「在宅医療やチーム医療で歯科医師を活用すべきとの意見が」

社保審・医療部会 医療提供のグランドデザイン視野に 10カ月ぶりに議論再開

厚生労働省は15日、社会保障審議会・医療部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)を開き、医療提供体制の整備に向けた議論を開始した。昨年12月以来となるこの日の部会では、医療提供体制の在り方について委員の意見を聞いた。今後、年内に3回の部会を予定し、ソフト・ハード両面からの医療基盤や医療計画を含む地域医療体制について議論する。
部会の目的について大谷泰夫医政局長は、医療提供の体制確保に関する調査・審議であると指摘。「医療機関の機能分化・連携を推進し、地域で必要な医療体制の構築に向けて幅広い意見をいただきたい」と述べた。

医療計画で検討会
部会と並行議論
事務局の医政局は、医療計画の見直しについて説明し、2013年度からの医療計画の策定準備に向けた検討会を別に設置し、部会での議論と並行して検討するとした。
また政府が6月に閣議決定した新成長戦略には、今年度内に今後の需要予測を反映した医療提供体制のグランドデザイン(GD)を策定することが盛り込まれており、医療部会での議論を踏まえ、省内調整を図りながら医政局を中心にGDの策定にこぎ着ける考えを示した。

この日の部会では、山崎學委員(日本精神科病院協会長)が地域の医療提供体制を論じるには、届け出医師数ではなく高齢医師やペーパードクターを除いた実働医師数で検討すべきと提案した。このほか勤務医の疲弊に関する意見も続出した。水田祥代委員(福岡歯科大客員教授)は、医学部定員の地域枠を増やしても全員が地域に残るとは限らず、今と同じ状況になるのではないかとの懸念を示した。その上で「なぜ勤務医がくたびれ果てているかを考える必要がある。待遇を考えるべきだ」と述べた。齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)も、医療部会は労働環境を議論する場ではないとしながらも「医師、特に女性医師が長く働けるような環境を、(厚労省の)労働の方で検討するよう医療部会から提案していただきたい」と述べた。

必要医師数については中川俊男委員(日本医師会副会長)が、医学部定員増によって25年度には医師数が33万9000人になるとの推計を示した上で「医学部新設には問題がある。反対だ」と日医の主張を強調した。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は、数が足りないのは事実とした上で「今の若い医者が田舎でも暮らせるような環境づくりが必要。人口当たりに医師が何人いるかではなく、きめ細かい議論が必要」とした。
相澤孝夫委員(日本病院会副会長)は人口高齢化の視点が欠けていると指摘し「人口の変化のほか、慢性期や高齢者の医療・福祉への視点が重要。初めに(医師の)人数の話をしては、かみ合わなくなる」と指摘した。このほか、医師不足は医師数だけでなく質を満足させなければならないとの意見が出る一方、在宅医療やチーム医療で歯科医師を活用すべきとの意見が複数出た。 

【Japan Medicine(じほう)】
by kura0412 | 2010-10-21 10:30 | 医療政策全般

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