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クローズアップ2018:延命治療中止 医師葛藤 過酷な判断

意識不明や認知症で、意思疎通ができない患者を受け入れる救命救急の現場。患者の意思確認を短時間で行うことは困難を極め、救急医は日々、過酷な判断を迫られている。国は今年3月に終末期医療の指針を初改定した。救命以外の現場でも延命治療取りやめの動きが広がるが、尊厳ある最期の迎え方を模索する医師らの葛藤は続いている。

◇患者家族の心も救う
全国最多の年間1万3000人超の救急搬送者を受け入れる湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)の救命救急センター。1日40台近い救急車が滑り込み、待ち受ける医師は死と隣り合わせの患者の治療に追われる。6割以上が高齢者だ。
「すごいスピードで高齢化の波が押し寄せている」。センター長で医師の大淵尚さん(54)の表情は険しい。回復が見込めない終末期患者の搬送も多く、延命治療を取りやめる機会が増えた。昨年中に取りやめた患者は約150人に上り、全員が高齢者だった。
「じいちゃんは『延命を望まない』と言っていた。治療はやめてください」。近年は患者の回復が見込める場合でも、こんな申し出をする家族も少なくないという。大淵さんは「全てが医者に任されていた時代と違う。今はどんな治療でも家族の同意が必要になるが、わずかな時間で動転する家族と信頼関係を築くのは難しい」と漏らす。
関東地方の別の救急医は数年前、耳を疑う相談を持ちかけられた。自殺を図り、心肺停止の状態で運ばれてきた男性の家族が、「死因は肺炎などの合併症ということにして、もう殺してくれ」と言うのだ。家族は家を新築したばかりで、多額のローンを抱えていた。自殺になれば、男性に掛けられた保険金が支払われないと懇願されたが、断った。

家族が経済的な思惑を優先しすぎていないかも見極める必要がある。
この救急医は「終末期の意思確認に関する教育なんて受けていないのに、『現場で判断しろ』と言われる。葛藤の連続だ」と悩む。
国や各医学会が公表する指針には、延命治療の中止が認められる基準が詳細に示されているわけではない。「指針に頼らず、医師が患者や家族と向き合って判断していくしかない」。大淵さんはそう考える。

大淵さんは4年前、重症肺炎で意識不明に陥った高齢女性の人工呼吸器を、家族と話し合って取り外した経験がある。女性はこのセンターに何度も搬送されていた。
呼吸器の取り外し行為は、過去に北海道や富山の病院で医師が刑事責任を問われかけ、その懸念から今でも慎重な医療機関が多い。呼吸器を外せば患者は短時間で亡くなるため、医師の精神的な負担が大きいとされる。それでも、大淵さんは呼吸器を外すことも選択肢から外さない。毎日新聞のアンケートに対しても、「みとりを積極的に行うべきだ」「法的に責任を問われる可能性がある」など、各病院の意見は割れた。
高齢化が進む中、無理に機械で延命される患者は苦しみ、介護を迫られる家族も経済的な重荷を背負わないか。「患者家族の心を救うのも医療のはずだ」。大淵さんは自らの信念や倫理観を信じるが、正解はどこにもない。
治療の取りやめも決断し、「みとり」も担うようになった救急医。誰にも最期が訪れるからこそ訴える。「自分は、家族は、どう生きたいのか。全ての人に考えてほしい」

◇改定指針、現場任せ
厚生労働省が2007年に策定した終末期医療の指針は、医療側を「規制」する意味合いが強かった。延命治療の取りやめは患者本人の決定が基本だとし、医師や看護師など多職種によるチームで判断することを柱としていた。
その後の10年あまりで社会状況は変化し、患者にとって「尊厳ある最期」をいかに迎えるかという観点で終末期医療のあり方が議論されるようになった。厚労省の17年度の調査では、心臓や呼吸が止まった場合に、心臓マッサージや人工呼吸器などを望まない国民は7割に上っており、各医学会は既に独自の指針を策定している。終末期には延命治療が必ずしも患者のためにならないとの考え方があるからだ。年間の死者数は40年には168万人にまで増える見通しで、医療機関が延命治療に関する判断を迫られるケースは今後も増えると予想される。

