崖っぷち内閣

「安倍政権」発足へ・翼を左へ広げよ

国会での首班(首相)指名を待たずして「安倍政権」は動き始めた。なかなか決められない民主党政権になじんでしまったせいか、経済対策や外交など「安倍政権」の動きにはスピード感がある。6年前の第1次安倍内閣の失敗や、反面教師としての民主党政権からの教訓、それに野党生活3年間のマグマの爆発のような躍動感が加わって、なかなかやるな、という印象である。なかでも関係悪化の韓国や中国に特使を派遣する決定は評価に価する。また、ロシアのプーチン大統領が北方領土問題解決に向けての新政権のメッセージを歓迎すると述べるなど、安倍政権でもっとも懸念された外交は順調な滑り出しである。

中国も韓国も、そして米国さえも、安倍政権のタカ派的体質に懸念を表明していた。憲法改正、自衛隊を国防軍に、そして尖閣諸島に公務員を常駐させる―これら選挙期間中の言動をそのまま実行に移せば、極東アジアでの日本の孤立は確実だった。内閣発足前に、このような懸念を払拭(ふっしょく)させることができたのはよかった。
歴史的に見ても、タカ派の指導者のほうが外交では実績をあげるケースが多い。
米国では国交のない北京を電撃訪問したのはニクソン大統領だったし、冷戦構造崩壊につなげたのはレーガン大統領だった。わが国でも右派の中曽根首相が日中関係、日韓関係改善に大きく貢献した。別の言い方をすれば、タカ派といわれる政治指導者が、ウイング(翼)を右ではなく、左に広げた場合、長期安定政権になることが多いのである。中曽根首相は憲法改正や靖国神社参拝を封印し、長期政権につながった。
中国は習近平体制に移ったばかりだし、韓国の次期大統領朴槿恵氏と安倍総裁には不思議な縁がある。朴氏の父親朴正煕大統領は1965年、日本との国交正常化を決断、安倍氏の祖父岸信介元首相とは親しい関係だった。選挙期間中の言動は封印し、おそらく安倍氏は、今回も靖国神社参拝は控えるだろう。日本の国益を考えれば、当然のことである。
加えて1月にはワシントンを訪問し、民主党政権下で脆弱(ぜいじゃく)になった日米関係立て直しに乗り出す。外相に誰がなるのかまだ不明だが、政府与党には外相経験のある大物、麻生太郎元首相が副総理で入閣するほか、高村正彦副総裁も安倍外交をサポートするだろう。

政府・自民党幹部のラインアップは、錚々(そうそう)たる顔ぶれである。
伝えられているように麻生氏のほか谷垣禎一前総裁や、総裁選で争った石破茂幹事長、石原伸晃前幹事長、林芳正氏と、療養中の町村信孝氏をのぞく全候補者が重要ポストに就くことになりそうだ。このような派閥を度外視した全党体制は前例がない。これだけの顔ぶれをそろえれば、政治主導とか官僚主導とかの議論も起こりようがないだろう。
2%の物価目標を設定するという「アベノミクス」は当初、批判もあびたが、日経平均東証株価が1万円を超え、為替も円安に振れたところから、批判の声も小さくなった。
これまで「独立性」にこだわり続けた日銀も、いとも簡単に「安倍政権」に歩調を合わせているように見える。もちろん、外国人投資家の動きに寄るところが大きいのは事実だろうが、民主党政権3年間には見られなかった光景だけに、印象は強烈だ。

安倍政権、滑り出しはすこぶる順調である。しかし問題がないわけではない。
まず、自民・公明両党で3分の2を超えたといっても、国民が絶対的な信任を与えたわけではない。どこかに奢(おご)りがあれば、7月の参院選の結果に表れるだろう。何よりもこれだけの多数を持っているのだから、あわてずに一歩一歩進めて行くことである。功を焦ればしくじる確率が高くなる。もう一つは安倍氏をはじめ「失言」に気をつけることだ。第1次安倍内閣では閣僚の失態で支持率が急降下した。とりわけ首相の言葉は重い。まさに綸言(りんげん)汗の如し、である。失言の多くは「たとえ話」に多い。話を面白くしようと思ってつい口にした言葉が、ときには内閣を潰(つぶ)してしまうこともある。
最後に多くの国民が心配しているのが安倍氏の健康である。
潰瘍性大腸炎という難病である。いかに良薬があるといっても、ストレスが一番悪いという。首相の健康は国益に直結する。十分な健康管理を求めたい。

【田勢康弘・愛しき日本】



株価は大納会で今年最高値を更新し円相場も約10円円安となりました。市場は安倍政権誕生に期待しているようです。
政権交代が大きく期待を裏切っただけに、安倍政権は結果を出さないと自民党だけでなく日本の政治全体の終焉となるかもしれない、後がないある意味崖っぷち内閣です。 
by kura0412 | 2012-12-28 18:36 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412