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改正健保法が成立 マイナンバーカードを保険証代わりに

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにする改正健康保険法などが15日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。2021年3月までの利用開始を目指す。公的手続きなどをネット上で済ませられるデジタル社会づくりを後押しする。

健保法を含む8つの法律を一括で改正する。マイナンバーカードの普及率は現在1割強にとどまる。健康保険証代わりに使えるようにして利用者を増やす。健康保険組合も保険証を発行するコストを減らせる。
今回の法改正では外国人労働者の受け入れ拡大に対応し、健康保険の適用対象を厳しくした。給付を受けることができる扶養家族を原則、国内居住者に限る規定を盛り込んだ。医療費の抑制や不正利用の防止が狙い。同規定は20年4月に施行する。
4月に始まった新たな在留資格「特定技能」で日本で働く外国人労働者が増えるとみられる。母国に残した家族の医療費も日本の健康保険で賄えば、医療費の膨張につながるとの指摘があった。

(日経新聞)



今後普及して税と医療を統合的に管理することになるのでしょうか。
by kura0412 | 2019-05-16 09:52 | 医療政策全般 | Comments(0)
「医療を守るには、そんなにお金のかかることではない」財源確保で議論

第30回日本医学会総会で4月27日、学術プログラム「超少子高齢社会を乗り切る医療制度改革と財源選択」が企画され、医療費の財源確保について議論した。座長の二木立氏(日本福祉大学名誉教授)は「医療費は対GDP比で見るのが適切であり、今後漸増するが、急騰はしない」と強調した。

二木氏は冒頭に「医療費・社会保障給付費の規模は対GDP比で見るのが適切であり、政府の公式推計では、この比率は今後漸増するが、急騰はしない。そのため、医療費の抑制ありきの行き過ぎた改革は避け、国民皆保険制度を堅持しつつ、良質で公平な医療を効率的に提供するための改革を着実に進める必要がある」と強調した。

慶応義塾大学商学部教授の権丈善一氏は「今後の日本を乗り切る医療制度改革と財源選択」として、自身が担当した2013年の社会保障制度改革国民会議の報告書や日本医師会・医療政策会議平成28・29年報告書『社会保障と国民経済』について解説した。「先入観を変えてもらわないといけない」と強調し、日本の生産年齢人口一人当たり実質GDPは世界的に見ても健闘していると説明。「デフレ下でも日本の経済はしっかり成長しており、日本はそんなに大きな病ではない」と述べた。
2018年に公表された「2040年の社会保障給付は現状の1.6倍の190兆円」という内閣府の推計についても、「名目値で見ると1.6倍だが、GDP比で見ると1.1倍ぐらいにしかならない」と説明。医療に関しては1.2倍になる見込みとして、「なんとか財源確保していかなくてはいけない」とし、消費増税の必要性などを指摘した。国の債務が増加の一途にあることについては「孫、ひ孫にどのように素晴らしい社会保障を残していくか。もう守れなくなっている」とした上で、「医療を守っていくのはそんなにお金のかかることではない」として財源調達の議論の重要性を指摘した。

厚生労働省大臣官房審議官の迫井正深氏は「医療制度改革がめざすもの -2025年以降を見据えて」として、厚労省が進める地域包括ケアシステムや働き方改革について説明した。入院医療については、「フェアで適切なデータによる分析を踏まえて、地域医療構想を着実に進めていくことに尽きる」と説明。外来については「『面倒見の良い外来』が重要で、地域にコミットするかかりつけ医の存在が重要になる」と述べた。また、医療と社会は互恵関係として、働き方改革の議論からも患者の意識を変えていくことも必要と指摘した。

産業医科大学医学部公衆衛生学教授の松田晋哉氏は「医療の『見える化』と地域医療構想」として、名古屋医療圏を例に取り、今後の変化について議論した。名古屋圏では大病院の機能分化が進んでおらず、療養病床が少ないとし「本当にこのまま進んでいくのか」。高齢者の慢性期患者をどこで診るかを考える必要があると指摘した。
各地域で進む地域医療構想に関する議論については、高度急性期、急性期は「診療報酬改定と働き方改革で自然に落ち着く」との見解を示した。一方で、今後、急増する慢性期は慎重に検討する必要があるとし、「ドクターは慢性期を甘く見ている。在宅医療が進んでいるが、さらに増やせるのかは各地域でデータに基づいて考えていく必要がある」と述べた。