厚労省は終末期医療の実態は把握していないが、17年6月に日本透析医学会で発表された調査結果では、回答した人工透析施設の47%が終末期患者らへの透析をしなかった経験がある。毎日新聞が政令市などの全国74消防機関から回答を得た調査では、うち16機関で心肺蘇生を中止した実例があった。延命治療取りやめは、救命救急センター以外の医療現場でも広がっているとみられる。
厚労省が3月末に指針を改定し、患者と家族、医師らに繰り返し話し合うよう求めたのは、延命治療の取りやめの判断はそれぞれにとって重いためだ。新指針では、話し合いの結果を文書に残す必要性も強調した。4月に改定された診療報酬は、みとりなどの報酬算定要件に「指針を踏まえた対応」を追加し、医療機関に取り組みを促してもいる。
ただ、延命を取りやめて患者が死亡した場合、刑事責任を問われる可能性については、指針の「解説編」で「法的側面は引き続き検討する必要がある」としているのみ。尊厳死を認める議員立法の動きも中断しており、医療側が懸念をぬぐえない要因になっている。

◇延命治療
重い疾患で死が差し迫り、回復の見込みがない患者に対する延命を目的とした治療。気管に入れたチューブで酸素を送り込み、心肺機能の維持を図る人工呼吸器の取り付けがよく知られている。腎機能の低下で血液中にたまった老廃物などを取り除く人工透析や昇圧剤の投与も含まれるとされるが、明確な定義はない。

(毎日新聞)



このような瞬時の判断を迫られることは少ないですが、摂食嚥下の分野でも終末期での治療の選択に苦慮するケースは増えてきています。
by kura0412 | 2018-06-01 09:31 | 医療全般 | Comments(0)

VSED

終末期「飲食拒否」3割 専門医に診察経験調査
「苦痛、死んで逃れたい」   

終末期医療に携わる医師の約3割が、患者が自らの意思で飲食せず死を早めようとする行為(VSED)に直面した経験があることが、日本緩和医療学会の専門家グループによる初の実態調査で分かった。VSEDは苦痛から逃れたいとの思いが原因とみられるが、どこまで患者の意思を尊重するか、欧米に比べ日本では議論が進んでいないという。

VSED(Voluntarily Stopping Eating and Drinkingの略)は、自力で食べることが可能にもかかわらず、点滴や飲食を拒む行為。
調査は2016年9月から11月、同学会と日本在宅医学会の専門医計914人に質問票を郵送する形で実施し、571人が回答した。
VSEDという言葉を知っていると答えたのは301人(53%)。このうち185人(回答者の32%)がVSEDの終末期患者を実際に診たことがあった。経験したVSED患者の数は「1~5人」が168人、「6~9人」が8人、「10人以上」が9人だった。
調査を主導した緩和ケア専門の「しんじょう医院」(神戸市)の新城拓也院長は「こんなに経験者がいるとは驚きだ」と話す。
米国看護師協会は17年、患者にはVSEDの権利があり、その意思を尊重すべきだとの声明を発表した。欧米では医師がVSEDを容認すべきか、安楽死とともに倫理的な観点などから議論されているが、医師がVSEDを容認した場合、違法性があるかなど結論は出ていないという。
新城院長によると、日本ではVSEDについて医療界でもあまり認識されておらず、議論が進んでいない。新城院長は「日本でも患者の『死ぬ権利』にどう向き合い、何ができるか議論を重ねる必要がある」と強調する。

(日経新聞)
by kura0412 | 2018-02-02 14:32 | 医療全般 | Comments(0)

オンライン診療システム「YaDoc」提供開始、インテグリティ・ヘルスケア

インテグリティ・ヘルスケアは2018年1月9日、医療機関向けオンライン診療システム「YaDoc(ヤードック)」の提供を開始した。初期費用は無料で、月額利用料は3万円。利用の申し込みは、同社への直接申込か、YaDoc パートナー(販売代理店)を通じて受け付ける(プレスリリース)。

YaDocは、通常の診療ではとらえにくかった情報を集積し、通院診療が困難な患者の対面診療を補完したり、かかりつけ医の機能強化・診療の質向上を図ったりするシステム。
福岡市の事業である「ICTを活用した『かかりつけ医』機能強化事業」として、同市医師会の全面協力の下で2017年4月に市内の医療機関で試験運用を始め、有用性と安全性の検証を行ってきた。その結果、通院が困難な外来患者や在宅患者への有用性が評価されたという。

