日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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中医協診療側7人の委員の改定答申でのコメント

中央社会保険医療協議会・中医協診療側、7人の委員は何を語ったか
答申後に全員で会見、次期改定に向け6項目を要望

中央社会保険医療協議会の診療側の委員7人は、2012年度診療報酬改定の答申後、記者会見を開き、0.004%増のプラス改定について、「不十分」としながらも、「東日本大震災後の社会経済情勢の厳しさが増す中でのプラス改定は、世界一の医療水準を堅持するという政府の姿勢が貫かれたという点で、評価できる」との見解を公表した。

今回の改定内容については、病院勤務医の著しい疲弊の軽減、救急・産科・小児・外科等の医療提供体制の立て直し、介護報酬との同時改定を踏まえた在宅医療の充実や医療と介護の連携強化、がん医療や認知症医療を重点的に評価したため、「今後のわが国の医療提供体制の質の向上に寄与する内容になったと考える」と指摘。
ただし、一方で、再診料や入院基本料の引き上げ、看護職員の夜勤の72時間要件の見直し、いわゆるドクターフィー導入の是非などが議論されず、これは次回改定に向けた課題になるとした。

さらに来年度早々から、下記の6点について、国民の納得を得ながら、あるべき医療提供のコストを適切に反映していく議論を進めるべきだと要望している。
1.今後の医療のグランドデザインに基づく中長期的な視点からの議論
2.基本診療料(特に初再診料と入院基本料)のあるべき姿の明確化とコスト調査に基づいた評価
3.「もの」と「技術」の分離を原則とした診療報酬体系の構築
4.技術評価の重視と技術評価プロセスの見直し
5.いわゆるドクターフィーの導入の是非も含め、病院勤務医の負担軽減および処遇改善に向けたさらなる検討
6.業務の量と質に応じた公正な診療報酬点数の設定の推進

代表して見解を読み上げた国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏は、「前回の2010年度改定から、診療側委員7人が全員がそろって会見するようになった。中医協が性格を変えてきたことの表れ」とし、今までのように勤務医と開業医などと分断していくのではなく、オールジャパンで日本の医療に取り組んでいく必要性を強調した。

各委員のコメントの骨子は以下の通り(発言順)。

◆日本病院会常任理事の万代恭嗣氏
昨年10月から委員になり、中医協の議論に途中から参加、激流の中に放り込まれた。議論についていくのは大変であり、論点が大筋決まっている中で、変更することは難しい。来年度からは周到な準備をして取り組みたい。データに基づく議論がかなり進んでいるという印象。
私は日本団体病院協議会からの推薦のため、スタンスだった。その結果、十分ではないが、要望項目については一定の評価をもらい、診療報酬に取り入れてもらったと受け止めている。複数科受診についても、不十分ながらも2科目が評価された。中小病院については、データでは2010年度診療報酬改定では必ずしも十分な恩恵を受けていないため、点数が付くような発言をしてきた。
今改定を踏まえ、中小病院がいろいろな工夫をして経営の努力をしていくことを見守りたい。

◆日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏
前回に続いて全体としてネットでプラスになったことは評価。また、今回は前回のような入院と外来の財源の区分けはされず、中医協の機能を十分に果たせた。
前回は急性期の大病院にかなり手厚く配分されたが、今回は、医療と介護の役割分担と連携、在宅医療などが重点課題となり、中小病院、有床診診療所、診療所の役割を評価してもらった。その他の分野でも、在宅や外来での緩和ケア、糖尿病の透析予防、認知症など、身近なところで受ける医療への評価もされた。
しかし、我々が強く求めていた再診料は、今回は議論の対象にもならなかった。診療所の機能として、時間外対応と在宅が評価されたことはいいが、日本の診療所はそれだけをしているわけではない。診療所の外来機能は、病院勤務医の負担軽減にもつながる。
今後、時間外や在宅への対応がより求められるようになると、公衆衛生活動に時間を割くのが難しくなる。地域の医療がまた新たな問題を抱えることを懸念する。地域の医療を守る診療所、有床診、中小病院の評価をしてもらいたい。
新年度以降の課題は、消費税、費用対効果、基本診療料の問題など。

