丁寧な検証を

介護職の医行為実施へ試案を提示―厚労省検討会

厚生労働省の「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(座長=大島伸一・独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)は7月29日、3回目の会合を開いた。この中で同省は、介護職員がたんの吸引と経管栄養を実施する施設の種類や、実施に当たって必要な研修内容などを盛り込んだ試案を提示した。

■実施施設に特養、老健、GHなど
会合で厚労省が提示した試案は、「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方についての今後の議論の進め方及び具体的方向」と、「介護職員等によるたんの吸引等の試行事業」。
このうち前者では、介護職員が手掛けられる医行為として、「たんの吸引(口腔内と鼻腔内、気管カニューレ内部。口腔内については、咽頭の手前まで)」と「胃ろう・腸ろう・経鼻の経管栄養(胃ろう・腸ろうの状態確認や、経鼻経管栄養のチューブ挿入状態の確認は、看護職員が行う)」を提案。
また、たんの吸引などを実施できる職員の範囲は「介護福祉士その他の介護職員とし、特別支援学校では教員のみ」と定めているほか、実施できる施設として、特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、有料老人ホーム、障害者支援施設(通所施設及びケアホームは該当。医療機関である場合は除く)や、訪問介護事業所などを挙げている。

■基本研修として50時間の講義も
後者では、「たんの吸引と経管栄養の両方を行う場合は、基本研修として50時間の講義と、それぞれ5回以上の演習を行ったうえで、医師の指示を受けた看護師の指導のもと、実地研修を行う」などの内容を盛り込んだ研修カリキュラム案が示された。カリキュラム案には、▽患者(利用者)ごとの個別計画の作成▽介護職員を受け入れる場合には、介護職員数人につき指導看護師を1人以上配置▽指導看護師は、臨床などで3年以上の実務経験を持ち、指導者講習も受講している―など、実地研修に必要な基本要件も明記されている。
試案に対し、日本介護福祉士会副会長の内田千恵子氏は、実施できる職員の範囲が「介護福祉士その他の介護職員」と幅広く設定されている点について、「ホームヘルパーと介護福祉士に限るべき」と主張したが、試案を支持する構成員が大半を占めた。また実施施設については、訪問看護事業所や介護療養型医療施設まで範囲を拡大すべきとする意見が上がった。基本研修については「50時間で足りるのか、とも感じる」(因利恵・日本ホームヘルパー協会会長)、「24時間2交代で在宅介護しているヘルパーにとって、『50時間を座学で』となると、その時間は取れない」(橋本操・NPO法人さくら会理事長)など、構成員の間でも見解が分かれた。

■医行為からの除外をめぐる議論も
また、日本医師会常任理事の三上裕司氏は、たんの吸引や経管栄養について、改めて医行為から外すことを提案したが、政策研究大学院大教授の島崎謙治氏は「医行為から外してしまえば、誰でもたんの吸引などができるということになりかねない」と指摘。他の構成員からも、慎重に議論すべきという意見が多く上がった。

【キャリアブレイン】



ここでの議論を丁寧に検証して早期に対応しないと、回って歯科にも大きく影響しそうな予感がします。
by kura0412 | 2010-07-30 08:35 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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