すべて院内処方すれば1兆7千億円の差額

薬局6万店 再編の風圧 手厚い報酬、問われる機能

今や社会のインフラともされるコンビニエンスストアを上回る業態が日本にある。医師の処方をもとに医薬品を出す「調剤薬局」だ。コンビニより多い6万店弱の薬局は地域医療を支えてきたものの、扱う医薬品は公定価格で競争は乏しい。厚生労働省は在宅医療などの新しい施策に対応できる薬局を育て、再編を促す方向にカジを切る。医療費の抑制に向け、薬のインフラも変革を迫られている。
病院で医師の診察を受け、受付で処方箋をもらう。スリッパから靴にはきかえて自動ドアが開くと、小さな「お薬屋さん」が何軒か目に飛び込んでくる。誰もが経験するこんな風景が今、批判にさらされている。

指導役機能せず
「期待されている役割を果たしていないのではないか」。8日に厚労省が開いた審議会で、薬剤師の代表に有識者からの厳しい指摘が続いた。この日のテーマは今後の薬局や薬剤師の役割をどう考えるか。関係者の脳裏には、病院のそばにある「門前薬局」が浮かぶ。
厚労省は1970年代から、もうけの誘惑にかられる医師の過剰な投薬を薬剤師にチェックさせる「医薬分業」を推進するため、院外処方を進めてきた。
日本薬剤師会の乾英夫副会長は「患者に適した処方が可能になり、いわゆる薬漬けは死語になった」と語る。国は調剤報酬を手厚くして院外処方を進め、できあがったのが門前薬局だ。
国内の薬局は2017年度末で約5万9千店ある。厚労省のサンプル調査では常勤換算の薬剤師が2人以下の薬局が半数弱にのぼる。17年度の薬局への技術料と薬剤料を合わせた「調剤医療費」は、処方箋1枚あたり9187円。半数以上の薬局は特定の病院の処方箋に頼り、少数の薬剤師が調剤して患者に渡すだけのビジネスが成り立った。
「薬局大国」の足元は危うい。
薬剤師に求められる役割は、患者のアレルギーや過去の副作用を把握したうえでの服薬指導だ。だが厚労省が調べたところ、電話などでの継続的な指導をしたことのある薬局は4割ほど。8割は必要性を感じていると答えたにもかかわらず、半数以上はできていない。
薬の値段は公定価格で院内でも院外でも変わらないが、院外は薬剤師の技術に対する報酬が手厚い。同じ薬を受け取るのに病院から薬局へ移動すると、健康保険に高い請求がまわる。負担するのは患者だ。日本医師会の中川俊男副会長によると「院内ですべて処方すれば、現状との差額は年1兆7千億円になる」。身内のはずの医師からも批判が出る。
厚労省は薬局にある矛盾の解消に動く。過去の診療報酬改定では、門前薬局への調剤報酬を下げてきた。次の一手が薬局の機能を高め、事実上の再編を促す施策だ。
厚労省は社会保障費の抑制に向け、お金がかかる入院を抑えて自宅で診療する「在宅医療」への移行を進めている。在宅を担う「かかりつけ医」にあたる仕組みとして、「地域密着型」の薬局をつくる。休日や夜間でも対応できるだけの薬剤師を持ち、患者を訪問して服薬を指導する。

質の良さで差
薬局に差も付ける。特殊な抗がん剤の副作用などについて適切な指導をできる薬局を「高度薬学管理型」とする。19年の通常国会に医薬品医療機器法の改正案を提出し、2つの薬局を法的に位置づける。
そのうえで、要件を満たす薬局は20年度にも調剤報酬を増やす方向で議論する。厚労省幹部は「しっかりコストをかけた質の良い薬局を作りたい」と話す。
調剤医療費は17年度に7兆6664億円と、5年前の12年度に比べて16%増えた。高齢化に伴って薬にかかるお金は増え続け、税や保険料を通じて国民の負担になっている。
コンビニは顧客のニーズを満たすことで市場を作り出してきた。街角の薬局は患者のニーズを満たしているかどうか。医薬分業がもたらした非効率を見直すには、ニーズを満たさない薬局には市場からの退出を迫るといった政策も必要になる。

(日経新聞)



調剤にとっては凄い流れが出来るかもしれません。
by kura0412 | 2018-11-24 14:27 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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