「安倍首相もハマった、マスコミが疑惑だけで罪人を作る3つの方法」

安倍首相もハマった、マスコミが疑惑だけで罪人を作る3つの方法

決定的な証拠がないまま、加計学園問題で追いつめられ、とうとう「退陣カウントダウン報道」まで出てきた安倍首相。その転落プロセスをつぶさに見ていくと、マスコミが権力者を糾弾する際に多用する「3つの勝ちパターン」が見えてくる。(ノンフィクションライター 窪田順生)

退陣カウントダウンモードに突入・安倍首相叩きが止まらない
安倍首相の支持率低下に歯止めがかからない。既に「毎日新聞」(7月24日)などは、「支持率が20%台になった最近の主な内閣」という支持率推移のグラフと、20%台突入から退陣するまでの期間を並べ、「カウントダウン」モードに入っている。
「疑惑」はあるものの、「決定打」が出てこないまま、罪人認定されつつある安倍首相。マスコミが権力者を追い落とす際の3つの手法に、まんまとハマった 写真:日刊現代/アフロ
個人的には、安倍首相が退陣しようがしまいが知ったことではない。ただ、「謝罪会見」など危機管理広報のアドバイスをしている立場からすると、今回、安倍首相が追いつめられていった「プロセス」は非常に興味深い。
確たる証拠もないのに、「怪しい企業」の汚名を着せられる企業のそれとよく似ているからだ。
ひとたびマスコミのネガティブ報道が氾濫すると、そのイメージを回復することは難しい。後ろめたいことがないのなら会見を開いて説明すりゃいいじゃん、と思うかもしれないが、大きな組織になればなるほど、立場的に言えないことが増えてくるものだ。
役所、取引先、顧客という第三者が関わってくれば、ぼやかしておかなければいけない点がさらに増える。結果、徹夜で想定問答集をつくって、直前までリハーサルをおこない、自分の息子のような年齢の記者に平身低頭で接しても、会見翌日の報道は「深まる疑惑」なんて見出しが躍ってしまう。
要するに、疑惑を払拭するために開いた会見が、「裏目」に出てしまうのだ。
そういう企業をこれまで掃いて捨てるほど見てきた。もちろん、糾弾されて当然という企業もあるが、なかには、そこまで厳しく断罪されるほどのことはしていないのに、マスコミによって「巨悪」に仕立て上げられてしまった企業もある。今回の安倍首相もそれとよく似ている。

「文春砲」「新潮砲」を食らった政治家たちと安倍首相の決定的な違い
なんてことを言うと、「安倍首相のことなんか知るかと言いながら、必死にかばおうとしている工作員がいるぞ」と、また猛烈な誹謗中傷に晒されるかもしれないが、かばうつもりなどサラサラない。
安倍政権がいつまで持つのかという大騒ぎになっている割に、この「加計疑惑」には、「疑惑」を裏付けるような「確たる証拠」が存在しない、ということを申し上げたいのだ。
これまで「文春砲」や「新潮砲」を食らった閣僚や政治家たちは大抵、言い逃れのできない「証拠」を上げられていた。
たとえば、甘利明・元経済再生担当相は、ご本人と直接やりとりをしたという人物が「カネ」の流れも含めて事細かに証言した。「このハゲー!」の豊田真由子衆議院議員も被害者自身の証言と、音声データがそろっている。「重婚ウェディング」で政務官をお辞めになった中川俊直衆議院議員は、ハワイで撮ったツーショット写真という、言い逃れできない“ブツ”がある。
そういう意味では、稲田朋美防衛相の「あす、なんて答えよう」なんて発言をしたメモなどもこれにあたる。これはもう完全にアウトだ。
ただ、安倍首相が加計理事長に便宜を図ったという「証拠」は、今のところ出てきていない。この時期に加計氏とゴルフに頻繁に行っている、とか獣医学部新設の申請を把握したタイミングが怪しいなどというのは、「状況証拠」に過ぎないのである。
「おいおい、お前の目は節穴か、前川さんの証言や、あの『ご意向文書』があるじゃないか」と息巻く方も多いかもしれないが、残念ながら前川さんは安倍首相から直接何かを言われたわけではない。和泉首相補佐官から言われたという話も、和泉氏本人は「岩盤規制改革をスピード感をもって進めてほしいと言っただけで、そんなこと言うわけないだろ」という趣旨のことを述べており、「水掛け論」となっている。
衆院閉会中審査で小野寺五典衆議院議員とのやりとりを客観的に見ても、前川さんがおっしゃる「加計ありき」というのは、かなり「私見」が含まれている。嘘をついているとかいう話ではなく、「告発者」というほど「疑惑の核心」をご存じないのだろうということが、答弁を見ているとよく分かる。

