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社会保障抑制の数値明記せず 新財政健全化計画で財務・厚労省調整
財政規律緩む懸念

新たな財政健全化計画を巡り、財務省と厚生労働省は2019~21年度の3年間の社会保障費の伸びを抑える「目安」に具体的な数値を明記しない方向で最終調整に入った。16~18年度は計1.5兆円が目安だった。一時的に75歳以上の人口の増加ペースが鈍るため、18年度までの3年間よりも伸びを抑えられるとの認識は共有したものの、数値目標の見送りにより、財政健全化の柱である社会保障費の抑制が甘くなる懸念が強まってきた。

政府は6月に閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に財政健全化計画を盛る。国と地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標時期を25年度とする方向だ。18年度の社会保障費は予算総額の3分の1を占める約33兆円。目標達成には今後も膨らむ社会保障費を抑制する改革が本丸になる。
現行の財政健全化計画では、16~18年度は「高齢化による増加分に相当する伸び」として3年間で計1.5兆円程度に抑える目安を設けた。抑制幅はシナリオ通りに進み、高齢化に伴う自然増が年6000億円を超えるなか、歳出の見直しで社会保障費の伸びは年5000億円程度に抑えた。
財務省と厚労省は5月の大型連休明けから、19~21年度の社会保障費の目安を巡る協議を本格化させた。焦点となったのは、医療費などが膨らむ75歳以上の後期高齢者の人口の伸びと、その影響をどうみるかだ。
とくに、20~21年度の2年間は、第2次世界大戦直後に生まれた人が75歳となるため、一時的に後期高齢者の仲間入りをする人口の伸びが鈍るという特殊要因がある。逆に22年度以降は戦後のベビーブームの団塊の世代が後期高齢者となり始め、75歳を迎える人口の伸びが加速し、社会保障費の増加ペースも速まる。

財務省は、75歳を迎える人口が鈍る20~21年度の2年間は、年1千億円規模で社会保障費の伸びを圧縮できると主張した。18年度までの3年間に設けた計1.5兆円の目安を踏襲するだけでは、かえって財政規律が緩むと懸念。高齢化に伴う伸びの範囲に歳出増を収める方針の堅持を求めた。
これに対し、厚労省は19年度以降の3年間も計1.5兆円を目安にすべきだと要求した。その一方で、団塊の世代が後期高齢者となり始める22年度以降を見据え、医療費や介護費の膨張が加速する事態に備えた改革を続けるべきだという財務省の主張は容認した。
結局、具体的な数値の設定では折り合えなかった。
政府内では目安を巡る具体的な文言を詰めているが、新たな健全化計画でも社会保障費の伸びについては、高齢化の影響で避けることのできない範囲内に抑える方針を堅持することで調整している。賃金や物価の上昇を想定した年金の「賃金・物価スライド」も上振れの要因として認める。

目安を巡る表現が曖昧になるほど、今後の予算編成の過程で火種になる。
19年には統一地方選や参院選を控え、年末の19年度予算編成では歳出圧力が強まって財政規律が緩むとの懸念は強い。歳出改革や実施時期をまとめた工程表をどこまで具体的に示すことができるかも課題だ。後期高齢者が医療機関の窓口で支払う自己負担の割合を現在の1割から2割に引き上げる案など、具体策が今後の焦点となる。

(日経新聞)
by kura0412 | 2018-05-17 09:32 | 医療政策全般 | Comments(0)

「保健医療データプラットフォーム」構築に向け、有識者会議
7月に中間取りまとめ、今秋に報告書を予定

厚生労働省は、社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長)の4月19日の会議に、「レセプト情報・特定健診等情報データベース、介護保険総合データベース等の解析基盤」について、有識者会議を設置し、検討を進めることを説明した。「保健医療データプラットフォーム」の2020年度の本格運用開始に向け、議論がスタートする。構成員は、遠藤氏のほか、医療者と保険者、医療情報システム専門家、法学者など、計9人の予定。