「日本の医療への信頼度増している」
会場からは患者の受療行動をどのように変えていくべきかという質問が出た。迫井氏は「それぞれが粘り強くやるしかない。働き方改革をやるには地域、患者さんの協力が不可欠。予算をいただければ定期的にキャンペーンをやっていきたいと考えている」と説明。二木氏は「過去30年の範囲では、日本医師会、日本の医療に対する信頼感は強くなっている。マスコミの理解も進んでいる」と指摘した。
医師養成に関する質問では、権丈氏は「18歳人口の100人に1人が医学部進学という状況が続くといずれ供給過剰になる。しかし、現在は足りておらず、育てるのに10年かかる。今の段階で入学者を増やすわけにはいかず、今は無理をしながら調整していくしかない」と説明。二木氏は「医師数の増加が医療費増加につながるというのは学術的には完全な誤り。医師数と医療費は切り離さなければならないというのが共通理解」とコメントした。
高額薬剤の問題については、二木氏は「公的医療が多い国では、医療費は低い。(オプジーボ登場時のように)大騒ぎすることも医療のシステムであり、高額薬剤が個別に出てくることがあるが、いつの間にか公的医療保険が価格を調整する」と説明。迫井氏も「経験則だが、法外な値段をつけると売れない。インターフェロンや透析が出てきたときにも破綻すると言われたが、破綻していない」と述べた。

(m3.com)



この記事を見ての素朴な疑問。「日本の歯科医療への信頼度は増している。」と言い切ってくれる経済学者がいるか否か。またそれを軸に政策展開が可能かどうか。そして財源論を繰り口に議論も必要です。
by kura0412 | 2019-05-08 17:25 | 医療政策全般 | Comments(0)
医薬分業、増殖の温床に

病院から調剤薬局を切り離す「医薬分業」が始まったのは1974年。病院内の薬局は病院と同じ財団などが運営していた。薬を出すほどもうかるので、とにかく量や種類を増やし「薬漬け医療」と非難された。

厚生省(当時)は病院が外部に発行する処方箋の価格を5倍に引き上げ、利益誘導で医薬分業を促した。薬剤師を独立させて医療の質を高めるのが目的だった。病院前に門を構える「門前薬局」が次々に誕生した。
それから40年。厚労省はかかりつけ薬局への転換を促す改革にかじを切った。「25年までに対応できないから辞めます――というならそれは当然ありだ」。厚労省幹部は強い調子でコメントする。「立地頼みで、かかりつけの機能を果たさなくても経営できる状態は、今後のあるべき姿ではない」(同幹部)
昨年からは収益構造にもメスが入った。門前薬局は年400回以上の夜間・休日対応など11の基準を満たさなければ調剤報酬が大幅に落ちる。ただ、UBS証券の高柳満アナリストは「それでも門前薬局は有利。立地を含めた採算性の良さ、悪さを考慮して競争を促さなければ」と指摘する。

(日経新聞)



調剤薬局にも本格的にメスが入ることになるのでしょうか。
by kura0412 | 2019-03-27 11:14 | 医療政策全般 | Comments(0)

予防医療に財政支援

予防医療に財政支援 首相表明 保険者に優遇措置

政府は20日の未来投資会議で、病気予防に積極的に取り組む保険者への財政支援を拡充する方針を示した。安倍晋三首相は「20年来、私も執念深く取り組んできた。今回はぜひ実現したい」と指示した。生活習慣病の重症化を防ぐ取り組みや、がんや歯科の検診の実施率が高い国民健康保険への国の支援を増やす。

30兆円超の医療費のうち3分の1以上を生活習慣病関連が占める。予防医療の取り組みを強化し、患者の重症化を防ぎ医療費の抑制を目指す。
自営業者らが入る国民健康保険には加入者の健康維持や予防の取り組みに応じ約1000億円の公費を配分しており、2020年度予算案から段階的に増やす方向で検討する。
会社員が加入する健康保険組合は健康・予防の取り組みに応じ、高齢者医療向けの支援金の負担を増減させている。加減算の幅を17年度の0.23%から20年度に最大10%まで高める。
政府は介護の予防に取り組む市町村や都道府県に配る交付金も、取り組みの実績を評価して加減している。さらにメリハリをつける方針だ。

(日経新聞)



