日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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口腔ケアでのインフルエンザ対策

公益性を有する“医療提供者”の国民会議への参画を!(日歯)

日本歯科医師会(大久保満男会長)は9月27日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.
冒頭の挨拶で大久保会長は,消費税率の引き上げと同時に創設が決まった社会保障制度改革国民会議について触れ,開催時期が不透明な政局に「このままでは増税だけが決定し中身についての議論がなされない可能性がある」という強い懸念を表明した.
加えて,かつての小泉政権下での総合規制改革会議等と同様に,医療関係者は“利害関係者”とみなされ国民会議の場から除かれかねない……とする新聞報道にも言及.「国民の誰もが医療を受ける可能性のある以上,医療提供側の考えを抜きに医療や社会保障の議論が進行することはあり得ない」と,歯科医療経営等のいわゆる“利害”の問題は結果論に過ぎず,歯科医療を通じて国民の健康に貢献するという公益性が主軸であることを強調し,医療関係者が“医療提供者”として国民会議に参加できるよう引き続き求めていく姿勢を示した.他に紹介された内容は以下のとおり.

インフルエンザ対策における口腔ケアの重要性
2010年の新型インフルエンザ流行を機に,日本歯科総合研究機構は,国立感染症研究所や日大医学部ゲノム研究所,鶴見大歯学部等と共同で,インフルエンザ流行と口腔管理との間に関連性がないか,細菌学的な調査を委託事業として実施した.
このたびPLoS ONEに掲載された論文によると,口腔内細菌が抗インフルエンザ薬の効果を阻害し,症状を重症化させる可能性が示唆され,インフルエンザ対策における口腔ケアの重要性が明らかとなった.
今後は動物実験や臨床疫学における検証が課題となるが,誤嚥性肺炎や糖尿病と歯周病の関係に続いて,口腔と全身の関わりを国民に広く周知させる研究成果であると思われる.

身元確認・警察歯科関連
身元確認作業における死後記録のデンタルチャート・照合結果報告書について,東日本大震災の経験を踏まえて検討された統一様式が発表された.
チャートは項目内容を従来より簡便にする一方,自由記載欄を拡大して情報量を増やし,照合結果報告書もわかりやすい形に修正された.用紙自体は2002年と2010年に日歯から統一様式が出されていたが,周知が不十分であったため,今後は日歯からも警察庁・都道府県歯に働きかけつつ県警‐県歯の話し合いの中での採用が期待される.
また,生前記録のデータベース化事業については,概算要求の段階ではあるが歯科情報の標準化として2,100万円の予算が認められた.このため来年度から実証実験を開始し,収集しやすい情報様式の検証や照合ソフト・システムの開発など,データベース構築に向けた具体的な議論が進められる見込みである.

薬事承認に関する要望
政府発表の「日本再生戦略」「医療イノベーション5か年戦略」において医療は成長産業として位置づけられているが,来年度に予定されている薬事法改正に向けて,日歯は,①歯科分野のイノベーション推進支援,②個人輸入問題への対応,を盛り込んだ要望を提示した.
①に関しては財政的補助や治験拠点の構築,PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)審査員の質の向上を目的とした人事交流,②に関してはインターネット普及による過度なコスト削減目的での個人輸入の問題を挙げ,国民に良質な医療を迅速に提供する立場から,改正案の早期成立を求めて11月半ばにも厚労省医政局宛に要望書を提出する.

【ヒョーロンニュース】



政局がこのように膠着していると、国民会議の委員選任まで話題が進んでいません。
インフルエンザ予防の口腔ケアに対しての疫学調査は、日歯ベースで一気に進め、国民にPR出来る事業ではないでしょうか。
by kura0412 | 2012-10-13 11:30 | 歯科医療政策 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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