東京都内で記者会見を開いた。
中村会長は、改定で導入される「かかりつけ薬剤師」に触れ、今後の薬局経営について「調剤報酬の削減以上に薬局の淘汰や薬剤師の選別が始まることが予想され、非常に危機感を感じている。薬剤師は、質の向上と共に接遇を含めた人間的な魅力も高めなければならない」と述べた。

中村会長は、診療報酬の中に「かかりつけ薬剤師」が位置付けられたことについて、「画期的なことだと思う」と評価するとともに、「対物」から「対人」への方向性が打ち出されたことに対しては、「率先して取り組まなければならない」と語った。
また、4月から処方せんの電子化の運用が始まることに関して、「電子化されると、患者さんの動線は門前薬局から、自らが指定する薬局に変わるだろう。その時までに『かかりつけ薬剤師・薬局』として選ばれていなければ、立地から人への流れにあらがうことはできない」とし、ICT化に急ピッチで取り組む必要性を示した。

「頭から門前排除とはなっていない」
16年度の診療報酬改定では、大型の門前薬局の報酬が大幅に引き下げとなる。これについて中村会長は、「かかりつけ薬局をきちんと育てていけば、別に大きなものでもやっていこうというものは含まれたと理解している。頭から門前排除とはなっていない」と述べた。
また南野利久副会長(メディカル一光社長)は、「われわれが医薬分業を引っ張ったと自負している。立地だけで来ていただいているとは思っていない」と述べ、薬局側の経営努力を強調。その上で、「門前薬局が駄目だと言われないような努力をしなければならない」とし、今後の薬局経営に関しては、「優勝劣敗構造みたいなものが進んでいくのではないか」との見方を示した。

【キャリアブレイン】



同じ「かかりつけ」が付いても、歯科医と薬剤師とでは状況が随分違うようです。
by kura0412 | 2016-03-05 09:38 | 医療政策全般 | Comments(0)
「診療報酬の遍在是正」がキーワード - 中川俊男・日医副会長に聞く
最大の成果は調剤医療費への歯止め

2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築が進む中で実施された2016年度診療報酬改定。7対1入院基本料の見直しなど、医療機能の分化と連携の推進に向けた改定項目が並ぶ。
診療側の立場から中医協の議論を主導したのが、日本医師会副会長の中川俊男氏。今改定の注目点やその評価、影響などをお聞きした.

――前回の2014年度改定は、地域包括ケア病棟入院料や地域包括診療料など、注目の新設点数がありました。次回の2018年度改定は、診療報酬と介護報酬の同時改定です。その中間に当たる今改定は、新設点数は少なく、診療報酬体系の問題点の修正に重点を置いた印象です。

目立った新しい点数がないという理解は正しいと思います。限られた財源しかない改定なので、無理に大変革をせず、点数の修正にとどめたのは正しいやり方でしょう。
日本医師会が、今改定の議論の中で問題視していたのは、調剤医療費の高騰です。
その是正に向け、調剤報酬を大幅に見直したことが、第一の評価すべき点です(『かかりつけ薬剤師」の有無で点数に大差』を参照)。特に、大型門前薬局の評価の見直しが行われた意義は大きいと思います。第二のポイントは、長期投薬の是正。長期投薬も含め、モラルハザードの是正が今改定の特徴です。これにより、診療報酬の偏在の是正が進むと考えています。

――改定率については、どう評価されていますか。厚労省は、診療報酬全体では「ネットで0.84%のマイナス」と説明しています。さらに、通常の市場拡大再算定と、今改定で導入された特例の市場拡大再算定を加えると、よりマイナス幅は拡大します。先生は、この点の考え方を厚労省に質していました(『「2回連続のマイナス」、2016年度改定率決定』、『「極めて遺憾」、改定率決定で中川日医副会長』などを参照)。

塩崎恭久厚労相が、昨年の診療報酬の改定率決定時に説明した通りだと思います。ネットで0.84%のマイナス、過去の改定時の表現と揃え、通常の市場拡大再算定分(医療費ベースで0.19%減)を加味すると、1.03%のマイナスです。なお、特例再算定分(同0.28%減)を加えて計算した場合には、1.31%のマイナスです。
ただ診療報酬本体は0.49%のプラスです。財政制度等審議会は昨秋の建議で、診療報酬本体についてもマイナス改定を求めていたことを考えると(『「社会保障費増、5000億円弱に抑制」財政審建議』を参照)、一定程度評価できる結果だと思います。
次回改定に向けた議論では、今改定を前例にせず、薬価等引き下げによる財源は、診療報酬本体の改定財源に充当すべきだと要求していきます。

――第一の評価ポイントとして挙げられた、調剤報酬についてお聞きします。改めて問題意識をお聞きできますか。

株式会社経営の薬局、特に大手調剤薬局チェーンが、公的医療保険制度下に入っていること自体に無理があります。この問題に尽きます。大手調剤薬局チェーン4社の2014年の純利益の合計は139億円、内部留保の増加額は120億円、配当は約26億円に達します(『門前薬局から、かかりつけ薬局・薬剤師への転換迫る』を参照)。これは大きな問題です。その実態を明らかにするため、有価証券報告書で、保険分野とそれ以外の分野に分けて、収益を出してもらいたいと提案しています。公的医療保険制度下で運営する以上、明瞭な決算の開示を義務付けるべきです。
今改定では、大型門前薬局の調剤報酬を引き下げました。さらに「かかりつけ薬剤師」の考え方を導入したことは成果であり、営利に走る大手薬局チェーンに対する一定の歯止めになったと思います。当初の議論では、「かかりつけ薬局」との表現でした。最終的には「かかりつけ薬剤師・薬局」となり、「薬局」が残ったのは残念ですが、「薬剤師」との言葉が入りました。

