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唾液に視線が

新型コロナ 唾液使う新たな抗原検査の試薬を承認 厚生労働省

新型コロナウイルスへの感染を短時間で調べられる「抗原検査」について、厚生労働省は唾液を使って調べられる新たな検査試薬を19日、承認しました。鼻の奥の粘液を採取する従来の方法と比べて医師などの感染リスクを抑えられるということです。

抗原検査はPCR検査より短時間で新型コロナウイルスに感染しているかを調べられる検査で、先月、簡易型のキットが承認されました。
ただ、鼻の奥の粘液を採取する必要があるため、患者がくしゃみなどをすると飛まつが飛び、医師などがウイルスに感染するリスクも指摘されていました。
こうした中、厚生労働省は19日、唾液でも調べられる新たな抗原検査の試薬を承認しました。
試薬は従来のキットとは違って、特定の検査機器にかける必要がありますが、30分程度で結果が出て、感度は従来のものより高くPCR検査と同じ程度だということです。
ただし、唾液を使った検査の対象となるのは発症してから9日目までの人で、それ以外の人は鼻の奥の粘液を採取して実施します。
厚生労働省は近く保険適用し、速やかに実用化する方針です。
今後、今月末までに合わせて3万回分の試薬が供給され、来月以降は、1日当たり7万回分が供給される見通しだということです。また、今回の試薬に対応できる検査機器は国内におよそ800台あり、今後、さらに増産される見通しだということです。
厚生労働省は、唾液を使って検査を行えるようになることで、医師などの感染リスクをこれまでより低く抑えられるとしています。

(NHK NEWSWEB)


PCR検査に続き、抗原検査も唾液摂取も可能となりました。口腔内におけるウイルス、細菌に社会の視線が注がれます。歯科はこのままスルーされるのでしょうか。
by kura0412 | 2020-06-19 16:45 | 歯科 | Comments(0)
“コロナ自粛"で患者激減、歯科医療の存続危機
都内では4月の診療報酬「3割減以上」が半数

「新型コロナウイルスの感染が確認される以前の昨年12月~今年1月と比べてみたところ、4~5月の来院患者さんの数は4割も減っていた。ゴールデンウィークも重なって、5月は特に厳しかった」
東京・文京区で「サッカー通りみなみデンタルオフィス」を営む橋村威慶(たかよし)院長は、「今までこんな経験をしたことはない」と打ち明ける。
この歯科診療所の周辺には医療系の出版社などが多く所在し、昼間人口は夜間人口の約10倍に達する。そこにコロナウイルスの感染拡大が直撃し、4月7日の緊急事態宣言発令以降、多くの会社員が在宅勤務を余儀なくされた。周辺の住宅地で暮らす患者も、「歯科医院は感染リスクが高い」などといった報道やSNSの書き込みを見て、通院を手控えるようになった。

緊急事態宣言後、深刻な受診抑制に直面
橋村院長が文京区内で歯科診療所を開業したのは2019年5月。開業当時から院内感染防止対策に力を入れており、診療報酬算定上の施設基準である「歯科外来診療環境体制加算」(外来環)を届け出ている。
これは、院内感染防止対策に取り組む歯科医療機関が初・再診料に上乗せして請求できる診療報酬上の加算であり、歯を削る際に発生する飛沫などを吸引する装置(口腔外バキューム)の導入などが条件。橋村院長の歯科診療所では4台あるユニット(診療台)にそれぞれ固定式の吸引装置を備えている。
「新型コロナの感染拡大が問題となって以降は換気や消毒もさらに徹底し、院内感染防止対策にはことのほか力を入れてきた」(橋村院長)
しかし、いったん発生した受診抑制はなかなか元には戻らない。
「5月25日に緊急事態宣言が解除された後も、来院患者数の回復ペースは鈍い。当院はもともと歯周病予防など定期的なメンテナンス治療に力を入れてきたが、そうした治療が世の中から『不要不急』なものとみなされたことが今も影響している」(橋村院長)

歯科医院への来院患者が激減したきっかけの1つとして、厚生労働省のアナウンスメントを挙げる歯科医療関係者は少なくない。
同省は東京都など7都府県に緊急事態宣言が発令される前日の4月6日に「歯科医療機関における新型コロナウイルスの感染拡大防止のための院内感染対策について」と題した事務連絡を、都道府県などに宛てて発出した。
それによれば、「歯科診療においては、唾液等の体液に触れる機会が多いことや歯の切削等によりそれらが飛散することがあるなどの特性に鑑み、感染拡大防止のため、以下の点に留意すること」としたうえで、次のように記載している。
「緊急性がないと考えられる治療については延期することなども考慮すること」
それを受けて、日本歯科医師会は「国民の皆様へ」と題した告知文を作成し、会員の歯科医療機関に配布。院内に掲示するように促した。そこには次のような記述がある。
「現在の新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、歯科医療機関には、緊急性が少なく延期しても大きな問題がない治療、定期健診、訪問診療などの延期の検討をお願いしています」
同文書では「治療の緊急性については、痛みや腫れなどを放置すると重症化や全身へ影響を及ぼすことがあります」「歯周病などの定期管理も全身状態に関係し、高齢者や特に在宅や介護施設での口腔衛生状態の低下で誤嚥性肺炎などが生じることが懸念されます」などとも書かれている。

