日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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感染予防為の負担

院内感染防止なのに…患者にHIV検査費払わす

浜松市の聖隷三方原病院と聖隷浜松病院が、手術時の院内感染を防ぐため、患者に対して行ったエイズウイルス(HIV)の抗体検査費用を患者に全額負担させていたことがわかった。
厚生労働省は、こうした患者負担は不適切としており、両病院は全額負担した約3万5000人に検査費用を返還することを決めた。返還額は計6000万円以上となる見通し。

両病院では、出血を伴う手術を受ける患者に抗体検査を実施。手術の同意を求める書類に抗体検査の項目を入れ、患者から一括して同意を得ていた。記録が残っている1999年以降、患者負担による検査を計約3万5000人に実施しており、負担額は1人につき2000円前後という。
厚労省東海北陸厚生局は「患者側から検査を求めたのなら別だが、院内感染を防ぐ目的ならば患者に負担は求めないのが当然」としている。20日に記者会見した聖隷三方原病院の荻野和功院長は「(患者負担は)不適切と判断し、自主的に返金することを決めた」と述べた。

【読売新聞】


HIV:勝手に検査、費用の一部患者負担に 浜松の2病院

浜松市中区の社会福祉法人「聖隷福祉事業団」が市内で運営する聖隷浜松、聖隷三方原の2病院で、患者から求めがないのにエイズウイルス(HIV)の感染の有無を検査し、患者に費用の一部を負担させていたことがわかった。病院側は「不適切だった」として計約3万5000人に総額6200万円を自主返還する。
両病院が20日、記者会見を開き、明らかにした。検査は、手術時に医師らが感染しないようにするのが目的で、患者からの申し出がないのに検査項目に加えていた点に問題があったとしている。

厚生労働省によると、患者の手術前の肝炎検査などは公的医療保険が適用されるが、HIV検査は一部を除いて対象外になっている。両病院は、出血を伴う手術を受ける患者らを対象に、検査費として1回あたり1260~2100円を徴収してHIV検査を実施。その人数は記録がある99年以降、聖隷浜松病院では約2万5000人、聖隷三方原病院では約1万人に上るという。
病院側によると、系列の聖隷横浜病院(横浜市)で同様の問題があったと6月に報道で知り、内部調査したところ、同じ問題が見つかったという。

【毎日新聞】


院内感染防止にHIV検査、患者に全額負担 浜松2病院

国内最大規模の社会福祉法人「聖隷(せいれい)福祉事業団」が運営する聖隷三方原病院と聖隷浜松病院(いずれも浜松市)が、手術を受ける患者らに、求めがなくてもエイズウイルス(HIV)感染を調べる検査をし、一部の患者に検査費用全額を負担させていたことがわかった。医師らへの院内感染防止が目的といい、厚生労働省はこうした場合は「病院負担が望ましい」としている。両病院は「不適切だった」として、約3万5千人の患者に計6千万円以上を返金する。

厚労省や医療関係者によると、手術前の患者には感染症対策として肝炎などの検査をすることが一般的で、公的医療保険も適用される。一方で、手術前のHIV検査は増えているとみられるが、厚労省は「患者の感染を疑ってではなく院内感染防止が目的の場合、保険給付の対象とすることは適当ではない」としている。
両病院によると、HIV検査は出血を伴う手術を受ける患者らに実施。1999年以降だけで延べ約3万5千人に全額を負担させていた。浜松病院は1回につき税込みで1260~1990円を、三方原病院では2100円を、徴収していたという。
手術前のHIV検査について、静岡県では「大量出血を伴う手術を受ける患者」などに限って一部、保険適用が認められている。両病院が全額負担を求めたのは保険が適用されない軽微な手術の患者だったとみられる。浜松病院は朝日新聞の取材に「全額を病院が支払うのでは巨額の負担になる」としたが、両病院とも「病院が負担するべきだった」と説明した。

また、厚労省は通知で、HIV検査について「人権保護の観点から、本人の同意を得て実施すること」として、院内感染防止を目的とした場合でも患者の同意が必要と定めている。HIV検査について両病院は手術の同意をとる書類に記述していたが、その他の項目と一括して同意を得ていた。
三方原病院は「不十分と言われるとそうかもしれない」と説明。両病院とも今は、保険が適用されない患者はHIV検査を取りやめ、検査をする場合も手術同意書とは別の書類で同意をとる方式に変えたという。
両病院とも検査で感染が判明した場合には患者に通知し、治療する方針という。
同事業団が運営する系列病院では、聖隷横浜病院(横浜市)で今年1月、厚労省関東信越厚生局の調査で、ほぼすべての患者に検査を実施し、費用を全額負担させていたことが発覚した。同病院は過去3年間に費用を徴収した約5千人の患者に返金を進めている。

HIV感染症が専門で、職業感染制御研究会顧問の木村哲・東京逓信病院長によると、ほとんどの医療機関が手術前にHIV検査を実施しており、病院側が費用を負担しているという。「医療従事者の安全を確保するための検査なのだから、病院側が費用を負担することが望ましい」という。
海外では、患者の血液からHIV感染した医療従事者は約300人に上るとの報告もあり、木村院長は「本来は保険でカバーされるべきだ」と指摘する。
現場の医師からも「保険適用すべきだ」との声が上がる。関西地方の医師は「感染予防の観点から肝炎などと同じにすべきだ」、関東地方の医師は「病院に出入りする全員のための検査。現実には多くの病院が患者負担で検査をしている」と訴える。

【asahi.com】



三つの新聞でもその捉え方が微妙に違うように、これは多くの問題を提起しています。
by kura0412 | 2010-10-22 09:16 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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