今後の調剤に同行に注視

くすりの福太郎「薬のカルテ未記載」に業界震撼
不祥事が再燃させる「儲かる調剤」批判の声

ドラッグストアチェーン大手のツルハホールディングスの子会社で、関東を中心に189店舗を展開するくすりの福太郎(千葉県鎌ケ谷市)は2月10日、同社の調剤薬局48店舗で、薬剤師が薬の服用歴などを記録せずに、薬を患者に出していたと謝罪した。
調剤薬局では、医者からの処方箋を基に調剤する際、患者ごとに薬のカルテ(薬歴)を作成している。そこには、アレルギー歴や病歴、薬の副作用のほか、患者の訴えや症状、薬を飲めているかといった確認、薬を出すときに患者に伝えたアドバイスなどについて、薬剤師が記録を残す。こうした情報を蓄積することは、医療安全だけでなく、毎回同じ質問を患者にしないですむなど業務の効率化にも寄与している。
くすりの福太郎では、こうした薬歴を記載せずに薬を患者に出し、調剤報酬を不適切に請求していた。その数は少なくとも17万3515件で、1件当たり410円。同社は、対象となる患者と健康保険組合などの保険者に返金するという。
親会社のツルハホールディングスは今回の問題について現在も調査中で、くすりの福太郎の小川久哉社長は状況が落ち着いたタイミングで退任する。また、2月末までに10店舗を閉店し、業務改善やスタッフの配置を見直す。

「薬剤師個人の能力不足」では済まされない
薬歴の未記載が起こった背景について、くすりの福太郎は、薬剤師の認識の甘さや能力の個人差を挙げた。またツルハから導入された薬歴の入力システムを使いこなせていなかったことも明らかにした。
薬歴は、手書きで記録する調剤薬局もあるが、パソコンによる入力システムを導入しているところが7割程度を占める。「薬を出す際に患者と会話しながら入力したり、患者が帰った後など手が空いた時間に手早く書いたり、企業によって記録の仕方は様々」(薬局業界関係者)。ある大手調剤薬局チェーンでは、「記載に要する時間は患者1人当たり2分」などと記入のルールを徹底している。
また、入力システムを開発するソフトウェアメーカーの間では、薬歴を効率よく入力するための競争が激化している。薬歴をきちんと記録した上で得られる報酬の410円は、患者1人当たりから得られる報酬の大きなウエイトを占めることもあり、薬歴記載を徹底している実態がある。
薬歴を書かないなんて、言語道断──。調剤薬局やドラッグストア業界の間では、くすりの福太郎の件を、あくまでも個別の企業の話と捉える向きもある。だが、調剤薬局に対して、都道府県や厚生労働省の出先機関である地方厚生局が行う個別指導に携わる関係者は言う。「薬歴を記載していても、内容が十分でない薬局は一定数いる」。

調剤薬局の業務全般に対する厳しい指摘を懸念
業界関係者からは、今回の不祥事の余波を懸念する声も聞かれる。それは、「そもそも薬歴とは何なのか」「本当に私の薬歴は、その料金に見合った形できちんと記録されているのか」など、ドラッグストアや調剤薬局の業務全般に対する批判がさらに強まる可能性だ。
過去にはこんな事例がある。昨年4月に調剤報酬が改定された際、薬の服薬状況などを記録する「お薬手帳」をめぐり、調剤薬局は批判の対象となった。「めったに病院にかからないにもかかわらず、お薬手帳を渡してきて余分に料金を請求する」などという薬局の対応への不満がメディアで数多く取り上げられた。
全国健康保険組合連合会などの保険者は、こうした世論を敏感に捉え、医療費抑制の観点からも薬局の業務を注視している。今回の事態を発端に薬歴記載問題に関心が集まり、調剤報酬額の妥当性に疑問符が付くかもしれない。そうなると報酬引き下げ圧力につながり、経営にダメージを与える可能性もある。

業界は「タイミングが悪い」と頭を抱える
また、日本医師会をはじめとする医師の側からも厳しい目が向けられている。昨今、診察や薬の処方は医師が行い、薬の調剤は薬剤師が行うという、国が進めてきた「医薬分業」に異議を唱え、院外処方から院内処方に戻す医療機関もにわかに増えている。
その理由には、「病院で薬も受け取れる方が患者にとっては便利」という観点だけでなく、「調剤を薬局に任せるメリットが感じられない」「薬局は儲けすぎ」といった意見が聞こえてくる。
折しも、3月12日には、内閣府の規制改革会議の公開ディスカッションで、医薬分業が取り上げられる予定だ。そこでは患者や消費者の観点から、調剤薬局の業務の現状に対して鋭い指摘がなされるとみられていた。それゆえ、一部のドラッグストアや薬局の関係者は、「今回の不祥事はタイミングが悪すぎる」と頭を抱えている。
とりわけドラッグストアは、薬の調剤を収益の大きな柱として期待している。だが、そこには厳しい試練が待ち構えているといえそうだ。

【日経ビジネス】




医療費全般に抑制圧力がある中で、著しく増え続ける調剤の動向に注視する必要があるようです。
by kura0412 | 2015-02-13 10:26 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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