「緊急性がないと考えられる治療」とは?
しかし、「緊急性がないと考えられる治療」の中身は定かでない。その一方で、こうした言葉が行政や歯科医師会から飛び出したこともあり、「国民の間に歯科医療の多くが不要不急なものであるというイメージが定着してしまった」(東京都内の歯科診療所院長)。
同院長の歯科診療所では、4月の来院患者数が前年同月と比べて約25%も減少したうえ、5月には実に5割近くも落ち込んだ。
「院内感染防止対策についてはことのほか力を入れてきたのに、歯科診療所は感染リスクが高いといわんばかりの表現は、現場のこれまでの努力を無にするものだ」と、同院長は憤りを隠さない。
この歯科診療所では、歯周病安定期治療など継続的な受診が必要な治療に力を入れてきた。しかし、「今回のコロナ禍を機に、歯の痛みなど自覚症状のない患者さんの通院習慣が断ち切られてしまった。そうした患者さんの多くは高齢で、自身での口腔状態の維持管理が難しいだけに、今後、口腔内の状態の悪化から肺炎を患ったり、感染症のリスクがかえって高まるのではないか」と院長は心配を隠さない。
一般にはあまり知られていないが、歯科の院内感染防止の歴史は長い。古くは1980年代のB型肝炎による感染拡大の教訓から、歯科医療機関では手術用グローブの装着やハンドピース(切削器具)の滅菌をはじめとしてさまざまな感染防止の取り組みが進められてきた。
これらは主に血液や唾液を通じての感染リスク防止の取り組みだ。また、施設基準として2008年4月に外来環が導入されたことで、飛沫感染の防止も図られてきた。

そうした取り組みもあり、今回のコロナウイルス感染拡大時でも歯科診療に関連した院内感染事例は見られない。
もっとも課題がないわけではない。今回の新型コロナウイルスは、血液感染を主な経路とするB型肝炎やAIDS(後天性免疫不全症候群)などとは異なり、待合室やトイレなどを含めた院内全体での感染対策が必要になる。
また、感染防護のうえでは、医療用マスクやガウン、アルコール消毒液に至るまでさまざまなものを備えておく必要がある。そうした防護用品は10年ほど前の新型インフルエンザの流行をきっかけに求められるようになったが、備蓄や事業継続計画の策定では取り組みの差が見られることも事実だ。

歯科診療所を直撃した受診抑制
特に今回のコロナ禍では、一般市民の多くもマスクやアルコール消毒液を買い求めた結果、医療機関といえども入手が困難になった。国や都道府県による感染防護具の支援も心もとない。前出の都内歯科診療所の院長によれば、「5月末までに東京都から地区の歯科医師会を通じて届けられたのは、診療所1カ所当たり18枚のマスクだけだった」。
患者数の激減は、歯科診療所の経営に大きな打撃を与えている。
東京歯科保険医協会が実施した緊急アンケート(6月4日発表、回答数1108人、回答率31.6%)によれば、4月の保険料収入の減少率が「30%以上」と答えた歯科医療機関の割合は回答数の50%に達している。都内では土地・建物について「賃貸」と答えた歯科医療機関の割合が72%にも上っており、スタッフの人件費のみならず家賃も重くのしかかっている。

前出の橋村院長は、「雇用調整助成金や政策金融機関からの無担保・無保証の融資などによってしのごうとしているが、十分とは言えない。できれば経済産業省が創設した売り上げが激減した法人向けの持続化給付金の申請もしたいが、2019年5月の開業と日が浅く、特例措置の条件も満たさない」と頭を抱える。
また、手続きが複雑なことも関係者を悩ませている。前出の都内歯科医院の院長は、「雇用調整助成金は申請手続きが複雑で、何度も申請書類の作り直しを迫られた。役所に問い合わせても電話がつながらない。詳しい内容を知りたいが、診療所を何時間も留守にするわけにもいかない」と途方に暮れている。
5月27日に閣議決定された第2次補正予算案では2兆円を上回る金額が、医療分野に振り向けられることになったが、その多くはコロナ患者を受け入れている医療機関やスタッフなどに配分される。
その一方で、歯科診療所に対しては、第2次補正予算で盛り込まれた支援メニューのうち、職員への慰労金5万円および感染防止対策の補助金(上限100万円、実費払い)などにとどまる。診療報酬が落ち込んだ分の補填はなく、その一部についての診療報酬の概算前払いや、福祉医療機構からの無利子無担保融資などで対応するとされている。
全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は、「経営が苦しく、夏のボーナスを払えないという医療機関もある。感染の第2波、第3波が押し寄せたときに、診療のモチベーションを維持できるのか不安が尽きない」と指摘する。

歯科技工所も存続の危機
歯科診療所とともに厳しい状況に追い込まれているのが、歯科診療所から注文を受けて義歯(入れ歯)や補綴物(かぶせ物)の製作を専門に行う歯科技工所だ。東京・板橋区内で営業するアースデンタルの川野博社長によれば、「5月の売り上げの落ち込みは前年同月比7割にも達した。多くの歯科診療所が患者数の激減もあって長期間の休診となったことが響いた」。
ときに誤解も拡散されるオンラインニュースの時代。解説部コラムニスト7人がそれぞれの専門性を武器に事実やデータを掘り下げてわかりやすく解説する、東洋経済のブリーフィングサイト。画像をクリックするとサイトにジャンプします
単月の売り上げの落ち込みが5割を超えた場合、持続化給付金の支給要件(法人の場合の給付額は200万円)に該当するが、「人件費や家賃などの固定費だけでも月に500万円に上る。給付金はありがたいが、それだけで落ち込みをカバーできるわけではない」(川野社長)という。
そのうえで川野社長は、「このままでは体力のない技工所から順番に経営が成り立たなくなるのではないか」と業界の先行きを危惧する。

歯科医療の重要性は近年、内科や呼吸器科などの一般診療においても認識されるようになっている。高齢者に口腔ケアを実施した場合、それをしなかった場合と比べてインフルエンザの発症率において10分の1以下にとどまるという研究結果がある。また、外科手術の前の口腔ケアについても、肺炎など術後合併症の予防に取り組む医科医療機関は少なくない。
つまり、口腔内の健康の維持は全身の健康とも深くかかわっている。定期的な通院も同様に、全身の健康状態の維持と深く関係している。
歯科医療を受ける側としても、歯科の感染予防の実態を認識したうえで必要な治療をしっかり続けることが求められている。そのことが歯科医療の崩壊を防ぐ手立てにもなる。 

