新聞クイント124号「萬人一語」

日歯会員の変革に対する強い願望が今回の会長選挙結果を導いたといっても過言ではない。
この結果はまず、一昨年に起きた一連の事件に対しての会員の強い意志を社会に示した。そして、現在の医療経営環境への危機感をも示している。選挙人が増え、一般会員の声が反映されやすくなった今回の選挙制度のもとでは、従来の学閥を中心とした選挙戦は大きく変化した。だからこそ会員の生の声を映し出す一票一票が積み重なり、予想を超える大差で大久保氏が現職の井堂氏を破る結果になったのである。
しかし、新たなリーダーとなる大久保氏を待ち受けるハードルはあまりにも多く、高い。大久保氏がいかに独創的な発想をもち、強力なリーダーシップをもってこの難局に立ち向かったとしても、そのハードルを越すことは難しく、厳しい現状がある。
これを克服するためには日歯全体が一枚岩となり、歯科医療によって日本社会にいかに貢献できるかを真剣に考えていかなければならない。将来に向けた大きな展望をすべての会員が描き、それを国民に提示し、一歩一歩進んでいくこと。これしか方策は残されていないのである。
日本の歯科界は変わらなければならない。会員は、変わるために大久保氏を新会長に選んだのである。
by kura0412 | 2006-04-04 15:31 | 歯科 | Comments(2)
Commented by まりママ at 2006-04-04 23:53 x
先生のおっしゃるとおりかと思います。
会員一人一人がしっかりビジョンを持って声をあげていくべきですが、それをしっかりまとめ、効果的に現場の声として、反映させていくのは日歯の役目だと思います。
「ミラー片手に歯科医師の本音」にも深く共感いたしました。
Commented by kura0412 at 2006-04-05 08:38
こんな状況の時こそ、一人一人の歯科医師が気概をもって立ち向かわなければいけないのだと思います。
今後もご意見書き込んでください。


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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