2016年 03月 08日 ( 2 )

病院受診手配サービス

原点は「医師からの総スカン」、病院受診手配サービス
メットライフ生命とティーペックの「ベストホスピタルネットワーク」

がんなどの重い病気にかかった時、どの医療機関で治療を受けるかは、患者にとって大きな選択だ。かかりつけ医が、必ずしも最適な医療機関や専門医を紹介してくれるとは限らない。「がんの名医」などの情報はちまたにあふれているが、そうした情報はしばしば患者の悩みをかえって深める。
そんな患者に対し、最適な医療機関や専門医を紹介し、受診の手配までをサポートするサービスが、民間から生まれた。電話健康相談や医師紹介を手掛けるティーペック(T-PEC)が仕組みを構築し、メットライフ生命保険が保険商品付帯サービスとして2016年4月に提供を始める「ベストホスピタルネットワーク」だ(関連記事)。
治療方針を決めるに当たり、主治医以外の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」を利用する患者は最近では少なくない。保険商品付帯サービスとして提供されるケースも増えてきた。だが受診までを手配し、専門医療機関での治療への道筋を付けてくれる民間サービスは業界初だ。

このサービスが生まれるまでには、長い道のりがあった。20年以上前、まだセカンドオピニオンという言葉が一般的ではなかった時代に、ティーペックの砂原健市氏(現・代表取締役社長)が知り合いの医師たちから受け取った“冷ややかな言葉”。原点はそこにある。サービス開発に至るまでの道のりと今後の展開について、ティーペックの砂原氏と、メットライフ生命保険の前田晃弘氏(執行役員 コンシューマーマーケティング担当)に聞いた。

“憤り”から起業
もともと保険業に携わっていた砂原氏がティーペックを立ち上げたのは、元号が平成に変わった1989年。きっかけは、母親がくも膜下出血で倒れ、初めにかかった病院から専門病院への転院に時間を要したために、重い後遺症が残ったこと。初診時の病院を「訴えようかと思った」(砂原氏)ほどの憤りが、医療のあり方を変えることを目指した会社を立ち上げる原動力となった。
まず立ち上げたのが、医師や看護師による24時間体制での電話健康相談サービス。
1991年に、生命保険事業者としていち早く同サービスを導入したのが現在のメットライフ生命だった。24時間体制で健康相談を受け付けるというアイデアは各方面で注目を集め、サービス開始から間もなく、砂原氏は通産省(当時)が主催する「モダンヘルスケア研究会」で講演する機会に恵まれる。
それが運命的な出会いの場となった。研究会の座長を務めた、聖路加国際病院院長(当時)の日野原重明氏との出会いだ。「『24時間体制で患者を見守ることには大きな意味がある。医学界ができなかったことに、民間の立場から挑んでいるのは素晴らしい』と励ましの言葉をもらった」(砂原氏)。

「他人の診断にケチはつけない」
当時、健康相談サービスの先に見据えていたのが「名医紹介」だった。砂原氏は20歳の頃、親戚が肺がんと診断され、わずか1カ月で亡くなるという経験をする。ところがその10年後には、末期の胃がんと診断された別の親戚が、有名医の手術で救われるという経験をした。「名医であればこそ、救える命があることを知った」(砂原氏)。そこで、親しくしていた数十人の知り合いの医師に「名医紹介サービス」の構想を話して回った。
反応は冷ややかだった。2つの側面から強い反対にあったという。第1は「日本には世界に冠たる医療制度があり、それは主治医と患者の信頼関係で成り立っている。主治医とは別の医師を紹介したところで、他人の診断に“ケチをつける”医師などいない」(砂原氏)というもの。第2は「医師に対する評価を一民間会社がくだすのか」(同氏)という批判だった。
意気消沈した砂原氏が頼ったのは、ティーペックのサービスに早くから協力してくれていた日野原氏だった。ところが、同氏からも芳しい反応は得られなかった。「同じ病院内でも、『第一外科』と『第二外科』では使う手術器具までもが違っていたりする。まして、医師が異なる医療機関の医師に接点を求めることは非常に難しい」(砂原氏)と諭されたという。

医学界を横断するネットワークをつくる
あきらめきれなかった砂原氏は、1994年ごろから「医学界を横断するようなネットワークを作ろうと動き始めた」。日野原氏の紹介などを通じ、7つの旧帝国大学医学部の教授など、医学界の権威たちとのコネクションを次々に作っていった。
医学界は「“徒弟制度”の伝統が残る世界。ネットワークを作りたいなら“上から”作れ。こんなアドバイスに従った」(砂原氏)。こうして「ドクターオブドクターズネットワーク(Doctor of Doctors Network)」と呼ぶ、国内有数の医療機関とそこに勤務する専門医から成るネットワークが徐々にできあがっていく。
砂原氏はまず、このネットワークを生かしてセカンドオピニオンサービスを始めようと考えた。だが、そこに至る道もいばらの道だった。大学病院のような有力医療機関からセカンドオピニオンサービスへの協力を取り付けるには「業務提携という形を取らなくてはならない。ところがそれには理事会や教授会の承認が必要で、一民間企業にはハードルがとても高かった」(同氏)。
それでも粘り強く交渉を続け、知己を得ていた武藤徹一郎氏(現・東京大学名誉教授、がん研有明病院名誉院長)が副院長に就任していたがん研有明病院などと、数年がかりで契約にこぎつける。2003年ごろからセカンドオピニオンサービスを本格的に開始することになった。
このサービスでは、各診療科の「総合相談医」との電話や対面での相談を、カウンセラーがアレンジ。
対面でのセカンドオピニオンでより高度な専門性が必要と判断された場合には、その分野の専門の臨床医を紹介する。総合相談医や専門の臨床医としてこれに協力するのが、ドクターオブドクターズネットワークの医師たちである。

