医療控除の領収書

医療費控除の領収書も国税調査官は見逃さない

2014年分の所得税の確定申告の受け付けは、15年2月16日(月)から3月16日(月)です。ただ、還付申告は1月1日からすでに受け付けが始まっています。早く申告書を提出すればお金も早く戻ります。内容に問題がある場合は還付留保となり、税務署から確認の連絡があります。以前、私が税務署に勤務していたとき、テレビなどでよく見かける芸人Aさんが税務署の窓口にいらっしゃいました。

A:「おい、個人課税第一部門ってどこや」
調査官:「はい、こちらが個人課税第一部門です」
A:「ハガキが来たんやけどなぁ」
調査官:「見せていただけますか?(内容を確認し)還付留保ですね」
A:「なんや、還付留保って」
調査官:「還付申告書を提出いただいたんですが、内容確認の必要がありご連絡しました」
A:「内容確認って何や。何も隠してへんで」
調査官:「歯科矯正で医療費控除の申告書を提出されたようですね」
A:「おお、そうや。娘のな」
調査官:「え~っと、娘さんのお歳は…(申告書を見て)20歳ですね。学生さんですか?」
A:「いいや、女優のたまごや」
調査官:「お綺麗な方なんですね」
A:「まぁな、わしの娘やさかいな。歯並び悪かったら見栄えが悪い言うて、ブリッジいうんか、あれやっとるんや」
調査官:「なるほど」
A:「高い金かかったでぇ~。払ろてるのは、このわしやけどな」
調査官:「確認させていただきたいのですが、娘さんは、歯並びが悪いことで、胃腸などの内臓の機能に支障をきたすことはあったのですか?」
A:「そんなもんあるかい。もうやめとけ、言うぐらいようけ食べとるわい!」
調査官:「それをお聞きするためにお越しいただきました。美容目的でされた歯科矯正は、医療費控除には該当しないんです」
A:「何を寝ぼけたこと言うとんねん。実際に歯医者に金払ろたから、ここに領収書があるんやろが。そやのに何で医療費控除でけへんねん!」

還付申告は受付がすでに始まっている
この芸人Aさん。この日はいったんお帰りになりましたが、その後、何度も税務署に来られていました。結局、還付申告は認められず「取り下げ」処理になりました。最近はテレビでお顔を見かけないところをみると、すでに引退されたのかもしれません。
確定申告とは縁がないと思われがちなサラリーマンの方も、医療費控除という言葉は耳にしたことがあるでしょう。まず医療費控除はサラリーマンの年末調整とは無関係ですので、還付を受けるためには確定申告が必要です。医療費控除は年間医療費が10万円(あるいは所得金額の5%)を超えた場合、その超えた部分に対応する金額に、最高税率を乗じて還付されます。納税者だけでなく家族全員の医療費合計額が10万円を超えた場合が医療費控除の対象になります。医療費控除の領収書は1月1日から12月31日の分を合計します。

医療費控除の中でも金額がかさむものに出産と、芸人Aさんの還付申告が認められなかった「歯の矯正」があります。これについて、国税庁のホームページではこう説明しています。
「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正のように、歯列矯正を受ける人の年齢や矯正の目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合の費用は、医療費控除の対象になります。しかし、同じ歯列矯正でも、容ぼうを美化するための費用は、医療費控除の対象になりません」
最近、大人の方でも、歯科矯正をされる方が増えているようですが、美容のためにする歯科矯正は医療費に該当しません。かみ合わせが悪いということで、内臓に負担がかかる場合に認められるのです。この場合も、税務署の担当者は医療の専門家ではないので、あらかじめ医師に診断書を作成してもらって申告書に添付することをお薦めします。

還付会場では申告書は受け付けをするだけで、内容の審査は後日、税務署の中で行われます。国税調査官が1枚1枚領収書をチェックしていきます。
「歯の矯正」が控除対象になるかどうか、国税調査官が判断の決め手とする医師の診断書に関しても、国税調査官はどういう性格のものかチェックします。
医療費の領収書に、診断書作成費が含まれている場合が少なくありません。このとき、調査官はそれに相当する保険金が支払われている可能性があると見て、その申告書は還付留保担当の手に渡ることになります。還付留保担当は申告内容を確認するのが仕事です。申告者にハガキを出したり、電話したりして内容を確かめ必要な場合は訂正してもらいます。
仮に保険金が支払われた場合、その分は医療費控除の対象から差し引く必要があるからです。
出産は別として、ほとんどの場合、医療にかかわる費用が発生することは望ましいことではないでしょう。ただ、10万円を超える医療費を支払った方は、医療費控除で税金の還付を受けられる可能性があり確定申告をお薦めします。とくにサラリーマンの方は「年末調整を済ませたから税金の問題は完結した」と勘違いしている方は多くいらっしゃいます。確定申告に関心を持つ意味でも、医療費控除の還付申告はいい機会だと思います。

【日経新聞】



医師でなく歯科医師の診断書が必要なのですが。
こうゆう記事は何故か重箱の隅でも突っつきたくなります。
by kura0412 | 2015-01-13 16:46 | 経済 | Comments(0)

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by kura0412