――調剤報酬については、調剤基本料や基準調剤加算をはじめ、さまざまな点数が見直されました。当初の想定通りに進んだのか、あるいはまだ不十分な点があるのでしょうか。

現時点では、検証してみないことには分かりません。

――長期投薬は、「モラルハザードの是正」から、制限したとのことです(『「内服薬2種類以上、減少」で250点』を参照)。

はい、その点が重要なポイントです。「90日処方が当たり前」というのは、医療としておかしい。中医協総会にも日医総研のデータを出しましたが、「長期投薬により、患者が服薬を忘れたり、中断したために、病状が改善しなかった」などの問題が生じています(『分割調剤や残薬調整、診療側と支払側で意見対立』を参照)。大病院から逆紹介で診療所に戻ってきても、患者さんが「60日処方」や「90日処方」 に慣れてしまっています。2カ月も、3カ月も受診しなくてもいい状況は問題。

――「30日超」の場合には、病状が変化した際の対応方法を患者に周知したり、分割調剤を検討するなどの対応が必要になります。

「30日超」という言葉が入ったのは、画期的と評価しています。漫然と長期処方をするのではなく、それが本当に必要なのかを今一度、立ち止まって考えていただきたい。

――残薬問題についても対策が講じられ、処方せん様式も変更されました。残薬対策は必要ですが、疑義照会が増え、現場の業務が大変になる懸念もあります。

その影響こそ、まさに検証が必要。残薬が多いのは、多剤投薬ではなく、処方日数が長いことが主たる原因だと私は思っています。
そのほか薬関連では、院内処方に対する「外来後発医薬品使用体制加算」の新設も、注目点です。医薬分業から院内処方に戻す選択肢もあり得るという意味が込められています(『「後発品70%以上」、処方料3点加算』を参照)。

――「モラルハザードの是正」から改正された点は、他に何がありますか。

回復期リハビリ病棟の疾患別リハビリテーションで、アウトカム評価が導入されたことです(『回復期リハビリでアウトカム評価を導入』を参照)。「回復期リハビリ病棟の中には、入院患者の9割以上に、1日平均6単位を超す疾患別リハビリを実施している病棟が約2割ある」といった実態は、やはりおかしい(『リハビリ、「アウトカム評価」重視へ』を参照)。その背景には、理学療法士数が多すぎるという現状があると考えています。

【m3.com】
by kura0412 | 2016-03-04 15:20 | 医療政策全般 | Comments(0)
介護保険改正の議論始まる 軽度者の給付見直しへ

社会保障審議会介護保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大教授)が17日、約2年ぶりに開かれた。厚生労働省は制度改正を見据え、要介護度の低い軽度者の給付見直しや利用者負担などについて検討する意向を示した。高齢化に伴い増大する社会保障費を抑制するのが狙い。今後は月に1〜2回開催し、年内をめどに意見を取りまとめる。

冒頭、三浦公嗣・老健局長は「さらなる高齢化が見込まれる中、介護保険制度の見直しは地域包括ケアシステムの推進、制度の持続可能性の確保が重要だ」とあいさつした。
審議の焦点となるのは介護保険の給付と負担の在り方。
制度が始まった2000年度は給付が3兆6000億円で第1号介護保険料の平均月額が2911円だったが、15年度は給付が10兆円を超え、保険料は5514円。今後も高齢化の進展により、それぞれ増えると推定されている。
政府は膨らみ続ける社会保障関係費の伸びを今後3年間で1兆5000億円に抑える方針を示している。

この日、厚労省は給付から外す検討の対象に、要介護度の低い軽度者へのサービスのうち、訪問介護の生活援助(掃除、洗濯、調理など)や福祉用具・住宅改修を挙げた。一方、負担では、高額介護サービス費の見直しや、介護納付金の総報酬割の導入などについて議論することを提示した。
これらは昨年6月に閣議決定した「骨太の方針」などで介護保険関連の検討課題として示されていたもの。利用者負担を2割とする人の対象拡大も議論される見通しだ。
委員からは軽度者サービスの縮小について「結果的に重度化のスピードを早め、介護保険財政を圧迫するのでは」「軽度者へのケアがどうなるのか不安」といった慎重意見の一方、「重度化予防に軽度者への支援が有効だというエビデンスを示してほしい」との指摘もあった。
また、サービスの地域支援事業への移行も検討課題となっているため「要支援1・2の訪問介護・通所介護の移行の成果を検証してから議論すべき」という発言もあった。
そのほか、介護人材確保について「1億総活躍の介護の受け皿50万人分整備に対して人材を確保できるか危惧する」「介護従事者の離職ゼロこそ重要。処遇を改善すべき」「生産性向上に最も有効なのは人材の定着」などの意見があった。また「制度は維持されたが自立支援といった理念が失われないように」という声も上がった。
厚労省は同日、災害や公共事業のため本人の責任ではなく土地などを売却した場合、一時的に収入が増えても低所得者などの介護保険料や自己負担が増えないようにする方針を決めた。
東日本大震災の被災地で高台への集団移転に伴い土地などを自治体が買い取る事業が行われており、その売却収入が所得とみなされるため負担が増える事例が起きている。施行は原則18年4月とし、自治体の判断により前倒しで実施することも認める。

【福祉新聞】



口腔ケアは医療としての位置づけか、あるいは生活の一部に組み込まれるのでしょうか。
となると、日本歯科医学会が取りまとめているように「口腔ケア」の定義をきっちと整理して、社会に早々に広めなければなりません。
by kura0412 | 2016-03-01 11:00 | 介護 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412