日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『日医が今改定の議論の中で問題視していたのは、調剤医療費の高騰』

「診療報酬の遍在是正」がキーワード - 中川俊男・日医副会長に聞く
最大の成果は調剤医療費への歯止め

2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築が進む中で実施された2016年度診療報酬改定。7対1入院基本料の見直しなど、医療機能の分化と連携の推進に向けた改定項目が並ぶ。
診療側の立場から中医協の議論を主導したのが、日本医師会副会長の中川俊男氏。今改定の注目点やその評価、影響などをお聞きした.

――前回の2014年度改定は、地域包括ケア病棟入院料や地域包括診療料など、注目の新設点数がありました。次回の2018年度改定は、診療報酬と介護報酬の同時改定です。その中間に当たる今改定は、新設点数は少なく、診療報酬体系の問題点の修正に重点を置いた印象です。

目立った新しい点数がないという理解は正しいと思います。限られた財源しかない改定なので、無理に大変革をせず、点数の修正にとどめたのは正しいやり方でしょう。
日本医師会が、今改定の議論の中で問題視していたのは、調剤医療費の高騰です。
その是正に向け、調剤報酬を大幅に見直したことが、第一の評価すべき点です(『かかりつけ薬剤師」の有無で点数に大差』を参照)。特に、大型門前薬局の評価の見直しが行われた意義は大きいと思います。第二のポイントは、長期投薬の是正。長期投薬も含め、モラルハザードの是正が今改定の特徴です。これにより、診療報酬の偏在の是正が進むと考えています。

――改定率については、どう評価されていますか。厚労省は、診療報酬全体では「ネットで0.84%のマイナス」と説明しています。さらに、通常の市場拡大再算定と、今改定で導入された特例の市場拡大再算定を加えると、よりマイナス幅は拡大します。先生は、この点の考え方を厚労省に質していました(『「2回連続のマイナス」、2016年度改定率決定』、『「極めて遺憾」、改定率決定で中川日医副会長』などを参照)。

塩崎恭久厚労相が、昨年の診療報酬の改定率決定時に説明した通りだと思います。ネットで0.84%のマイナス、過去の改定時の表現と揃え、通常の市場拡大再算定分(医療費ベースで0.19%減)を加味すると、1.03%のマイナスです。なお、特例再算定分(同0.28%減)を加えて計算した場合には、1.31%のマイナスです。
ただ診療報酬本体は0.49%のプラスです。財政制度等審議会は昨秋の建議で、診療報酬本体についてもマイナス改定を求めていたことを考えると(『「社会保障費増、5000億円弱に抑制」財政審建議』を参照)、一定程度評価できる結果だと思います。
次回改定に向けた議論では、今改定を前例にせず、薬価等引き下げによる財源は、診療報酬本体の改定財源に充当すべきだと要求していきます。

――第一の評価ポイントとして挙げられた、調剤報酬についてお聞きします。改めて問題意識をお聞きできますか。

株式会社経営の薬局、特に大手調剤薬局チェーンが、公的医療保険制度下に入っていること自体に無理があります。この問題に尽きます。大手調剤薬局チェーン4社の2014年の純利益の合計は139億円、内部留保の増加額は120億円、配当は約26億円に達します(『門前薬局から、かかりつけ薬局・薬剤師への転換迫る』を参照)。これは大きな問題です。その実態を明らかにするため、有価証券報告書で、保険分野とそれ以外の分野に分けて、収益を出してもらいたいと提案しています。公的医療保険制度下で運営する以上、明瞭な決算の開示を義務付けるべきです。
今改定では、大型門前薬局の調剤報酬を引き下げました。さらに「かかりつけ薬剤師」の考え方を導入したことは成果であり、営利に走る大手薬局チェーンに対する一定の歯止めになったと思います。当初の議論では、「かかりつけ薬局」との表現でした。最終的には「かかりつけ薬剤師・薬局」となり、「薬局」が残ったのは残念ですが、「薬剤師」との言葉が入りました。

――調剤報酬については、調剤基本料や基準調剤加算をはじめ、さまざまな点数が見直されました。当初の想定通りに進んだのか、あるいはまだ不十分な点があるのでしょうか。

現時点では、検証してみないことには分かりません。

――長期投薬は、「モラルハザードの是正」から、制限したとのことです(『「内服薬2種類以上、減少」で250点』を参照)。

はい、その点が重要なポイントです。「90日処方が当たり前」というのは、医療としておかしい。中医協総会にも日医総研のデータを出しましたが、「長期投薬により、患者が服薬を忘れたり、中断したために、病状が改善しなかった」などの問題が生じています(『分割調剤や残薬調整、診療側と支払側で意見対立』を参照)。大病院から逆紹介で診療所に戻ってきても、患者さんが「60日処方」や「90日処方」 に慣れてしまっています。2カ月も、3カ月も受診しなくてもいい状況は問題。

――「30日超」の場合には、病状が変化した際の対応方法を患者に周知したり、分割調剤を検討するなどの対応が必要になります。

「30日超」という言葉が入ったのは、画期的と評価しています。漫然と長期処方をするのではなく、それが本当に必要なのかを今一度、立ち止まって考えていただきたい。

――残薬問題についても対策が講じられ、処方せん様式も変更されました。残薬対策は必要ですが、疑義照会が増え、現場の業務が大変になる懸念もあります。

その影響こそ、まさに検証が必要。残薬が多いのは、多剤投薬ではなく、処方日数が長いことが主たる原因だと私は思っています。
そのほか薬関連では、院内処方に対する「外来後発医薬品使用体制加算」の新設も、注目点です。医薬分業から院内処方に戻す選択肢もあり得るという意味が込められています(『「後発品70%以上」、処方料3点加算』を参照)。

――「モラルハザードの是正」から改正された点は、他に何がありますか。

回復期リハビリ病棟の疾患別リハビリテーションで、アウトカム評価が導入されたことです(『回復期リハビリでアウトカム評価を導入』を参照)。「回復期リハビリ病棟の中には、入院患者の9割以上に、1日平均6単位を超す疾患別リハビリを実施している病棟が約2割ある」といった実態は、やはりおかしい(『リハビリ、「アウトカム評価」重視へ』を参照)。その背景には、理学療法士数が多すぎるという現状があると考えています。

【m3.com】
by kura0412 | 2016-03-04 15:20 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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