安倍首相がまんまとハマった マスコミの「殺人フルコース」
例の「ご意向文書」に関しても同様で、「加計ちゃんに頼まれているんだからとっとと岩盤規制壊しちゃってよ」なんてことは1行も書いていない。国家戦略特区を推し進めているのだから、これくらいのことを言ってもおかしくないというような発言しかない。
これらの「文書」を「首相の犯罪の動かぬ証拠」だとしたいという方たちの気持ちはよくわかるが、「文春」や「新潮」だったらボツ扱いの「怪文書」というのがホントのところなのだ。
では、「確たる証拠」がないにもかかわらず、なぜ安倍首相は「罪人」のようなイメージが定着してしまったのか。
民進党のみなさんを小馬鹿にしていたり、選挙妨害する人たちの挑発に乗って「こんな人たち」とか言ってしまうなど、いろいろなご意見があるだろうが、「怪しい企業」の汚名をかぶせられた企業を見てきた者から言わせていただくと、マスコミの「勝ちパターン」にまんまとハマっている、ということがある。
防戦一辺倒の発想しか持っていない、企業、役所、政治家のみなさんはあまりご存じないと思うが、マスコミにはこういう流れにもっていけば、どんな相手でもやりこめられる「殺人フルコース」ともいうべきテクニックが3つある。こういう時代なので、誰でもマスコミから「疑惑の人」と後ろ指をさされる恐れがある。自分の身を自分で守っていただくためにも、ひとつずつご紹介していこう。

<テクニック1>「争点」を変えていくことで「消耗戦」に持ち込む
改めて言うまでもないが、「疑惑報道」の主導権はマスコミ側が握っている。ここが怪しい、ここがクサい、という「争点」はマスコミが選ぶのだ。
茶の間でテレビをご覧になっている方や、スマホでニュースを飛ばし読みしているような方は、マスコミから「ポイントはここです」と提示されると、わっとそこに注目をするしかない。違和感を覚えても、立派なジャーナリストや評論家から「ここが怪しい」と言われたら、そういうものかと思う。
ちょっと前まで、前川さんの証言や「文書」の真偽が「争点」だと大騒ぎをしていたが、先ほども指摘したように、「証拠」とは言い難いビミョーな結末を迎えると、次のカードとして「首相は誠実な説明責任を果たせるか」とか「加計学園の申請を把握したのはいつか」なんて新たな「争点」を提示していく。
このような長期戦になればなるほど、攻められる側は消耗し、ネガティブイメージがビタッと定着していくということは言うまでない。
企業不祥事に対する報道でもよくこういうことがある。不祥事の原因を追及されていたかと思って対応をしていたら、いつの間にやら社長の「人格攻撃」になったり、過去の不祥事を蒸し返されたりする。こういう流れに振り回されると、企業は後手後手に回って、甚大なダメージを受ける。