機能は主に3つ
YaDocの主な機能は、「モニタリング」「オンライン問診」「オンライン診察」の3つ。

モニタリングは、疾患ごとにセットされた患者のバイタルサインや生活情報、疾患の内容、運動量を医師の画面で経時的な状態変化として確認できる機能。患者もこれらの情報をスマートフォンから日々モニタリングできる。
オンライン問診は、疾患ごとに設定される診療ガイドラインに沿った定型問診を診察前に患者がタブレットで入力する機能。問診の回答結果はスコアで表示・記録されるため、患者の主訴を医師はもれなく把握することができる。
オンライン診察は、遠隔の患者とビデオチャットを通じて表情や声色などにより患者状態を把握しながら診察できる機能。予約枠の設定は、医師の診療スタイルに合わせて柔軟に設定をすることが可能でき、患者は電話応対するようなイメージで、高齢者でもストレスなく診察を受けることができるという。

福岡市での実証の評価は…
前出の福岡市で実施した実証実験では、導入した医師からは次のような評価を得たとしている。「YaDocでオンライン診察を実施してみると、密度の濃い診察ができることに気づいた」「患者の皮膚の腫れ方や傷の情報を見ながら、適切な薬を選択するなどの診断が行えた。視覚情報が増えることで、医療の質は格段に上がることを実感した」。
一方、参加した患者からは「オンライン問診では伝える内容がチェック項目なので漏れがなく伝えられたと感じる」(60代、外来患者)、「YaDocを通じて顔を見て話を聞いてもらえる安心感や家から先生に相談ができるという相談のしやすさには助けられた」(50代、在宅患者家族)などの声があったという。
インテグリティ・ヘルスケアでは今後、「対面診療を補完するオンライン診療システムとして全国への普及を図り、地域医療を担うかかりつけ医師のより良い医療の実現に貢献したい」としている。

(日経デジタルヘルス)



歯科もこの流れが進むのでしょうか。
by kura0412 | 2018-01-09 15:38 | 医療全般 | Comments(0)

ピンピンコロリの条件に

「ピンピンコロリ」を実現する5つの習慣

長寿国・日本の現実は「寝たきり大国」だ。ほかの国に比べて「ピンピンコロリ」は少なく、「ネンネンコロリ」が際立って多い。なぜなのか。そして、「ピンピンコロリ」を実現するための5つの習慣とは――。
日本は世界でも指折りの長寿国として知られています。しかし、その実態は、最期まで元気に活動して天寿をまっとうするピンピンコロリ(PPK)は少なく、男性は平均9年、女性は同12年も介護された末に死んでいくという、ネンネンコロリ(NNK)が他国に比べて際立って多い「不健康長寿国」なのです。

病院は決して安全な場所ではない
なぜでしょうか。最大の理由は、病院などの病床数の多さにあります。日本では人口当たりの病床数がアメリカの4倍以上あり、患者の入院期間も3倍近く長いのです。
病床数が多ければ、いざというときすぐに入院できるので安心だと日本人は考えがちですが、後期高齢者の場合、病院のベッドで点滴の針を刺したままトイレにも行かず過ごしたら、間違いなく寝たきりになるでしょう。ベッドがたくさんあってすぐに入院できる一見理想的な環境が、逆に寝たきりの高齢者を増やしている。これが日本の現実です。
また、これも多くの人は誤解していると思いますが、病院は決して安全な場所ではありません。病院に近づけば医療事故や薬害などの危険にさらされます。
たとえば肝臓がん。酒の飲みすぎが原因だと思われがちですが、男性の肝臓がんによる死亡率を見ると、新潟、岩手、秋田など酒どころといわれる県では低く、比率の高い福岡や大阪の3分の1程度でしかありません。実は、肝臓がんは飲酒ではなく、医療事故によるC型肝炎ウイルスの感染が最大の発症要因なのです。
医療事故がどれくらい起こっているか知ったらびっくりすると思います。EUの公式資料によれば、病院の医療事故で死亡した人数は年間約15万人。そのため、EU域内に住む人の約53%が、病院は危険なところだと認識しています。
わが国の実態は公表されていませんが、数十万人規模での医療事故や薬害が起こっていると思われます。

