日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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一般診療所の歯科は

医師会vs財務省、診療報酬でバトルが本格化
医療費の抑制と財源確保は待ったなし

2年に1度の診療報酬改定を来年に控え、財務省と医師会の間でジャブの応酬が早くも始まっている。
きっかけは、財務省の財政制度等審議会(財政審)が5月に出した建議だ。消費者物価や賃金の伸びに比べて、診療報酬の本体部分、いわゆる医師などへの報酬部分の伸びが高すぎるとグラフで示したのだ。ちなみにグラフは1995年を起点としている。

「医療機関の報酬は高止まり」と財務省
これに日本医師会の横倉義武会長がすぐさま噛みついた。5月末の記者会見で「2007年に財政審が出した建議では、1998年を起点として診療報酬本体と賃金・物価を比較しており、指数の起点に一貫性がまったくない。財政審のグラフはかなり恣意的であり、この資料の取扱いはたいへん遺憾だ」などと猛反発した。
横倉会長は東洋経済の取材に、「40兆円の医療費のうち、人件費の割合は2000年に50%だったが、2012年は46%まで下がっている。医療に携わる300万人の人件費をしっかり確保していかなければならない」と訴える。
一方、財務省の担当者は「技術料(診療報酬本体)も実態を踏まえて決めているが、民間の賃金が下落していった1990年代後半以降、保険料などで賄われる医療機関の報酬水準が上乗せ・高止まりしてきた実態は否定できない。健康保険料が年々引き上げられ、国民負担が増えている以上、診療報酬本体について厳しく対応していく必要がある」と問題提起する。
診療報酬改定のたびに繰り広げられる、恒例のやりとりとも言えるが、増大する医療費の抑制とその財源確保は待ったなしだ。「また財務省と医師会の応酬が始まった」と傍観してばかりもいられない。
2014年11月の自民党の会議に厚生労働省が出した資料によると、医療機関の費用に占める人件費の割合は、2000年度の50.2%から、2012年度には46.4%まで徐々に下がっている。さらに、公立病院に限ったデータだが、医師の人件費は全体の約13%で、看護師、准看護師の比率のほうが高い。
医療費全体は伸び続けており、比率が下がっても人件費の金額自体はそれほど減っていないが、「医療機関の従事者数が増えており、給与単価はむしろ下がっている」(日本医師会)という。

医師給与の時系列統計がない
では、医師の給与は本当に低いのだろうか。
実は、医師の給与を時系列で追った統計データはほとんど存在せず、実態はよくわからない。わずかに厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」があるくらいだ。
それによると、医師の年間給与(決まって支給する給与×12カ月に賞与を加えて算出)は年によって大きく増減しており、ここ数年はどちらかというと回復基調にある。類似の医療・介護の職種と比べても、医師の給与水準自体高い。看護師の2倍以上、保育士や福祉施設介護員の3~4倍の水準で、トレンドも保育士や福祉施設介護員の給与はどちらかというと低下基調にあるのと対照的だ。
ちなみに、診療報酬改定の基礎資料となり、厚生労働省が2年に1度公表している「医療経済実態調査」によると、2014年度において医療法人勤務の医師の年収は1544万円、個人が営む一般診療所の医師は1185万円。病院長の給料は、医療法人が開設している病院の場合は2930万円、医療法人が開設者の一般診療所の場合は3941万円だ。ただし、この調査は時系列で追えるように作成されておらず、傾向として医師給与が増えているのか、減っているのかわからない。
横倉会長は「本体がマイナス改定なら必要な医療提供ができなくなる。多くの医療機関の利益率は2%あるかないかで、赤字病院が増え、過疎地域を含めて倒産する医療機関がそうとう出てくる」と小泉政権時代のような"医療崩壊"を懸念する。

今年6月19日には岐阜市の大手医療機関が87億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると、2000年以降の病院の倒産(負債総額50億円以上)は9件しかなく、今回は4番目に大きいという。「倒産件数は本業以外の粉飾など放漫経営が原因となって2007年にピークをつけた。リーマンショック後の金融円滑化法が医療法人にも適用され、倒産件数は落ち着いていたが、去年から30億円以上の大型倒産が目立っている」(同社情報部)。
医師会側は「2014年の診療報酬改定が消費増税分の補填を除けば実質1.26%のマイナス改定だったことや、多額の設備投資をした医療機関に対し、消費増税分の診療報酬による補填が十分でなく、経営悪化につながった」と分析している。
2015年秋に公表された直近の医療経済実態調査によると、一般病院(医療法人)の利益率は2.4~2.6%で推移しているが、一般診療所の損益差額(利益率)は15~16%前後にのぼっている(2013~14年度)。
財務省は「診療科や地域の偏在により、必要な地域・分野で医師の確保が難しく、医療提供が困難な事例があるといわれるが、医療全体の財源である(診療報酬)本体の改定率とは別の話。そもそも医療崩壊とは何を指すのか、整理が必要ではないか」(担当者)と指摘している。

議論を深めるためのデータが不足している
医師の人件費は高いのか。また、医療機関の経営は安定しているのか。こうしてみると、議論の前提に必要なアクセスしやすいデータが少なく、医療財政をめぐる議論が深まらない一因になっている。
膨らむ一方の医療費の財源を今後どうやって賄っていくのか。財源は消費税なのか、それとも現役世代が中心になって負担している保険料をさらに引き上げるのか。財源がないなら医療費を抑制する施策が必要だが、それについてのコンセンサスも見取図も今のところ存在しない。
たとえば、医師会の横倉会長は「(財源確保のため)国は必要な税をとるべき。2019年10月には予定通り消費税率を引き上げるべきで、消費税のみならず、所得税の課税限度額も下げるべきだ」と話す。しかし、具体的な数字を示しての財源確保の議論を行なっているわけではない。
来年は診療報酬と同時に介護報酬も改定される、いわゆる同時改定の年で、その増減は、歳出の相当割合を占める社会保障費のゆくえを占う試金石となる。診療報酬本体は2008年以降、5回連続でプラス改定が続いてきたが、2018年度改定ははたしてどうなるのか。「本音は本体プラス改定」(横倉会長)とする医師会と財務省のつば迫り合いは始まったばかりだ。

(東洋経済ONLINE)



ここにある一般診療所の利益が院長の所得です。但し、その中にはもろもろの経費献上できな分、また引退後の老後の貯えも加わります。歯科の場合は、病院勤務、法人化が進む医科と異なり、圧倒的にこの一般診療所です。
診療報酬アップにはここからの誤解を説明しなければなりません。
by kura0412 | 2017-08-09 14:27 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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