栄養サポートメンバーに加わるならば

院内・院外の歯科医師と連携した栄養サポートを診療報酬で評価―中医協総会

2016年度の次期診療報酬改定では、栄養サポートチームに歯科医師を配置した場合の評価や、院外から歯科医師が訪問して院内スタッフと共同して栄養サポートを行った場合の評価を行ってはどうか―。このような医科・歯科連携推進方策が、4日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会に厚生労働省から提案されました。
また栄養食事指導料の対象に「がん、摂食・嚥下困難、低栄養の患者」を加えるほか、入院・外来・在宅を通じた栄養食事指導料の整合性を図ることなども提案されています。

医科・歯科連携の更なる推進を目指す
かねてから医科・歯科連携の重要性が指摘され、▽周術期口腔機能管理料の創設(2012年度改定)▽歯科医療機関連携加算の創設(2014年度改定)―など診療報酬上の評価も進められています。
また、2010年度改定では「栄養サポートチーム(NST)加算」が創設されました。この加算は、専任の医師・看護師・薬剤師・管理栄養士からなるNSTを組織し、▽回診・カンファレンス▽栄養治療実施計画の作成▽退院時などの指導―を行うことを評価するものです。

栄養サポートチーム加算の施設基準では、歯科医師の参加は必須ではない
この加算に「歯科医師の参加」は義務付けられていませんが、NSTに歯科医師が参加することで、「口腔内の環境が改善し、食事の経口摂取が可能となる」→「栄養摂取量が増加」→「一時退院も可能になる」などの大きな効果があることが分かりました。

栄養サポートチームに歯科医師が参加することで、大きな効果が上がることが分かっている
もっとも、歯科医師を配置している医療機関はそう多くはありません。そうした場合、院外の歯科医師と連携することが同様の効果が上がることが期待できます。
こうした状況を踏まえ、厚労省保険局医療課の宮嵜雅則課長補佐は次の2つの提案を行いました。
(1)NSTに歯科医師が配置されている場合の評価を行う
(2)院外の診療所などから歯科医師が訪問した上で、院内スタッフと協働で栄養サポートを実施することを評価する
この提案に特段の反論は出ておらず、今後は具体的な制度設計(例えば、(1)をNST加算の加算とするのかなど)を厚労省内で行うことになります。ただし、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「院内に専任の歯科医師がいる(1)のケースと、院外の歯科医師と連携をする(2)では、評価(点数)に差を付けるべきであろう」と注文を付けています。

入院栄養食事指導料、がん患者なども対象に
栄養食事指導は、慢性期はもちろん、急性期でも高齢の患者が増加する中で重要性を増していきます。現在、診療報酬上は次のような評価が行われています。
▽入院:入院栄養食事指導料、栄養サポートチーム加算など
▽外来:外来栄養食事指導料など
▽在宅:在宅患者訪問栄養食事指導料など

栄養に関する診療報酬上の主な評価
入院・外来・在宅それぞれの栄養食事指導料は、医師の指示に基づいて管理栄養士が「具体的な献立によって指導を行う」ことを評価するものです。この指導には、平均で初回は45分、2回目以降は30分程度かかることが日本栄養士会全国病院栄養士協議会の調査からわかっています。また、高齢者では指導内容の理解に時間がかかるケースも少なくなく、高齢患者の増加によって「より長時間、しっかりとした指導を行うべきではないか」との指摘もあります。

栄養食事指導について、入院・外来ともに一定程度の時間(初回は45分、2回目以降は30分)が必要である
この点、在宅の指導料を算定するためには「30分以上の指導」をしなければいけませんが、入院と外来の指導料は「15分以上の指導」をすれば算定でき、実態に合致していないと厚労省は考えているようです。
また、栄養食事指導料の対象は「特別食(腎臓食、肝臓食、糖尿職、無菌食など)が必要な患者」に限られています。しかし、例えば、化学療法中の患者では「症状などに応じたきめ細かな食事の工夫と指導を行うことで、低栄養のリスク軽減に効果がある」ことなどが研究から明らかになっています。
こうしたことを踏まえて宮崎医療課長は、栄養食事指導について次のような見直しを行ってはどうかと提案しました。この提案に特段の反対意見は出ていません。
▽入院栄養食事指導料、外来栄養食事指導料について、より長い時間の指導(例えば30分以上)を評価する
▽入院・外来・在宅それぞれの栄養食事指導料の対象に、「がん患者」「摂食・嚥下困難患者」「低栄養の患者」を含める
▽在宅患者訪問栄養食事指導料について、指導内容に「在宅での栄養の改善に有効な実践的な指導」を含める

【メディ・ウォッチ】

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-HokenkyokuーIryouka/0000103119.pdf



前段は領域拡大として進展ですが、後段は歯科医師が加わらず領域を限定させる可能性があります。摂食嚥下も歯科医師が関与出来てこそ、医科歯科連携の意義があります。
by kura0412 | 2015-11-05 18:06 | 嚥下摂食 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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