『在宅「寛大な措置」終わり、適正化へ』

在宅「寛大な措置」終わり、適正化へ
2014年度改定での引き下げに不満多く、全国在宅医療養支援所連絡会

全国在宅医療養支援診療所連絡会の第2回全国大会が2月14、15の両日、都内で開かれ、15日には、2014年度改定で大幅に引き下げられた診療報酬を巡り、「適正化に向かう診療報酬制度」と題したシンポジウムがあった。
現場からは、在宅時医学総合管理料の算定要件の変更で非効率な診療が起きている点への不満や、機能強化型の在宅療養支援医療機関の施設要件の緩和を求める声が出た。出席した厚生労働省の担当者は、従来の診療報酬について「たくさんの人が参入するように、寛大な報酬を設定してきた」との認識を示し、”寛大な措置”の期間が終わり、適正化に向かう流れを伺わせた。

「金のためにやっているのか」
現場からの不満を講演したのは、静岡県浜松市で「坂の上ファミリークリニック」などを運営する医療法人社団心の理事長を務める小野宏志氏。小野氏は2014年度改定について、在宅重視の方針や「頑張っている人が報われる」との考え方に理解を示したものの、同一建物の場合、約4分の1になった在宅時医学総合管理料を挙げて「どう考えても納得いかない。(従来が少し高めだったとしても)あまりに突然で急激。もう少し現実を良く見て判断してもらいたい」と指摘。減額への対応として月1度までまとめて訪問できる特例措置が残ったが、算定に向けて、「(月2回目以降の)ばらばらの訪問は時間の無駄。誇れる日本の医療というが、どこの国が真似をするのか」と憤った。
さらに、急激な変化に対応するために、非効率的な個別訪問をこなす中で、「(施設やスタッフ維持のための)金のために往診しているのではないかと思うことがある」と吐露し、現場のモチベーションが低下している点を指摘した上で、”支える医療”を優遇した政策を取るように求めた。

千葉県船橋市で在宅医療も手掛ける板倉病院の理事長で、日本病院会副会長の梶原優氏は、船橋において、在宅関連の85施設で立ち上げた、2007年10月の船橋南部在宅療養研究会について言及。
板倉病院では、在宅医療部の患者数が2008年には月平均34.3人だったが、2014年には89.1人まで増加した。ただ、機能強化型の在宅療養支援医療機関については、10施設から7施設に減少していることを紹介。梶原氏は、「年間で、緊急往診4件、看取り2件」との条件がネックになっているとの認識を示した。現場において、継続的に訪問していた診療所の医師が何らかの事情で不在になっていた際に、板倉病院の医師が看取るケースがあり、その場合、診療所の実績としてカウントされない仕組みになっていて、連携先の診療所などから不安が出ているという。梶原氏は、連携をしている医療機関全体の看取り件数で評価する仕組みを検討するように求めた。

在宅医療の質を評価する流れ
厚生労働省保健局医療課課長補佐の林修一郎氏は、在宅における診療報酬の考え方について講演。
2006年度に在宅療養支援診療所が新設され、2014年度改定までは一貫して引き上げ方針が続いてきた点に触れ、「高い報酬でいろいろな弊害は起こるが、極力目をつむり、頑張ってもらう方向だった」と振り返った。引き下げの1つの要因となった、高齢者の集合住宅への訪問診療に関する不適切事例については、「(税金や保険料を財源とする)貴重な診療報酬が高齢者施設に還流する事例が生じてしまった」と述べた上で、2014年度改定からは、提供する在宅医療の質の評価についても考える方針となったことを指摘。特例措置のために多くの在宅医療において、非効率な訪問となっている点については、「どういうコストに対してどう払うかを真剣に考え、あるべき姿にしないといけない」と話し、過渡期の側面があるとの認識を示した。

2016年度改定に向けては、中医協が2014年度改定の影響を調べた結果を提示。
患者1人当たりの診療時間は、同一建物の場合、平均で9.2分だったものの、非同一建物の場合21.9分と2倍を超えていることや、非同一建物の患者が、同一建物よりも要介護度が高い傾向にある点を示した。さらに林氏は、入居者全員が訪問診療を受けているケースや交通手段か確保できないために訪問診療を受けているケースに言及し、「どこまで医療保険でやっていくのかを考える時期。在宅医療は必要だが、対価が支払われるなら、いくらやっても良いというものではない」と述べ、重度の患者らに適切に行き渡る制度設計を考えたいとした。

介護報酬引き下げの影響も危惧
各演者の講演後のディスカッションでは、演者やフロアから、診療報酬も含めた不満が出た。不満が集中した1つのテーマは、施設訪問が居宅対応より、評価が低くなる流れがある点。小野氏は、「(診察時間などと関係なく)24時間対応しないといけないのは、施設も居宅も変わらない。施設ほど重症な場合があり処置している現実もある」と訴えた。
フロアからは、沖縄でクリニックを運営する医師が、施設と居宅について、「(患者の状態を管理して、情報提供をする)マネジメントの労力は変わらない」と指摘。さらに、骨折や発熱で状態が急変することも多いことから、施設の評価を上げるように求めた。林氏は、患者の個別性を評価していく可能性に言及し、「今答えがあるわけでなく、(現場の医師らと)一緒に考えたい」と述べた。

その他も厚労省の考え方に意見が相次いだ。
東京都小平市で開業している医師は、施設の場合、重症度が高いのに加え、施設の職員が看取りに慣れていないケースがある点に言及して、「国から医師会と相談して看取りの医師を探すように文書が出ているようだが、(居宅より大変な)施設をやるようには、医師会も言えない」と指摘した。小野氏も「どの医師会の施設への紹介を躊躇している」と同調した。
沖縄県と鎌倉県で在宅医療を実施している医師は、処置や気管切開チューブなどの特定医療保険材料が算定できないものが、点数の引き下げで、包括的にカバーするのが難しくなっている点を指摘し、「検査は算定できるのにおかしいのでは」とした。
林氏は、「包括と出来高をどう組み合わせるかという問題。従来、包括で(高めに設定して)たくさんの人が参入するように、寛大な報酬を設定してきた」と話し、”寛大な措置”の期間が終わり、算定の条件が厳しくなっていく流れを伺わせる発言をした。
梶原氏は、介護報酬の引き下げの影響に言及。
現在、引き下げが決まり、介護老人保健施設が積極的に在宅復帰を目指す流れになっている点に触れ、「在宅の支援体制ができてないところは、一気に在宅の医療需要などであふれかえる」と指摘して、混乱を生じる可能性を危惧した。

【m3.com】



在宅も更に厳しい方策が出てきそうです。
by kura0412 | 2015-02-17 12:06 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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