「全て院内で1兆7000億円減」

調剤技術料「全て院内」で1兆7000億円減、日医総研レポート
薬剤業務を横断的に見た評価体系を提言

日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は12月14日、ワーキングペーパー「調剤報酬の現状について」を公表した。大手門前薬局、チェーン薬局は高い利益率を維持しているとして、「国民、被保険者、患者の納得を超える利益を得ている薬局に対しては、大胆な適正化が必要であろう」と指摘。同じ調剤業務であっても院外(薬局)では、院内より高いことについては「不合理であり、是正すべきである」として、薬剤業務を横断的に見た評価体系を検討することを提言した(資料は、日医のホームページ。日医総研が2015年に出したレポートは『医薬分業、「患者にとって公平な報酬に是正すべき」』を参照)。
調剤関連技術料は院内、院外を合わせて2兆5000億円だが、「仮に全ての処方を院内処方の点数で対応したとした場合の費用は8000億円である」と推計。「この差(1兆7000億円)に見合う機能を果たしているのか、医薬分業の成果についての検証は十分ではない」と強調している。

全て院内で1兆7000億円減
診療報酬改定での本体部分は「医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3」として配分されることが慣例になっており、2018年度改定でも医科0.63%、歯科0.69%、調剤0.19%で踏襲されている。医科では新たな評価が必要な医療技術として2014年度改定で524件、2016年度改定で737件が検討の対象になるなど医療技術は年々高度化している。一方で、調剤は自動化による効率化も進んでいるとし、「事業環境の変化を踏まえた柔軟な配分が行われているとは言い難い」と指摘している。
2016年度においては、処方1回または処方せん1枚当たり調剤関連技術料は院外処方(薬局+医科院外)では3029 円、院内処方では789円と3.8倍の開きがあると分析。医薬分業率は2016年度には71.7%に達したが、調剤技術料の伸びは医薬分業率を上回っている。2001年を100とした場合、医薬分業率の161に対し、調剤技術料は177となっている。

大手薬局5社で内部留保1000億円超
特に問題視しているのが大手門前薬局、チェーン薬局の在り方。2016年度の損益差額率は1店舗のみの薬局では3.8%だったのに対し、6-19店舗では8.3%、20店舗以上は12.1%だった。一般診療所は6.0%となっていた。
大手門前薬局の利益率が高い理由としては、▽大病院は高額薬剤を扱っており、かつ大量購入のバイイングパワーがあることから薬価差益がある▽門前では処方される医薬品がほぼ決まっており在庫管理コストを圧縮することもできる▽チェーン薬局では薬剤師の 1 人当たり平均給与費も低い――ことがあると指摘している。
上場している大手調剤薬局チェーン売上高上位5社(アインホールディングス、日本調剤、クオール、総合メディカル、メディカルシステムネットワーク)では、2016年度の当期純利益は合計213億円、40億円を配当し、残り173億円を利益剰余金に積み増している。2016年度末の内部留保は1107億円となっている。

大手薬局対策に抜け穴
2016年度改定において、大手門前薬局で「処方せん受付回数が月2000回を超え、かつ集中率が90%を超える」薬局は、最も高い調剤基本料1(41点)を算定できなくなった。算定薬局は2015年度の96.3%から2016年度は83.4%に減少したが、2017年度は90.8%に回復している。「薬剤師1人当たりで、かかりつけ薬剤師指導料およびかかりつけ薬剤師包括管理料の合計算定回数が月10 回以上」であれば調剤基本料1を算定できる特例を利用しているとみられる。
なお、2018年度改定では、「外枠」として門前薬局については、国費ベースで60億円の引き下げを予定している。

薬学管理料が跳ね上がる
2016年度改定では薬剤服用歴管理指導料は、お薬手帳ありの方が点数が低くなった。しかし、「結果的に患者に“かかりつけられていない薬局”や大手門前薬局の収入を増やすことになった」と指摘。かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料が創設されたこともあり、処方せん1枚当たりの薬学管理料は、2015年度の385.9円から、2016年度には過去最高となる443.0円に跳ね上がった。

病院薬剤師への評価を
一般病院における薬剤師の給与総額は2639億円と推計。一方で、診療報酬による手当は薬剤管理指導料ほかの760億円にとどまる。病院・診療所合計でも薬剤関連業務を評価した診療報酬は約1200億円だった。「医科診療報酬では、薬剤業務を評価する報酬が薄いように思われる。医科、薬局の縦割ではなく、将来的に薬剤業務を横断的に見た評価体系のあり方を検討することも提言したい」とレポートを締めくくっている。

(m3.com)



これに加えて処方箋料の分もあります。果たして脱調剤への流れを政府、また日医は考えているのでしょうか。
by kura0412 | 2018-01-05 09:26 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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