日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『社会保障費にメス入れる』

甘利大臣「社会保障費にメス入れる」
今後の方向性議論、社会保障制度改革推進会議

2025年に向けた社会保障制度の在り方を検討する「社会保障制度改革推進会議」(議長:清家篤・慶応義塾長)の第4回が4月10日に開かれた(資料は、同会議のホームページに掲載)。今後の検討課題を幅広く話合う議論の中で、訪問看護の充実や終末期医療の在り方の検討を求める声が出たほか、出席した経済財政政策担当の内閣府特命担当大臣の甘利明氏は、サービスの低下を防ぎたい考えを示しながらも、社会保障費について「(2020年のプライマリーバランスの黒字化に向けて)メスを入れざるを得ない」との認識を示した。医療保険制度改革については、複数の委員から評価する声が出た。

訪問介護不足で「すぐ病院に戻る」
10日の会議では、2025年に向けた当面の検討課題が示された。社会保障全体としては、高齢化への対応や、経済財政との両立を目指す方針が盛り込まれている。医療関連では、「高齢者へ身近な医師の受診を促す体制の構築」「医療従事者の確保と、質評価や技術革新」「病床機能の分化・連携や地域包括ケアシステムと地域づくり」「医療と介護の連携」といった項目が並んでおり、会議で概ね了承された。

これらの検討課題に対し、委員からは具体的な医療の在り方についての発言も出た。
学習院大学経済学部教授の遠藤久夫氏は、医療と介護の連携について、主に介護保険のカバー範囲になっている訪問看護の観点から言及。在宅医療が進んだ場合、在宅における高齢者の医療ニーズが上がる可能性に触れて、「(訪問看護が充実していなければ)体調が悪くなったら、すぐに病院に戻ることになりかねない」と指摘。医師の訪問には、限界があるとの認識を示した上で、医療保険も含めて、訪問介護の在り方を検討するように求めた。
東京大学公共政策大学院客員教授の増田寛也氏は、「この場で話し合うのが適切かは不明」と前置きしながらも、終末期医療に言及。現状について、「本人が望まない延命治療が行われている」との認識を示した上で、「医療は過剰でも過少でもいけない」と述べ、国民的な議論が必要と野認識を示した。
終了後の記者会見で清家議長は、個別のテーマの扱いについては、「必要ならば議論をする」とした上で、具体的な政策は、厚労省などに設置された会議体によって個別政策に落とし込まれるとの認識を示した。

小泉政権の手法は「あまり取りたくない」
社会保障全体についての総論の意見も多く出た。東京大学大学院経済学研究科教授の伊藤元重氏は、政府が狙う2020年のプライマリーバランスの黒字化に向けて、それぞれの施策について、時間軸を意識しながら進める必要を指摘した。甘利氏も、プライマリーバランス黒字化の重要性を指摘した上で、「社会保障制度と地方への支出にメスを入れざるを得ない」と発言。財務省からは、目標を決めてカットするようなアイデアが出ている点に言及した上で、「サービスの質を落とさないようにしたい」との意向を示した。
具体的には、経済財政諮問会議でも検討されているように、公的な支出を削った部分を産業化して、税収につなげる考えを示した(『自由に選べる社会保障求める、経済財政諮問会議』を参照)。さらに、レセプトデータや診療データの活用によって、重複受診や頻回受診、薬の過剰投与の削減にも期待を示した。甘利氏は、小泉純一郎政権時代の、社会保障費の自然増分の2200億円の一律削減については、「(そのような手法は)あまり取りたくない。ハレーションを起こして頓挫しないようにしないといけない」と述べ、社会保障費の削減圧力が続く中でも、実態を考慮しない過激な進め方にはならない可能性をにじませた。
東京大学名誉教授の神野直彦氏は、日本における社会制度の問題について、それぞれの「制度が有機的に関連づけられていない」と指摘した上で、公的領域と私的領域の中間で活動する「ボランタリーセクター」なども含めて、社会保障の在り方を検討する必要性を指摘した。

「医療に優秀な都道府県職員を」
この日は、今国会に法案提出した医療保険制度改革の進捗状況も報告された。
厚労省が、国保について、主体を市町村から都道府県に移した上で、公費の投入を3400億円増やすことや、紹介なしの大病院受診時の定額負担の増額、患者申出療養制度などを説明。増田氏は「とても良い」と評価し、都道府県の役割拡大について評価した上で、「都道府県は優秀な職員を財政周りに集める傾向があるが、しばらく医療や保険などに集めて、準備をするのが大事ではないか」と述べ、都道府県や医療保険や医療提供体制に力を入れることに期待を示した。神奈川県立保険福祉大学名誉教授の山崎泰彦氏も、増田氏同様、改革プランを評価する意見を表明した。

【m3.com】
by kura0412 | 2015-04-11 09:00 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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