歯科医にはこまめにかかったほうがいい
では、どうすればNNKを避け、PPKを実現できるのでしょうか。それはなんといっても医師に頼りすぎず、自分の健康は自分で保つのだという気概が持てるような支援環境を公的に整備することです。そのうえで各種の情報を調べ、納得のいく治療を受けるようにしましょう。
一方で、歯医者さんにはこまめにかかったほうがいいようです。私たちの調査では、「かかりつけの歯科医師がいる」と答えた人が長生きでした。どんなメカニズムが働いているのか明確なところはわかりませんが、私は次のような仮説を立てて追跡調査をしています。
まず、歯科医の支援を受けることで望ましい口腔ケアの知識が得られ、高齢になっても歯と口の健康を保つことができる。食は生きることの基本ですから、歯や口が健康であることには大きな意味があります。また、定期的なケアを受けるため、歯医者さんへ「お出かけ」していることも健康長寿には望ましいのです。

「ピンピンコロリ」を実現する5つの習慣
生活習慣という切り口から見ると、次の5つの習慣を身に付けることがPPKには大事だということがわかってきました。

1、運動。毎日やらなくても週に1回運動していれば、生存率がかなり高くなることが証明されています。
2、質のいい睡眠。
3、朝食。食べないと脳や身体機能が活性化しません。その際、納豆、ヨーグルトなどの発酵食品を食べ腸内細菌を増やして体温を高めると免疫力が高まり、がんになりにくくなります。
4、禁煙。発がん物質を含むたばこは百害あって一利なし、確実に寿命を縮めます。
5、適度な飲酒。私たち研究チームが高齢者1.3万人を対象に3年間追跡調査したところ、男性では毎日飲酒する群、女性では週に1、2回飲酒する群の死亡率が最も低く、逆に死亡率が高かったのは男女とも「ほとんど飲まない」と回答した人たちでした。

「地域活動にも積極的」がPPKの必須条件
日本では多くの人が誤解しているのがコレステロール値の評価です。高コレステロール群と低コレステロール群では、明らかに前者のほうが長生きです。コレステロールはビタミンDや細胞膜、がん免疫細胞の材料であり、体の中で重要な役割を担っています。その一方、コレステロールを下げる薬の服用により死亡率が高まることが証明されています。
環境や住居も健康長寿に大きな影響を与えます。都市部よりも長野県のような地方で平均寿命が長いのは、水や空気がきれいだというのも理由のひとつ。夏になるとホタルが乱舞するなど、多様な生物が生きられるところでは、人間も長生き。考えてみたら当たり前のことなのです。
日本では毎年約1万7000人がヒートショックで亡くなっていますが、風呂場が寒すぎるなど家の中の温度較差が原因です。これは住宅の断熱・気密性能を向上させる無垢材の活用で改善します。また、クロス張りの壁を珪藻土や土壁に変えればホルムアルデヒドなどの害がなくなり、湿度調整もうまくいくため睡眠の質が高まります。こうした住環境の良質化もPPKのためにはぜひ取り組みたいポイントです。
そして、忘れてはならないのが心の健康。年をとっても生きがいを持ち、地域や趣味の活動にも積極的に参加しているというのはPPKの人の特徴であり、必須条件だともいえます。65歳を過ぎても生きがいを持って働くというのも、要介護にならないための賢明な選択だといっていいでしょう。

これがピンピンコロリの条件だ!
・かかりつけの歯科医師を持つ
・口腔をケアし良好な状態を保つ
・やや太めの体形である
・総コレステロール値が高い
・お出かけが好き
・断熱に優れ土壁を使った健康住宅に住む

首都大学東京名誉教授 放送大学客員教授 星 旦二
1950年、福島県生まれ。福島県立医科大学卒業。医学博士(東京大学)。東京都衛生局、厚生省、英ロンドン大学留学などを経て現職。著書に『ピンピンコロリの法則』『新しい保健医療福祉制度論』など。

(PRESIDENT ONLINE)
by kura0412 | 2017-11-24 10:53 | 医療全般 | Comments(0)

