日本IBM健保組合でも

医療費どう抑える 健康なら「1万円」支給
新潮流をつかむ(5)

岡山県中南部に位置する総社市に各地の自治体の目が集まっている。市が運営する国民健康保険は自営業者のほか、高齢者や低所得者の加入が多く、医療費の増加で赤字が続く。市は基金を取り崩して支えているが、数年で底をつく見通しだ。そこで立て直しに向けある奇策に出たのだ。
特定健康診査(メタボ健診)を受けて、1年間医師にかからなかった加入者にもれなく1万円を支給。スポーツ大会など健康事業に3回参加すれば、抽選で最大10万円が当たる――。
現金還元で健康意識を植え付ける試みに批判があるのは承知の上だ。「仮に数百万円支出しても、治療費が年間500万円かかる重い人工透析患者が1人でも減れば、成果があったといえる」(片岡聡一市長)

■25年度は54兆円
病気やけがの治療で2011年度に全国の病院などに支払われた額(国民医療費)は約38兆6千億円で、10年間で約7兆5千億円増えた。だが、膨張はまだ続く。政府推計によると、団塊の世代が75歳以上になる25年度は患者の窓口負担を除いても54兆円になる。
「現状を放置すれば、日本の医療はいずれ持続できなくなる」とする大和総研の鈴木準主席研究員の指摘は決して大げさではない。だが、医療の崩壊を望む人はどこにもいない。

東京都中央区の日本IBM本社。昼すぎ、各フロアの洗面所は丁寧に歯を磨く社員でいつも混み合う。
どうすれば医療費を減らせるのか。同社健康保険組合は歯周病の予防に着目した。産業歯科医の加藤元氏によると、糖尿病の人が歯周病になると症状が悪くなるなど口腔(こうくう)と生活習慣病は関連性があるとされる。予防歯科は健康管理の第一歩だという。
これまでに全社員の3分の2にあたる約2万2千人が口腔ケアの指導を受けた。健保の医療費の1割を占める歯科だけをみても、開始8年目の11年、何もしなければかかっていた医療費を抑制できた累積額が口腔ケア指導の総コストを3200万円上回った。

厚生労働省は昨年、生活習慣病の予防を進め、価格の安い後発医薬品(ジェネリック)の使用を広げれば25年までに医療費を4兆4千億円減らせるとの目標を初めて公表した。15年度にも都道府県ごとに抑制の数値目標を設ける考えだ。

■患者は賢く利用
とはいえ、世界中を見渡しても、医療費抑制の決定打はない。
予防は個人の健康のためには必要だが、生涯医療費などを含めると医療費を抑えられるとの明確な根拠はない。ジェネリックの利用も限界がある。名城大の坂巻弘之教授は「例えば、高齢者が受ける医療はどれだけ治療や投薬をしても一定額とする仕組みに変えるなど、診療費の中身にまで踏み込まないと抑制は難しい」と語る。
国や企業、医療関係者だけが努力すればよいという話でもない。
患者に医療の仕組みを教える講座を開くNPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」(大阪市)の山口育子理事長は「患者が賢く病院を利用し、無駄な受診や投薬をなくせば、医療費はもっと減らせる」と指摘する。国民の意識も大きく変わらないと、この国の医療に未来はないかもしれない。

【日経新聞】


デンソーだけではなく日本IBM健保組合でも積極的な取り組みをしているようです。
by kura0412 | 2014-08-28 09:36 | 歯科医療政策 | Comments(0)