(岡田 広行 : 東洋経済 解説部コラムニスト)



結果論かもしれませんが、あの事務連絡は引き金だったかもしれません。一度付いた流れは修正入れてもなかなか止められるものではありません。
by kura0412 | 2020-06-09 17:22 | 歯科 | Comments(0)
日本医療国際化機構がマスクの配布を担当 日本歯科医師連盟にマスクをお届け

一般社団法人日本医療国際化機構(本部:東京都千代田区、理事長:蒋 暁松、以下 当機構)は、2020年3月9日(月)、中国電子商取引大手のアリババグループの創業者、馬雲(以下 ジャック・マー)氏によって寄贈されたマスク100万枚のうち、一部を日本歯科医師連盟(本部:東京都千代田区、会長:高橋英登様)に贈呈しました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本国内ではマスクの品薄状態が深刻化しています。とりわけ一部の医療機関においては、患者増加や感染症対策強化に伴い、調達に苦慮するケースも多いようです。日本政府は、国内メーカーに対しマスクの増産を促すなど、対策を講じていますが、解消にはまだまだ時間がかかると予測されています。このような背景の中、アリババグループの創業者、ジャック・マー氏は、2020年3月2日(月)、医療機関向けを想定した100万枚の高機能マスクを日本に寄贈することを発表しました。
この度、寄贈されたマスクの配布実務を当機構が請け負っており、配布先や枚数については、マスクの受給ひっ迫度合いや、人口や感染者数などの諸事情を勘案した上で決定します。今回は、マスク不足の影響が特に大きい医療機関の支援となるよう、日本歯科医師連盟を選定し、同年3月9日(月)着にてマスクを送り届けました。配布する先の選定や配布方法、時期に関しては同連盟に一任しています。
今後も、全国でマスクが不足している場所の支援となるよう、様々な地域や機関に対して迅速に配布していきます。

■ジャック・マー氏からマスクを寄贈された経緯
2020年2月初旬、ジャック・マー氏は、医療物資の需給がひっ迫していた中国に対し支援を行うため、日本の防護服調達のために、当機構を通じて二階幹事長と連絡を取り、防護服を確保してもらえれば、同グループで買い取ると伝えました。二階幹事長はこれを受け、日本の各方面に当たり、12万4,200着の防護服を確保し、中国に無償で寄贈したいと申し出ました。最終的に、10万着を日本側東京都からの寄付とし、2万着あまりを同グループが買い取り、同年2月9日(日)、中国に送付しました。
同年3月2日(金)、防護服の寄贈を受けたお礼とし、ジャック・マー氏が設立した「馬雲公益基金会」と「アリババ公益基金会」によって調達されたマスク100万枚が、日本と二階幹事長に寄贈されました。

■日本医療国際化機構について
日中に跨る健康・医療事業を手がけてきた中で培った経験を活かし、日本政府が国策として推進する医療のアウトバウンド事業と歩調を合わせながら、社会貢献活動としてそれを補完あるいは推進するべく、この社団法人を設立しました。中国における豊富なネットワークを活用し、日本の医療資源を中国に繋ぎ、日中間の健康・医療に関する交流をプロモートし、その他のアジア諸国にその成果を伝えていく役割を担っていきます。

(日本医療国際化機構)
by kura0412 | 2020-03-10 16:06 | 歯科 | Comments(0)

孫氏も歯科定期健診受診

孫正義が3カ月に一度歯医者に行く理由

時価総額約9兆円、最近は中国の大手IT企業アリババに投資した20億円が含み益8兆円を超えるとも言われるソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏。彼が健康面で人一倍気を使っているのは、歯。世界中を飛び回り、VIPとの商談が続く多忙な中でも、定期的に3カ月に1度の歯科検診は長年続けているという。
元ソフトバンク社長室長で、現在は英語教育事業TORAIZを運営する三木雄信氏がウェブメディアにその背景を次のように語っていた。

孫氏がそこまで歯のチェックにこだわっているのは「米国などでは歯並びと白い歯がその人の健康のバロメーターという考え方があるからです。彼はサプリメントでバランスよくビタミンを摂取していたし、好んで飲んでいたのもフランス製のミネラルウォーター・ペリエでした」(ウェブメディア「マネー現代」より引用)
ちなみに、酒を一滴も飲めず、食にはこだわらないことで有名な孫氏だが、定期的な運動など、自己のメンテナンスには多大な注意を払っていたようである。
健康法というと、病気にならないための運動や食事がすぐに思い浮かぶが、孫氏のエピソードを受け、樺沢氏は「予防医療で重要なのは自己の健康状態をまず知ること」と話す。
「定期健診に足を運ぶ社長は、自身の体調におかしなところがあれば、すぐに病院に行って診てもらうフットワークの軽さを持っています。対して、定期健診に行かない人は調子が悪くてもすぐには病院に行かないため、結果的に体が蝕まれてしまう危険性があります」

定期歯科検診はもはや常識
孫氏が3カ月に1度通う歯医者についても「常識」と樺沢氏は言う。
「私も孫さんと同じく、3カ月に1度は歯医者で歯石を除去してもらっています。歯石はどうしてもたまるもの。たまり続けると歯周病が悪化します。また、残存歯数が少ないほど認知症になりやすい。歯周病がアルツハイマーの原因として関与しているという研究も出ています」
アンケート調査でも、「毎月、歯のクリーニングに行っている」(えむずう・渡部真澄氏)、「年に4回歯科検診に通っている(ぺあのしすてむ・伊藤昭浩氏)」といった歯に関する回答が相次いだ。ほかには「年2回の血液検査」(プリベント少額短期保険・花岡裕之氏)を実施している経営者もいた。
今や、経営者ならずとも定期的な検診は常識。自分の歯の寿命が、自分の仕事での“活躍寿命”を決めると言っても過言ではないのだ。
「ただし、若い頃からバリウムやCTなどで、X線を何度も浴びることは、医療被ばくのリスクが心配です。40代半ばからでよいので、定期健診を徹底してください」

