早くも中医協でW改定の議論が始まる

2018年度医療介護の同時改定、「キックオフ」
「連携」重視、次回に検討課題とスケジュール
厚生労働省は、12月14日の中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)で、「2018年度診療報酬改定に向けた現状と課題」を提示、同改定に向けた議論が実質的にスタートした。同省は、2025年の医療提供体制構築を念頭に、介護報酬との同時改定となる2018年度改定は「極めて重要な意味を持つ」と位置付けると同時に、「2025年から先の将来を見据えた対応」も求められていると打ち出した点が特徴だ。

厚労省保険局医療課長の迫井正深氏は、「今日は次回改定に向けたキックオフ」と述べ、次回総会に全体的な検討項目と検討スケジュールを提示する方針を示した。
さらに迫井課長は、その前提として同時改定であることから、医療と介護の連携に向け、
(1)療養病床・施設系サービスにおける医療、
(2)居宅等における医療、
(3)維持期のリハビリテーション――の3項目を検討課題に含める方針を提示、了承された。2017年度末に設置期限を迎える介護療養病床等については新しい類型への変換を進めるため、(1)はそれを踏まえた対応だ。

日本医師会副会長の中川俊男氏は、各論に入る前の根本的な問題として、厚労省の資料が、国債残高の累増などの国の財政悪化は、社会保障関係費が原因であるように表現している点を指摘。「歴史的に、厚労省は改定に当たって、社会保障財源を全力で確保するという姿勢を貫いてきた。しかし、厚労省としての役割を果たそうという気概が見えない」と述べ、今は「逆の立場」に立っていると問題視した。
支払側の全国健康保険協会理事の吉森俊和氏は、厚労省が示した「医療と介護の現状と課題」について、「基本的な認識には異論はない」と述べつつ、次回改定は、医療計画や地域医療構想など、医療関連のさまざまな制度改革が進む中で行われることになるため、その全体像を俯瞰できる資料の提示を求めた。
そのほか疑義が呈せられたのが、「2025年から先の将来を見据えた対応」との方針を掲げた点。連合総合政策局長の平川則男氏は、「今の社会保障・税一体改革は、2025年を念頭に置いたもの。その先まで見据えた対応を求められるのは、やや気が重い」とコメント。
迫井課長は、「2025年以降の体制は、人口構成が大きく変化していくことを前提にして考えることが必要」と説明。2015年6月にまとめられた「保健医療2035」でも「2035年」に触れていることなどを挙げ、医療ニーズが変化するだけでなく、医療提供側にとってもマンパワーの確保も問題になってくることから、「2025年以降も踏まえて、大きな方向性を捉えていかなければならない」と理解を求めた。

「保健医療2035」も議論のベースに
「2018年度診療報酬改定に向けた現状と課題」は、(1)現状と課題、(2)これまでの検討の概要、(3)医療・介護提供体制に係る基本施策、(4)診療報酬改定での対応――という章建て。
(2)では、社会保障改革国民会議の報告書(2013年8月)、「保健医療2035」提言(2015年5月)、「経済財政運営と改革の基本方針2016」(骨太方針2016、2016年6月)のほか、経済財政諮問会議と未来投資会議の二つの会議の検討状況を挙げた。換言すれば、今後の検討課題は、これらの報告書等や検討状況がベースになる。

議論になったのは、(1)の「現状と課題」。厚労省が挙げたのは、「少子高齢社会」「医療の高度化」「社会保障に係る財政状況」の3項目だ。
「社会保障に係る財政状況」についての「一般歳出の約55%は社会保障関係費で増加傾向」「歳出が歳入を上回る状況、国債残高の累増、支え手の減少」「医療費増加の要因は、高齢化に加え、医療の高度化等も影響」との記載を問題視したのが、中川氏だ。
その真意を問う中川氏に対し、迫井課長は、「医療を取り巻く課題、さまざまな状況をファクトとして示している。網羅的に見ていく中で、その大きな要因として、財政状況も当然含まれるべきではないか」と説明、診療報酬などを議論する際には、財政的な視点での問題意識も求められるとした。
中川氏は、この説明に納得せず、「これは重大な問題であり、この文章を見ると、国債残高の累増などは、社会保障関係費が要因になっているように見える。その意図で書いたのか」などと質した。迫井課長は、「ファクトとして示したもの。財政状況を見据えた上で、診療報酬の議論をすることが必要という趣旨で記載した」と繰り返し、2016年度診療報酬改定の基本方針でも、財政との関係に言及していると説明。同方針では、「医療政策においても、経済・財政との調和を図っていくことが重要」と記載されている。
これに対し、中川氏は、国債残高の累増は、1990年代の大型公共投資事業、2008年のリーマンショックに伴う税収の減少が要因であると指摘。厚労省の記載に対し、「国民皆保険を享受しすぎたので、我慢する時期に来ているとの表現に見える。消費税率10%への引き上げは延期されたものの、2020年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化の旗を降ろしていない。消費税率10%を前提としている政策を、8%のまま強引にやろうとしている」などと問題視。
その上で、中川氏は、本来ならば厚労省は、次期改定に向けて、財源を確保しなければいけない立場にあるにもかかわらず、今は「逆の立場」に立っていると問題視した。「歴史的に、厚労省は改定に当たって、社会保障財源を全力で確保するという姿勢を貫いてきた。しかし、厚労省としての役割を果たそうという気概が見えない」(中川氏)。

同時改定の検討プロセスも課題
同時改定に当たって、検討プロセスを質問したのは、健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏。介護報酬は、社会保障審議会介護給付費分科会で議論する。「いつものスケジュールよりも、前倒しでやっていくことが必要」と述べ、「医療と介護のすみ分けと連携を考えた上で、個別の議論に入っていくことが求められるのではないか」と提案した。改定財源にも触れ、消費税率引き上げ延期を踏まえ、「厳しい改定になるだろう。その中で、医療と介護にどんな財源を充当していくか厳しい議論になるだろう」と見通した。
これに対し、中川氏は、「診療報酬と介護報酬のすみ分けの議論は、財源をどちらでカバーするかの問題であり、それは事務局(厚労省)がどう考えるかに尽きる。早く議論することがいいこととは限らない」と釘を刺した。さらに、財源問題についても、「次回改定は極めて重要な意味を持つ。財源が少ない場合に、いろいろな改定をやろうとすると、何とか保っていた医療と介護の均衡が壊れる可能性がある」とつけ加えた。

【医療と介護の連携に関する主な検討項目】
ア)療養病床・施設系サービスにおける医療
・介護療養病床の見直し(新施設体系)を踏まえた、外付け医療サービスの給付調整の在り方について
・療養病棟の入院患者の患者像を踏まえた適切な評価の在り方について
イ)居宅等における医療(訪問診療・訪問看護、歯科訪問診療、薬剤師の業務等)
・介護報酬における居宅療養管理指導による評価と、診療報酬における訪問指導管理の評価の在り方について
・医療と介護の訪問看護のサービスの在り方について
・居宅等における看取り支援の在り方について
ウ)維持期のリハビリテーション
・外来や通所におけるリハビリテーションの在り方について
・地域(居宅等)におけるリハビリテーションの在り方について

【m3.com】



来年度政府予算もまだ決定していない現時点で、中医協で早くもW改定の議論が始まりました。これだえみても、いかのこの改定が重要であり、またある意味厚労省が危機感を感じている証です。
by kura0412 | 2016-12-15 17:46 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

以前の記事

2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

健康・医療
政治・経済

画像一覧