「安心感」で終わらせない
セカンドオピニオンに必要な紹介状に2006年から保険が適用されるなどの追い風もあり、セカンドオピニオンはその後、広く一般に浸透する。この間、ティーペックはサービス体制を拡充。現在までに、ドクターオブドクターズネットワークに協力する全国の医療機関はおよそ100施設、評議員・総合相談医を務める医師は500人近くに達した。
ただしセカンドオピニオンはあくまでも、他の医師の意見を聞いた上で主治医のもとへ戻ることが前提だ。「主治医の判断に対する賛同を得たという安心感が、セカンドオピニオンの効用であることが実際には多い」(砂原氏)。
がんなどの疾患の治療実績は、医療機関によって大きなばらつきがある。患者にとってはその中から最適な医療機関を選ぶことが望ましいが、自身や主治医の判断で最適な施設を選び、受診にまでこぎつけることはしばしば困難だ。従来のセカンドオピニオンサービスでこの問題に応えることは難しい。
そこでティーペックが、かねて協力関係にあったメットライフ生命とも協力して開発したのが「ベストホスピタルネットワーク」だ。従来のセカンドオピニオンサービスとの大きな違いは、その患者に最適と考えられる医療機関の紹介・手配までを担うこと。主治医が自分では対応できないと判断した症例について、患者がティーペックに受診先の紹介・手配を依頼。紹介・手配が可能な場合、患者が主治医に紹介状を依頼した上で、ディーペックが手配した医療機関を受診する仕組みだ。
2016年4月に、メットライフ生命が保険商品付帯サービスとして提供を始める。既に24の医療機関から協力を取り付けており、この数をさらに増やしていく計画だ。

保険のターゲットも“病気以前”へ
メットライフ生命にとって今回のサービスは「消費者としての目線も持つ保険加入者に訴える、差異化要素になる」(前田氏)。同社はこれまでも、ティーペックとの協業などを通じ、業界を先駆けるサービスを開発してきた。
2013年には、ティーペックによる「ガン総合サポートサービス」「メンタルヘルスサポートサービス」「糖尿病総合サポートサービス」を保険商品付帯サービスに追加。ガン総合サポートサービスについては、業界初をうたう「粒子線治療サポートサービス」の提供も始めた。先進医療の対象となる重粒子線や陽子線によるがん治療をサポートするものだ。がんに罹患した加入者が粒子線治療を希望した場合、総合相談医の面談を実施し、必要に応じて治療施設を紹介する。
近年のサービス開発でメットライフ生命が強く意識しているのが「病気になった“後”をサービスの対象と捉えるのではなく、病気になる“前”を含めたサービスを提供していく」(前田氏)との視点だ。治療から「発症予防」「重症化予防」へと医療の比重がシフトしつつある中、保険会社にとってもこうした流れに即したサービス開発が必要になってきた。

ウエアラブル活用も視野
そうした取り組みの1つが、検診の重要性を広く訴える活動だ。例えばメットライフ生命はGEヘルスケアと組み、若い女性をターゲットとした乳がん検診の啓蒙活動に取り組んでいる。
技術にかかわるイノベーションも今後、保険サービスのあり方を大きく変える可能性があると前田氏は話す。例えば「ウエアラブル端末を取り込んだサービスなどが考えられる」。ウエアラブル端末で加入者の生活習慣や健康状態を可視化し、それを保険と連動させるようなサービスだ。
技術だけでなく「業種の壁を乗り越えるような、ビジネスモデルのイノベーションも重要な要素」(同氏)。ティーペックとともに、民間企業が医学界に深く入り込むことで実現したベストホスピタルネットワークは、それに先鞭を付ける取り組みとなる。

【日経デジタルヘルス】
by kura0412 | 2016-03-08 14:18 | 医療政策全般 | Comments(0)
衆参同日選の可能性「ほぼゼロ」~安倍・菅両氏を取材して、この結論にたどり着いた