(樺沢紫苑,鈴木 俊之:PRESIDENT)
by kura0412 | 2019-08-03 09:56 | 歯科 | Comments(0)
歯科医が愛娘に"うちは継ぐな"と言うワケ

周囲の閉院。増える患者。それでも……
過当競争の中、生き残りのため戦略的経営を余儀なくされる歯科医業界。職人的な「医者」のイメージとはほど遠く、経営コンサルを受けSEO対策に躍起になる歯科医も少なくない。だが一方で、そんな業界の風潮の中、昔ながらの方法で細々と診療を続ける地方歯科医も存在する。

舞台は関西地方にある人口14万人の小さな地方都市。この地で26年前に開業し、歯科医院を営んできた関さん(仮名)に話を聞いた――。
世間では歯科医院が増えすぎて、国が歯科医師抑制政策を行っているくらいですが、ここではそんな実感はありません。市内では過去6年間に8軒もの歯科医院が閉院し、新規開業は1軒もないという状況で、むしろ医院は年々減っています。ここは世間の流れに逆行した場所だと思っています。
寂しいことですが、当院の半径1km以内でもここ2年間で2軒の歯科医院が閉院しました。その影響で、当院には新規の患者さんが急増しています。現在、1カ月の患者数は210~260人ほどです。
患者さんが増えるのはありがたいことではありますが、最近は視力が下がり、1日にたくさんの患者さんを診ることができなくなりました。そのため、営業日数を増やしてなんとかこなしています。
もう50代も半ばなので体力的にきついときもありますが、月曜日から土曜日まで週6日間フルタイムで診療しています。
最近は10分刻みで予約を入れる歯科医院もあるようですが、私は患者さんには時間をかけて誠実に向き合いたいと思っています。その結果、長時間仕事に従事することになるわけですが、歯科医としてこの姿勢を崩すつもりは絶対にありません。
歯科医経営に馴染みのない方から見れば、「これだけ診療していれば、さぞ利益が出ているんだろうな」と思う方もいるかもしれませんが、実は収益はトントンです。保険診療費が安すぎるため、私がフル回転しても利益はほとんど出ないのです。収入は医院の維持費と家族の生活費でほとんどが消えます。

利益を得るためには、非保険診療にシフトしていくべきかと思うこともありますが、患者さんが求めていないのに、高額なインプラントやホワイトニングを勧めることはしたくありません。また、巷ではコンサルを受けて戦略的な経営を行う医院も増えていると聞きますが、増大する新規患者の治療計画の作成と既存患者のメンテナンスに追われて、私には経営のことを考える余裕はありません。もちろん、患者さんのことを後回しにして経営のことを考えるわけにはいきませんから、来る日も来る日も日々の診療を実直に行う毎日です。

「うちは継ぐな」。娘への本当の気持ち
周りの医院が相次いで閉院していったのは院長の高齢化と後継者不足が原因なのですが、それは他人事ではありません。私には歯科医の娘がいますが、自分の医院では働かせず、都市部の歯科医院で修業させています。
この医院を継がせても、ここを含めて田舎の医院には最新の医療設備などありませんし、立地が悪すぎるのでスタッフも集まらず、ハードな勤務をせざるをえないからです。毎月これだけ多くの患者さんを診ても利益がトントンという現状から、将来利益が上がることもないでしょう。娘の幸せを考えれば、そこまでのリスクを負って、娘に継がせる理由はありません。私がもっと年をとったら、近隣の医院と同じようにここも閉院する運命にあるのでしょう。
今の歯医者業界は過当競争がよく問題視されていますが、田舎の開業医である私から見ると、高齢化も重大な問題だと感じます。私の地域の開業医は60代や70代が多く、50代の私でも若輩者扱いされるほど。国の歯科医師抑制策の影響で若手の開業歯科医がどんどん減少しているからです。

医科の世界も同様ですが、歯科医師の数を減らすのではなく、開業医の地域間格差をなくすように国の政策を変えてもらいたい。後継者不足で町の歯医者が次々と閉院していったら、行き場のない患者たちはどうすればよいのでしょうか。私の医院が閉院したら、多くの患者が市内にあるもう1つの医院へ殺到し、その医院はパンクしてしまうのではないでしょうか。
田舎では、歯科医だけではなく患者の高齢化も深刻です。高齢者の訪問診療をするにしても、それを実現するためには若くて体力のある歯科医のマンパワーが必要不可欠です。若手の歯科医が地方都市に来ない現状では、地域包括ケアの構築など絵に描いた餅にすぎないと思っています。

(PRESIDENT Online)



最近同じように、私よりも若いのも拘わらず体を壊しながらも、物凄い数の患者を診ている先生の話を聞きました。都会は過当競争、そして田舎は歯科医師不足でありながらこの様な状態。歯科界全体が歪んでいるような印象です。
by kura0412 | 2019-07-29 15:55 | 歯科 | Comments(0)

歯髄幹細胞の行方

歯神経の再生医療に参入 エア・ウォーター

産業ガス大手のエア・ウォーターは9日、2021年に歯の神経の再生医療事業に参入すると発表した。歯科医院から歯の神経の幹細胞の培養・加工を受託する。歯がないことによる病気を防ぐため、歯の再生を望む高齢者が増えると見込む。21年度に3億円の売り上げを目指す。

神戸市の開発拠点に細胞の培養設備と再生医療の臨床研究を担う歯科医院を置く。同医院の院長には国立長寿医療研究センター研究所で幹細胞再生医療研究部長を務めた中島美砂子氏を招く。培養した幹細胞を使って臨床試験し、有効性を確かめて事業化する。
一般の歯科医院から患者の親知らずなど不要な歯を受け取り、神経幹細胞を取って培養。増やした幹細胞を歯科医院に届ける。患者の歯に幹細胞を移植すると1カ月後に歯の神経が再生するという。
神経は歯の中心部にあり、重度な虫歯などの治療で取りのぞく。歯茎の炎症に気づきにくくなるため症状の悪化が進み、歯を抜くことになる場合が多い。

