改定がない年度だからこそ

平時のロビー活動を重視(日歯連)

井上峰雄常任理事(選挙対策委員会)は,「参議院選挙に組織代表を出すことが日歯連盟の究極の目標であり,時期的にも迫ってきた.(組織代表の選考は)選考委員会に委ねているが,決まり次第すぐに動けるよう,今から準備していきたい.
従来の目標設定は診療報酬改定,税制など,会員の利益,経営安定のための施策を訴えることが主眼であったが,何はともあれ会員が現状の諸問題を理解し,危機感を持たないと選挙はたたかえない.さらに会員だけでなく,1人でも多くの有権者(国民)の共感を得ることが重要だ」と述べた.

日本歯科医師連盟(髙木幹正会長)は7月20日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.会見では,社会保障と税の一体改革,歯科医療政策,組織代表選挙などにつき,以下のような紹介がなされた.

社会保障と税の一体改革
7月11日,民主党の西村まさみ議員は参議院の代表質問のなかで,社会保障制度改革推進法案骨子にある「保険給付の対象となる療養の範囲の適正化等を図る」の意味について取り上げたが,野田総理は保険給付の対象範囲につき必要な「見直し」を行う,とする答弁を行った.しかし,「適正化」の言葉は“削減・縮小”のイメージがあるので,引き続き慎重に対応する必要がある.
また,消費税の目的税化に関連して,三党合意を結んだ自民党は(現在のような経済環境にあって)公共事業の財源確保をしたいようだが,直接,消費税が充てられることはないだろうとしつつも,連盟として今後のなりゆきを注視していく考えを明らかにした.

歯科医療政策
これまで医療政策の中にはじめから「歯科医療政策」が入ってきたことはなく,いつも各都道府県における医療計画の中に何とか歯科を参画させるように,とお願いする状況が続いてきた.
しかし今回,内容的には“在宅歯科医療”ではあるものの,医療政策の中に歯科に関する位置づけがはっきりと出てきたことを高く評価したい.歯科口腔保健法は理念法ではあるが,法的なバックボーンとなり,厚労省の歯科保健課内に「推進室」も設置されたことにより議論がはじまっている.これをきっかけに,さまざまな局面において(歯科の位置づけを得るべく)積極的に仕掛けていく必要がある,とした.

組織代表選挙
組織代表選挙については,8月9日,第3回の選考委員会において3名からヒアリングを行う予定である.当初,9月の定例評議員会で組織代表候補者を決定する予定だったが,今国会の中で衆院解散があり得るのか,今後,誰が政権与党の代表・総裁になるのか,さらに三党合意もあるなど,政局は混沌としている.
特に今は,政府予算・税制の要望書を出す時期であるため与党を意識せざるを得ない.そのため9月の評議員会以降,臨時評議員会で組織代表候補者を決定することもあり得る,とした.
関係(友好)団体である日技連盟・日衛連盟とは政策協定を結んでいく方向で調整中である.日歯連盟の役員,委員会,郡市区の先生方と一丸となり,滞りなく準備をしていきたい,と強調した.今までの連盟活動は,選挙(応援)・献金が中心であったが,平時のロビー活動が大事なのでこれを重視することとする.しかし,選挙で結果を出すことがロビー活動にも大いに影響を与える,と結んだ.

【ヒョーロンニュース】


次期改定がない年度は息が抜けたような雰囲気になるのが常ですが、今年はそんな悠長なことはいってはいられません。逆にこの時こそ、少し先を見据えた提案、要求が必要です。
by kura0412 | 2012-08-01 16:41 | 歯科医療政策 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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