今年の年末は嵐の前の静けさでしょう

社会保障、遠のく改革 19年度予算案
1兆円増、切り込み不足 高齢者医療負担など課題

政府が21日閣議決定した2019年度予算案で、社会保障費は34兆円に達した。18年度当初に比べ1兆円あまり増えた。夏の概算要求から抑制したのは約1200億円にとどまり、全体の規模からみれば切り込み不足に終わった。団塊の世代が全員75歳以上になる25年度が迫る中、負担と給付を見直す社会保障改革の実現はむしろ遠のいている。

「今年の年末は嵐の前の静けさでしょう」。
11月下旬、19年度予算編成のさなかにもかかわらず、厚生労働省幹部は淡々としていた。
19年度は10月に消費増税を控えている。同省内では、医療や介護など社会保障で同時に負担増を求めることは困難との見方が大勢。例年以上に改革機運は乏しかった。
19年度予算編成は過去3年間と異なり、高齢化に伴う自然増の具体的な目安額を設けなかった。16~18年度はいずれも5000億円程度に抑える目安があった。このため抑制が緩むと指摘されていたが、自然増を4768億円に収めたという結果からすれば一定の抑制が効いたといえる。
ただ、個別の抑制策をみると、既に決まっていた制度改革の実施と薬価の引き下げだ。高収入の会社員の介護保険料引き上げで約610億円分を削減したが、17年度から4年かけて実施中で、既にあてがついていた。事実上、薬の公定価格を実勢価格に合わせて下げる「薬価改定頼み」というのが実態だった。
収入の少ない後期高齢者の医療保険料負担を軽減する特例の段階的な廃止についても、厚労省内に先送り論があった。16年末に閣議決定していた措置だが、消費増税と重なるため20年4月に先送りすべきだとの意見だ。結局、予定通り19年10月に実施するが、浮いた170億円は別の社会保障予算に回る。

政府の経済・財政政策の想定スケジュールを示した改革工程表を見ると、残された課題は多い。目玉に掲げている75歳以上の後期高齢者の病院での窓口負担を1割から2割に引き上げる措置や、外来受診時の定額負担などは、ほぼ手つかずだ。
全世代型社会保障を掲げる安倍政権は19年夏ごろまでは70歳までの就業機会の確保など雇用改革に取り組む。医療や年金などの抜本改革は19年秋以降から21年度までを見据えて進める構え。19年夏の参院選や消費増税をにらんで、負担増や給付減の議論をしにくいとの事情がうかがえる。
ただ、社会保障改革に残された時間は少ない。22年から団塊の世代が後期高齢者になっていく。後期高齢者の1人あたり医療費は年間91万円。65歳未満の5倍近くで、社会保障費の急増が予想される。
加えて負担増を強いられる人が多くなるほど、制度の見直しに抵抗が強まり、改革が進みにくくなりがちだ。
政府の推計では高齢者人口がピークを迎える40年の社会保障給付費は190兆円にのぼる。18年度に比べ6割増だ。思い切った改革で持続可能性を高めなければ、将来不安はいつまでも払拭できない。

(日経新聞)
by kura0412 | 2018-12-22 11:12 | 医療政策全般 | Comments(0)

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