日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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「iPS細胞を治療応用には最低でもあと10年」

iPS細胞の臨床研究「絶対成功させたい」- 新春インタビュー・高橋政代さん

理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の研究グループは昨年夏、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った世界初の臨床研究に着手した。新年に入り、研究は新たな局面を迎える。iPS細胞から作製した網膜色素上皮細胞の移植手術が今年夏にも、同市内の先端医療センターで行われるからだ。
同グループでリーダーを務める高橋政代さんは、「絶対に成功させる」と決意を新たにする。

―昨年はどんな年でしたか。
無事、国に研究計画を承認してもらい、一つの到達点に来た。これまでの研究が節目を迎えたという気持ちです。ヒトのiPS細胞ができた07年に、「5年で臨床研究をする」という話をしていました。ちょうど5年後に計画の申請までこぎつけたので、約束は果たせたかなと思っています。

―お仕事以外ではいかがでしょうか。
子どもたちが大学に進学して、今は夫婦2人なので、「ここはどうなっているんだ」とか、家でも仕事の話ばかりしています(笑)。主人(京大iPS細胞研究所・高橋淳教授)も臨床研究の準備をしているので。本当に24時間、仕事のことを考えていますね。

―この5年間で、iPS細胞をめぐる状況は様変わりしました。
5年前のシンポジウムで、「わたしたちが最初に臨床研究をやる」と言った際、「たぶん法律が足かせになる」という話をしていたら、昨年11月に「再生医療安全性確保法」と「改正薬事法」が成立しました。これは本当に想定外の出来事でした。(京大教授の)山中伸弥先生のノーベル賞の受賞も関係しているかもしれません。

―山中先生とは、頻繁に連絡を取っているのですか。
全然取っていないです。お忙しい方ですので、めったに会うことはありません。最後に話したのは昨年の夏ごろですかね。研究の方針を報告しました。

■安全性に自信、課題は細胞作製の時間とコスト
―移植手術で使用する網膜色素上皮細胞を作製するために、自らベンチャー企業を立ち上げました。
色素上皮はすごく安全なので、わたし自身は5年前から、臨床研究ができると確信していました。標準的な治療にするためには治験が必要です。シンポジウムなどで、企業の方々に何度もお話ししましたが、やろうという方はいらっしゃらなかった。「iPSが5年後に使えるようになる」と言っても、誰も信じてくれなかったんです。
米国では、ES細胞(胚性幹細胞)を使った治療をどんどん始めようとしていた。それでは遅いので、自分で会社をつくろうと思い立ち、社長さんになる人を探していたら、ちょうどいい方が見つかったので、2年半ほど前に設立しました。今は利益相反の問題があるので、役職などは全部辞めて、「サイエンスアドバイザー」という形で携わっています。

―治験の対象となる患者は6人ということですが、現在、どのような状況ですか。
具体的なことはお答えできませんが、患者さんを選定している段階です。
6例ということなので、最も条件の合った方に絞ろうと思うと、何百例の中から1例を選ぶような形になります。臨床研究をスタートさせると言った時から、たくさんのお問い合わせを頂いていますが、ほとんどは違う病気の方でした。郵送してくださる方もいます。網膜の再生というと、目の見えない方が見えるようになるというイメージを持ってしまう。一縷の望みを託して問い合わせてこられた方に、お断りするのはつらいですね。

―今後の臨床研究では、どのような点が課題になるのでしょうか。
これまでの実験の積み重ねがあるので、細胞の安全性には自信を持っています。がん化の危険性もほとんどないでしょう。
次の課題は、細胞を作る時間やコストです。
移植で使用する網膜色素上皮細胞は、現在のわたしたちの施設では年間2人分ぐらいしか作れません。そこがネックになっているので、もっとたくさん作れるようにすることが課題です。手術の合併症の心配はありますが、それは普段やっている眼科の手術と同じこと。必ず数パーセントのリスクは伴います。ただ、これはiPS細胞の問題ではありません。

―他の疾患で臨床研究を行う予定はありますか。
網膜色素上皮細胞は、別の病気にも応用できます。シート状ではなく、ばらばらの細胞で移植するという方法もあるので、そういう形で拡大させていこうと思っています。既に臨床研究に入っているので、それを違う病気に拡大させることはできますが、依然として、作製上の問題が残ります。

■5年後の視細胞の移植に意欲
―ヒトiPS細胞の作製から5年で、臨床研究の承認までこぎつけましたが、これから5年後の未来について、どのようなことを思い描いていますか。
そうですね。iPS細胞の作り方については、だいぶ決まってくるかなと思います。それほど大きな変化はなさそうです。変わり尽くすというか、出そろっているのかなと。でも、それ以外の部分は、ものすごく変わっている可能性があります。
18年をめどに、視細胞の移植の1例目をやりたいと思っています。
それには大きな意味があって、色素上皮というのは網膜の一部なんですが、神経ではないんですね。皮膚と同じように、ペタンと張るという治療です。網膜をドーム状に水膨れさせて、網膜と眼球の壁の間に、シート状の細胞を入れ込むんです。網膜に穴を開けて、そこからチューブで注入するイメージです。その後、水膨れの状態を戻すと、ペタンと引っ付いて動かなくなる。
これに対して視細胞は、網膜の中の神経に当たります。視細胞もシート状にして移植するので、その点は同じなんですが、ペタンと張っただけでは駄目で、神経の回路、ネットワークを回復させなければならない。上の網膜の神経とつなげる必要があるので、かなり難しいことなんです。臨床研究が実現すれば、中枢神経再生の最初の治療になると思うので、ぜひ成功させたい。科学的に、ものすごく画期的なことですから。

―今年夏の移植手術は、その実現のための前段階になりますね。新年の抱負をお聞かせください。
まず、臨床研究を絶対に成功させること。そして、視細胞の移植に向け、準備をしっかりと進めたいと思っています。

―最後に、医療関係者の方にメッセージをお願いします。
「お騒がせして申し訳ない」というのが、正直なところです。
特に眼科の先生方には。患者さんから「iPSで治療ができますか」という問い合わせがあると、全国の先生方から伺っていますから。
ただ、iPS細胞を治療で活用できるようになるまでには、最低でも10年はかかる。それぐらいたつと、医療の変革が訪れるでしょう。20年後には「絶対に変わっている」という確信はありますが、10年後でも状況はだいぶ変わっていると思います。

【キャリアブレイン】



早期臨床応用に1番期待のかかる眼科分野でも最低10年とのことです。
新年早々夢を壊すような話で恐縮です。
by kura0412 | 2014-01-06 16:59 | 歯科 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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