日経新聞社説では

診療報酬は増額より配分見直しが先決

2010年度の国の予算編成の焦点のひとつは、公的な健康保険や患者が病院・診療所に払う診療報酬の改定だ。政府内では厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会が具体論を始め、行政刷新会議も事業仕分けの対象に取り上げた。

長妻昭厚労相は10年度に診療報酬の底上げを図りたいと述べ、全体の水準を引き上げる考えを示した。財務省への予算要求では具体的な上げ幅を明示しない事項要求とした。
だが初めから「引き上げありき」はよくない。医療費には、医療の内容を効率化して冗費を削る余地がある。大学病院などに勤める医師より診療所の経営者(開業医)のほうが収入が多い配分のゆがみも残されている。それらをひとつずつ片付けるのが先決である。
民主党政権は診療報酬の改定過程を変え、刷新会議が事業仕分けの目玉に取り上げた。中医協の議論は医療関係者や健康保険の代表者など直接の利害関係者の意向を尊重する傾向がある。これに対し、事業仕分け人は広く納税者や保険料負担者の視点から公開の場で判断する。画期的な方法であり、評価できる。

仕分けの結果、(1)収入が極端に高い診療科の診療報酬を見直す(2)病院勤務医と開業医との間の収入差をならす――が決まった。ともに私たちが主張してきたことだ。一つひとつの診療行為の単価や初診・再診料などを決める中医協は仕分け人の結論を反映させてほしい。

診療所の場合、整形外科医、眼科医、皮膚科医の収入が高いという調査結果がある。これら必ずしも人の生き死にに直結しない病気を診ることが比較的多い診療科の収入を下げて、外科や小児科に手厚く配分するのは当然だ。救急医療や難病の手術を手がける専門医なども、仕事の難しさや手技の高さに見合う収入が得られるようにすべきだ。
薬価の引き下げも必要だ。新薬の特許期間が切れ、値段が安い後発医薬品が発売された後も、なお高価な先発品を医師が選びがちな現実がある。先発品の薬価を下げるという事業仕分けの結論を実行すべきだ。

07年度の国民医療費は診療報酬改定がなかったのに、34兆1360億円と前年度より3%増えた。長寿化や技術革新で医療費を膨張させる圧力は強まり、それに伴い患者の窓口負担や保険料の増額も必要になる。厚労相が言うように全体を底上げしても配分を見直さなければ、へき地医療などの窮状は救えない。医療提供体制の問題解決には、より根本的な制度改革を急ぐのが筋である。

【日経新聞社説・11月13日】



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by kura0412 | 2009-11-13 08:26 | 歯科医療政策 | Comments(0)

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