5月に第1回会議を開く予定。その後、月1回程度開催し、医療保険および介護保険における請求事務等に係るデータを2次利用目的で悉皆的に収集するという類似性を有する、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)と介護保険総合データベース(介護DB)の連結について先行して議論。7月に中間取りまとめを行い、社保審医療保険部会に報告。その後も月1回程度開催し、他の公的なデータベースとの関係などについて議論。今秋頃に報告書を取りまとめ、社保審医療保険部会に再度報告するスケジュールを予定している。

安倍晋三首相は、2016年5月の経済財政諮問会議で、「医療や介護のレセプトデータを全国的に連結し、社会保障給付費を効率化していくための具体案」を報告するよう、厚労相に求めた。これを踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)で、以下のように打ち出された。今回の有識者会議の設置は、これらを受けた対応だ。

◆「経済財政運営と改革の基本方針2017」
第3章 経済・財政一体改革の進捗・推進
3.主要分野ごとの改革の取組
(1)社会保障 ④ 健康増進・予防の推進等
「個人・患者本位で最適な健康管理・診療・ケアを提供する基盤として、健康・医療・介護のビッグデータを連結し、医療機関や保険者、研究者、民間等が活用できるようにするとともに、国民の健康管理にも役立てる「保健医療データプラットフォーム」や、自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため、必要なデータを収集・分析するためのデータベースについて、2020年度(平成32 年度)の本格運用開始を目指す。

NDBには2009年度以降のレセプトデータと2008年度以降の特定健診・保健指導データが、介護DBには2012年度以降の介護レセプトデータと2009年度以降の要介護認定データが、それぞれ悉皆的に格納されている。いずれも匿名化されており、統計的分析などでの利用が可能。

(m3.com)


この有識者会議には日医の関係者はメンバーにはいっていますが、歯科関係者は入っていません。
by kura0412 | 2018-05-14 11:53 | 医療政策全般 | Comments(0)

社会保障費の抑制幅、次の3年の「目安」巡り攻防

政府が6月にも新たな財政健全化計画をまとめるのを前に、社会保障費の伸びの「目安」を巡る攻防が本格化してきた。財務省は2020~21年度は後期高齢者の増加ペースが鈍るとし、19年度からの3年間はこれまでの3年間の計1.5兆円よりも減らせると主張する。一方で、厚生労働省は抑制に慎重な立場を崩しておらず、調整は難航する可能性がある。

日本の財政は税収だけでは歳出をまかなえず、新たな国債発行という借金に頼りながら予算をつくる構図が続いている。18年度の社会保障費は約33兆円で、予算総額の3分の1を占めた。
政府は19年度以降の新たな財政健全化計画で、国と地方を合わせた基礎的財政収支を黒字化する目標時期を25年度とする検討に入った。目標の達成には歳出改革が避けられず、社会保障費の見直しが肝になる。
現行の財政健全化計画では、16~18年度の社会保障費の伸びを1.5兆円に抑える目安を設けた。高齢化に伴う自然増の分が毎年6000億円以上あるため、そのままでは1.5兆円を超える。だが歳出を全体的に見直すことで年5000億円、3年間で計1.5兆円に抑える目標は達成できる見通しだ。
財務省は新たな計画で設ける19~21年度の目安については、計1.5兆円よりも減らせると見込む。第2次世界大戦の影響で出生数が少なかった特殊要因により、20~21年度は一時的に75歳を迎える人口が減る見通しのためだ。

総務省の人口推計(17年10月1日時点)によると、16~18年度に75歳になる人の数は年150万人程度だが、20~21年度には130万人前後に減る。このため財務省は「1000億円規模で費用の自然増を抑えられる」(主計局)とみる。
16~18年度より高齢化による伸びが減るにもかかわらず、次の3年間も現行の目安を維持すれば、「歳出改革の取り組みが緩む」(幹部)との懸念は強い。
団塊世代の高齢化によって75歳になる人の数は再び増加に転じ、22~24年度には200万人を超える見込み。財務省は19~21年度に歳出抑制の流れを作っておく必要があるとみる。
75歳以上の後期高齢者になると、国庫負担は大きく増える。例えば、1人あたりの医療費は65歳未満が年平均で2.5万円、65~74歳が7.6万円なのに対し、75歳以上は35万円に跳ね上がる。介護費も65~74歳は1.4万円だが、75歳以上だと14万円になる。
財務省は22年度以降の将来を見据え、社会保障費を抑える具体的な追加策づくりを急いでいる。経済成長や人口減少の速度に応じ、患者が医療機関の窓口で支払う負担の割合を自動的に高める案や、後期高齢者が窓口で支払う自己負担の割合を現在の1割から2割に引き上げる案などをすでに示した。

