医師を同じ尺度で議論して良いものでしょうか

医療現場に働き方改革の波
勤務医の残業、平均年850時間超 サービス低下も 安心守れるか

命を救うためなら長時間労働は当たり前。そんな医師の世界に働き方改革が及んでいる。今国会に提出予定の働き方改革法案では医師にも時間外労働の上限を設ける。働き過ぎ防止は大切だが、医師の残業削減に取り組む病院では、外来診療の削減などサービスの低下も見られる。安心できる医療体制と医師の働き方改革は両立できるのか。

当直医がみとる
「なぜ主治医が最期に立ち会ってくれなかったのか」。聖路加国際病院(東京・中央)に亡くなった患者の家族から手紙が届いた。終末期で、容体の急変時に主治医は非番。当直医がみとった。
夜でも主治医を呼び出していたのを2016年、当直医が対応するよう改めた。主治医の残業削減のためだ。処置に落ち度はなかったが「主治医と最期を」との家族の願いはかなわなかった。
同病院は16年6月、労働基準監督署の立ち入り調査を受けた。医師の残業時間が長すぎるとの指摘を受け、主治医制の見直しのほか、17年6月には土曜の外来診療を34科から14科に減らした。
医師1人当たりの平均残業時間は月100時間弱から40時間前後に半減。ただ福井次矢院長の顔は暗い。「サービス低下で迷惑をかけている」

働き方改革法案の一つ、労基法改正案の目玉は時間外労働への上限規制導入だ。
事実上青天井なのを年720時間以内とする。法案通り成立すると施行は19年4月。医師は5年の猶予期間があるが、24年4月以降は上限規制が適用される。
厚生労働省によると病院常勤医は週平均56時間28分働く。所定労働を週40時間で換算すると、時間外労働は年850時間超。労基署の定期監督結果では、医療保健業の労働時間違反率は16年で36%と全体平均の21%を上回り、多くの病院が対策を迫られる。
「運営難に陥る病院が続出し妊婦の4分の1が出産場所を失う」。日本産婦人科医会常務理事の中井章人医師は訴える。
法案を順守した場合の影響を試算した。産婦人科医が不足し、約千カ所ある母子医療センターと一般病院の半数が維持できなくなる。「出産はいつ起こるか分からず、労働時間管理が難しい。慎重に進めないと医療崩壊につながる」
聖路加国際病院の福井院長は縦割り行政にも疑問を抱く。
医師法は医師に診療を拒んではいけない「応召義務」を定める。残業時間の上限を設けた場合、診療すれば労働超過で労基法違反となり、患者の求めを断れば医師法違反になる事態も生じうる。「行政に問うても明確な返答がない」
厚労省の有識者検討会は2月、緊急取り組み策をまとめた。柱の一つは業務移管だ。医師の業務の一部を他の医療職に任せる。専門教育を修了した「診療看護師」などが担い手候補だ。

過剰な権利意識
東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県浦安市)は医師の負担軽減のため6人の診療看護師を置く。その一人、重冨杏子さんは「患者への投薬の用量を決められるなど裁量が大きい」と話す。
課題は大学院で2年学ぶ必要があるなど、養成に時間がかかること。育成コストと時間を考慮すると急増は見込めない。
サービス低下を覚悟で診療体制を見直しても、患者や家族の事情が壁になる例も出ている。
「手術や病状の説明は原則、平日8時30分~17時に限ります」。諏訪赤十字病院(長野県諏訪市)は17年12月、注意書きを張り出した。患者や家族の都合で医師が夜間や土日に時間を割くのをやめた。だが夜間や土日の説明は今も約3割残る。
近郊は高齢世帯が増え、子供と離れて暮らす患者も多い。老いた親が心配でも遠方に住む子供は仕事で平日昼間に来院できない。そんな地域特性から原則を貫けない。
病院が医師を増やせば問題は解決する。ただ病院経営は医療保険制度の上に成り立っており、コスト増はいずれ保険料を払う国民に跳ね返る。
緊急性のない救急外来の利用は控え、総合病院とかかりつけ医を使い分ける。いついかなるときも医療は受けられるもの――。過剰な権利意識を私たちが見直すことが解決の糸口かもしれない。

(日経新聞)



医師を同じ尺度で議論して良いものでしょうか。また、開業医は蚊帳の外です。
by kura0412 | 2018-03-30 09:11 | 医療政策全般 | Comments(0)