歯科医師の裁量権は

【中医協】「55年通知」の運用方法を検討

中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は7月14日の総会で、有効性や安全性が確認された医薬品について、薬事承認された適応とは異なる使用でも、医師の判断などに基づいて処方された場合には保険支払いを認める、いわゆる「55年通知」の運用方法を検討することを決めた。

「55年通知」は、当時の厚生省が、社会保険診療報酬支払基金理事長あてに1980年9月3日付で出した通知。保険診療での医薬品の取り扱いは、厚生労働相が承認した効能・効果、用法・用量によることとされているが、通知では、薬事承認された適応とは異なる使用でも、医師の判断で薬理作用に基づいて処方された場合には保険支払いを認めている。また、支払基金に対して「厚生大臣の承認した効能効果等を機械的に適用することによって都道府県の間においてアンバランスを来すことのないように」求めているが、具体的にどのようなケースで保険支払いを認めるかや、医師の裁量権をどこまで認めるかの明確な基準がない。

14日の総会では、診療側の嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)が、適応外使用の際に保険支払いを認めるかどうかの基準に都道府県でばらつきがあると指摘し、中医協による制度設計を提案した。
これに対し、遠藤会長は「基準を作ることはできないと思うが、保険に収載するかしないかという議論は中医協マター。問題提起や仕組みの提案は中医協でやってもいいと理解している」と述べた。支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会常務理事)も、「議論することには異存はない」と応じた。

■新加算制度、周知活動自粛の徹底を
また、4月の診療報酬改定に伴い試行的に導入された「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」もテーマになり、厚労省保険局の磯部総一郎薬剤管理官が、日本製薬工業協会から「加算制度を理由に値上げを求めているのではないかとの指摘があるため、傘下のメーカーに対し、加算制度の周知活動を自粛するよう求めた」という連絡があったと説明。

同加算をめぐっては、診療側委員からこれまでに、加算創設によりメーカーや卸業者が値引きに慎重になるなど、医療機関や薬局での納入価格交渉に影響が出ているとの指摘があった。
診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)はこの日の総会で、「中医協でこういう議論があっても情報が入らず、しようがないと受け止めている医療機関や調剤薬局があると聞いている」と述べ、周知活動の自粛徹底を改めて求めた。

【キャリアブレイン】



通知の取り扱いはある意味法律の適用より難しい場合があります。しかし、医科の適応があって歯科の適用のない取り扱いも、歯科医師の裁量権は認められるようになるのでしょうか。
by kura0412 | 2010-07-15 17:04 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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