「保険外サービス」

「保険外サービス」規制緩和のインパクト

2018年度の介護保険制度改正に向けて、近々、厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会で本格的な審議が始まります。膨張する社会保障費を抑制するため、介護保険の給付対象から軽度者が外される可能性が高いだけに、介護事業者にとってはその対策が今後の大きな経営課題になりそうです。
介護保険部会での主な見直し項目の1つが、自宅の要介護高齢者の世話をヘルパーが行う訪問介護の生活援助サービス。介護の必要度が比較的低い要介護1・2の人を対象に、買い物や食事の調理などの援助メニューを介護保険給付から外し、原則自己負担とすることが検討される見通しです。既に財務省は昨年、同様の内容の介護給付見直し案を提示しています。

厚労省など3省が保険外サービス事例集を発行
介護保険の給付範囲縮小の議論に関連して注目されるのが、利用者が費用を全額負担する「介護保険外サービス」です。介護報酬のマイナス改定のリスクに備え、介護事業者の間では以前から事業化の必要性が指摘されていました。しかし、とりわけ介護保険サービスに介護保険外サービスを組み合わせて提供する「混合介護」については、介護保険法上で認められていても現実には各種の規制の壁があり、参入が進んでいませんでした。
介護経営コンサルタントの小濱道博氏は次のように指摘します。「例えば、訪問介護でヘルパーのAさんが1時間の身体介護を行い、その後に全額自費の家事代行サービスとして家屋の掃除を行う場合、役所の解釈や指導に問題があった。『そのままAさんが続けて掃除を行うのは好ましくない』との判断から、Aさんがいったん事業所に戻って出直すか、別のBさんが掃除を担当することで、時間の区切りを明確にするように多くの役所が求めてきた。しかし、これは運営上とても非効率であり、保険外サービスの普及を阻害している」。
また、要介護高齢者の日中の預かり施設である通所介護事業所で、利用者が帰宅後に食べる弁当を保険外サービスとして全額自費で販売できるかどうかも自治体によって解釈が異なり、食品衛生法などとの関係や安全性の問題から許可されないケースがかなりありました。「高齢者が介護保険サービスと混同する」との理由も聞かれます。

こうした中、国が保険外サービスの育成を推進する動きが出てきました。
3月にも厚生労働省・経済産業省・農林水産省の3省が共同で『保険外サービス活用ガイドブック(仮称)』を発行し、介護保険外サービスとなる家事代行や物品販売など数十事例を紹介。これまで法令や自治体の条例などとの関係で「グレーゾーン」と見なされ、行政機関が認めなかったサービスにも“お墨付き”が与えられる可能性があります。前述した訪問介護のヘルパーによる掃除や、通所介護事業所での弁当販売の事例も掲載されるかもしれません。
小濱氏は、ガイドブック発行の介護業界への影響についてこう語ります。「今後、介護サービスを利用する団塊の世代は、多様な要望を事業者側に強く主張してくるだろうから、既存の介護保険サービスという“定食メニュー”で彼らのニーズに応えるのは不可能。オーダーメイドの自費サービスで対応することが必要であり、提供できない介護事業者は淘汰されていくだろう」。
ガイドブックの詳しい内容は現時点でまだ明らかではありませんが、国の保険外サービスの推進政策はこれまで介護報酬の収入に依存してきた介護事業者に大きなインパクトを与えそうです。新サービスの市場拡大に期待しています。
 
【日経メディカル】




介護だけでなく、中医協でも「新たなる選定療養に対する意見」の検討が始まっており、いわゆるグレーゾーンに対する線引きが成されようとしています。
by kura0412 | 2016-02-10 09:33 | 介護 | Comments(0)

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by kura0412