平均寿命、都道府県格差が拡大、東大・渋谷氏らのLancet論文
1990-2015年の分析、2005年以降、死亡率低下は鈍化傾向

1990年以降、日本の平均寿命・健康寿命ともに伸長し、多くの疾患で死亡率が減少したものの、平均寿命の都道府県格差は2.5歳から3.1歳に広がっているほか、2005年以降は死亡率の低下が鈍化傾向にあることが、明らかになった。東京大学大学院医学系研究科の国際保健政策学分野助教の野村周平氏、同主任教授の渋谷健司氏らの研究で、「The Lancet」オンライン版に2017年7月19日、掲載された。

都道府県格差を生み出す要因として、保健システムの主なアウトプット(1人当たりの医療費や人口当たりの医師数など)と、リスク要因(行動習慣など)との関係を調べたが、有意な相関は見られず、渋谷氏は、「保健システムのパフォーマンスや所得を含めた健康の決定要因が、今後の研究課題」と説明している。さらに都道府県によって各種健康指標が異なることから、地域医療構想をはじめ地域レベルでの施策が進む中、各都道府県の実情に即した対策の必要性を強調している。
主な研究成果は以下の通り。原題は、「Population health and regional variations of disease burden in Japan, 1990–2015: a systematic subnational analysis for the Global Burden of Disease Study 2015」(The Lancetのサイトはこちら)。

◆都道府県間の健康格差は拡大
・平均寿命は、1990年から2015年にかけて、79.0歳から83.2歳へと4.2歳伸びたものの、その増加には3.2年から4.8年と都道府県による差があり、結果として都道府県格差は2.5歳から3.1歳に拡大。
・健康寿命についても同様に、1990年は70.4歳だったが、2015年には73.9歳まで伸びた一方、都道府県格差は2.3年から2.7年に拡大。
・年齢調整死亡率は、1990年から2015年にかけて、29.0%減少したが、その減少率は22.0%から32.3%と都道府県による差が見られた。

◆2005年以降、健康指標は停滞
・主に脳血管疾患、虚血性心疾患、癌という三大疾患の死亡率の減少により、1990年から2015年にかけて平均寿命は上昇。しかし、2005年以降、これら三大疾患を含む多くの疾患の年齢調整死亡率の低下率は鈍化。一方、アルツハイマー病等の認知症の年齢調整死亡率は、増加の一途をたどっている。

◆病気を生み出すリスク要因
・2015年の死亡のうち、33.7%は行動習慣リスク(食習慣や喫煙等)、24.5%は代謝系リスク(高血圧や脂質代謝異常等)、6.7%は環境や職業上のリスクに起因。
・特に、男性において最も主要な行動習慣リスクは喫煙で、18.9%の死亡に寄与。また不健康な食事(特に高塩分食)も、男女それぞれ18.8%(男性2位)、18.0%(女性1位)の死亡に寄与。

◆都道府県間の健康格差を生み出す要因
・各都道府県における保健システムの主なインプット(1人当たりの医療費、人口当たりの医師数、看護師数、保健師数)と保健アウトカム(年齢調整死亡率および疾病負荷〔死亡と障害を含む包括的な健康指標〕)との間には有意な相関は見られなかった。
・リスク要因(行動習慣、代謝系、環境および職業上のリスク)と都道府県間の健康格差についても顕著な相関は見られず、これら以外に、健康格差を生じうる要因が存在することが示唆された。

(m3.com)
by kura0412 | 2017-07-21 17:02 | 医療全般 | Comments(0)