(日経新聞)




この記事にもあるように歯髄幹細胞は再生医療の世界では非常に有力らしく、既にある歯科大(日歯大)では積極的にこの分野を展開しています。ただ、歯科界のビジネスとして流れがはっきりと描かれていません。歯科というものが社会に大きく視線がそそがれそうなテーマだけに、注目しています。
by kura0412 | 2019-05-13 09:26 | 歯科 | Comments(0)

高齢者のインプラント

高齢者のインプラント、歯科医とかかりつけ医の連携重要
 
歯科のインプラント治療を受ける場合、埋め込んだインプラントや人工歯をなるべく良好な状態で長持ちさせることが重要です。年齢を重ねて介護が必要な状態になると、歯科治療を受ける条件も変わってきます。インプラント治療を受ける時と受けた後、どのようなことに注意をすればよいのか。高齢者のインプラント治療に詳しい日本大学歯学部付属歯科病院の萩原芳幸・歯科インプラント科長(58)に聞きました。

――インプラント治療とはどのようなものですか。
歯がなくなった場合の治療法としては、義歯(入れ歯)、ブリッジ、インプラントという三つの選択肢があります。義歯は多数の歯が欠損した場合や、両隣に支えとなる歯がない場合に用いる治療法です。ブリッジは少数の歯がなくなった場合に欠損部の両隣にある歯を削って土台(橋げた)とし、そこに橋をかけるように人工の歯をかぶせる治療法です。
インプラントは、歯がなくなった部分のあごの骨の中にインプラント(人工歯根)を埋め込みます。素材は一般的にはチタンが使われます。その上に人工歯の土台となるアバットメントと呼ばれる部品を取り付け、さらにその上に人工歯を装着します。人工歯の装着はネジで固定する方法とセメントで固定する方法があります。人工歯の素材はさまざまで、金属のほか、硬いプラスチックのレジン、セラミックなどがあります。形態も単独の冠から、取り外しできる義歯を磁石やクリップでインプラントに固定するインプラントオーバーデンチャー、複数のインプラントを土台にして人工歯を橋のように連ねる固定性ブリッジまであります。

――インプラント治療を受ける場合に、どのようなことに気をつけたらよいでしょうか。
高齢者に対するインプラント治療では、手術をする時と、治療をしてから一定の期間を経た時で、別々の課題があると言われています。手術を受ける時から将来への備えが大切です。
手術を行う際には患者さんの持病や服用している薬についてまず確認します。手術のリスクが高くないかどうかを評価する必要があるからです。日本口腔(こうくう)インプラント学会では、高血圧症や心臓、呼吸器などの病気、血液を固まりにくくする薬の服用の有無など、患者さんの全身状態をあらかじめ把握するためのチェックリストを作成し、医療安全への配慮を呼びかけています。過去にはインプラント手術に伴う死亡事故も起きていますから、歯科医師からインプラント治療を勧められた時には、その歯科医師が自分のかかりつけの医師と連携して持病や服薬状況を把握しようとしているかどうか確かめてください。

――治療を受けた後には、どのようなことに気をつけたら良いでしょうか。
インプラント治療を受けた後は、インプラントをなるべく良好な状態で長持ちさせるために口の中の衛生状態を清潔に保つことが必要です。しかし、インプラントに限らず、義歯や歯のかぶせ物は基本的に消耗品です。減ったり欠けたりすることは避けられません。ですから、インプラントの手術を受ける時から、年を取って体が衰え、通院や意思疎通が難しくなる場合への備えをしておいた方がよいと思います。
一つは、人工歯のインプラントへの固定にネジを用いることです。見た目にはセメント固定のほうがきれいですが、機能の面で両者に差はありません。清掃のしやすさや、破損した場合の修理のしやすさを考えると、特に高齢者の場合は、外したいときに外せないセメント固定よりネジ固定のほうが対応しやすいのです。

――そのほかに気を付けることはありますか。
インプラントを埋める場所も重要です。口の中の粘膜は大きく分けて、歯肉と可動粘膜(頰粘膜)の二つがあります.歯肉は歯の周囲にある粘膜で、抜歯で歯を失ったり、歯周病などで歯の周りにある歯槽骨を失ったりしていない限り、歯槽骨と強く結合していて動きません。一方、話したり、食べ物をかみ砕いたりする時に動くのが可動粘膜です。歯を失うと歯の周囲にあった歯肉が退縮して可動粘膜が伸びてくることがあります。
インプラントが可動粘膜に近い場所に埋め込まれていると、歯みがきの時に痛くてきちんとみがけなかったり、アバットメントやインプラントが破損して粘膜の炎症や痛みを起こしやすかったりします。インプラントを埋め込む位置は、骨の支えと量が十分にあり、周囲の歯肉の状態が良いことが条件です。
インプラント治療を受ける際にはこうしたことを主治医によく説明してもらい、将来起こり得ることも考えて治療方法を決めることが大事です。


――介護が必要になった場合にどのようなことに注意すればよいでしょうか。

患者さんと家族、歯科医が今後起こり得るさまざまな状況を想定しながら、インプラントへの対応や口腔内の衛生状態の維持、介護体制などについて、具体的に決めておくことが求められます。
実際にどのように歯科医師が介入するかはケース・バイ・ケースとなりますが、通院が不可能になる前や、訪問診療において積極的な歯科治療が可能な時期に、インプラントに対して、何らかの予防措置を行うことが望ましいと思います。
具体的には、インプラントで支える義歯や人工歯を家族や介護者が清掃しやすい形態に改造することや、インプラントや人工歯が破損したり脱落したりした場合に備えて入れ歯や仮の歯などを作っておくことです。

(朝日新聞)



