日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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自民党勉強会で医療偏在策の検討が

「選択肢の多様化こそ医師偏在策」、医学部長病院長会議
自民党研究会、医師国試改革の必要性も強調

自民党の国会議員で組織する「医師偏在是正に関する研究会」(代表:河村建夫衆院議員)の10月7日の第2回会議で、全国医学部長病院長会議会長の新井一氏(順天堂大学学長)は、「医師養成のための卒前・卒後教育改革案」を提案した。医学教育に1年組み込むことで、臨床研修を1年短縮し、医師国試は臨床実習の成果を問う内容に変えるなどして、卒前と卒後の教育・研修をシームレスにし、かつ「個々の医師の選択肢を多様化、拡大」する改革案だ。

新井氏は、臨床研修、専門医研修、大学院での学位取得などの選択肢がある中、「医師の偏在解消策として重要なのは、地域の多様な医療ニーズと、個々の医師の特性に応じた多様なキャリアパスをマッチングできる、画一的ではない柔軟な対応を可能とする法・制度の設計」とコメント。2020年度までには、臨床実習終了時(医師国試前)に技能・態度を評価する「PostC.C.OSCE」を全大学で実施予定であるなど、大学レベルの「自主的な取り組み」が進んでおり、それらを制度化する国の支援などを求めた。
全国医学部長病院長会議の教育委員会委員長の山下英俊氏(山形大学医学部長)も、「短期間で医師を養成し、地域医療に派遣するという発想は重要」とし、今の医師国試は「受験勉強」が求められるため、臨床から一定期間離れることが問題であるとし、実技能力を問う方法に変更するなど国試改革の必要性を指摘。臨床研修の短縮化、専門医研修までのシームレスな教育・研修が可能になれば、短期間での専門医養成にもつながり、女性医師にとってのメリットも大きいと説明。さらに卒前教育の充実には、地域の医療機関を臨床実習の場とすることが重要であり、そのためにも「医学生ができる医行為」を法的に整理する必要性を強調した(『スチューデント・ドクターの先駆者◆山形大学』を参照)。「地域の医師は診療のプロだが、教育のプロではない。医学生に医行為をさせることで『法的責任が及ぶのではないか』との懸念がある」(山下氏)。

「医師偏在是正に関する研究会」は、議員連盟に発展させる予定。
「卒前・卒後の教育研修のシームレス化」「医師の選択肢の多様化」「教育研修期間の短縮」という提案に対しては、出席議員から支持する声が多かった。
その一人が、医師でもある自見はなこ参院議員。(1)子育て世代の30、40代の女性医師は、『職場に迷惑をかける』との理由で離職するケースが多く、この問題は医師に限らず、女性医療職全体について解決すべき課題、(2)医学教育と卒後の臨床研修、専門医研修まで横串を刺して体制を整えることが重要、(3)仮に保険医登録の要件に、地域医療への従事を義務化する場合、女性医師にとっては妊娠可能時期が遅れてしまう懸念があり、早く義務を果たすためにも、医学教育の地域実習をカウントする――の3点を要望した。保険医登録と絡めた医師偏在対策は、10月6日の厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会の「医師需給分科会」で提案されている。
その他の出席議員からもさまざまな意見が出て、約1時間にわたった議論は終了。
河村代表は、「本格的に議論を進めたい。議員連盟という形できちんと立ち上げたい」と締めくくった。「医師偏在是正に関する研究会」は9月に研究会としてスタートしたが、10月末か11月初めまでに議連として発展させる予定。

「地方勤務と保険医登録をリンク」に関心
7日の会議に出席したのは、新井氏、山下氏のほか、千葉大学医学部附属病院長の山本修一氏。3氏のプレゼンテーションの後、出席議員との質疑応答が展開された。
中村裕之衆院議員は、「国の制度として医師偏在対策に有効な手立てはないのか。職業選択と居住の自由があり、強制的なことはできないとしても、例えば保険医登録が簡単になるなど、医療過疎地域に勤務することで、インセンティブを付けることはできないのか」と質問。井野俊郎衆院議員も、「保険医登録に、地方勤務の経験を加味してはどうか、という提言があると聞く」と尋ねた。
新井氏は、保険医登録に絡めた対策について「一つの方策としてはあり得る」と答えた一方、「直接的に縛る」のではなく、医師の地域定着策で一定程度の成果を挙げたところにインセンティブを付けるなどの仕組みが必要だとした。
後藤田正純衆院議員は、地元徳島県の医師が、科研費を使い、研究場所である秋田県に派遣されている例があるとし、似たような枠組みの可能性を質問。新井氏は、地方自治体が、大学に共同研究講座を作って医師を採用、その医師が地域の医療機関に勤務している例があると紹介した。
そのほか、自治体立病院の集約化などの意見も出た。
津島淳衆院議員は、「地方自治体がそれぞれ病院を持ち、全国で医師を取り合っていることが問題。自治体が連携して、『中核病院とサテライト診療所』などの形態に再編する必要がある」と指摘した。さらに周産期医療など、訴訟リスクが高く、法的責任が追及される診療科の医師不足対策の検討も必要だとした。

山形、千葉、着実に医師数増加
議論に先立つプレゼンテーションで、山下氏は、「初期の臨床研修後、後期研修を始める時点でも、医師は相当勤務地域を変える」という研究調査の結果のほか、同一県内でも、都市部の医師は多く、地方は少ないなど地域差が大きい現状を説明。
こうした現状を踏まえた対策として、(1)卒前と卒後の一貫した教育研修コースを設定し、医師が進んで専門医取得の組織を選択できるようにする、(2)各都道府県で、医師育成、医療を総合的に調整する組織を機能させる、(3)地域医療に従事するインセンティブを考える――という発想から、山形県では、山形大学のほか、県、医師会、40の県内病院が参加、協力する組織として「山形大学蔵王協議会」を2002年からスタートさせたと説明。臨床実習の段階から、山形大学と地域の病院を活用した「循環型研修」などを展開している。
山形県内の常勤医師数は、2008年11月の時点では1243人だったが、2015年10月は1333人になり、全体では7%(90人)の増加だが、出身大学別に見ると、山形大学出身者は16%増加(725人から841人)。「県外から、山形大学に入学した人が、卒業後も山形大学に定着するようになってきた」という。山下氏は、チーム医療の重要性が指摘される中、各医師の得意分野や力量などを把握している大学が、地域の医療機関に医師を派遣する枠組みを充実させる必要性を強調した。
山本氏は、千葉県の現状を紹介。同県の人口当たりの医師数は全国45位。現状では2025年には1000人前後が不足するとの推計もある。その対策として、千葉大学や県などが協力して、(1)医師キャリアアップ・就職支援センター事業、(2)医師修学資金制度の拡充、(3)後期研修プログラムの充実、(4)研修病院のネットワーク化――など、初期や後期の研修医を千葉県に呼び込む活動を展開。初期研修医は増加傾向にあり、2013年4月は295人だったが、2014年4月329人、2015年360人、2016年4月398人と急伸した。

【m3.com】



この問題がここを起点として推移するならば、議員立法で歯科の逆バージョンも可能性アリなのかもしれません。
by kura0412 | 2016-10-11 15:19 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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