日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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裏技ではなくこの制度も公的保険には組み込まれています

「公的医療保険はあてにならない」の嘘!

使わないと大損する健康保険の裏ワザ
「健康保険があてにならないから、民間の医療保険に加入している」
連日、テレビから流れる生命保険会社のコマ―シャルの影響か、近年、こうしたことを思う人が増えているようで残念でならない。
生命保険文化センターが発表した「平成19年度生活保障に関する調査」によると、公的医療保険(健康保険)の給付内容について、「充実している」と答えた人は21.8%。これに対して、「充実していない」と答えた人は57.8%にも及ぶという。しかし、こうした調査結果が、そのまま健康保険の保障実態を表したものとはいえない。そもそも、健康保険と民間医療保険は、その性質がまったく異なるものだ。

国の制度である健康保険は、健康状態に関係なく、健康な人も病気の人も誰でも差別なく加入できる。そして、所得に応じた保険料を支払い、病気やケガをしたときは、治療に必要な医療そのものが提供される。
一方、民間の医療保険は、健康状態によっては加入を断られることもあり、誰でも入れるわけではない。保険料は、病気やケガをする確率に応じて異なり、一定条件を満たした場合にのみ現金が給付される。給付金を支払うかどうか決めるのも保険会社なので、病気やケガをしても必ずしもお金が受け取れるわけではない。
さらに、健康保険は医学の進歩とともに受けられる医療が変わっていき、安全性と有効性が認められれば新しい治療も受けられるようになる。しかし、民間医療保険は、原則的に時代が変わっても保障内容は契約当時のまま。医療の進歩や医療制度の変化には対応できず、保障は非常に限定的だ。
こうした違いを冷静に判断すれば、病気やケガをしたときに本当にあてになるのがどちらなのかは考えるまでもないだろう。それなのに、前出のような調査結果がでるのは、保険会社の宣伝のみを信じて、健康保険の保障内容を調べもせずに実態のない不安を膨らませている人が多いためではないかと筆者は考える。

WHOの健康達成度調査で1位に輝いた日本の医療
多くの人が「あてにならない」と思っている日本の医療制度だが、世界では高い評価を受けている。世界保健機関(WHO)が2000年にコスト、アクセス、クオリティから評価した健康達成度調査で、日本は1位となっている。世界一の長寿国でもあり、乳幼児死亡率も世界最低水準だ。
こうした国民の健康を支えているのが国民皆保険制度だ。

日本で国民皆保険が実現したのは1961年。以来、誰もが何らかの健康保険に加入し、病気やケガをした場合は日本全国どこでも医療を受けられるようになった。それから半世紀が過ぎ、健康保険は「あるのが当たり前」の空気のような存在になった。それゆえに、普段はありがたみを感じることもないかもしれないが、保険証1枚あれば、誰でもどこでも全国一律の公定価格で医療を受ける国はまずない。かのアメリカですら、いまだ国民皆保険は実現できていないのだ。
さて、その日本の健康保険だが、保険証があれば医療費の自己負担額が3割になるというだけではない。ほかにもさまざまな給付が用意されており、覚えておきたいのは医療費が高額になった場合の「高額療養費」という制度だ。

医療費が100万円かかっても最終的な自己負担は9万円程度
現在、医療機関の窓口では、年齢や所得に応じて医療費の一部を自己負担する。70歳未満の場合は3割だ。では、100万円かかったら30万円支払うのかというと、そんな心配はない。1カ月(歴月単位)に支払う自己負担額には、所得や年齢に応じた上限が設けられており、限度額を超えた分については還付を受けることができるようになっている。
所得区分は3段階に分かれており、たとえば一般的な所得の人(会社員は月収53万円未満、自営業は基礎控除後の総所得金額が600万円以下)の自己負担限度額は【8万100円+(医療費-26万7000円)×1%】。医療費が100万円かかった場合は8万7430円。いったん窓口では30万円支払うが、8万7430円を超えた分の21万2570円は、申請すれば払い戻される仕組みになっている。