一方、実務を担う厚労省はこれまで以上に踏み込んだ目標を掲げることに慎重だ。
高額療養費制度での医療費の自己負担の上限引き上げや、薬価制度の見直しなど、従来の取り組みを実行していくことに重点を置く。
厚労省からは19年度以後について、3年間で1.5兆円の目標の継続で済むなら「関係者の理解を得やすい」(幹部)との声があがる。19年は春に統一地方選、夏に参院選という大型選挙を控えている。与党内からも痛みを伴う改革に強い反発が出てくる事態も予想される。

(日経新聞)



非常に重要な政治的な案件です。
by kura0412 | 2018-05-08 08:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

医療費歯止め、患者負担の人口連動を議論 社保審

社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)は19日、医療保険部会を開き、2018年度中にまとめる社会保障改革案の議論を始めた。経済成長や人口減少の速度などに応じて、医療に必要となる財源を賄うため、患者の窓口負担を自動的に増やす案などが検討課題に浮上した。負担増に抵抗は強いが、高齢化で社会保障費は膨らみ続けており、大胆な見直しに踏み込めるかどうかが焦点だ。

社会保障改革の検討項目を盛り込んだ政府の工程表では、75歳以上の後期高齢者の患者負担の引き上げや、薬の種類に応じた自己負担率の設定などについて、18年度中に結論を出すとしている。与党や財務省などと調整し、具体策を詰める。
今回、初めて議論の対象としたのが、経済成長率や人口動態などに応じて患者負担を自動的、定期的に調整する仕組みだ。自民党の小渕優子氏がトップを務める同党の「財政構造のあり方検討小委員会」の中間報告で提起された案だ。
年金制度では、現役世代の人口減などに合わせて給付額を調整する「マクロ経済スライド」が導入されており、その医療版だといえる。財政の健全化をより重視する立場から生まれた発想だ。

まだ制度設計の具体像を示すまでには至っていない。
アイデア段階の考え方だが、例えば、あらかじめ医療費の伸びを経済成長率や賃金の伸びの範囲内に抑える目標を立て、目標を超過するような場合は翌年度以降に患者負担を増やすといったことが想定される。保険制度の支え手である現役世代の人口が減った分、患者負担を上乗せするというのも一案だ。税や保険料で賄う医療保険の給付額を抑える狙いだ。
背景にあるのが高齢化の進展や、画期的な新薬の登場による医療費の増加だ。国民医療費は16年度に42兆円の見込みで、10年で3割増えた。経済成長率を上回る速度で医療費が膨らんでいるため、医療保険制度と財政の安定に向けて、医療費の伸び率や総額をコントロールする考え方だ。
もっとも、厚生労働省は今回の部会資料で「医療費や景気変動に応じて頻繁に負担が変わる」「医療費の伸びは診療報酬や保険料などで対応することが適切」などと問題点も挙げた。本来は医療費の抑制に積極的な立場の健康保険組合連合会の委員も「導入には慎重な検討が必要」という。
政府・与党内で引き続き検討課題となる見込みだが、日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は「負担増が患者の受診抑制を招き、かえって健康状態の悪化につながる可能性もある」と指摘する。

今回の部会では診療報酬を地域別に設定する仕組みも議論になった。
診療報酬は医療機関が診療行為の対価として受け取る報酬で、国が全国一律に定めている。ただ法律上は医療費適正化のために必要な場合、都道府県が独自に報酬を定めることができるとしている。
財務相の諮問機関である財政制度等審議会は活用に向けた議論を呼びかけているが、社保審医療保険部会の委員からは、地域別に設定した場合の影響が不明確なことなどから「診療報酬は全国統一が前提」などとする意見が多く出ている。

(日経新聞)



次のステージの議論が始まっています。
by kura0412 | 2018-04-20 08:45 | 医療政策全般 | Comments(0)

