米国人が経済として医療を見ると

画期的新薬を阻む日本の薬価制度は本末転倒だ
米国メルク会長兼CEO ケネス・C・フレージャー

医療費削減に迫られ大きく変わる日本の薬価制度。米研究製薬工業協会(PhRMA)会長で、米製薬大手メルクのケネス・C・フレージャー会長兼CEOに聞いた。

──日本ではがん治療の新薬「免疫チェックポイント阻害剤」が、効果は高いものの高額で医療財政を圧迫するという議論が出ています。小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブの「オプジーボ」が販売され、メルクも同じタイプの「キートルーダ」(海外名)を日本で開発しています。

この新たながん免疫療法について、まず強調したいことは、近年の医学における画期的な発見であり、ブレークスルーとなったという点です。半世紀以上がん領域の研究を続け、ようやくキートルーダのような、自分の体が持っている免疫システムを使ってがん細胞を攻撃できる薬が完成したのです。
キートルーダは、悪性黒色腫や肺がん、胃がんの治療薬として承認に向け動いています。肺がんや胃がんは、日本でも発病率が高く、大きな死因です。キートルーダは、まだまだ可能性があり、30種のがんで効果が期待できます。
メルクとしては、(海外で)そのような価値に見合う価格を付けています。無論、患者のアクセスを促進するための値付けも考える。ただ、重要なのは、その値付けで次の新薬開発を行えるかという点です。

──日本では今年、当初の予想を超えて売れ過ぎた医薬品の薬価を引き下げる“巨額再算定”を導入し、画期的なC型肝炎治療薬などが、その対象となりました。キートルーダやオプジーボも標的となっていくのでは?

願わくば、キートルーダが対象にならないことを祈っています。そもそも、医療費の問題を解決するために再算定の適用を拡大する政策は本末転倒です。
確かに(対象となった)医薬品を見ると、非常に高額だと思います。ですが、創薬というビジネスでは、10年単位の長い時間と多額のコストを掛けた研究開発の大半が、失敗に終わります。リスクを冒し、成功にたどり着いた一握りの企業に対して、まるで罰則を科すような政策だと思います。
また、3年連続の薬価改定が行われますが、薬価についてこのようにシステムの根本を変えてしまうならば、日本市場に長期的に投資することが難しくなります。

──新薬メーカー特有のリスク回避のため、メルクもファイザーのように、M&Aへの注力や、租税回避目的の本社移転といった手段を考えますか。

まず断言しますが、租税回避目的の買収は行いません。また、メルクの戦略と企業価値はリスクを取っても、自らイノベーションを追求し、世の中を変える薬を開発していくことにあります。

【DIAMOND ONLINE】
by kura0412 | 2016-03-18 09:01 | 経済 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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