高齢者対象の高血圧診療ガイドライン完成
JSH2014で曖昧だった部分にも系統的レビューを行い詳説

日本老年医学会は7月20日、「高齢者高血圧診療ガイドライン2017」(JGS-HT2017)を発表した。『日本老年医学雑誌』への掲載に先立ち、本日から同誌ウェブサイト(こちら)に、ガイドライン本文とその解説が公開されている。本ガイドラインの対象は実地医家としているが、誰でもダウンロードし閲読が可能だ。
わが国で最も普及している高血圧診療ガイドラインは、日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2014年版」(JSH2014)といえる。日本老年医学会が今回発表したJGS-HT2017では、JSH2014との整合性に配慮しながらも、降圧目標値や身体・精神機能低下など高齢者高血圧を診療する上で考慮すべき問題について新たに臨床的課題(CQ:clinical question)を設定し、系統的レビューを行ってエビデンスを検証し直した。
CQは全部で19題。高血圧治療の主目的である心血管疾患の発症予防だけでなく、認知症予防やADLへの影響をアウトカムとした視点も重視した。降圧下限域や降圧薬の減量・中止など、具体的な推奨や結論が得られない問題についても検証しており、例えばJSH2014では抽象的な表現にとどまり議論を呼んでいた「降圧は緩徐に行う」「認容性があればより低い(降圧目標)値を目指す」などについても、CQを立てて系統的レビューを行っている。

具体的な高齢者の降圧目標値は「65~74歳では140/90mmHg、75歳以上では150/90mmHgを当初の目標とし、認容性があれば140/90mmHg未満を目指す」であり、JSH2014と変わらない。
ただしJGS-HT2017では、「自力で外来通院ができないほど身体能力が低下した患者や認知症を有する患者では、降圧薬開始基準や管理目標は設定できず個別に判断する」ことを推奨。身体・精神機能が保たれている健常な高齢者と、認知症・ADL低下、フレイルを合併している高齢者での管理目標を明確に切り分けた。さらに、エンドオブライフにある高齢者への降圧治療に関しては「予後改善を目的とした適応はなく、降圧薬の中止も積極的に検討する」とした。
高齢者に限定した高血圧診療ガイドライン策定の意義について、執筆委員統括者を務めた大阪大学大学院老年・総合内科学教授の楽木宏実氏は、ガイドラインと同時公開された解説の中で、「フレイル患者、多数の合併症を持った患者、認知症合併患者などを考慮したガイドラインは極めて重要」と強調。その上で、年齢だけでなく個別の病態や療養環境への配慮、心血管疾患予防に加えて生活機能全般に対する視点が必要と指摘している。JSH2014と同様、JGS-HT2017も今後の新たなエビデンスに応じて適宜改訂する方針だ。
なお、日本老年医学会では高齢者の生活習慣病ガイドラインを順次発表しており、今回の高血圧は2017年5月の糖尿病に次ぐもの。今後、脂質異常症、肥満についても発表を予定している。

(日経メディカル)
by kura0412 | 2017-07-20 15:00 | 医療全般 | Comments(0)

絶対安全はありません

サイバー被害150カ国20万件以上 マイクロソフトが修正ソフト

世界で猛威を振るっているサイバー攻撃で、欧州警察機関(ユーロポール)のウェインライト長官は14日、英民放ITVに対し、被害が少なくとも150カ国で20万件以上に上ると述べた。日本の警察庁も同日、国内で2件を確認したと明らかにした。米マイクロソフト(MS)は基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の欠陥を突く攻撃であることから、サポート終了後のOSも修正対象にすることにした。

感染が広がっているのは「ランサム(身代金)ウエア」と呼ばれる。メールの開封などを通じて感染させたコンピューターの中の書類、動画、データベースなど幅広い種類のファイルに暗号でカギをかけ、解除と引き換えに身代金を要求する。1台が感染するとネットワークを通じて別の端末へと感染が広がる。
ウェインライト氏は、被害の世界的な広がり具合を「前例がない」と指摘。医療機関などのヘルスケアセクターは患者のデータなどの機密情報を扱うにもかかわらず、「多くの国で攻撃されやすい」といい、対応が不十分だったことが英国の国民保健サービス(NHS)での被害拡大につながったとみている。
半面、金融機関で目立った被害が出ておらず、過去の経験をもとに対応を進めてきたことが奏功したとの考えを示した。
一方、MSは「XP」「8」「ウィンドウズサーバー2003」などサポート終了済みのOS向けに「セキュリティーパッチ」と呼ばれる欠陥修正ソフトを公開した。サポート対象のOSは3月に修正ソフトを公開済み。通常、サポート終了後はソフトウエア更新は受けられないが、古いOSのパソコンが被害拡大の一因となったのを受け「潜在的な影響を踏まえた措置」を講じた。

(日経新聞)


