統計問題が社会保障改革全体にも影響が

社会保障改革 停滞一段と
統計問題対応 議論は宙に

統計の不適切調査の問題が重荷となり、政府・与党内で社会保障改革が一段と停滞する懸念が出ている。もともと夏の参院選など大型選挙を控えて痛みを伴う改革に踏み込みにくいうえ、統計問題が有権者の反発を招く恐れが強いためだ。厚生労働省や財務省は参院選後を見据えて改革論議に着手する段取りを描いてきたが、戦略の見直しを迫られる可能性がある。

厚労省は、不始末が相次いで発覚している統計問題に職員を大量投入せざるを得ない事態に追い込まれている。
例えば、社会保障改革の柱となる医療保険での患者の自己負担の見直しなどを担当する保険局。鹿沼均総務課長は急きょ、特別監察委員会の事務局となっている人事課に併任がかかった。一方、「消えた年金」問題の際の経験から、社会保障を担当する伊原和人審議官らは雇用保険などの追加給付問題に対応する。
高齢化がピークを迎える2040年に向けて、社会保障と働き方改革を同省幹部が議論するプロジェクトチーム(PT)を18年10月に置いた。リーダーの藤沢勝博氏は、1日更迭された大西康之前政策統括官の後任。健康寿命の延伸に向けた工程表などを夏にもまとめる計画だが、議論の停滞は避けられない情勢だ。

厚労省の予算を査定する財務省主計局の職員も年末から統計問題に追われている。
立憲民主党など野党が国会内で開くヒアリングにも連日出席。同省幹部は「本丸の社会保障改革の議論が何も進んでいない」と嘆く。
19年度予算案の社会保障費は予算総額の3分の1を占める34兆円に達する。税金や社会保険料などで賄う給付費全体でみると、40年度には18年度の6割増の190兆円に達すると政府は試算している。高齢者の負担増を含む給付と負担の見直しをせずに制度の持続性を保つことは難しい。

だが統計問題で状況は一変した。
ある財務省幹部は「年明けから社会保障改革を本格化したかったが、当面は難しい」と肩を落とす。統計問題が発覚する前は「参院選後をにらんで医療、介護、年金だけでなく、女性の社会進出や子育て支援まで幅広い議論を始めたい」と話していた。
そもそも改革議論の歩みは遅い。後期高齢者の病院での窓口負担の1割から2割への引き上げや外来受診時の定額負担などは手つかずだ。安倍政権が掲げる全世代型社会保障をめぐっては、今夏までは70歳までの就業機会の確保など雇用改革に優先的に取り組む。
高齢者らに負担を求める医療や年金などの改革は、参院選後から安倍晋三首相の自民党総裁任期が終わる21年までを見据えて進める想定だ。
もっとも、与党からは財務省や厚労省に「方向性も出さないまま、選挙が終わっていきなり改革案を示すのは有権者への裏切りだ」との声も伝わっていた。このため両省は給付の見直しを含めた議論を加速させようと、与党への根回しに動く準備をしていた。だが現状ではまともな政策論議を進められる状況になく、自民党内では「統計問題とは切り分けて考えるべきだが、厚労省に対する国民の不信感が高まるなかで社会保障改革は難しい」との声が漏れる。

(日経新聞)


同紙では今回の統計問題で薬価への影響精査という記事もありました。厚労省の統計問題が、歯科界にも影響を及ぼしそうな状況になっているようです。
by kura0412 | 2019-02-07 09:02 | 医療政策全般 | Comments(0)

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by kura0412