結果が出るはずの歯科はチャンスです。
by kura0412 | 2019-03-22 08:53 | 医療政策全般 | Comments(0)
管理職の薬剤師、複数地域で兼務
人手不足改善へ規制見直し

厚生労働省は薬局の管理職にあたる管理薬剤師について、複数の薬局を兼務できるよう2019年度中にも規制を緩和する方針だ。薬剤師は人手不足が問題となっている。人員配置を柔軟にできるようにして地方の店舗網を維持し、患者が不便にならないようにする。経営の自由度が高まることで業界再編が促される可能性もある。

薬局は病院とともに地域医療を支える重要なインフラだ。国内の薬局数は17年度末時点で約5万9千店。約5万8千店あるコンビニよりも多いが、立地が市街地に偏り、地方で不足している問題がある。
過疎地では医師不足で病院の診療日が少なく患者数も少ない地域があり、近接する薬局は採算が合わず閉鎖に追い込まれることがある。北海道と青森県では20以上の市町村で薬局がゼロ。長野県や沖縄県など4県でも10以上の市町村が無薬局地域になっている。
厚労省は法律で薬局ごとに義務付けている管理薬剤師の配置を緩和することで、過疎地の薬局不足の対策に乗り出す。

薬局の運営者は一定の経験を持つ薬剤師を管理薬剤師として任命し、医薬品の管理や服薬指導、従業員の配置などの責任を持たせる必要がある。管理薬剤師は原則として1カ所の薬局の専従で、別の薬局を兼務できない。
現在も各都道府県知事が許可を出せば兼務することは可能。ただ、これまで実際に許可されたケースは、非常勤の学校薬剤師など例外的なものに限られている。明確な基準がないため、都道府県が新たな許可を出しにくい状況という。
管理薬剤師の兼務要件が緩和されれば、1人の管理薬剤師が複数の店舗を担当できる。患者数が少ない地域でも営業日数を限定して店舗を維持しやすくなる。厚労省は兼務を許可した場合、医薬品の管理や供給体制にどんな影響が出るかについて検討している。
厚労省は自治体とも意見交換し、どんな条件を確保すれば兼務できるかといった勤務要件の緩和基準を明確にする。18年度中に結論を出し、19年度中にも各都道府県に通知する方針だ。
薬局は過疎地で不足する一方、都市部では飽和感が強い。調剤機能を強化するドラッグストアや調剤薬局大手による中小薬局のM&A(合併・買収)が活発になっている。
ただ店舗網の拡大の際に薬剤師の不足がネックになるケースも多い。管理薬剤師の兼務を解禁し、人手不足の環境下でも薬局運営をしやすくなれば、店舗網の地域拡大やM&Aの動きがさらに活発になる可能性もある。

(日経新聞)



働き改革、専門職不足の現在、こんな動きも可能になってきました。歯科界ももっと柔軟な発想をもって動きことで実現も可能かもしれません。
by kura0412 | 2019-03-05 12:59 | 医療政策全般 | Comments(0)
マイナンバーカード、全病院で保険証に 21年3月から

政府は2021年3月から原則すべての病院でマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする。カードは制度開始から3年たっても普及率は1割にとどまる。マイナンバーカードで健康保険証を代用できるようになれば、カードを取得する人が増えると期待する。カードの普及を通じて北欧諸国などに比べて遅れるデジタル社会づくりを加速する。

マイナンバーカードがあれば、現在では政府が運営するサイト「マイナポータル」を通じて認可保育所の利用申請などの行政手続きがネットでできる。納税手続きをネットでする際の本人確認にも利用できる。マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しや印鑑登録証明書などが取得できる自治体もある。
18年12月時点でマイナンバーカードの交付実績は1564万枚と人口の12%程度。菅義偉官房長官が近く関係閣僚に普及に向けた対策を指示する。政府が今国会に提出する健康保険法改正案にマイナンバーカードを保険証として利用可能にする規定を盛り込む。関係省庁で作業部会を設ける。
政府はマイナンバーカードの個人認証機能を納税手続きなど行政分野に限らず、民間サービスにも広げるよう目指す。13年に世界最高水準のIT国家を目指すと閣議決定し、様々な手続きがネット上で完結するデジタル社会づくりを進めてきた。