1番最後の部分はこれしかありませんが、非現実的に感じます。
by kura0412 | 2019-03-18 10:41 | 歯科 | Comments(0)
終末期医療に歯科医師も参加 口腔ケアで尊厳を守る

病院や在宅で、終末期のチーム医療に歯科医師が積極的に関わり始めた。口の中の衛生を保ち、口臭や感染症にかかるのを防ぐ。こうしたケアは、最期までその人らしく生きることにもつながっており、本人や家族の大きな支えとなっている。 

「お父さんよかったね。口をきれいにしてもらって安心したよね」
東京都八王子市の陵北病院。歯科衛生士が専門の器具を使って口の中の汚れを落とすと、既に意識がない男性(89)に、妻が声を掛けて涙ぐんだ。男性は脳梗塞の後遺症で要介護になり、誤嚥(ごえん)性肺炎で入院。口からでなく点滴で栄養を摂取するようになってからも、口腔(こうくう)ケアを受け続けた。意識があるころは「口で食べさせたい」との妻の強い希望もあり、数日間、歯科医師らが立ち会い、一日一回、くだいたゼリーを食べることができた。
終末期の口腔ケアは、口の中の乾燥を防いで臭いが出るのを抑えたり、粘膜を保護して感染症にかかりにくくしたりする効果がある。「人生の最終段階に歯科が関わると、患者が安楽な状態を保てることが分かってきた」。同病院副院長で歯科医師の阪口英夫さん(56)は言う。
在宅診療でも、歯科医師がみとりまで関わるケースが広がってきた。東京都世田谷区で開業している粟屋剛さん(40)は、脳梗塞で寝たきりとなり、経管栄養の男性=当時(73)=の訪問診療をしたことがある。
男性は重い嚥下(えんげ)障害で口の中の乾燥がひどく、舌の上や上あごなどにあかのような汚れがこびりつき、呼吸困難の原因にもなっていた。粟屋さんは男性が亡くなる三日前まで二週間に一度、歯科衛生士とともに訪問し、汚れを除去する処置をした。すると、男性は穏やかな表情になり、介護していた兄も男性に「ゆっくり眠れるね」などと声を掛け、安堵(あんど)した様子だったという。
「最期にいつもの口腔ケアを」と、病院での臨終場面で、頼まれたこともある。粟屋さんは、みとりに歯科医師がかかわるのは「最期まで人間らしく生きたいという思いをかなえること」と話す。

◆介護保険や歯科教育も対応
高齢者が穏やかに暮らすための介護・医療の多職種による「地域包括ケアシステム」では、歯科医師の関与が重視されている。
寝たきりになっても、食べる能力がどれだけ残っているかを診断し、誤嚥予防や食事の指導をするのは歯科医師の仕事。体調が悪化し、食べ物などをのみ下せなくなった後も、誤嚥性肺炎の防止や、穏やかな呼吸のために乾燥を防ぐなどの口腔ケアは不可欠だ。
介護保険でも口腔ケアは重視されている。医師や歯科医師、介護職、嚥下に問題がある人を支援する言語聴覚士(ST)らのチームが、施設の入所者の食事の様子を観察する「ミールラウンド」は、二〇一五年度の報酬改定で加算の要件になった。
大学教育での対応も進み始めた。大阪歯科大の高橋一也教授によると、歯学部のある国公私立大全部で老年歯科の講義があり、90%で口腔ケアや摂食嚥下リハビリなどの実習を実施している。高橋教授は「歯科医師の意識を、虫歯治療から口腔という消化器を守る仕事へシフトさせたい」と話す。

(東京新聞)



歯科が終末医療、看取りにどう関わるか。歯科界での議論と内外でのコンセンサスが必要です。
by kura0412 | 2018-11-29 15:03 | 歯科 | Comments(0)
日本人の口は「人糞より汚い」そして臭い

梅雨から夏、「におい」が気になる季節だ。ビジネスでも「悪臭」が相手に与える印象は非常にネガティブ。だが、人は自分の臭いには鈍感なもの。さらに、わかっていても対策が不完全な人も多い。『日本人はなぜ臭いと言われるのか』(光文社新書)を出した内科医の桐村里紗氏は、「日本人はとにかく口臭のケアが足りず、臭い。口腔ケア後進国です」と指摘する――。
※本稿は、桐村里紗『日本人はなぜ臭いと言われるのか』(光文社新書)を再編集したものです。

日本人は、なぜ口が臭いのか
多くの日本人は、「自分たちは外国人と比べたら臭くない」と、思っている。
たしかに、腋臭(わきが)の割合は少ないので、体臭は比較的弱いと言えるかもしれない。
しかし、外国人からすれば、日本人の「口臭」が残念らしい。
自分のにおいは、自覚しにくいものだから、他人からの指摘は、素直に受け止めたい。
実際に、パナソニック株式会社の調査(2017年)によると、日本人同士でも、72%のビジネスパーソンが、「他人の口臭が気になったことがある」と回答している。また、29%は「他人に自分の口臭を指摘されたことがある」との厳しい状況に直面していた。
口臭の一番の原因は、口腔(こうくう)内環境の悪化だが、口腔内環境に「自信がある」人は、たった27%。現在のケアでは「十分にケアできていると思わない」という人は、61%だったという。
日本人の成人の80%は、なんらかの程度の歯周病だと報告されている現状である。しっかりケアを行いたい。

