日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28

消費税については明細なれど

社会保障と税の一体改革にかけているもの

今年1月6日に閣議報告された政府の「社会保障・税一体改革素案について」を読むと、社会保障改革のことはおおざっぱにしか書いていないのに、税に関しては、事細かく書いてある。やっぱり増税ありきの一体改革ではないか。

しかも、あっさりと当たり前のように社会保険診療は「非課税の取扱とする」と書かれている。消費税を10%に引き上げるのに、医療を相変わらず非課税のままにしておくのか、あるいはゼロ税率で課税するのか、もう少し丁寧な議論が必要なのではないか。
つまり、医療が非課税だと、医療機関が仕入れにかかる消費税を負担しても、それを還付してもらうことができない。医療費がゼロ税率で課税されれば、還付を受けることになり、損税もなくなる。
インボイスの導入、免税点制度、簡易課税など、これまで様々な議論が行われてきた制度改正についても、たとえば「いわゆるインボイスの導入は行わない」の一言である。
益税の問題や事業者が預かった消費税を支払えなくなる問題等、もう少し丁寧に議論するべきではないか。
だからこそ、野党は、この素案に対する対案をぶつけて議論するべきなのだ。

もう一つ気になったのは、「2020年度までに基礎的財政収支を黒字化し、2021年度以降において公債等残高の対GDP比を安定的に低下させていくという財政健全化目標の達成へと向かうためには、名目3%程度、実質2%程度の成長の姿に近づいていくことを目指す「新成長戦略」および「日本再生の基本戦略」を着実に実施していくとともに、財政健全化に向けた更なる取り組みを行っていくことが必要である」という文章だ。
つまり財政再建は、増税と経済成長による税の増収ですねと言っているように思えてならない。もっともっとシビアな歳出削減が必要なのではないか。

歳出削減については、たとえば「その他、公共調達改革などの不断の行政改革および予算の組み替えの活用などによる徹底的な歳出の無駄の排除に向けた取り組みを強めて、国民の理解と協力を得ながら社会保障と税制の改革を一体的に進める」としか明示的に書かれていない。
(「徹底的な歳出の無駄の排除に向けた取り組み」というこの文章を、今、ワードで入力していたら「修飾語の連続」という文書校正の「警告」が出た!)
現在の財政状況を考えると、「歳出の無駄の排除」ではなく、大胆な歳出そのものの削減が必要なはずだ。

そのためには公務員数の削減による人件費の大幅カットは避けられず、出先機関の廃止や、財務省の独立行政法人酒類総合研究所のような機関の廃止統合は必須だ。
それを財務省が先頭に立って、公務員宿舎を増設しようとしたり、酒類総研を再び本省に戻そうとしたり、改革のあるべき方向と逆行させようとしているから、他の官庁に財政再建の厳しさが伝わっていかない。
ちなみに「財務事務次官が入っている官舎の家賃はいくらか」という質問主意書に、財務省は、「個人のプライバシーだからお答えできない」という回答を出してきた。
もし、財務事務次官が民間の住宅を借りているならば、その通りだが、財務事務次官は官舎に入り、国の規定に沿って家賃を支払っているのだから、回答すべきだろう。
この改革は、社会保障とプライマリーバランスと税の一体改革であり、そのためにはとてつもない歳出削減が必要だという共通認識を与野党で持つべきではないか。

【河野太郎衆議院議員ブログ】



河野議員が指摘するように、社会保障改革についての明細についての詰めはあまりされていません。
ということは、歯科界がこれから取り組まなければいけない課題が数多くあるということです。
by kura0412 | 2012-01-16 17:32 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
以前の記事
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