治療が長引いた場合は、「多数該当」という配慮があり、医療費が限度額を超えた月が直近12カ月以内に3回以上になると、4回目からは限度額が4万4400円に引き下げられる(所得が一般の場合)。
この制度のおかげで医療費は際限なくかかるわけではないのだが、こうした保障があることを知らない人は多い。
中小企業の会社員などが加入する協会けんぽ(旧・政府管掌健康保険)では、2003年に高額療養費を利用できるケースが179万件あったにもかかわらず、還付を受けた人は110万件。69万件は還付申請がされないままだったという。

前出の調査でも、疾病入院給付金が支払われる生命保険に加入している人は71.3%もいるのに、高額療養費の還付について知っている人は43.8%で半数に満たないという残念な結果となっている。
健康保険は民間の保険のようにコストをかけて大々的に宣伝することがない。原則的に申請主義で、保障内容について説明を受ける機会もほとんどないため、お金が戻ることを知らずに損をしている人も多いようだ。
こうした事態を解消するために、協会けんぽでは2006年4月から高額療養費の対象になる人には還付申請のお知らせを通知するようになった。大手企業の社員などが加入する健康保険組合、公務員が加入する共済組合は自動的に還付を受けられる。自営業者などが加入する国民健康保険は、自治体ごとに対応が異なるので、高額療養費の対象になりそうな人は問い合わせてみるといい。
還付申請の時効は2年だ。医療費がたくさんかかったのに高額療養費の申請をしていないという人は早めに手続きをしよう。

資金繰りに困ったときの貸付制度,入院時の限度額適用認定証を活用
最終的に自己負担する医療費には上限があるので、この制度を知っていれば必要以上に医療費に対する不安はなくなるはずだ。しかし、高額療養費の還付金が実際に手元に戻るのは申請の3カ月ほどあとになる。
これは国で定められている医療費請求の仕組みによるものだが、いずれ払い戻されるとはいえ、一時的にでも高額な医療費を負担するのが厳しい人もいる。こうした人には、高額療養費の支給見込額の8~9割を無利子で借りられる貸付制度もあるので、資金繰りに困ったときは加入している健康保険の窓口に相談してみよう。

また、入院時の医療費は医療機関の窓口で「限度額適用認定証」を提示すれば、3割すべてを支払う必要はなく、最初から定められた限度額の支払いだけで済むようになった。還付申請の手間も省けるので、入院することが分かっている場合は事前に限度額適用認定証を入手しておくといいだろう。限度額適用認定証は、加入している健康保険の窓口で発行してもらえる。
今のところ限度額適用認定証が利用できるのは入院のみだ。通院で医療費が高額になった場合や多数該当にあたる人は、還付申告が必要なので注意したい。
病気やケガで入院したときにかかる費用は、実際に経験してみなければ分からないものだ。それゆえに不安を膨らませてしまいがちだが、高額療養費をはじめとした健康保険の保障内容を知っておけば、闇雲に怯えることはないだろう。
せっかく健康保険料を納めているのだから、自分が加入している健康保険にはどのような保障があるのか確認し、そのメリットを最大限に享受しよう。会社員なら勤務先でもらった福利厚生ハンドブック、自営業なら市区町村のホームページなどを見てみよう。大手企業の健保組合の中には、差額ベッド代の補助が受けられたり、独自の保障を上乗せするなど、手厚い保障を用意しているところもある。

そうした保障内容を知れば、「健康保険があてにならない」などという馬鹿な考えは持たなくなるはずだ。

http://diamond.jp/articles/-/10653
【DAIMOND ONLINE】



歯科での殆どがこの高額医療費還付制度を利用することありませんが、ここにあるように非常に有用な制度も現在の公的保険には組み込まれています。
その一方、医科と歯科との一部負担金が同じということはある意味おかしな部分でもあります。
by kura0412 | 2011-01-11 12:12 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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