真意がはっきりと表れた内閣改造人事

小泉内閣の内閣改造が行われました。どんな組織でもそのトップの最大で、最初の仕事は人事です。そして、その人事によって、自らの仕事がうまく行くか、また、トップが何をやりたいかが分かります。
今回の内閣改造人事でのポイントは三つありました。
一つは小泉内閣後の有力候補を内閣に取り込んだこと。二つ目が、今までに小泉首相の仕事をそれぞれのポジションでしっかりと支えて仕事をした人。そして、三つ目が現在の内閣が抱えている需要案件を実行できる人の三つです。
その代表が、一つ目が安倍官房長長官であり、二つ目が、党総務局長として衆議院選挙大勝の立役者の一人であった二階経産省大臣であり、三つ目が米軍基地移転の問題を抱える額賀防衛庁長官の再登場です。そして、これに加えれば、参議院などの順送り部分も消化し、サプライズなしがサプライズだった結果となりました。
そこでわれわれが最も注目する厚労大臣には川崎二郎氏が就任となりました。
川崎大臣の経歴は、党医療基本問題調査会の副会長を歴任していた程度で、社労族ではありません。今回の登用は、前の国会で議院運営委員長としての功労です。そして、この人事の意味は、これから推し進める医療構造改革には社労族の専門家は不要、官邸、財務省主導で推し進めることを意味しています。
社会保障費が政府予算の中での割合が増加した頃から、厚労(厚生)大臣は殆ど社労族の議員ばかりでした。最近を見ても坂口元大臣は医師、尾辻前大臣も党の部会長でした。それも一番重要な時期でのこの人事は、今後の医療改革への行く末が更に不安視されてしまいました。
そしてこの人事にはおまけがあります。
既に、厚労省からは医療制度改正に対しては試案が発表され、残されているいるのは、経済財政諮問会議や、財務省との政治折衝だけのトップ会談が残されているだけの状態です。その対立状態となる相手の財務大臣は、同じ派閥の親分、谷垣大臣です。議論の余地もなくなってきたようです。
既にこの時点で、医療構造改革の先が見えてきた感じの人事となりました。
by kura0412 | 2005-11-01 11:23 | 歯科

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