マイナンバーカードの普及はデジタル社会づくりの中核と位置付ける。
「社会コストが減り、個人や企業の手間も省ける。生産性が向上し、経済成長する」(ニッセイ基礎研究所の清水仁志研究員)
まずマイナンバーカードの裏面に搭載されたICチップを医療機関の窓口の読み取り機にかざす。診療報酬に関する事務を担う社会保険診療報酬支払基金から健康保険証の情報が病院に自動送信される。
窓口で職員が情報を書き取る手間はなくなる。読み取り機のない診療所や病院には導入資金や改修費用を補助する。
健康保険組合の判断で健康保険証をマイナンバーカードに切り替えれば、保険証の発行コストはなくなる。政府はカード利用の協力を健保組合や病院に呼びかける。
電子化された健康保険証の情報と患者のレセプト(診療報酬明細書)の情報はひも付けることが可能だ。医者は患者の同意があれば過去の処方歴を簡単に把握できるようになる。
マイナンバーカードのICチップは外部から読み取られる恐れがなく、他人によるなりすましはできない。病院窓口の読み取り機にはカードの顔写真から認証できる仕組みも採り入れる。有効期限が切れた健康保険証の利用を防止する。

(日経新聞)



予想はされていた動きですがいよいよ実施のスケジュールが示されました。診療所への波及はいつ頃になるのでしょうか。
by kura0412 | 2019-02-14 08:54 | 医療政策全般 | Comments(0)
社会保障改革 停滞一段と
統計問題対応 議論は宙に

統計の不適切調査の問題が重荷となり、政府・与党内で社会保障改革が一段と停滞する懸念が出ている。もともと夏の参院選など大型選挙を控えて痛みを伴う改革に踏み込みにくいうえ、統計問題が有権者の反発を招く恐れが強いためだ。厚生労働省や財務省は参院選後を見据えて改革論議に着手する段取りを描いてきたが、戦略の見直しを迫られる可能性がある。

厚労省は、不始末が相次いで発覚している統計問題に職員を大量投入せざるを得ない事態に追い込まれている。
例えば、社会保障改革の柱となる医療保険での患者の自己負担の見直しなどを担当する保険局。鹿沼均総務課長は急きょ、特別監察委員会の事務局となっている人事課に併任がかかった。一方、「消えた年金」問題の際の経験から、社会保障を担当する伊原和人審議官らは雇用保険などの追加給付問題に対応する。
高齢化がピークを迎える2040年に向けて、社会保障と働き方改革を同省幹部が議論するプロジェクトチーム(PT)を18年10月に置いた。リーダーの藤沢勝博氏は、1日更迭された大西康之前政策統括官の後任。健康寿命の延伸に向けた工程表などを夏にもまとめる計画だが、議論の停滞は避けられない情勢だ。

厚労省の予算を査定する財務省主計局の職員も年末から統計問題に追われている。
立憲民主党など野党が国会内で開くヒアリングにも連日出席。同省幹部は「本丸の社会保障改革の議論が何も進んでいない」と嘆く。
19年度予算案の社会保障費は予算総額の3分の1を占める34兆円に達する。税金や社会保険料などで賄う給付費全体でみると、40年度には18年度の6割増の190兆円に達すると政府は試算している。高齢者の負担増を含む給付と負担の見直しをせずに制度の持続性を保つことは難しい。

だが統計問題で状況は一変した。
ある財務省幹部は「年明けから社会保障改革を本格化したかったが、当面は難しい」と肩を落とす。統計問題が発覚する前は「参院選後をにらんで医療、介護、年金だけでなく、女性の社会進出や子育て支援まで幅広い議論を始めたい」と話していた。
そもそも改革議論の歩みは遅い。後期高齢者の病院での窓口負担の1割から2割への引き上げや外来受診時の定額負担などは手つかずだ。安倍政権が掲げる全世代型社会保障をめぐっては、今夏までは70歳までの就業機会の確保など雇用改革に優先的に取り組む。
高齢者らに負担を求める医療や年金などの改革は、参院選後から安倍晋三首相の自民党総裁任期が終わる21年までを見据えて進める想定だ。
もっとも、与党からは財務省や厚労省に「方向性も出さないまま、選挙が終わっていきなり改革案を示すのは有権者への裏切りだ」との声も伝わっていた。このため両省は給付の見直しを含めた議論を加速させようと、与党への根回しに動く準備をしていた。だが現状ではまともな政策論議を進められる状況になく、自民党内では「統計問題とは切り分けて考えるべきだが、厚労省に対する国民の不信感が高まるなかで社会保障改革は難しい」との声が漏れる。