◆京都府医師会副会長の安達秀樹氏
今回改定は、10対1という財源枠がはめられなかったことが一番大きな点(注:2010年度改定では、全体改定率決定字に、入院改定財源4000億円と外来改定財源400億円という枠が決定)。
前回改定では、最後は公益裁定になったため、不服のために私はいったん席を立った。メディアはパフォーマンスと言ったが、まさにそうだ。財務省に対する抗議であり、二度とあのようなことがあってはならない。2回も続けてやると恒常化する。
また、日本の税収は、約20年前のレベルである一方、医療は絶え間なく進歩した。この乖離をどうするかが大問題。ある程度自己責任にするか、あるいはこの制度を守っていくためには国民負担率をどう上げるか。これを決めるのは政治が、政治の対応はあまりに遅い。国民に対して責任ある対応をすべき。
なお、再診料については長年、最後の帳尻合わせに使われてきた。基本診療料についての議論を今後、勢力的にやってきたい。

◆日本歯科医師会常務理事の堀憲郎氏
二つ課題を持って臨んだ。
過去15年くらい、歯科医療費は伸びなかった。経営に支障を来しているため、基本診療料、基本的な技術料の引き上げをお願いした。もう一つは、超高齢社会にあって、全身疾患に対する口腔ケアなど、歯科医療が果たす役割についての検討。
基本診療料については評価されなかったが、基本的な技術料、歯の保存や口腔機能の維持に関する点数は久しぶりに光が当たった。歯科医療の重点課題は、周術期の口腔機能の管理と在宅歯科医療などであることが示され、今後、改めて歯科医療界の内部の意識改革も含めて対応していきたい。
この厳しい経済状況の中で、一定の財源が付いたことは、停滞している現場の活性化になり、今後の方向性が示されたことで精神的な活力になればと考えている。

◆日本薬剤師会常務理事の三浦洋嗣氏
後発医薬品については、政府の目標達成に向けて、後発医薬品調剤体制加算の見直しが行われた。
薬剤師としては今後、後発医薬品の使用促進に向けて積極的な取り組みをしていかなければならない。お薬手帳も、薬剤服用歴管理指導料の中で、一体的に評価された。その普及促進に努めていきたい。在宅機能、小規模薬局の連携体制なども評価され、薬剤師が地域において努力をしていかなければいけない。病院薬剤師の病棟業務も、精神病棟と療養病棟では限定的な評価だったが、これまでやってきた業務が評価されたことは意義がある。
薬局でのポイント付与の問題など、医薬分業のあり方について厳しい指摘があったことは事実。我々も真摯に受け止め、あるべき薬剤師の姿を検討、努力していく。

◆独立行政法人国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏
四つ言いたい。
中医協が従来、絆創膏張りで、医療機関の経営を中心に評価してきた。それでは国民が納得できない。私は中医協の議論の形質を変えるために入った。
最近の議論は、エビデンス・ベースになってきた。しかし、データは現場を反映しているものであることが必要。
二つ目だが、救急、産科、小児科、外科については、かなり元気が出てくる改定になったのではないか。また、地方の在宅医療、がん医療など、今まで光が当たらなかったところに診療報酬が付いた点も評価。
三つ目は、今後、2030年に日本の医療のデマンドは最高になる点。今から手当をしておく必要があり、そのファースト・ステップとして、在宅や有床診にも目を向けた改定になった。
四つ目は、これまでマイナス改定が続き、約1兆2000億円が減らされてきたので、2回のプラス改定では間に合わない点。
医療費が上がることは、国民が受けるサービスが増えることを意味する。医師が儲けているのではないか、と誤解を受けないよう、マスコミは正確に報道してもらいたい。

◆全日本病院協会会長の西澤寛俊氏
東日本大震災があったため、本来もっと早く準備をして議論を進めるべきだったが、それができなかったことは大きい。2030年の少子高齢社会を迎えるために、それに耐え得る医療体制を作る、その第一歩の改定と言える。
今改定の善し悪しは、検証していく必要があるだろう。今改定で大きかったのは、地域特性が診療報酬で評価されたこと。また、複数科受診で再診料の算定が認められ、我々の技術料が評価された。反省としては7対1入院基本料を導入した時に、(今改定で導入したような)算定要件が入れなかったので、今回シバリが入った。今後、新しい項目を入れる時には、その影響を考えていく必要がある。

【m3com】



同じ診療側委員ですが、それぞれの立場があり興味深い内容です。
今後この中医協委員の構成はどうなるのでしょうか。
by kura0412 | 2012-02-14 16:22 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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