仕掛けた首相 「全世代型」へ負担増にかじ

医療改革、仕掛けた首相 「全世代型」へ負担増にかじ

13日、首相官邸5階の首相執務室。財務省から医療費の負担上げの説明を受けた首相、安倍晋三(65)が指示した。「何をやっているんだ。受診時定額負担の文言は絶対に落とすな」
医療の負担増は2012年12月に発足した安倍政権で避け続けてきた課題だ。それが一転、安倍は負担増をけん引する姿勢に転じた。

異変が起きたのは2週間前、11月26日の自民党本部だった。全世代型社会保障のとりまとめを担う首相側近の一人、経済財政・再生相の西村康稔(57)が党政調会長、岸田文雄(62)を訪ねた。「75歳以上の医療費の2割負担、受診時定額負担の両方を12月の中間報告に盛り込みたい」
全世代型社会保障は安倍が今年9月の内閣改造時に「大胆に構想する」と表明し、検討会議を発足させた。子育てや年金、医療、介護などを包括的に見直す方針を掲げた。当初は年金の受給年齢を柔軟にするといった年金改革が目玉になるとみられていた。

西村・岸田会談を終えた11月26日夕、首相が議長を務める検討会議で局面が変わった。
元総務相の増田寛也(68)が長年、日本医師会が強固に反対していた受診時の定額負担について「開業医の8割強、勤務医の9割強が賛成だ。そのほとんどが1000円以上の定額負担に賛成している」と発言した。
医療制度改革を仕掛けたのは、安倍本人だった。1カ月前の10月末。「改革は医療も含めてパッケージでやらないと」。安倍は周辺に医療改革への意欲を語った。
高齢者の負担を増やさなければ現役世帯の保険料に跳ね返る。全世代型社会保障の看板を掲げる以上、現役世帯の負担を極力抑えたいとの政策的な考えがあった。
政権運営上の理由も大きい。安倍は11月、首相の通算在任日数で桂太郎を抜き過去最長になった。同じく歴代最長の官房長官、菅義偉(71)と第2次政権が発足してから交わし続けてきたのは「社会保障改革は政権の最後にやろう」との方針だった。
安倍の党総裁の任期は21年9月まで。厚労省は21年通常国会の法案提出を想定していたが、自らの手で確実に法案成立が見込めるのは20年のうちとなる。安倍は増税使途を変えて実現した幼児教育無償化とあわせ、社会保障改革を20年中にメドをつける政治日程を組み立てた。
この方針はほどなく政権幹部で共有される。11月29日午後、安倍は執務室に菅、西村、厚生労働相の加藤勝信(64)を呼んだ。「来年の通常国会への提出は難しいです」。加藤は医療の負担増に慎重な省内の空気を伝えた。安倍にとって厚労省は第1次政権で年金記録問題に悩まされた「政権の鬼門」といえる。
約1時間に及んだ議論の末、安倍は結論を下した。「医療も応能負担にしなければいけない」。加藤の意見を尊重して法案提出は20年秋の臨時国会に遅らせつつ、75歳以上の後期高齢者の医療費に新たに2割負担を設ける方向性が固まった。

難題も抱えた。安倍が蜜月関係を築く日本医師会会長の横倉義武(75)との関係だ。医師会の会長選は20年6月。「仮に横倉氏が会長選に出馬することになれば、医師会が強固に反対してきた受診時の定額負担は難しい」との懸念が広がった。
浮かんだのは医師会への配慮だった。すべての病院で少額の定額負担を求める「ワンコイン制度」の導入は先送りし、大病院に限定した追加負担に切り替えた。12月19日の全世代型社会保障検討会議で決定した中間報告の最終案は「定額負担の拡大」の文言を盛り込んだものの、「ワンコイン」の記述はなくなった。
75歳以上の医療費2割負担には与党が反発した。「党をまとめるのはそんなに簡単じゃないぞ」。岸田は5日、説明にきた財務省幹部に伝えた。10日の党会合では「拙速に進めたら失敗する」との慎重論が相次ぎ、最終的に対象範囲は「一定所得以上」に狭まった。
通常国会、秋の臨時国会と年間を通じて社会保障改革が刻まれた20年の政治カレンダー。安倍は同年8月に大叔父、佐藤栄作の記録を塗り替え、連続でも最長政権となる。安倍は内政の総仕上げへとカジをきったが、全世代型社会保障の名にふさわしい改革の実現は道半ばだ。(敬称略)

(日経新聞)



改定率に躍起になっている中、こんな動きがあったようです。歯科界では話題のも上がっていませんでした。歯科にとって全世代型社会保障とは何ぞや?
by kura0412 | 2019-12-20 09:24 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

以前の記事

2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

健康・医療
政治・経済

画像一覧