日本人が口腔ケアに関心が低いワケ
先進国であるにもかかわらず、日本人の口腔ケアに対する意識はかなり遅れている。なぜなのだろうか。
この理由は、文化的に見ると、日本人は、欧米人のように、日常的にキスをしたり、ハグをしたり、他人と密に接近することがないからではないかと考えられている。
あいさつ代わりに、初対面の人とでも顔や体を寄せ合う文化であれば、第一印象のために口臭ケアは欠かせないだろう。一方、日本人は、よほど親しくならないと、他人のパーソナルスペースには侵入しないし、自分も侵入されたくないと思っている。
また、危機感の問題もあるだろう。アメリカでは、子どもの頃から、虫歯にならないよう口腔ケアをしっかり教育される。歯ブラシだけでなく、フロスなどを使ってしっかり歯間ケアもする。
「どうせ、意識高い系の高所得クラスだけだろう?」と思うことなかれ。アメリカは、日本のように国民皆保険ではないため、歯の治療のためには、自主的に医療保険以外のデンタル保険に加入しなければならない。なかなか全額カバーもされないので、虫歯や歯周病になってしまうと、思わぬ高額出費になりかねない。
経済的に保険に入る余裕もない場合は、ばか高い歯科治療費を全額負担するか、放置するかの二者択一しかない。だから、必死に予防に励まざるをえないのだ。

口臭はモテ度にもビジネスにも影響する!
これは、歯科だけでなく、医科でもそうだが、国民皆保険は良しあしだと思う。いつでも誰でも、病院に安心してかかれるという油断が、日本人から「予防」という観点を奪っているからだ。
「病気になれば、医者や歯医者に行けばいい」という他力本願な人が、日本にはどんなに多いことか。本来、成人の経験するほとんどの病気は、虫歯や歯周病も含めて生活習慣病だ。自分のライフスタイルが病気を招くのだから、自分にしか予防も改善もできない。
とはいえ、なかなか病気になった後の自分について、想像力を働かせることは難しいものだ。
将来の虫歯や歯抜けになるリスクについては、あまり実感が湧かないもしれない。でも、口臭は、リアルな問題だ。人間関係にも、モテ度にも、ビジネスにも、人生のごきげん度にも影響する。
だから、「におい」を改善することをモチベーションの源泉にしてみてはどうだろうか。健康は、結果として付いてくるものだ。

悪臭は、病気のサインと心得よ――口臭の原因
人間関係や人生に色気をもって、自分の体臭や口臭をよくすることは、結果として健康状態の改善につながる。
なぜかといえば、前にも述べたが、においは、心身のコンディションを反映するものだからだ。
「口臭や体臭が強い」、もしくは、「普段とは違ったおかしなにおいがする」と感じたら、心身のコンディションを見直してほしい。
口腔内や腸内、皮膚などの常在菌のバランスや、内臓の機能、代謝の状態、ストレスやメンタルの状態が、口臭や汗、尿、おならや便などのにおいを常に変化させている。
口臭については、8割が口腔内環境の問題だ。残りは、体内の問題で、呼気を通じて口臭として感じられる。ストレスも、口臭を強くする原因になる。
健康な人の口腔内には、約700種類、歯磨きなどで口腔ケアが十分できている人では約2000億の常在菌(細菌・真菌)が暮らしている。
つまり、口の中は、菌やカビだらけなのだが、健全な状態では、彼らは常在菌として共生しており、悪さはしない。互いにバランスをとりながら、口腔内のpHを保ち、病原微生物の侵入を防いだり、繁殖を防いだりしている。
また、唾液も重要だ。唾液は、口腔内に流れる川のようなものだ。唾液腺から泉のように湧き出て、食べかすや余分な菌を洗い流し、キレイに保っている。唾液に含まれるリゾチームという酵素も、細菌の細胞壁を破壊して、過剰に増えないようにコントロールしている。
ところが、口腔ケアが十分でない場合や、唾液分泌が減ってしまう場合には、常在菌は約4000億~6000億に増殖する。常在菌といえども、増えすぎはまずい。増えすぎた常在菌が、炎症の原因になるのだ。

プラーク内の細菌濃度は便内以上に
よく聞くプラーク(歯垢)は、常在菌の塊だ。最近では、何層にも重なり合う形状から、バイオフィルムと呼ばれている。
食べかすを栄養源に、常在菌は元気に繁殖する。放置すると、食後8時間程度でバイオフィルムの生成が始まり、ケアが不十分だと、どんどん層が厚くなり、こびりつくようになる。バイオフィルム内の細菌濃度は、なんと便内よりも高くなる。
最終的には歯周病の原因菌もこびりつき、強力な炎症物質を分泌するので、歯間や歯肉、歯周に炎症が起き、痛みや出血を起こすようになる。当然、口臭にも悩まされるようになる。腐った肉のようなにおいが特徴だ。
ちなみに、歯周病は、炎症が歯肉のみにある「歯肉炎」から始まり、初めは歯肉の腫れや出血、発赤だけだが、ついには歯槽骨(しそうこつ)にも炎症が波及して「歯周炎」になる。歯と歯肉の間に、歯周ポケットと呼ばれる深い溝ができ、ここで歯周病菌がどんどん繁殖する。ポケットからの出血、排膿(はいのう)により、口臭はさらにきつくなり、歯もぐらついて、いずれは抜けてしまう。

喫煙者の口臭は、ヤバい
ケア不足だけでなく、ストレスや口呼吸の癖、ドライマウスなどで唾液分泌が減ることでも、口腔内の細菌は繁殖しやすくなる。
朝起きぬけに口がにおうのは、夜間に唾液分泌が減るからであり、誰にでも起こりやすい。だから、寝る前と起き抜けには、しっかり口腔ケアをしておきたい。
さらに、喫煙は、ニコチンやタールのせいで口臭を悪化させるだけではない。ニコチンは唾液分泌を抑制して口腔内の常在菌のバランスを崩すし、こびりついたヤニには菌が付着して、虫歯や歯周炎を起こしやすくなる。喫煙によって血流も低下するので、歯茎(はぐき)は貧血状態。10年後に失っている歯の数は、非喫煙者の3倍と言われている。
そう聞いても、愛煙家には、禁煙の理由にならないかもしれない。ただ、これだけは言っておこう。自分自身では順応してしまっていて感じないかもしれないが、喫煙者の口臭や体臭は、確実に、ヤバい。
ついでに言うと、におうということは、におい分子が服や体に付着しているということだ。におい分子=有害成分を家にも持ち帰ることになる。
たとえ、家で吸わない場合でも、喫煙者の家を調査すると、ソファやベッドなど、行くところ行くところに、タバコの有害成分は付着している。非喫煙者である家族の尿からも、タバコの有害成分が検出される。赤ちゃんであってもだ。
タバコを消した後の残留物を吸引することを三次喫煙といい、やはり発がんのリスクがあることがわかっている。
誰にも迷惑かけてない、ことはないのだ。
口腔内の炎症が、全身病に深く関係していることが、最近の研究で明らかになっている。糖尿病、脂質異常症、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患、認知症、さらには、がんのリスクまで高めることが報告されているのだ。

