『流通大手のイオンが目指す健康社会とは』

流通大手のイオンが目指す健康社会とは

流通大手のイオン。介護事業への参入も取りざたされている同社は今、ヘルスケアにどうかかわろうとしているのか。イオンリテール 取締役会長の梅本和典氏は、2015年7月3日に開催された「超高齢化社会の未来を考えるヘルシーエイジング・イノベーションフォーラム」に登壇。「イオンのめざす健康社会」をテーマに講演した。

このフォーラムは、「寿命革命」を目指す弘前COIプロジェクトの活動報告の一環として実施されたもの(関連記事)。イオンも、この弘前COIプロジェクトに参画している。
イオンが弘前COIプロジェクトにかかわったのは、2009年に青森県と提携した包括協定がきっかけだ。プロジェクト内では「予兆因子に基づいた予防法の開発」に参画し、健幸度を上げるためのプログラム開発と社会実装を進めている。
その中で、イオンが青森県と弘前大学との産官学共同で取り組んだのが「つがる健康ポイントプログラム」。このプログラムでは運動の習慣化をはかるために、「健康度測定会」「モールウォーキングレッスン」「つがる健康ポイント」「健康データの可視化」という4つのスキームが実施された。

「日本全体のモデルとして拡大させる」
「健康度測定会」では、血圧や体脂肪、骨密度などの生活習慣病の予防や自立した生活の継続に欠かせない項目を測定。4回の測定会で338人のログデータを収集した。
「モールウォーキングレッスン」では、ウォーキングトレーナーのデューク更家氏やその門下生が2週間に1回のレッスンを実施。1回につき平均で約50名が参加したという。
「つがる健康ポイント」では、ショッピングセンターにある950mのモール内を歩いて健康になろうというモールウォーキングを実施。雨や雪が防げる屋内モールでのウォーキングは冬場の運動不足を解消できることから、期間中に1268名が参加した。さらに、参加者のモチベーションを上げるため、モール内にタッチポイントを複数設置し、そこでタッチするとタッチの数に応じて健康ポイントがプレゼントされるタッチラリーも実施された。

この健康ポイントは、単純にポイントを付与するだけでなく、「アンケートなども取ることで、データを分析するための仕組みにもなっている」と梅本氏は補足。タッチラリーには電子マネー「WAON」を使用。WAONのIDとイオンが持つPOSデータを連携できるため、ユーザーの購買動向の変化を確認できる点とポイントプログラムを実施できる点の2つをメリットとして挙げた。
「健康データの可視化」としては、WAONとひも付けて薬歴などをWeb上で管理できる電子版健康手帳「からだメモリ」で、モールウォーキングのデータを連携。参加者があとから可視化されたデータを見られるような仕組みを導入した。このような見える化やいくつかのプロモーション施策によって参加者のモチベーションは維持され、継続的な参加につながったそうだ。
今回のプロジェクトについて梅本氏は、「この弘前モデルを弘前だけで終わらせるのではなく、青森県のショッピングセンターに広める」としただけでなく、「日本全体のモデルとして拡大していきたい」との意欲を示した。そのための重要なポイントとして挙げたのが「集客効果」であり、今回のプロジェクトでは来店促進がデータとして証明されたと語る。

見えてきた社会実装への課題
その一方で、健康促進の観点からは、タッチ数が参加者の問題意識によって変化する点に着目。問題意識の低い人が「もっと歩いてタッチしてくれるような動機づけやモチベーション施策を、より深く考える必要がある」という点を指摘した。また、モールウォーキングレッスンを実施した際に「ヘルスケアのコミュニティーが形成され、健康や食生活の情報を交換する場ができた」という点を想定外の素晴らしい効果として挙げた。

では、今回のような取り組みを社会実装化するには、どのような課題があるのか。まず挙げたのは「モチベーションを維持継続する運動習慣のスキーム構築」。モールウォーキングなどはポイントの付与をしない形で継続しており、現在も参加人数は落ちていないとのことだが、梅本氏は「きっかけを作るという意味においては必要な施策である」との考えを強調した。
次に挙げたのは「健康の改善サービスの多様化」。今回は「歩く」ことのみでプロジェクトを実施したが、複数のやり方を開発し多様化していく必要があると見る。とくにイオンは“食”が本業となるため、「食事を楽しみながら健康になる商品やサービスの開発が必要になる」と語った。そのほかの課題としては、「地域への展開」や「メーカーと連携した新商品開発の可能性」などを挙げた。

最後に梅本氏は、ヘルスケアコミュニティーを創出するため、今回のようなプロジェクトを実装・運営するには企業の原資が必要である点に触れ、「ビジネスモデル化」の必要性を語った。
今回のプロジェクトでは、「来店率の向上」と「健康関連商品の購入増加」が確認できたことから、マーケティングとして健康関連メーカーへの参画を呼びかけるほか、ライフタイムログやイベントログの取得、ID-POSデータによる商品提案やライフ提案を挙げた。また、継続的事業化の仕組みとしては、行政やCOI参加企業、地元企業との協業モデルを進める考えを述べ、講演を終えた。

【日経デジタルヘルス】



今回この講演で示されなた中には歯科関連のイベントは見当たりませんでした。
果たして歯科界がこの種の動きにどう連動するのか、あるいは独自の動きとなるのか。はっきりしているのは何もしなければ歯科医療は食い荒らされます。
by kura0412 | 2015-07-29 09:55 | 経済 | Comments(0)

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by kura0412