(日経新聞)


同紙では今回の統計問題で薬価への影響精査という記事もありました。厚労省の統計問題が、歯科界にも影響を及ぼしそうな状況になっているようです。
by kura0412 | 2019-02-07 09:02 | 医療政策全般 | Comments(0)
医師会は圧力団体ではなく「命と健康をあずかる団体」、会長が反論

日本医師会は、その政治力と、政策提言能力には定評があり、日本最強にして最後の「圧力団体」と呼ばれる。しかし、日本医師会の会長は「圧力団体ではない」と反論する。医療改革や診療報酬について聞いた前編に続き、日本医師会の横倉義武会長のインタビューをお伝えする。

「圧力団体」というイメージを払拭したかった
──横倉さんが会長を務める日本医師会(=日医)は、その他の業界団体が力を落とし、存在感を薄めていく中で、日本最強にして最後の「圧力団体」とも呼ばれています。政官界への政策提言力の強さには定評があり、一強状態となっている安倍政権でさえ、その存在は無視できません。しかも、横倉会長は連続4期当選で、坪井栄孝第15代会長(1996~2004年、元世界医師会長)以来、凋落を続けていた日医に勢いを取り戻し、近年まれに見る盤石な基盤を持つ会長と見られています。

横倉 そんなことはないと思いますが(苦笑)、私が医師会会長になって一番やりたかったことの1つに、日医の持つ「圧力団体」のイメージを払拭したかったというのがあります。

メリットをうまく伝えられず会員数は頭打ち
確かに日医は、下部組織として47都道府県医師会、全国891の郡市区等医師会を持ち、現在17万人が会員となっています。しかし、医師免許を持った人が約30万人程いるので、60%程度の加入率なんです。1916年(大正5年)に北里柴三郎博士によって創立されたときは、3万人にすぎない組織でしたから、そのときと比較すれば大幅に伸びていますが、頭打ちになっているという側面は否定できません。
背景には、今の若い医師や医学生が、医師会の会員となることに疑問を感じていることがあります。メディアからは、「政治を裏で操っている圧力団体」というイメージをつけられてしまっていますし(笑)。でも、一番の原因は、医師会の会員となる意義を若い医師にうまく伝えてこられなかったことだと感じています。
例えば、学問的な部分は学会を中心にしてやっているんですが、医師会には生涯教育制度というのがあって、組織的に日々進歩する医学を学んでいます。これは若い医師にとって非常に有意義なものです。
もう1つのメリットとして、各地域で連携して顔の見える関係が作れるということもあります。どういう医師が、どういう力量をもって診療を行っているのかといった情報を得ることができるわけですね。また、行政とのやり取りについてもスムーズに進めることができます。
医師個人という点では、医師年金制度があります。民間では最大規模ですし、国民健康保険組合も持っていますので、健康保険に入ることもできるのです。

──日医に「政治を裏で操る圧力団体」としてのイメージがついたのは、何かきっかけがあるのでしょうか。診療報酬改定時には、「厚労族議員」と呼ばれる政治家がプラス改定を目指す厚生労働省と共闘し、官邸や財務省と丁々発止の争いを繰り広げることはよく知られています。実質的な有権者の年齢層を考えれば、族議員の動きは当然ではありますが、やはりここまで発言力のある団体は他に見当たりません。

批判の声をいろいろ頂戴していることは、われわれも承知しています。しかし、「日医の実態とは乖離しているな」というのが本音です。日医は、決して圧力団体ではありません。
圧力団体と呼ばれるようになったのは、日本国民全てが「公的医療保険」に加入する「国民皆保険制度」が全国的に整備された際に、一致団結して戦った歴史を指しているのだと思います。1961年のことです。それまでは「自由診療」といって、診療側が診療費用を勝手に決めることができたので、医師によっては「金持ちしか診ない」という時代がありました。それを平等にしたのが、国民皆保険です。
実は国民皆保険がスタートするとき、「高い薬を使ってはいけない」といった制限があったのですが、日医として「制限医療はすべきではない」という論陣を張り、「1日保険診療をしない」「保険医の辞任届けを全国的に提出する」といった対抗策で、徹底抗戦したことがありました。
実際は、保険診療こそしなかったものの、通常診療は全部やっていたのですが、マスコミは、「国民の健康を人質にとるのか」とわれわれを批判した。“喧嘩太郎”の異名を取った武見太郎第11代会長(1957~82年、元世界医師会会長)の時代です。
武見先生は、外相や総理大臣を歴任した吉田茂と親戚だったので、政治的な力を非常にお持ちでした。私は1度だけ、武見先生の講演を聞きに行ったことがありますが、オーラが違った。今の日医執行部で武見先生に会ったことがあるのは、私だけになってしまいましたが(苦笑)。
いずれにしても、そのときにマスコミともかなりもめて、かつ一歩も退かなかったことが「圧力団体」としてのイメージを決定づけたようなところはあります。