「PC全滅、何もできない」英医療機関が大混乱

12日に起きた「ランサム(身代金)ウェア」によるサイバー攻撃で、被害は全世界に拡大した。
最も深刻な被害を受けた英国の医療機関は大混乱。病院などのコンピューターが次々と使えなくなった。医療現場の様子はツイッターなどで生々しく伝えられた。専門家は「過去最大規模のサイバー攻撃だ」と警戒を呼びかけている。
「事務室のパソコンが、一台また一台と全てダウンした」「パソコンが全く応答せず、何もできない。患者が気の毒だ」「処方箋が出せない!」。12日午後1時半(日本時間同日午後9時半)ごろから、英国の病院や診療所、医療関係事務所などで、パソコンが次々とウイルスに感染。現場の医師や医療スタッフがツイッターで現場の混乱を発信した。

(m3.com)




ネット社会是絶対安全はありません。利便性を追求するだけではなく、安全の担保も確保することを忘れてはなりません。
by kura0412 | 2017-05-15 08:46 | 医療全般 | Comments(0)

抗菌薬適正使用実践へ手引き - 医薬系8学会が策定

薬剤師などの行動内容示す
日本化学療法学会、日本感染症学会、日本薬学会、日本医療薬学会など医学・薬学系8学会は、院内における感染症専門の医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師が抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を実践するため、行動すべき内容をまとめたガイダンス案を公表した。医療現場の実情に合わせた適正使用支援の組織作りや効果的なプログラムを策定する基本戦略を示し、プロセスやアウトカムの評価指標も明記した。また、医療職に対する教育啓発が不要な抗菌薬の処方減につながると推奨。ASPのコアメンバーと位置づける薬剤師の卒前教育も独立した項目として盛り込んだ。意見募集の結果を踏まえ、最終的に確定する予定。
ガイダンスは、欧米で先行してきた抗菌薬適正使用支援(AS)の取り組みが日本でも急務と判断。医療現場に即して医師や薬剤師などの専門スタッフがどのようにASを実践すべきか行動内容をまとめたもの。ASの組織づくりについては、効果的なプログラム運用のため、感染制御部門に感染制御チーム(ICT)とは別に抗菌薬適正使用支援チーム(AST)を組織する必要があるとし、感染症の専門知識を持つ医師、薬剤師を中心に構成されることが望ましいとした。日本では人的資源が十分でないため、ICTとASTのスタッフは兼務可能としている。
これらチームで効果的なASを実践するため、医療機関の実情に応じたプログラムを作ることを推奨し、基本戦略となる介入、抗菌薬使用の最適化、微生物検査診断の利用、ASの評価測定、教育・啓発など各項目について具体的な対応を検討する方向性を示した。
抗菌薬の適正使用を推進するためには、適切な介入が求められるとし、有効な介入手段として欧米で推奨されている「感染症治療の早期モニタリングとフィードバック」「抗菌薬使用の事前承認」の2項目について、ASPで欠かせない戦略として日本でも全ての施設で検討すべきとした。

抗菌薬使用の事前承認は、感染症専門の医師や薬剤師の「許可制」とするものだが、日本では専門医や専門薬剤師が不足し、プロトコルに基づくPBPMが普及しつつあるものの、薬剤師の処方権が制限されているため許可制導入は困難と指摘。そこで、特定の抗菌薬処方と同時にASTが把握し、適正使用に早期介入できるような仕組みを構築するなど、日本の現状に合った工夫が必要とした。
抗菌薬使用の最適化に当たっては、対象患者を把握したら適切な微生物検査がオーダーされているか、第一選択薬が適切か判断する必要があるとした。治療開始後は、効果と共に、用法・用量、治療期間が適切かモニタリングし、必要に応じ主治医にアドバイスを実施することを提示。そのためには、薬剤師主導の臨床薬理学的アプローチによる抗菌薬使用の最適化を支援する仕組みが必要とした。
また、プログラムの効果については自己評価し、改善に役立てることを提言。ASのプロセスとアウトカムの両方を検証し、プロセスについては抗菌薬使用状況やTDM実施率など、介入内容を直接反映する指標を用い、アウトカムについては死亡率や入院期間、治癒率、再発率、耐性菌発生率など、臨床的改善と微生物学的改善を反映する指標を用いるとした。
教育・啓発活動については、処方医や医療職への教育・啓発が不要な抗菌薬の処方減につながると推奨。さらに、薬剤師の卒前教育にも言及。ASPのコアメンバーと位置づけられる臨床薬剤師に対し、多職種への教育に重要な役割を担っていると指摘。薬学教育において、抗菌薬を適正に使用する上で欠かせない原則について設定した教育カリキュラムの充実を図ることが必要とした。

