『多様化する医師の転職行動』
2016年 05月 12日
多様化する医師の転職行動
このところ、大学医局を離れた医師たちの転職行動が変化しているという声を、医師の転職支援に携わる企業の担当者や、病院の幹部らから聞くことが多くなった。(1)転職に踏み切る事情、(2)職場を探す手段、(3)転職先の選択──などの面でパターンが多様化しているというのだ。
病院の方向性と合わずに転職
転職に至る背景事情の変化として大きいのが、病院の病床再編だ。病院は今、都道府県が策定を進める「地域医療構想」の中で、自院の病床が高度急性期、急性期、回復期、慢性期のいずれの機能を担うのか、選択を迫られている。
病院の中には急性期病床を高度化したり、逆に急性期機能を縮小するなど、病床の機能再編に踏み切るケースも増えている。これに伴い、自らの志向する働き方と勤務先の方向性が合わないと感じた医師が、転職に動き始めている。
背景事情としてもう1つ見逃せないのが、2017年4月にスタート予定の新専門医制度。既に専門医を取得している医師が、今の勤務先では更新基準を満たせないとの判断から転職に踏み切ったり、研修プログラムを拡充する狙いから病院が指導医を招へいする動きが今後、顕在化しそうだ。
新制度では、基本領域の更新基準は勤務実態、診療実績、講習受講の各要件を盛り込む形で設定される。このうち転職の引き金になりそうなのが診療実績だ。そのハードルの高さは領域により異なるが、外科系の領域では手術実績の要件を満たせるかどうかがポイントになる。
日本産科婦人科学会の専門医を取得し、現在は行政機関に勤めるある医師は、診療実績の要件をクリアするため転職を検討中だという。「専門医資格を失うことはアイデンティティーの喪失と収入の低下につながる」と同医師。医療機関以外に勤務していたり、医療機関に勤務しながらも専門分野とは異なる領域の診療に従事している医師などが、更新基準を満たすための転職に踏み切ることになりそうだ。
SNSを転職活動に生かす
転職手段については、医師紹介会社の利用に加え、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用が進んでいるのが最近の特徴だ。候補先の病院の情報を収集したり、当該病院の医師にコンタクトを取る手段として活用されている。また、医師のヘッドハンティングも活発化。病床再編の進展に伴い、特定の分野の診療機能の強化を目指す病院が、専門医を「一本釣り」しようとしている。
転職先については、医療機関以外の職場に目が向き始めており、コンサルティング会社などへの転職を志望し、実際に転身を図るケースが増えつつある。
こうした傾向の表れ方は医師の年代により異なる。例えば病院が急性期病床を縮小すれば、急性期の現場でキャリア形成のただ中にある30~40代の医師が離れていくケースが出てくる。一方で、病院が急性期医療の高度化を進めたことで、仕事のペースを緩めたいと考える50代以上の医師が離職する事例も出てきている。そこで次の記事からは、医師の年代別に転職のトレンドを紹介し、併せて成功へのポイントを見ていくことにしよう。
【日経メディカル】
選択肢の少ない歯科の場合はどうなのでしょうか。
このところ、大学医局を離れた医師たちの転職行動が変化しているという声を、医師の転職支援に携わる企業の担当者や、病院の幹部らから聞くことが多くなった。(1)転職に踏み切る事情、(2)職場を探す手段、(3)転職先の選択──などの面でパターンが多様化しているというのだ。
病院の方向性と合わずに転職
転職に至る背景事情の変化として大きいのが、病院の病床再編だ。病院は今、都道府県が策定を進める「地域医療構想」の中で、自院の病床が高度急性期、急性期、回復期、慢性期のいずれの機能を担うのか、選択を迫られている。
病院の中には急性期病床を高度化したり、逆に急性期機能を縮小するなど、病床の機能再編に踏み切るケースも増えている。これに伴い、自らの志向する働き方と勤務先の方向性が合わないと感じた医師が、転職に動き始めている。
背景事情としてもう1つ見逃せないのが、2017年4月にスタート予定の新専門医制度。既に専門医を取得している医師が、今の勤務先では更新基準を満たせないとの判断から転職に踏み切ったり、研修プログラムを拡充する狙いから病院が指導医を招へいする動きが今後、顕在化しそうだ。
新制度では、基本領域の更新基準は勤務実態、診療実績、講習受講の各要件を盛り込む形で設定される。このうち転職の引き金になりそうなのが診療実績だ。そのハードルの高さは領域により異なるが、外科系の領域では手術実績の要件を満たせるかどうかがポイントになる。
日本産科婦人科学会の専門医を取得し、現在は行政機関に勤めるある医師は、診療実績の要件をクリアするため転職を検討中だという。「専門医資格を失うことはアイデンティティーの喪失と収入の低下につながる」と同医師。医療機関以外に勤務していたり、医療機関に勤務しながらも専門分野とは異なる領域の診療に従事している医師などが、更新基準を満たすための転職に踏み切ることになりそうだ。
SNSを転職活動に生かす
転職手段については、医師紹介会社の利用に加え、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用が進んでいるのが最近の特徴だ。候補先の病院の情報を収集したり、当該病院の医師にコンタクトを取る手段として活用されている。また、医師のヘッドハンティングも活発化。病床再編の進展に伴い、特定の分野の診療機能の強化を目指す病院が、専門医を「一本釣り」しようとしている。
転職先については、医療機関以外の職場に目が向き始めており、コンサルティング会社などへの転職を志望し、実際に転身を図るケースが増えつつある。
こうした傾向の表れ方は医師の年代により異なる。例えば病院が急性期病床を縮小すれば、急性期の現場でキャリア形成のただ中にある30~40代の医師が離れていくケースが出てくる。一方で、病院が急性期医療の高度化を進めたことで、仕事のペースを緩めたいと考える50代以上の医師が離職する事例も出てきている。そこで次の記事からは、医師の年代別に転職のトレンドを紹介し、併せて成功へのポイントを見ていくことにしよう。
【日経メディカル】
選択肢の少ない歯科の場合はどうなのでしょうか。
by kura0412
| 2016-05-12 17:40
| 医療全般