健保組合に再び解散風 高齢者医療「仕送り」重荷

企業の健康保険組合の解散が相次ぐ見通しだ。加入者が50万人に上る人材派遣健保に続き、同16万人の日生協健保が2018年度中の解散に向けた検討に入った。高齢者の医療費をまかなうための「仕送り」負担が重荷のためだ。移行先の全国健康保険協会(協会けんぽ)は国が補助金を出して支えるが、健保組合の解散風が再び強まれば、税投入の増加は必至だ。

「これだけ規模の大きな健保組合の解散が立て続けに明らかになるのは聞いたことがない」。関係者は口をそろえる。
健保組合の解散の第1波が訪れたのは、75歳以上の後期高齢者医療制度が導入された08年度とその翌年度で、合計で40近い健保組合が解散した。その後は小康状態に入り、ここ数年は年に数組合の解散だったが、再び増勢に転じつつある。
なぜか。高齢化の進展に伴う負担に耐えきれなくなってきているためだ。解散の第1波をしのいだ健保組合でも保険料率はじりじり上がってきた。その財政が立ちゆかなくなり、解散を選ぶ目安になるのが、協会けんぽの平均保険料率である「10%」という水準だ。

協会けんぽはもともと、自前で健保組合をつくることが難しい中小企業などが多く集まり、国から税金も投入されている。健保組合の保険料率が「10%」を超えるなら、解散して協会けんぽに移った方が労使で折半する保険料の負担が減るという損得勘定が働く。
例えば、人材派遣健保は9.7%で解散ラインが近づき、日生協健保は10.7%と、解散ラインを超えていた。将来を見通せば、保険料率は上がることはあっても下がることは見込みにくい。
健康保険組合連合会(健保連)によると、保険料率が10%を超える「解散予備軍」は約1400組合の中で316組合に上る。高齢者医療費への支援金負担をまかなうため、各健保は保険料率を毎年のように引き上げてきた。平均保険料率は10年連続で上昇中だ。
健保連は昨夏にまとめた予測で、このまま負担増が続くと25年度までに380組合が解散して協会けんぽに移る可能性があると指摘した。独立採算の健保組合と異なり、協会けんぽに投入される税金は年1兆円規模。仮に380組合が移れば、国庫負担は1800億円増える計算だ。
実際に今回の2健保の解散による国庫負担の増加額は200億円規模に上るとの声があがる。超高齢社会への対応を後回しにしてきたツケは、現役世代に回りつつある。

(日経新聞)
by kura0412 | 2018-04-17 14:17 | 医療政策全般 | Comments(0)

「80%」目標めざし追加策も

厚生労働省が後発医薬品で重点地域の指定に乗り出すのはさらに普及を後押しするためだが、強制力があるものではない。十分な効果が出てこない場合は、追加の対策が必要になる可能性もある。

厚労省は2013年に後発薬の利用促進の工程表を策定した。利用が多い薬局への報酬を増やすといった施策を導入し、使用率は2000年代の30%台から大幅に上昇した。直近では60%台に達したが、政府の目標は20年9月までに80%だ。
後発薬の使用促進ではさらに「奥の手」もある。診療報酬に差を付けることだ。原則は全国一律だが、一定の手続きをとれば都道府県ごとに報酬を設定できる。例えば、後発薬の使用率が低い病院や薬局への報酬を引き下げることが可能だ。
この場合、医療関係者から反発を招く可能性があるが、一部の自治体では「最後の切り札にはなり得る」との声もある。医療費削減は自治体にとっても避けられない課題。厚労省が強い姿勢を打ち出すことで自治体でも様々な検討が進みそうだ。

(日経新聞)



これからはこの種の抑制策が次から次へと出てくる可能性があるようです。
by kura0412 | 2018-04-06 16:23 | 医療政策全般 | Comments(0)

医療現場に働き方改革の波
勤務医の残業、平均年850時間超 サービス低下も 安心守れるか

命を救うためなら長時間労働は当たり前。そんな医師の世界に働き方改革が及んでいる。今国会に提出予定の働き方改革法案では医師にも時間外労働の上限を設ける。働き過ぎ防止は大切だが、医師の残業削減に取り組む病院では、外来診療の削減などサービスの低下も見られる。安心できる医療体制と医師の働き方改革は両立できるのか。