かかりつけ医の拡大に注力した
──横倉さんが会長に就任して以降、ずいぶん医師会が“開かれた”感はあります。以前は、閉鎖的な雰囲気で何をしているのかよくわかりませんでしたが、イメージアップのキャラクター「日医君」ができたり、メディアでも積極的に発信なさっているせいか、明るくなったように感じます。

今、私は4期目ですが、日医の持っていたイメージに変革をもたらし、医療制度の改革を目指すには、これだけの年数が必要でした。
医療制度でいえば医療提供体制の改革、具体的にいえば「かかりつけ医」を広めることに注力してきました。かかりつけ医とは、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」です。日常的な診療や健康管理などを家族ぐるみで行ってくれる医師です。
入院医療は、高度急性期、急性期、回復期(リハビリテーション)、慢性期の4つのカテゴリーに分かれていて、高度急性期と急性期の改革はだいぶ進みました。日本の場合は「介護」という優れたパッケージがあるので、今は慢性期の医療と介護との垣根をできるだけ低くしようとしています。
そうした改革と前後して、日医の中から「もっと患者さんに寄り添う医療を定着させなくては」という声が上がり、うまれたのが「赤ひげ大賞」です。地域医療の大切さをアピールする事業として創設されたもので、「地域に密着して人々の健康を支えている医師5人」に毎年1回、贈られます。
今年で7年目ですが、表彰された医師からは、「総理大臣賞をもらったような気分だ」という感想をいただいています。事実、安倍晋三首相にも出席いただいたこともありますし、皇太子殿下にもご来賓いただきました。

診療費の取りこぼしを防ぐためのIT化を進める
── 一方で、開業医の中にも格差が生じています。儲かる病院かそうでないかは、医術以外の能力、例えば場所や信頼感など総合的な要因が背景にあるとは思うのですが。

そうですね。難しい問題ですが、少なくとも、診療費の取りこぼしがないようにはしたいと考えています。2019年度予算には「ICT化促進基金」が300億円ついています。オンラインでの資格確認(マイナンバーカードのリーダーを医療機関に整備する際の補助)と、標準化された電子カルテの普及を促進させるための費用です。
これまでは月末にならないと、被保険者の保険証が使用できるか分からなかったため、現場では「診療報酬が支払われないのではないか」という不安が少なくなかった。中には、同じ保険証を持って1日に何ヵ所も医療機関を回り、薬を入手して、ネットで転売していたという悪質なケースも確認されています。しかし、機械を導入することで、そうした事例を防げるだけでなく、医療機関が診察費を取りこぼすといったこともなくなります。

都市部と地方で格差,過重労働解消が必要
保険外診療で多額の利益を得ている病院も都市部にはありますが、安全性・有効性が確認された医療は保険診療で行うべきです。「混合診療」は経済格差が医療を受ける際の格差に直結するのでよくない。医療の本質は、公的な医療保険でカバーすべきであると考えているからです。
そのためにも、現場の過重労働を減らさなくてはいけない。人を増やすだけの診療報酬の手当てがなされていないので、地域医療を支えるために相当な時間外勤務がなされているのが現実です。
働き方改革の一環として、時間外勤務を抑制していこうという議論が始まっていますが、その人件費に見合うだけのお金の負担については、一切、話し合われていません。今年、議論しなくてはいけない課題の1つです。
私たちは、あくまで国民の皆さんの命と健康をあずかる団体だと受け止められるようにこの8年、努力をしてきたつもりですし、今後、国民の皆さんにもそう理解をいただきたいと考えています。

(DAIAMOND ONLINE)



日医が「命と健康をあずから団体」ならば日歯も同じでしょうか?
by kura0412 | 2019-01-31 09:35 | 医療政策全般 | Comments(0)
オンライン資格確認の導入で関連法改正案を今国会提出へ - 医療保険部会で厚労省が方針

