日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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「横倉基金」

(360゜)理念なき医療の値段 自民と医師会、利益狙い復縁

「医療の値段」を巡る攻防で、自民党政権と日本医師会のタッグが復活した。旧来型の手法で、迫る超高齢社会を乗り切れるのか。
「診療報酬改定と新たな財政支援制度の枠組みが整えられた。まさに医療提供体制の改革が第一歩を踏み出す」。今月13日、東京・本駒込の日本医師会館。会員らを集めた会合で会長の横倉義武は胸を張った。
だが、診療報酬の総額を決める予算折衝が大詰めを迎えていた昨年12月中旬、横倉は焦っていた。診療報酬の総額を減らそうとする首相官邸の圧力が日に日に強まっていたからだ。

横倉は携帯で旧知の首相安倍晋三に直談判した。
「医療制度改革には財源が必要だ。必要な手当てをして欲しい」
安倍は増額の言質こそ与えなかったが、「地域医療の充実を図って下さい」。横倉は手応えを感じた。
この電話から数日後の12月20日、診療報酬総額は6年ぶりの実質マイナス1・26%で決着した。しかし、消費増税対応分が1・36%増え、全体では0・1%の微増。官邸が医師会に一定程度譲る形になった。

今回の診療報酬改定をめぐっては、官邸側が消費増税を控えて国民負担増を避けようと総額の切り込みを狙い、逆に、医師会は地域医療充実を大義名分に増額を要求し、鋭く対立していた。この間、医師会が頼りにしたのは政治資金や選挙で支援する自民党だった。党は官邸に圧力をかけた。
「医療関係者が働ける環境を整備することが我が党の公約だ」。11月中旬、東京都内のホテルで開かれた「国民医療を守る議員の会」の会合。党副総裁の高村正彦が170人の国会議員を前にげきを飛ばした。加入議員は300人を超え、都道府県医師会幹部も会場を埋めた。自民党厚労族議員の内輪の会合には衆院議長の伊吹文明まで乗り込み、「自民党政権でマイナス改定は認められない」とすごんだ。
党と医師会の圧力で官邸との攻防が過熱する中、妥協への動きが始まった。
12月2日、財務省大臣室。財務相の麻生太郎はわざわざ官僚を退席させ、横倉と向き合った。「民主党政権で裏切った医師会に反発する自民党議員は多いよ」と横倉を牽制(けんせい)する一方、「落としどころは見つけるから」とも伝えた。
その後、官邸側は診療報酬の総額減は譲らないが、医師会の言い値通りに消費増税分を診療報酬総額に上乗せし、補助金も想定の1・7倍の900億円まで積み増す調整を進めた。医師会長選を控える横倉の顔を立てた「横倉基金」とも呼ばれ、医師会にメリットのある解決策だった。
分野ごとのメリハリを考慮せず、特に消費税の上乗せ分を一律に配分するやり方。医療費を支払う側の健康保険組合連合会専務理事の白川修二は「何のための消費税上乗せかわからず、国民の理解は得られない」と反発したが、実際、首相や麻生がほのめかした線で決着した。
自民党政権と医師会。民主党政権で一時途切れていたタッグは復活した。

診療報酬は長い間、医師会の支援を受ける自民党の意向を踏まえて総額が決まり、具体的な配分は、医師会が複数の委員を送り込む厚生労働大臣の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)が主導した。
2009年の政権交代で誕生した民主党政権は、総選挙で民主党を支持した関係者を中医協委員に起用して医師会を分断。勤務医の報酬を厚くするなど、開業医中心の医師会の「聖域」に切り込んだ。だが、自民党の政権復帰後初となった今回の改定で見えたのは、党と医師会が互いの利益を重視して手を組む変わらぬ姿だった。
団塊世代が75歳以上に達し、医療の必要なお年寄りが急増する「2025年問題」への対応が急務だ。中医協会長の森田朗学習院大教授は「首都圏の高齢化は相当深刻で、そのための制度改革がこの先間に合うかどうか、ぎりぎりのタイミングだ」と指摘する。
今回、地域で高齢者を支える体制整備には着手したが、超高齢化の本番はこれからだ。政治と医師会の利害を「足して二で割る」ような政策決定の仕組みを温存したままでは、この先、在宅医療をさらに手厚くする大転換が道半ばで頓挫してしまう。
必要な医療は何で、財源的に可能な価格はいくらか。今後の人口減少や財政難の現実を直視し、当事者同士の利害調整より、具体的なデータが重視される改革へかじを切らなくてはならない。=敬称略

【朝日新聞】 


朝日新聞は医療政策に関してはしっかりと問題を捉える記者はいない感じです。
しかし「横倉基金」とは上手いネーミングです。
by kura0412 | 2014-03-25 09:03 | 政治 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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