全世代型社会保障中間報告に歯科関連も

75歳以上の医療費2割負担、線引き焦点に 議論始動

後期高齢者の2割負担の新設をめぐっては、対象となる所得水準が最大の焦点となる

安倍晋三首相がめざす「全世代型社会保障」を巡り、医療制度改革に向けた具体的な制度設計の議論が20日、始まった。一定の所得がある75歳以上の後期高齢者が医療機関の窓口で払う自己負担の割合をいまの1割から2割に引き上げる方針で、対象者の線引きが焦点となる。2割負担の人が多いほど現役世代の負担は和らぐが、後期高齢者の負担に配慮して対象を絞る可能性がある。

政府は201912月、首相が議長を務める全世代型社会保障検討会議で、22年度までの医療制度改革の方向性を決めた。(1)後期高齢者の2割負担の新設(2)紹介状がないのに大病院を外来受診した患者から特別料金を徴収する制度の拡大――の2つが大きな柱だ。

厚生労働省は20日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)医療部会など複数の会合で議論を進める。今夏までに制度の詳細を詰め、秋に想定される臨時国会に関連法案の提出をめざす。

後期高齢者の2割負担の新設では、対象となる所得水準が最大の焦点となる。介護保険制度では年金のみで年収280万円以上の人は2割負担、340万円以上の人は3割負担になる制度を導入している。18年度末で2割負担は34万人、3割負担は26万人。2割負担の人は要支援・要介護の認定を受けた659万人の5%程度だ。

後期高齢者のうち18年度に年金だけで年280万~350万円の収入があった人は約110万人と、全体の6%程度を占めた。制度全体でみれば高齢者の自己負担が増えるほど、現役世代の負担を抑えることができる。

ただ個人でみれば対象となる後期高齢者の窓口負担は倍増する。自民党は19年末にまとめた提言で2割という数値を明記せず、単に「引き上げる」と記した。公明党も「1割負担が基本」とした経緯があり、負担増の実現は簡単ではない。

現行では後期高齢者でも現役並みの所得があれば医療の窓口負担は3割となる。この現役並みとする所得水準の見直しも議論になりそうだ。高齢夫婦2人世帯の場合は年収520万円以上が対象。この線引きだと、例えば年収500万円なら対象から外れるが、財務省は「相当の収入があっても現役並みと評価されていない」と指摘し、見直しを求めている。

20日の医療部会では主に紹介状がないのに大病院を受診した患者から特別料金を徴収する制度の拡大について議論した。

対象の病院をどこまで広げるかなどが検討課題だ。現在は高度な医療を提供する「特定機能病院」と、地域医療の拠点となる「地域医療支援病院」のうち400床以上の420施設が対象。紹介状がない患者から初診の場合5千円以上の追加料金を徴収している。対象拡大は、まずは地域の診療所を受診してもらい、大病院は入院や手術といった高度な医療に重点化してもらう狙いだ。

全世代型社会保障検討会議では22年度までに特定機能病院と地域医療支援病院に限らず、200床以上の一般的な病院にまで広げるとした。2000程度、対象数が増える計算だ。初診の場合に最低5000円としている特別料金についても、千円以上引き上げる。病院の収入に回さず、保険財政の健全化に充てる。

20日の部会では病院の団体から「制度の拡大で患者の行動がどう変化するか、しっかりしたシミュレーションをしてもらいたい」と慎重な検討を求める意見が相次いだ。

(日経新聞)


中間報告書の中には歯科関連がかなり盛り込まれています。この夏の最終報告に向けて具体的な政策を含め歯科界の議論が必要です。


by kura0412 | 2020-01-24 14:28 | 歯科医療政策 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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