2019年 07月 29日 ( 1 )

歪んでいる歯科界の現象か

歯科医が愛娘に"うちは継ぐな"と言うワケ

周囲の閉院。増える患者。それでも……
過当競争の中、生き残りのため戦略的経営を余儀なくされる歯科医業界。職人的な「医者」のイメージとはほど遠く、経営コンサルを受けSEO対策に躍起になる歯科医も少なくない。だが一方で、そんな業界の風潮の中、昔ながらの方法で細々と診療を続ける地方歯科医も存在する。

舞台は関西地方にある人口14万人の小さな地方都市。この地で26年前に開業し、歯科医院を営んできた関さん(仮名)に話を聞いた――。
世間では歯科医院が増えすぎて、国が歯科医師抑制政策を行っているくらいですが、ここではそんな実感はありません。市内では過去6年間に8軒もの歯科医院が閉院し、新規開業は1軒もないという状況で、むしろ医院は年々減っています。ここは世間の流れに逆行した場所だと思っています。
寂しいことですが、当院の半径1km以内でもここ2年間で2軒の歯科医院が閉院しました。その影響で、当院には新規の患者さんが急増しています。現在、1カ月の患者数は210~260人ほどです。
患者さんが増えるのはありがたいことではありますが、最近は視力が下がり、1日にたくさんの患者さんを診ることができなくなりました。そのため、営業日数を増やしてなんとかこなしています。
もう50代も半ばなので体力的にきついときもありますが、月曜日から土曜日まで週6日間フルタイムで診療しています。
最近は10分刻みで予約を入れる歯科医院もあるようですが、私は患者さんには時間をかけて誠実に向き合いたいと思っています。その結果、長時間仕事に従事することになるわけですが、歯科医としてこの姿勢を崩すつもりは絶対にありません。
歯科医経営に馴染みのない方から見れば、「これだけ診療していれば、さぞ利益が出ているんだろうな」と思う方もいるかもしれませんが、実は収益はトントンです。保険診療費が安すぎるため、私がフル回転しても利益はほとんど出ないのです。収入は医院の維持費と家族の生活費でほとんどが消えます。

利益を得るためには、非保険診療にシフトしていくべきかと思うこともありますが、患者さんが求めていないのに、高額なインプラントやホワイトニングを勧めることはしたくありません。また、巷ではコンサルを受けて戦略的な経営を行う医院も増えていると聞きますが、増大する新規患者の治療計画の作成と既存患者のメンテナンスに追われて、私には経営のことを考える余裕はありません。もちろん、患者さんのことを後回しにして経営のことを考えるわけにはいきませんから、来る日も来る日も日々の診療を実直に行う毎日です。

「うちは継ぐな」。娘への本当の気持ち
周りの医院が相次いで閉院していったのは院長の高齢化と後継者不足が原因なのですが、それは他人事ではありません。私には歯科医の娘がいますが、自分の医院では働かせず、都市部の歯科医院で修業させています。
この医院を継がせても、ここを含めて田舎の医院には最新の医療設備などありませんし、立地が悪すぎるのでスタッフも集まらず、ハードな勤務をせざるをえないからです。毎月これだけ多くの患者さんを診ても利益がトントンという現状から、将来利益が上がることもないでしょう。娘の幸せを考えれば、そこまでのリスクを負って、娘に継がせる理由はありません。私がもっと年をとったら、近隣の医院と同じようにここも閉院する運命にあるのでしょう。
今の歯医者業界は過当競争がよく問題視されていますが、田舎の開業医である私から見ると、高齢化も重大な問題だと感じます。私の地域の開業医は60代や70代が多く、50代の私でも若輩者扱いされるほど。国の歯科医師抑制策の影響で若手の開業歯科医がどんどん減少しているからです。

医科の世界も同様ですが、歯科医師の数を減らすのではなく、開業医の地域間格差をなくすように国の政策を変えてもらいたい。後継者不足で町の歯医者が次々と閉院していったら、行き場のない患者たちはどうすればよいのでしょうか。私の医院が閉院したら、多くの患者が市内にあるもう1つの医院へ殺到し、その医院はパンクしてしまうのではないでしょうか。
田舎では、歯科医だけではなく患者の高齢化も深刻です。高齢者の訪問診療をするにしても、それを実現するためには若くて体力のある歯科医のマンパワーが必要不可欠です。若手の歯科医が地方都市に来ない現状では、地域包括ケアの構築など絵に描いた餅にすぎないと思っています。

(PRESIDENT Online)



最近同じように、私よりも若いのも拘わらず体を壊しながらも、物凄い数の患者を診ている先生の話を聞きました。都会は過当競争、そして田舎は歯科医師不足でありながらこの様な状態。歯科界全体が歪んでいるような印象です。
by kura0412 | 2019-07-29 15:55 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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