当直医がみとる
「なぜ主治医が最期に立ち会ってくれなかったのか」。聖路加国際病院(東京・中央)に亡くなった患者の家族から手紙が届いた。終末期で、容体の急変時に主治医は非番。当直医がみとった。
夜でも主治医を呼び出していたのを2016年、当直医が対応するよう改めた。主治医の残業削減のためだ。処置に落ち度はなかったが「主治医と最期を」との家族の願いはかなわなかった。
同病院は16年6月、労働基準監督署の立ち入り調査を受けた。医師の残業時間が長すぎるとの指摘を受け、主治医制の見直しのほか、17年6月には土曜の外来診療を34科から14科に減らした。
医師1人当たりの平均残業時間は月100時間弱から40時間前後に半減。ただ福井次矢院長の顔は暗い。「サービス低下で迷惑をかけている」

働き方改革法案の一つ、労基法改正案の目玉は時間外労働への上限規制導入だ。
事実上青天井なのを年720時間以内とする。法案通り成立すると施行は19年4月。医師は5年の猶予期間があるが、24年4月以降は上限規制が適用される。
厚生労働省によると病院常勤医は週平均56時間28分働く。所定労働を週40時間で換算すると、時間外労働は年850時間超。労基署の定期監督結果では、医療保健業の労働時間違反率は16年で36%と全体平均の21%を上回り、多くの病院が対策を迫られる。
「運営難に陥る病院が続出し妊婦の4分の1が出産場所を失う」。日本産婦人科医会常務理事の中井章人医師は訴える。
法案を順守した場合の影響を試算した。産婦人科医が不足し、約千カ所ある母子医療センターと一般病院の半数が維持できなくなる。「出産はいつ起こるか分からず、労働時間管理が難しい。慎重に進めないと医療崩壊につながる」
聖路加国際病院の福井院長は縦割り行政にも疑問を抱く。
医師法は医師に診療を拒んではいけない「応召義務」を定める。残業時間の上限を設けた場合、診療すれば労働超過で労基法違反となり、患者の求めを断れば医師法違反になる事態も生じうる。「行政に問うても明確な返答がない」
厚労省の有識者検討会は2月、緊急取り組み策をまとめた。柱の一つは業務移管だ。医師の業務の一部を他の医療職に任せる。専門教育を修了した「診療看護師」などが担い手候補だ。

過剰な権利意識
東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県浦安市)は医師の負担軽減のため6人の診療看護師を置く。その一人、重冨杏子さんは「患者への投薬の用量を決められるなど裁量が大きい」と話す。
課題は大学院で2年学ぶ必要があるなど、養成に時間がかかること。育成コストと時間を考慮すると急増は見込めない。
サービス低下を覚悟で診療体制を見直しても、患者や家族の事情が壁になる例も出ている。
「手術や病状の説明は原則、平日8時30分~17時に限ります」。諏訪赤十字病院(長野県諏訪市)は17年12月、注意書きを張り出した。患者や家族の都合で医師が夜間や土日に時間を割くのをやめた。だが夜間や土日の説明は今も約3割残る。
近郊は高齢世帯が増え、子供と離れて暮らす患者も多い。老いた親が心配でも遠方に住む子供は仕事で平日昼間に来院できない。そんな地域特性から原則を貫けない。
病院が医師を増やせば問題は解決する。ただ病院経営は医療保険制度の上に成り立っており、コスト増はいずれ保険料を払う国民に跳ね返る。
緊急性のない救急外来の利用は控え、総合病院とかかりつけ医を使い分ける。いついかなるときも医療は受けられるもの――。過剰な権利意識を私たちが見直すことが解決の糸口かもしれない。

(日経新聞)



医師を同じ尺度で議論して良いものでしょうか。また、開業医は蚊帳の外です。
by kura0412 | 2018-03-30 09:11 | 医療政策全般 | Comments(0)