安倍・菅両氏と話して得た感触
来年度予算案が衆院を通過すると、その後の政局の見通しを書くのが政治報道の習わしである。各新聞社の記事を読み比べると、各紙がどんな政局観を持っているかが浮き彫りになる。今年の場合、7月の参院選に合わせて衆院選を行うかどうか、すなわち衆参同日選の有無について見立てが真っ二つに割れた。
衆院通過翌日の今月1日付朝刊で、同日選の可能性をもっとも強く示唆したのは朝日新聞だった。「予算案通過、年度内に成立」という型通りの主見出しのわきで「同日選・改憲にらむ首相」という見出しを取った。朝日は今年1月1日付朝刊で「首相、衆参同日選も視野」と書いて以来、一貫して同日選があり得るという視点で報道している。
朝日以外で同日選に触れたのは日経、産経の両紙だ。日経は「消費増税先送り 衆参同日選 首相判断、サミット節目」と、産経は「永田町 ダブル選に照準」とそれぞれ書いている。両紙が同日選の可能性を「永田町の観測」としているのに対し、朝日は本文で「安倍晋三首相が衆参同日選も視野に入れ」と書いている。主語が安倍となっていることが両紙と異なっている。
これに対し、読売、毎日の両紙は同日選に触れず、参院選と書いた。読売は「観測」を報じることはあっても、「首相の意向」として書いたことはなく、朝日とは視点がまったく違っている。

「観測」が広がる根拠は確かに多い。以下、列挙すると――。
①安倍が衆院解散の事実上の前提となる衆院の定数削減・是正に積極的に取り組み、今国会での成立を目指している。
②安倍は憲法改正について「在任中に成し遂げたい」と述べるなど、選挙の争点づくりに励んでいる。
③来年4月に予定される消費税率10%への引き上げる条件について、それまでの「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態」から「世界経済の収縮」と微妙に言い回しを変えた。内外の有識者による「国際金融経済分析会合」も設置すると発表した。これらは5、6月ごろに再増税を断念し、それを同日選で問う布石ではないか。
④沖縄県の米軍普天間飛行場移設をめぐる訴訟で、国が県側と和解したのも基地問題の争点化を避けるためではないか。
これらを「兆候」ととらえ、民主党政調会長・細野豪志は5日、静岡県内の会合で「もはやダブル(同日)選は必至だ」と指摘した。
しかし、どんな兆候、観測があっても、解散権を持っているのは安倍だ。安倍本人と、一心同体で動く官房長官・菅義偉がどう考えているかがカギだ。私は二人とそれぞれ話している。だが、二人とも同日選に極めて否定的だ。言葉遣いはともあれ、彼らの思考回路をたどってみたい。

3分の2を確保することは、実は難しい
彼らが最重視しているのは、衆院で現在公明党と合わせ3分の2の勢力を維持していることだ。これが国会運営の大きな重石になっていることを、彼らは熟知している。
たとえば、昨年秋、安全保障関連法の国会審議で、参院自民党が採決やむ無しという判断を固めた時のこと。党執行部が参院が採決しなければ否決したとみなし、衆院で再可決できる「60日ルール」(憲法59条)の適用を検討し始めたのがきっかけだった。
衆院での3分の2は定数475なので317議席。公明党は30議席前後と仮定すると、自民党は287議席以上獲得しないと、3分の2には達しない。
小選挙区比例代表並立制導入以降、衆院選における自民党の獲得議席は291(14年12月)、294(12年12月)、119(09年8月)、296(05年9月)、237(03年11月)、233(00年6月)、239(96年10月)だった。
290を超える議席数を2回連続して獲得したことは中選挙区時代を含めてない。現在の議席はめったに得ることができない「宝物」であり、安倍政権にとって究極の政権安定装置と言える。
「今、解散したら、自民党の議席は20~30減るだろう。公明党を合わせて3分の2を確保するのは非常に難しい」
これが選挙のプロたちの読みだ。そんな可能性がある衆院解散・総選挙を断行して、参院選における自民党をバックアップする必要性があるのか-。ここが解散を行うかどうかの判断のポイントだ。

「虎の子」を危険にさらす必要はない?
過去2回、7月に行われた参院選の自民党議席は13年が65、10年が51。このうち比例代表当選者は13年が18人、10年が12人だった。
10年は自民党が野党時代のことで、業界団体の多くが自民党から離れていた。それが政権復帰後に戻り、かつ現在の政党支持率や参院選投票動向で自民党は2位民主党に3倍前後の差を付けている。このため、よほどの異変がなければ、比例代表で自民党は「16~18議席を獲得する」とみられている。
選挙区選では、共産党が改選数が1の「1人区」で候補者を降ろし、民主党に協力するため、宮城、新潟、長野、滋賀、三重、岡山などで接戦となりそうだ。しかし、比例議席の上積みによって、自民党が50議席台半ば~60議席程度を獲得するのは可能だ。非改選議席を含めると、自公で過半数を占めるのは確実で、自民党が27年ぶりに単独過半数を取るのも夢ではない。
こうした情勢を踏まえ、安倍、菅は現段階で「虎の子」の3分の2を危険にさらしてまで、同日選に踏み切る意味はないと考えている。これが真実だ。(敬称略)

【田崎史郎・ニュースの深層】




消費税増税延期、W選挙が既成事実のようにいわれている中でしが、この考えには説得力があります。
by kura0412 | 2016-03-08 10:13 | 政治 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412