厚生労働省は17日、社会保障審議会医療保険部会で、オンライン資格確認の導入などを盛り込んだ関連法の改正案を今通常国会に提出する方針を明らかにした。

今通常国会に提出するのは、
「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」(仮称)。
健康保険法や国民健康保険法、高齢者医療確保法などの一部を見直した上で、
▽オンライン資格確認の導入▽オンライン資格確認や電子カルテなどの普及のための医療情報化支援基金の創設
▽NDBや介護DBなどの連携・解析▽高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施―などを進めたい考えだ。
オンライン資格確認は、マイナンバーカードなどでオンラインによる被保険者資格を確認する仕組みで、これを導入することによって、失効した保険証の利用による過誤請求や未収金の減少、事務コストの削減といったメリットが得られるという。国はオンライン資格確認の本格運用を2020年度中にスタートさせる方針だ。

(キャリアブレイン)



データベース化としては有意義でも、実際の内容までは分かりませんが、注意して対応しないといざ実施となった時いろいろと問題が出てくるかもしれません。
by kura0412 | 2019-01-18 16:52 | 医療政策全般 | Comments(0)
社会保障、遠のく改革 19年度予算案
1兆円増、切り込み不足 高齢者医療負担など課題

政府が21日閣議決定した2019年度予算案で、社会保障費は34兆円に達した。18年度当初に比べ1兆円あまり増えた。夏の概算要求から抑制したのは約1200億円にとどまり、全体の規模からみれば切り込み不足に終わった。団塊の世代が全員75歳以上になる25年度が迫る中、負担と給付を見直す社会保障改革の実現はむしろ遠のいている。

「今年の年末は嵐の前の静けさでしょう」。
11月下旬、19年度予算編成のさなかにもかかわらず、厚生労働省幹部は淡々としていた。
19年度は10月に消費増税を控えている。同省内では、医療や介護など社会保障で同時に負担増を求めることは困難との見方が大勢。例年以上に改革機運は乏しかった。
19年度予算編成は過去3年間と異なり、高齢化に伴う自然増の具体的な目安額を設けなかった。16~18年度はいずれも5000億円程度に抑える目安があった。このため抑制が緩むと指摘されていたが、自然増を4768億円に収めたという結果からすれば一定の抑制が効いたといえる。
ただ、個別の抑制策をみると、既に決まっていた制度改革の実施と薬価の引き下げだ。高収入の会社員の介護保険料引き上げで約610億円分を削減したが、17年度から4年かけて実施中で、既にあてがついていた。事実上、薬の公定価格を実勢価格に合わせて下げる「薬価改定頼み」というのが実態だった。
収入の少ない後期高齢者の医療保険料負担を軽減する特例の段階的な廃止についても、厚労省内に先送り論があった。16年末に閣議決定していた措置だが、消費増税と重なるため20年4月に先送りすべきだとの意見だ。結局、予定通り19年10月に実施するが、浮いた170億円は別の社会保障予算に回る。

政府の経済・財政政策の想定スケジュールを示した改革工程表を見ると、残された課題は多い。目玉に掲げている75歳以上の後期高齢者の病院での窓口負担を1割から2割に引き上げる措置や、外来受診時の定額負担などは、ほぼ手つかずだ。
全世代型社会保障を掲げる安倍政権は19年夏ごろまでは70歳までの就業機会の確保など雇用改革に取り組む。医療や年金などの抜本改革は19年秋以降から21年度までを見据えて進める構え。19年夏の参院選や消費増税をにらんで、負担増や給付減の議論をしにくいとの事情がうかがえる。
ただ、社会保障改革に残された時間は少ない。22年から団塊の世代が後期高齢者になっていく。後期高齢者の1人あたり医療費は年間91万円。65歳未満の5倍近くで、社会保障費の急増が予想される。
加えて負担増を強いられる人が多くなるほど、制度の見直しに抵抗が強まり、改革が進みにくくなりがちだ。
政府の推計では高齢者人口がピークを迎える40年の社会保障給付費は190兆円にのぼる。18年度に比べ6割増だ。思い切った改革で持続可能性を高めなければ、将来不安はいつまでも払拭できない。

(日経新聞)
by kura0412 | 2018-12-22 11:12 | 医療政策全般 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412