終末期医療GLの改訂版、3月上旬にも公表へ
本人の意思を推定できない場合の「代わる者」とは
厚生労働省は、いわゆる終末期医療ガイドライン(GL)に当たる「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するGL」の改訂版を、早ければ3月上旬にも公表する。2月23日、同GLの改訂作業を進めてきた「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」(座長:樋口範雄 ・武蔵野大学法学部教授)が、改訂内容をおおむね了承。同日の会合で出た意見を踏まえた文言修正などを座長に一任した。

同GLは、2018年度診療報酬改定で「地域包括ケア病棟入院料1」2738点(現行比180点増)の算定要件に位置づけられるなど、病院経営にも影響する。同入院料の算定要件としては、GLについて「当該保険医療機関において、厚生労働省『人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン』等の内容を踏まえ、看取りに対する指針を定めていること」となっている。
同GL改訂に向けた柱は、▽死に向かう最終段階で本人が意思決定できない場合を想定し、具体的な医療の内容やケアについて前もって話しておくプロセス「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)の重要性を指摘▽最終段階で本人の意思が確認できない場合に備え、本人の意思を推定する者を前もって定めておく必要性に言及――の2つ。
現在の医療は「ケア」を含んでいるとの観点から、GLの名称にも「ケア」を加え、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するGL」に変える方針だ。

「明記した方がありがたい」全日病常任理事・木村委員
同日の会合では、厚労省が1月17日の会合で出た意見を踏まえてまとめたGL改訂版の案に基づき意見交換した。委員からは、“本人の意思を推定する者”に関する意見が複数出た。日本医師会副会長の松原謙二氏は、家族以外の人も担えると明確にするよう要望。GL改訂版の案で「本人は特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めておくことが望ましい」と記している部分について、「本人は特定の家族や“信頼できる者”等」にしてはどうかと提案した。
一方、全日本病院協会常任理事の木村厚委員は、“本人の意思を推定する者”について、成年後見人制度とは違うと、はっきりさせるべきと主張。「『医療代理人』などとはっきり決め、(GL)にも明記した方がいいのではないか」と述べた。

(m3.com)



今回の改定ではこの議論を織り込んでいるようようです。議論の中に入らなくても終末期を踏まえた医療・ケアを歯科でも考える時代となっています。
by kura0412 | 2018-03-05 16:38 | 医療政策全般 | Comments(0)

特定機能病院7割超に勧告 13~17年、残業巡り労基署 根深い医師の長時間労働

大規模病院で違法残業や残業代の未払いが相次ぎ発覚している問題で、高度医療を担う全国85の特定機能病院のうち、7割超の64病院で労働基準法違反があったとして労働基準監督署が是正勧告し、少なくとも28病院に複数回の勧告をしていたことが23日、明らかになった。

共同通信が2013~17年の関係資料を入手した。藤田保健衛生大病院(愛知県)など5病院に関しては勧告が4回繰り返され、労使協定(三六協定)の未締結や労基署への無届けを指摘された病院も6病院あった。勤務医らの長時間労働の根深さが裏付けられ、医師の働き方改革の議論に影響がありそうだ。
勧告を受けた病院や運営法人の中には、三六協定の上限時間を引き上げることで違反状態を解消しようとする病院もあった。がん研究会有明病院(東京都)を運営するがん研究会は、三六協定に基づく医師の残業上限(月80時間)を超える残業をさせたなどとして16年12月に勧告を受け、「過労死ライン」とされる100時間を大幅に上回る155時間を上限とする協定を結び直していた。
4回の勧告があったのは藤田保健衛生大、奈良県立医大、山口大、愛媛大、長崎大の各病院。長崎大病院は、時間外労働に関する労使協定の上限時間(月80時間)を超える月95時間の残業をさせたなどとして13年3月に是正勧告を受け、17年6月までほぼ毎年、違法残業か割増賃金の未払いで勧告を受けた。未払い分は既に支払ったという。
藤田保健衛生大のほか、千葉大、日本医大(東京都)、横浜市立大、京都府立医大の各病院と静岡県立静岡がんセンターは、医師らとの間に三六協定を結んでいなかったり労基署に届け出ていなかったりしたにもかかわらず残業させたとして勧告を受けた。いずれも現在は協定を結び、届け出もしているとしている。
医師の長時間労働は、診療の求めを原則拒めないと医師法が規定する「応召義務」も一因とされ、厚生労働省の検討会が在り方について議論。患者への説明など一部の業務を他の職種に任せるタスク・シフティング(業務移管)の推進を柱とした緊急対策をまとめた。