<テクニック2>「発言の矛盾」を追及して、「嘘つき」のイメージをつける
先ほども触れたように現在、「争点」となっているのは、「安倍総理が1月20日に知ったという発言は本当か」ということだが、「加計疑惑」の本当のポイントは、安倍首相が総理大臣という立場を使って、加計学園に便宜をはかったのか否かである。
誤解を恐れずに言ってしまえば、知った日などというのは「どうでもいい話」である。
しかし、マスコミは安倍首相の説明の辻褄が合っていないとして「疑惑がますます深まった」という。矛盾があるのは、申請を把握した日付を巡る説明であるのに、なぜか「加計学園」全体の疑惑とごちゃまぜにしているのだ。
要するに、「説明が理にかなっていない」→「安倍首相は嘘つきだ」→「加計学園に便宜を図った」という三段論法に持っていっているのだ。
こういうマスコミの「飛躍」は不祥事企業に対してもおこなわれる。たとえば、異物混入騒動時のマクドナルドなどはわかりやすい。「ナゲットに歯が入っていた」→「他の店舗でも異物混入があった」→「マクドナルドの品質管理に問題がある」という具合に報道が過熱していったのは記憶に新しいだろう。
外食での「異物混入」など日常茶飯事で、マックに限らず日本全国でのどこかで毎日のように発生している。そのなかの極端な事例をマスコミがピックアップして、企業全体の話とごちゃまぜにしたことで、企業の「品質」を揺るがす大問題にまでエスカレートしてしまったのだ。

<テクニック3>「納得のいく説明がされていない」と食い下がる
これまで紹介した2つの勝利パターンだけでも、世の中に「嘘をついているのでは」というネガティブな印象を広めることができるが、相手にさらに「不誠実」というレッテルを貼ることができるマジカルワードが、以下の決め台詞だ。
「納得のいく説明をしてください」
これを出されると、「疑惑」をかけられている人間はもうお手上げだ。「疑惑」を追及する記者は、疑惑を認めないことには納得しない。
つまり、どんなに説明を重ねて「それは違いますよ」と否定をしても、「納得いかない」と、ちゃぶ台返しをされてしまうのだ。しかも、世の中的にはどうしても「納得できる回答をしていない方が悪い」という印象になる。つまり、権力者や大企業の「傲慢さ」を世の中に広めるには、もっとも適した「攻め方」なのである。
菅義偉官房長官の会見で、「きちんとした回答をいただけていると思わないので繰り返し聞いている」と食い下がっている東京新聞の記者さんが「ジャーナリストの鑑」として英雄視され、菅さんの株がガクンと落ちていることが、なによりの証であろう。

報道対策に疎い日本政府は繰り返しマスコミにやられる
このような説明をすると、「こいつはマスコミを批判しているのだな」と思うかもしれないが、そんなことはない。一般庶民がどう受け取るかはさておき、実際にマスコミで働いている人たちは、社会のためになると思って、こういう攻め方をしている。
彼らは、自分たちの「仕事」をしているだけなのだ。
問題は、こういう「勝利パターン」に、安倍首相をはじめ国の舵取りをおこなう人々がまんまとハマってしまう、という危機意識の乏しさだ。
確たる証拠でもない「疑惑」なのだから、はじめからしっかりと対応をしていればボヤで済んだのに、ここまでの「大炎上」を招いてしまった、というのは、よく言われる「安倍一強のおごり」としか思えない。
これまで紹介した「マスコミの勝ちパターン」があるということが常識化している欧米では、政府は「報道対応のプロ」を雇う。といっても、どっかの大学で勉強してきました、みたいな人ではなく、「マスゴミ」の性質を知り尽くしたタブロイド紙の編集長などが一般的だ。
少し前まで「特定秘密保護法と共謀罪で報道が萎縮する」なんて泣き言をいっていたのがウソのように、マスコミはイキイキしている。「不誠実」「嘘つき」というイメージ付けでクビがとれると味をしめれば、次の首相も、そしてまた次の首相もターゲットにされる、というのは政権交代前の自民党で学んだはずだ。
誰になるかは知らないが、安倍さんの「次の人」は、もっと真剣に「報道対策」を考えた方がいい。

(daiamonnd online)
by kura0412 | 2017-07-27 10:05 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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