介護保険は2025年までに大ナタか

介護スタッフの待遇改善、官製賃上げに限界

介護スタッフに賃上げの春は来るのか。政府は2015年度から、介護スタッフの月給を平均1万2千円上げる方針を決めた。だが、過去のデータを検証すると賃上げがどこまで及ぶかは不透明だ。財政難が深まるなかで官製賃上げは矛盾がにじむ。全国30万施設の大半を占める零細事業者の集約で生産性を高め、賃上げ原資を捻出する方策が必要になりそうだ。
「正直、アベノミクスの実感はない。賃上げに期待したい」。東京・世田谷の特別養護老人ホーム(特養)で働く介護福祉士(38)はこう話す。だが、賃上げへの道筋は視界不良だ。

■認識と実体ズレ
まずはデータから検証してみよう。
政府はこれまでも介護スタッフの待遇改善に向け資金を投じており、厚生労働省は「09年度から累計で月3万円アップの効果があった」とする。ところが、13年の賃金構造基本統計調査をみると介護スタッフの月給は約22万円。全産業に比べ10万円ほど低い水準はほとんど変わっていない。
ギャップはなぜ生じるのか。介護スタッフの賃上げでは勤続が1年延びるごとに賃金表に従って増やす「定期昇給」が8割近くと最も多い。賃金表そのものを書き換えて一律に水準を底上げするベースアップは1割どまりだ。
一方、重労働で知られる介護の現場では2年未満で辞める人が全体の3割になる。
都内の特養ホームの施設長は「3年たつと当初入ったスタッフは2割しか残らない」と明かす。短期間で転職したり辞めたりする構造そのものが変わらないと、賃上げ効果がなかなか現場に及びにくい。
政府が決めた賃上げの枠組みもつぎはぎ感が強い。
介護業に従事する人は約250万人とみられるが、賃上げの対象は7割を占める介護スタッフのみだ。介護に直接携わらないリハビリ専門職や調理師を対象外とするのは「現場の運営実態から離れた方策」(都内の特養の施設長)との声が根強い。

■零細事業者多く
政府は事業者の収入となる介護報酬を15年度から2.27%下げると決めた。
介護費が約10兆円に膨らみ「財政(の悪化)を無視できない」(塩崎恭久厚労相)ためだ。減収で経営難になる事業者は介護スタッフの賃上げに取り組みにくい。むしろ「人件費を抑えるためにボーナス削減などが進み、待遇は良くならない」(特養の業界団体、全国老人福祉施設協議会幹部)との声も出る。
介護の需要は増えているのに財源は乏しく、賃上げの効果が及ぶかわからない。八方ふさがりの感があるが、首都圏で介護事業を手掛ける大手企業の役員は「政府に頼らずに取るべき手はある」と指摘する。大規模化を進めて生産性を高める方向に活路を見いだす戦略だ。
この会社は傘下の高齢者住宅などを50カ所以上まで拡大。介護スタッフの業務見直しも進め、配膳や掃除、見回りといった専門性の乏しい仕事はパートやアルバイトに任せた。
スタッフは介護に専念させる仕組みで、限られた人件費をスタッフに重点的に充て仕事の負担も軽くできるようになった。規模拡大や分業の徹底で生産性を高めた結果、収益が向上し賃上げを可能にする原資を確保できたという。
介護サービスを提供する施設・事業所は全国で34万カ所。零細経営が多い。帝国データバンクの過去の調査では、職員数が10人未満の法人が約2割、10~50人未満の法人が約3割にも上った。
特養ホームの運営をほぼ独占する社会福祉法人も、半数は「1法人1施設」。キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘研究主幹は「零細経営では限界がある。規模を拡大し合理化すれば職員の定着率も上がる。待遇の改善にもつながってくる」と指摘する。
高齢化が進むなか、25年度には介護スタッフは30万人不足する。1000兆円に膨らんだ国の借金を考えれば、官製賃上げは対症療法の域を出ない。事業者集約を促す規制緩和や制度改革を急ぎ、生産性を高めなければ介護現場の苦境からの脱却は逃げ水のように遠のいてしまう。

【日経新聞】



2025年まであと10年。それでこの現状です。介護保険はどこかで大ナタを振る時がくるかもしれません。
そして昨日の中医協の在宅診療の資料を見ると、その余波は医療保険にも波及する可能性が大のように感じます。
その激震前に歯科界はどう動かなければならないのでしょうか。早急な戦略と行動が必要です。
by kura0412 | 2015-02-19 10:55 | 介護 | Comments(0)

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by kura0412