『次の医療計画、地域包括ケア計画に』

次の医療計画、「地域包括ケア計画に」-厚労省医政局長

厚生労働省の神田裕二医政局長は19日、各自治体の厚生労働行政の担当者を集めた「全国厚生労働関係部局長会議」で、2018年度から6か年の次期医療計画について、「実質的に地域包括ケア計画といえるもの」にするよう呼び掛けた。
25年には団塊世代が75歳以上となる。国は、重度な要介護状態になった人でも住み慣れた地域で暮らし続けられるように、必要な医療・介護サービスなどを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の構築を、同年を目途に推進している。
19日の同会議で神田局長は、必要な医療提供体制を確保するために都道府県が定める医療計画と、必要な介護サービスを確保するために市町村が定める介護保険事業計画などが、いずれも18年度から次期計画に移る予定だと指摘。2つの計画の整合性を取る必要性を強調した。

■基金、医療構想実現に向けた計画踏まえ配分
また神田局長は、17年度の「地域医療介護総合確保基金」の交付について、「地域医療構想」に盛り込まれた将来の必要病床数の実現に向け、具体的な整備計画が策定されているかどうかなどを踏まえて配分する方針を示した。
同基金は、地域包括ケアシステムの構築などを進めるため、各都道府県に設置されたもので、医療分と介護分がある。医療分は、▽地域医療構想の実現に向けた整備▽在宅医療の提供▽医療従事者の確保―のいずれかに関する事業が交付対象。16年度は904億円のうち、同構想の実現に向けた整備に関する事業に458億円(50.7%)が配分された。
17年度の医療分の交付額は、16年度と同額の見込みだが、神田局長は、39都道府県が昨年末までに同構想を策定済みで、残る8府県も年度内に策定する予定だと指摘。同構想に向けた整備事業への配分を、より重点化させる考えを示した。
一方、在宅医療の提供や医療従事者の確保に関する事業への配分については、「継続実施が不可欠な事業に配慮しながら調整を行っていきたい」と述べ、例えば院内保育所の新設などには別の政府予算の活用を検討するよう促した。

■医療構想実現へ、権限の行使検討して
神田局長は、地域医療構想の実現に向けた調整についても言及し、地域の医療機関の関係者同士が話し合って進めるのが基本だと強調した。その上で、例えば話し合いが前に進まない場合には、都道府県知事が権限を行使し、公的医療機関に指示を出すことなどを検討してほしいと呼び掛けた。
現行のルールでは、関係者同士の話し合いが進まない場合に、都道府県知事が医療審議会の意見を聴いた上で、地域で不足している医療機能を担うよう公的医療機関に指示することなどが認められている。一方、民間医療機関に対する指示は認められていない。
神田局長は、「権限の施行状況を踏まえて、(権限などについて)また検討することになっている」とも述べた。

■かかりつけ薬剤師の実績積み重ねて
19日の同会議で同省の医薬・生活衛生局の武田俊彦局長は、地域包括ケアシステムの中で、薬剤師・薬局が積極的に職能を果たし、患者の「かかりつけ」となることが必要だと強調した。特に、18年度に診療報酬・介護報酬の同時改定が予定されていることも踏まえて「実績を積み重ねることが大事」だと訴えた。
武田局長は、「かかりつけ」の薬剤師・薬局に求められる機能などは15年10月に同省が示しており、16年度はその機能のモデル事業を実施していると紹介。17年度も、予算を増額してモデル事業を実施する予定で、3月までに募集を開始したいとした。

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