口臭をケアする意義は、実に大きい!
最近、医学的には、「炎症」こそが万病の元で、体のどこかに炎症があることは、全身の不具合を引き起こす原因になると考えられている。
炎症とは、体の中の戦士である免疫細胞によって引き起こされる「体内戦争」である。世界のどこかで戦争が起きていると、たとえ遠方であっても、世界全体の秩序を乱してしまう。
たかが口腔内の戦争であっても、侮(あなど)ることなかれ。血流に乗って全身に火種がばら撒(ま)かれるのだ。
歯周ポケットに生息している歯周病菌は、炎症を起こすことで歯肉の細胞を破壊し、簡単に血液中に侵入する。実際に、歯周病患者の血液からは、口腔内にしかいないはずの歯周病菌が多く検出されている。

体内に菌がいることは「敵」の侵入を意味する
ここで注意したいのが、私たちの体に暮らす常在菌は、基本的に「体外」にいるのであって、「体内」にはいないということだ。
皮膚は、体外。これには異論はないだろう。だが口腔内や腸内は? やはり、体外なのだ。口から消化管の内腔(ないくう)、肛門にかけては、1本の管であり、人は、簡略化すると、「竹輪(ちくわ)」のような形状をしている。管は、外界と交通しているので、「体外」であって、物質は、腸管の粘膜を通って吸収されて初めて、「体内」に入ったとみなされる。
健康な状態では、体内は完全に無菌状態だ。本来、「私」の体内には、「私」以外の細胞は、存在してはならない。
それなのに、体内に菌がいるということは、「敵」の侵入を意味する。血管内に菌がいるということは、菌血症と呼ばれる異常な状態だ。全身をパトロールする戦士である免疫細胞は、戦闘モードになり、全身で炎症が引き起こされる。

動脈硬化にまつわる疾患のリスクを上げる
また、菌が侵入する手前の段階でも、歯周病菌が増えている局所に免疫細胞が動員されると、サイトカインという炎症性物質を破壊兵器として分泌する。大量のサイトカインが血流に乗ると、全身に戦火が飛び火することになる。
サイトカインは血管の壁を傷つけ、全身の動脈硬化の原因になる。高血圧、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化にまつわる疾患のリスクを上げるのだ。
大動脈瘤(りゅう)や末梢(まっしょう)血管疾患などの患者の血管壁からは、歯周病菌が高率で検出される。
また、歯周病と糖尿病は、双方向のリスクになることがわかっている。糖尿病があると、免疫力が低下して、歯周病になりやすい。歯周病があると、全身の炎症を引き起こし、それが血糖を下げるホルモンであるインスリンの働きを低下させ、血糖値を上がりやすくさせる。
糖尿病があるのであれば、口腔ケアは必須であり、それによって血糖コントロールの改善が期待できる。
歯周病による口臭は、体内の不健康の現れと考えて、今日からすぐに口腔ケアを始めよう。脱口臭は、脱不健康である。

桐村里紗(きりむら・りさ)
内科医・認定産業医。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。監修した企業での健康プロジェクトは、第1回健康科学ビジネスベストセレクションズ受賞(健康科学ビジネス推進機構)。著書に、『「美女のステージ」に経ち続けたければ、その思い込みを捨てなさい』(光文社)など。

(PRESIDENT ONLINE)



内科医が口腔ケアに意義について説明しています。
by kura0412 | 2018-07-03 12:07 | 歯科 | Comments(0)
金井大旺 110M障害、日本新でV!東京五輪と歯科医師を目指す異色のハードラー

東京五輪と歯科医師を目指す異色のハードラー金井大旺(たいおう、22=福井県スポーツ協会)が日本新記録の13秒36をマークした。前の脚がピンと伸びた美しいフォームが乱れることなく、ゴールを駆け抜けた。
04年に谷川聡が出した13秒39を0秒03更新し、13秒53の自己記録を0秒17も塗り替えた。今季は13秒4台に何度も挑戦しながら、達成できずにここまで来た。それが4台をすっ飛ばして3台を出し「まさかこの記録は出るとは想定してなかった。ビックリしています」と目を丸くした。アジア大会の代表切符も手にした。
今オフに初めて筋トレに着手。臀部(でんぶ)を中心とした体幹を特に鍛えた。「使いたい筋肉を使えるようになった」という効果もあって、100メートルは「手動計測ですけど、10秒3〜4が10秒1〜2になった」と走力が上がった。これが日本新の土台になった。
今も指導をする母校、法大の苅部俊二監督は「入ってきた時はここまで行くとは思わなかった」と、函館ラ・サール高時代からやってきた当初の教え子を懐かしんだ。「研究熱心。ハードルは全てビデオに収めている。(100メートルの)山県君と似たタイプ。自分の感覚と、映像からの客観的な視点をすり合わせている。言ったらすぐ直せる」。じっくり、大きく成長した新星の長所を口にした。

父・敏行さんが北海道函館市で歯科医院を開く。その跡を継ぐために、2020年が終われば、歯科大へ進む人生設計を描いている。競技人生のゴールを決めていることが、「ダラダラできない。悔いがないようにやらないといけないので、集中できています」とプラスに働いているようだ。オリンピアンの歯医者さんの誕生が、楽しみでならない。

(Sponichi Annex)
by kura0412 | 2018-06-25 08:37 | 歯科 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412