(薬事日報)




歯科はこれに追随なのでしょうか。
by kura0412 | 2017-04-25 10:21 | 医療全般 | Comments(0)



by kura0412 | 2017-02-21 17:08 | 医療全般 | Comments(0)

難易度の高い手術における「3Dプリンター」の活用が進んでいる。患者のCTなどの検査画像を基に臓器モデルを作成し、術前のシミュレーションに用いるというもの。形成・整形外科領域では、患者の骨格を再現した「骨格モデル」を使った手術支援が既に保険適用され、心臓などの複雑な構造の内臓を精密に再現した「内臓モデル」の開発も進んできた。

「3Dプリンターで作成した骨格モデルは形成外科の手術を底支えしてくれる、なくてはならない存在」。国立成育医療研究センター副院長(医療安全・感染防御担当)感覚器・形態外科部長の金子剛氏はこう話す。

3Dプリンターの臨床現場での活用として最も進んでいるのが、患者のCTなどの検査画像を基にした臓器立体モデルの作成だ。3Dプリンターを用いることで、安価かつ迅速に臓器モデルを作れる。

臓器モデルは術前の手術計画やシミュレーションに有用性が認められ、「実物大臓器立体モデルを用いた手術支援」として、2008年に整形外科と形成外科の一部の手術で保険適用された(診療報酬点数は2000点)。2016年度の診療報酬改定では、四肢骨を対象にした2つの手術が追加され、現在は整形外科と形成外科領域の25手技で保険診療の対象となっている。

形成外科領域では、患者の骨格を再現した骨格モデルを主に骨切りと再建のシミュレーションに用いている(症例1)。「左右の非対称性があり通常の診断画像では手術計画が立てにくい特殊な症例などに有用」と金子氏は説明する。どう切れば少ない骨切り線で済むか、患部を再建する際にいかに少ない侵襲で的確な手術ができるかを、骨格モデルを用いて検証できる。「現在、国内では年間100例ぐらいの術前シミュレーションで骨格モデルが活用されているのではないか」と推定する。

症例1・臓器モデルが有用だった下顎形成術の一例(金子氏による)

9歳女児。Goldenhar症候群に伴う下顎変形を生じており、顎2分の1個分ずれた状態で下顎の右奥歯が顔面の中央に位置していた。上下の顎の咬合(噛み合わせ)を改善する目的で狭窄した下顎の開大術を実施することになった。

 手術では下顎の中心部からくさび型の骨片を採取し、これを下顎の右側の骨切り部に移植する計画だが、立体構造が複雑なため、くさび型骨片の切り込み角度をコンピュータ上でシミュレーションし、下顎の中央部から30度の角度が最適と判断。その後、骨格モデルを使って実際に切除と再建のシミュレーションを行った。Bの骨片を中心角30度にし、ABCDと並んでいた骨片をACBDとすることで下顎の再建が可能なものと判断。術前シミュレーションの計画通りに手術を行うことで、目的とした噛み合わせの改善を達成した。


一方、整形外科領域ではインプラントや金属の固定法、人工骨の埋め方のシミュレーションに骨格モデルが活用されている。同分野で3Dプリンターを使った骨格モデルを使用している東京慈恵会医科大学整形外科講師の藤井英紀氏は、「骨格モデルは非常に有用なツール」と評価する。

実物大の立体モデルが手元にあることで、「術前にインプラントや人工骨が患者の骨格に適合するかどうかを確かめられる」(藤井氏)。さらに、同氏らは骨格モデルを滅菌処理して手術室に持ち込み、手術を施行しながら、骨格モデルを使って術野では見ることのできない部分の構造を再確認している(症例2)。

【日経デジタルヘルス】


by kura0412 | 2017-02-17 11:13 | 医療全般