日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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もし医師不足でなく多かったならば

勤務医1.8万人不足 地域・診療科に偏り 厚労省調査

全国の病院に勤務する医師数は約1万8千人不足していることが、厚生労働省の調査でわかった。地方に比べ都市部に医師が集中している地域偏在や、救急科やリハビリ科での不足がより深刻であるなど診療科ごとの偏りも判明。医師不足の全国調査は初めて。厚労省は近く結果を公表し偏在の解消に乗り出す。

全国にある全病院を含め計約1万施設に対して調査した。今年6月1日時点で、実際の勤務医師数や求人中の医師数のほか、求人理由などを調べた。
調査によると、病院に勤務している医師数は約17万人。診療機能を維持するために病院が求人中の医師数は約1万8千人で、勤務医師数に対して必要医師数の倍率は1.1倍だった。調査時点で求人していなかったが病院が必要とする数を加えれば必要な医師数は計約2万4千人になる。
都道府県別でみると、必要医師数の倍率が高かったのは青森、岩手、島根などで1.2倍を超えていた。一方、東京や神奈川、福岡は1.1倍以下と低く、都市部と地方で医師不足に差があることがはっきりした。医師が十分足りている都道府県はなかった。
また、診療科による医師の偏りも明らかになった。病気の後遺症でおきる運動障害などを総合的にみるリハビリ科や、救急科で1.2倍を超えていた。しかし、美容外科、形成外科、アレルギー科などの必要数は少なかった。

医師を求人しなければならなくなった要因は、転職や開業などで勤務医が退職し補充のために募集していると答えたケースが最も多い。次いで、大学病院が地方に医師を派遣する機能が低下したことや、医師の勤務時間を減らすなど勤務環境を改善するためという理由が多かった。
2004年に新卒医師に2年間の臨床研修が必修化され、自由に病院を選ぶことができるようになった。大学病院に残る医師が減り地域の病院に派遣していた医師を引き揚げざるをえなくなった。このため各地で医師不足の傾向が顕著になったとされる。
厚労省や文部科学省は地域偏在の解消に向け将来その地域で診療することを条件に入学する学生の定員枠を設けるなどの対策をしてきた。厚労省は来年度予算の概算要求で医師不足に悩む病院に医師を派遣する「地域医療支援センター」を各都道府県に設置することを盛り込んでいる。

【asahi.com】



医師不足問題は、医療の範疇を超えて社会問題化しています。
しかし、もし医師が増えていたらどんな対応したのでしょうか。たらればは禁句ですが、思わずそんな気持ちになりました。
by kura0412 | 2010-09-29 08:57 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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