(共同通信)




自分の研究、出張(バイト)、他の仕事とは違う部分をどう考えるのか。本音で議論が可能でしょうか。
by kura0412 | 2018-02-27 09:01 | 医療政策全般 | Comments(0)

75歳以上「後期高齢者」のコストは削減可能だ
社会保障費は人口変動を踏まえて決めるべし

1月23日に開催された経済財政諮問会議で、内閣府が「中長期の経済財政に関する試算」(以下、「中長期試算」)の更新版を公表した。これは2018年度予算案が決まったことを受け、わが国の経済財政の今後について、一定の仮定を置いて試算するもので、毎年1~2月と7~8月に2度公表している。
今年の「中長期試算」が示す値の焦点は、今夏にも取りまとめる予定の「経済財政運営と改革の基本方針2018」(以下、「骨太方針2018」)で定めることとなっている、基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の達成時期とそれを実現する具体策だ。特に、消費税率を10%超に上げないことを前提とした財政健全化を検討するなら、歳出の効率化、無駄な支出の削減を積極的に進めていくしかない。

第2次安倍内閣以降でも、歳出改革には取り組んできた。2015年6月に閣議決定された「骨太方針2015」の中では、「経済・財政再生計画」として、2018年度予算までの財政運営について定めた。2016~2018年度を集中改革期間と位置付け、第2次安倍内閣以降の当初3年間で、国の一般歳出の総額の実質的な増加が1.6兆円程度となっていること、うち社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)となっていることを踏まえて、その基調を2018年度まで継続させていくこととした。これらの金額(一般歳出で1.6兆円、社会保障関係費で1.5兆円)は、「歳出改革の目安」と呼ばれた。

3年間で1.5兆円増」の目安は守るが…
「歳出改革の目安」は、2020年度の国と地方の基礎的財政収支黒字化という、財政健全化目標の達成を目指すために設けられた。特に、社会保障関係費の実質的な増加を「3年間で1.5兆円」とすることが、2016~2018年度の予算編成で主要な攻防となっていた。この「3年間で1.5兆円」は、「自然増を年5000億円に抑える」とも解釈されていた。
そして、昨年末に閣議決定された2018年度予算政府案では、その歳出改革の目安を達成することができた。与党内ではいろいろな意見が出されたものの、最終的には安倍内閣として”目安を守る”ことで、規律を維持したのである。
ただし、歳出改革の目安は達成したものの、2016年6月に消費税率の10%への引き上げを2019年10月へ延期すると決めたことと、2017年9月に2019年10月の消費増税時に使途を変更し歳出を拡大すると安倍晋三首相が表明したことによって、2020年度の基礎的財政収支黒字化は達成が困難となってしまった。
これを受けての今夏の「骨太方針2018」である。本連載の拙稿「『年収850万円超の人は増税』がなぜ妥当か」で詳述したように、12月8日に「新しい経済政策パッケージ」として、基礎的財政収支黒字化を目指すという目標自体はしっかり堅持すること、そしてその達成時期と実現するための具体策を「骨太方針2018」に盛り込むことについて、閣議決定がなされた。だから、安倍内閣として基礎的財政収支黒字化を財政健全化目標とするのをやめることはできないし、それを実現するための議論を怠るわけにはいかないのだ。

では具体策の内容をどうするか。もちろん、これからの半年弱で、2020年代にまたがる社会保障をはじめとする諸改革の仔細を事細かく決めることは難しい。そうなると、消費税率を10%超とはしないなら、前掲した「歳出改革の目安」のように、どの程度に歳出を抑制できれば財政健全化目標が順調に達成できるかについて、メドをつけなければならない。
その歳出抑制の要は、やはり社会保障費にならざるを得ない。
政策的経費である一般歳出の半分以上を社会保障費が占めており、社会保障費で何もできなければ、歳出抑制は実効性を失うからだ。
ならば、2016~2018年度に「3年間で1.5兆円」という目安を達成できたのだから、今後も「3年間で1.5兆円」、つまり「自然増を年5000億円に抑える」という目安で、社会保障関係費を抑制しようという話になるのだろうか。
「自然増を年5000億円に抑える」のは、かなり困難だという見方がある。というのは、団塊世代が2022年度から順に75歳以上の”後期高齢者”となり、社会保障費がますます増えると予想されているからだ。2025年度に団塊世代は全員75歳以上となる。75歳以上人口の増加率は、2022~2024年度にかけて、年率約4%と近年にない高い水準となる。

