『DNA、歯科医で採取 災害時の身元確認に』

DNA、歯科医で採取 災害時の身元確認に

大災害時の身元確認に役立てようと、東京や愛知、大阪の歯科医のグループが、希望する患者からDNAを採取し保管する取り組みを始めた。年内に約100人の歯科医が活動に参加する予定だという。グループは全国的な普及を目指す考えだが、遺伝子情報は「究極の個人情報」なだけに、適切な管理のあり方が課題となりそうだ。

患者のDNAの採取・保管は8月、愛知県豊橋市の中村佳嗣・歯科医(56)らのグループが始めた。遺伝子解析の専門企業と共同で、口内の粘膜から綿棒でDNAを採取するキットを開発、既に同県内など10カ所の歯科医院で、希望する患者からの申し込みを受け付けている。
採取したDNAは、歯科医院が被災した場合に備えて、神奈川歯科大(神奈川県横須賀市)の研究室にも分けて保管し、災害時に本人確認の必要が生じるまで解析などはしない。
保管期間は最長6年間で、経過後は廃棄するか、本人に返却するかを患者自身が選ぶ。費用は各歯科医院が設定するが、数千円程度を想定しているという。
津波や地震など大規模な災害では、所持品など個人を特定するうえでの有力な手掛かりが少なく、遺体の容姿だけで身元を判別するのが難しい場合も多い。東日本大震災では歯の治療痕とともに、DNA型の鑑定が有効な手段として注目された。

口内の粘膜からDNAを採取する方法は、大阪府摂津市が2005年に導入、情報を登録するなどしているが、災害時に危険な任務に当たる消防職員らに限られていた。中村歯科医のグループには、年内に東京、大阪、福岡などの歯科医100人程度が加わる見込みだという。
中村歯科医は「希望しない人からの採取や、検体の目的外使用などが起きないよう、採取や保管の方法について講習を実施していきたい」と強調している。
個人情報保護に詳しい鈴木正朝・新潟大教授(情報法)は「DNAは本人だけでなく子や孫にも関わる情報であることから、他の個人情報と比べても一層慎重な管理が必要だ」と指摘。「DNAを活用しようという民間の動きが広がるなか、遺伝子情報の取り扱いを定める法整備も求められている」としている。

【日経新聞】



バンク的な試みは総数が大きな成功の鍵を握ります。個人情報をどうしっかりと管理するのかも課題ではないでしょうか。上手く広がりをみせてほしいものです。
by kura0412 | 2014-09-18 09:33 | 歯科 | Comments(1)
Commented by 神奈川歯科大学 at 2015-10-14 15:28 x
神奈川歯科大学大学院災害医療歯科学講座法医歯科学分野の大平と申します。当教室では愛知県豊橋市の中村佳嗣先生の事業においてFTAカードの保管を行っています。
それとは別に平成24年から26年にかけて、文科省の補助金を受け、生前 DNA登録を無料にて行い、2,800名以上の登録を行いました。DNA抽出およびDNA解析まで行い、データベースを構築している点が全く異なっています。これにより、いざという時の身元確認の迅速化、確実化が図られると思います。
平成27年度からは自費(10,000円)にて登録を受け付けています。
解析データは、本学災害医療歯科学研究センターにて厳重に管理されています。
このような試みは日本でも神奈川歯科大学だけだと思いますが、大規模災害に備え、より多くの方に知っていただければ幸いです。


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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