75歳以上の医療費は64歳以下の5倍!
75歳以上となると、1人当たりの医療費も介護費も、それより若い年齢層より格段に多く必要となってくる。年間の1人当たり医療費(2014年度)は、64歳以下で平均約18万円なのに対し、75歳以上は平均約91万円と約5倍。年間の1人当たり介護費(2014年度)は、介護サービスが受けられる65歳以上74歳以下で平均約5.5万円なのに対して、75歳以上は平均約53.2万円と約10倍だ。このように、75歳以上人口が増えると、社会保障費が増大することが予想される。
2022年度からは、団塊世代が順に75歳以上となる時期と、財政健全化を図る時期とが重なる。これでは社会保障費を抑制できないのではないか。そんな時期に「自然増を年5000億円に抑える」という目安を社会保障費で置くのは乱暴だ。そんな見方がある。
が、確かに2022~2024年度はその通りだが、直前の2020~2021年度は、むしろかつてないほど、高齢者人口の増加率が小さくなる時期でもあるのだ。全体の人口が減る中、高齢者がほぼ増えないなら、社会保障費はほぼ増えない。2020年度と2021年度は、医療や介護の単価(診療報酬や介護報酬の単価)が同じならば、高齢者人口もほぼ同じだから、逆に「自然増を年5000億円」も必要としない、可能性が高い。
何せ、2016~2018年度で「3年間で1.5兆円」を達成したが、そのときでさえ、75歳以上人口の増加率は年平均3.31%と、それなりに高い増加率だったのである。また65歳以上人口の増加率も、低下傾向だったとはいえ、年平均で約1.7%だった。それだけ高齢者人口が増えて、それに伴い社会保障費も増えて不思議ではないのに、「3年間で1.5兆円」としても、医療や介護の体制を根底から崩壊させるようなことを起こさずに乗り切ってきたのだ。
これには、介護や医療で人材不足なのに、処遇改善ができなかったのは、「予算をケチったからだ」との見方もあるが、国民が増税に応じるならまだしも、そうでない以上、給付と負担のバランスを何とか取りながらうまく維持してきた、といってよい。
確かに、2022~2024年度に「3年間で1.5兆円」という社会保障費の抑制の目安を立てるのは、医療や介護で無理を強いることになりかねないが、65歳以上人口や75歳以上人口の増加率がかなり下がり、高齢者人口の増加率が一服する2020~2021年度には、高齢者人口が増えない分、社会保障費も増えないという実態をしっかりと反映した、予算編成が必要である。2020~2021年度には、社会保障費をこれまで以上に抑制しても、高齢者人口が増えない分、抑制が可能になる時期なのである。

65歳以上は2020年代に実はほとんど増えず
おまけに、65歳以上人口は2000年代に年率約3%で増えていたが、2020年代には小数第1位を四捨五入すれば0%になる。つまり、ほとんど増えないといってよい。65歳以上人口がほとんど増えないということは、医療や介護ではなく、65歳から基礎年金を受け取るという前提に立てば、年金の給付費が(物価や賃金に連動する分を除き)ほとんど増えないということだ。これも社会保障費の自然増が少なくて済む要因になる。
今夏の「骨太方針2018」に盛り込まれる財政健全化目標を達成するため、具体的かつ実効性の高い計画として、社会保障分野では、こうした人口変動の”機微”をしっかり踏まえたものにしてもらわなければならない。

(土居 丈朗 ・東洋経済ONLINE)




このあたりの年代別のシュミレーションを詳しく分析をする必要があるようです。
by kura0412 | 2018-02-09 16:47 | 医療政策全般 | Comments(0)