今、一番旬な話題・岡田監督講演録④

お互いを認め合うのがチームワーク

5つ目が「improve」。「今を守ろうとするな。常にチャレンジしてもらいたい」ということです。チャレンジしていくと必ずそこに壁が現れます。甘い誘いも来たりします。でもその時に、先ほど言ったように遺伝子にスイッチをいれるためにも「絶対簡単にあきらめるな」と。「壁は邪魔をするために現れてきているわけじゃない。本気で目指しているかどうかを試すために出てきている。本気なら必ずその壁を乗り越えられる。本気じゃなかったらあっさり壁に阻まれる」、そう選手に言っています。
6つ目が「communication」。これはお互いを知るということ。communicationというと面接するようなことを思われるかもしれませんが、僕はあんまりしないです。

僕は例えば、選手がストレッチしている時に、「おいお前、この前のシュートすごかったな」とポッと言ってやる。または、「おいお前、子ども生まれたらしいな、よかったな」とポッと言ってやる。すると、選手の顔がパッと明るくなります。どういうことかというと、「俺はお前を見ているよ」ということを伝えるんです。要するにお互いを認め合うということです。
チームというのは仲良しグループが一番いいのですが、別に仲良しグループじゃなくてもいいんです。大体、男30人が集まってみんな仲良しなんてこと、今まで1回もないですよ。「どうもあいつそりがあわん」「どうもあいつ好かんな」ということはあります。でも、「どうもあいつ好かんけど、あいつにパス出したら絶対決めよる」「どうもあいつ馬が合わんけど、あいつにあそこ守らしたら絶対止めよる」、こうやってお互いを認め合うのがチームワークなんです。そう認め合ってもらうために、自分を認めてもらう努力をすること。これがcommunicationです。
究極はあいさつですよ。あいさつは「自分には認め合う準備がありますよ」という印ですから。あいさつもきっちりできないのにcommunicationなんかとれないです。僕は毎朝犬の散歩をするのですが、知らない人に会っても必ず「おはようございます」とあいさつをします。
今、若い人がどうのこうのとよく言われていますが、一番知らん振りするのはおっさんです。何も聞こえていないふりして無視していきます。若い人の方がしっかりしています。でも大分前ですけど、小学校低学年の女の子に「おはよう」と声をかけたら、ダーっと走って逃げられましたけどね(笑)。「知らないおじさんに声をかけられたら逃げろ」と言われているんじゃないかな、嫌な社会ですね。
ウルグアイ戦後、この6つのフィロソフィーを選手に伝えました。そうやってチームが固まってきて、何とか最終予選を突破することができて、今W杯に出られるようになりました。

人間万事塞翁が馬

僕は色紙などに「座右の銘を書いてくれ」と頼まれたら、大体“人間万事塞翁が馬”という言葉を書くんです。ご存じでしょうが、中国の城塞におじいさんがいて馬を飼っていたと。馬は当時貴重なものだったのですが逃げてしまった。周りの人が「おじいさん、大変な災いでしたね」と言ったら、おじいさんが淡々と「いやいや何を言う。この災いがどういう福をもたらすか分からん」と言っていたら、逃げた馬が雌馬を連れて帰って財産が2倍になった。
「おじいさん、良かったですね」と周りの人が言ったら、おじいさんが淡々と「いやいや、この福がどういう災いをもたらすか分からん」と答えたら、連れてきた馬に乗った息子が落馬して足を悪くした。「いやあ災難でしたね、おじいさん」と周りの人が言うと、またおじいさんは「いやいや、この災いがどういう福をもたらすか分からん」と。そして、戦争が始まって、村中の若者が駆り出されて全員戦死したのですが、その息子は足を悪くしていたので、戦争に行かずに生き残ったというように話が続きます。

僕は「バーレーンに負けなかったら、どうなっていたんだろう」「ウルグアイに負けなかったら、どうなっていたんだろう」といろいろなことを今思います。そういうことが続いてくると、何か問題やピンチが起こった時に「これはひょっとしたら何かまたいいことが来るんじゃないか」と勝手に思うようになるんです。もうすぐ発表になりますが、今回もスケジュールで大変になることがまたあるんです。それは確かに大変かもしれない。でも、「ひょっとしたらこれでまた何か良いことが生まれるんじゃないか。強くなるんじゃないか」とだんだん考えるようになってくるんです。
ずっと振り返ってみると常にそういう連続でした。「バーレーンに負けたおかげで今がある」と思います。そして、ふと自分の手元を見てみたら、僕がずっと探し求めていた秘密の鍵があったんです。これは秘密の鍵ですからお話しできませんけどね。秘密ですから(笑)。恐らく僕があの後、どれだけ机の上で勉強してもつかめなかっただろう秘密の鍵が、のた打ち回りながらでもトライしていたら、手の上に自然と乗っていたんです。
僕はその時にふと「淵黙雷声(へんもくらいせい)」という言葉を思い出しました。僕は曹洞宗で座禅をするので総本山の永平寺に行った時、宮崎(奕保)※さんという禅師さんに謁見する部屋の掛け軸に書いてあった言葉です。弟子がお釈迦さんに「悟りとはどういうものなんですか?」と聞いたら、深く黙した(淵黙)。しかし、その淵黙が雷のような大きな声を発したように聞こえたと。お釈迦さんは「ここにいて悟りがどうのこうのと能書きを垂れているくらいなら、修行して一歩でも悟りに近づくように踏み出しなさい」ということを無言で伝えたんです。僕はその言葉を思い出しました。自分はああだこうだと頭で考えたり勉強したりしましたが、よく言われる「ともかくやってみろ」「ともかく始めてみろ」ということは本当なんだなという気がしました。

時間の関係で中途半端な話になりましたが、何が言いたかったかというと、若い人にこれからチャレンジをしてもらいたいということです。「いやあ、今はこんなことやったって……」といった能書きはいい。ともかく一歩踏み出して、どんなことでもいいから目標を作ってチャレンジをする。
僕はいろんな決断をする時に、「明日死ぬとしたら今どうするだろう」と自分を追い込みます。人生というのは「おぎゃー」と生まれてから、必ず来る死というものに一歩一歩進んでいくだけなんです。僕なんかはもう半分以上進んでいるんですけどね。誰もが必ず死ぬんです。この講演の帰りにポロッと死ぬ人もいるかもしれない。その間をいかに生きるかなんですよ。何もなく、のほほんと生きていくのも人生です。「生きているだけですばらしいこと」とよく言います、その通りです。
でも、できるならどんな小さなことでもいいから、チャレンジをしてもらいたい。頭でごちゃごちゃ考える前に踏み出してみる。少々壁や何かがあろうが、そんなもの関係ない。必ず乗り越えられる。壁というのは邪魔をするためにあるのではない。自分の気持ちを確認されているんです。「本気でこいつはやってんのかどうか」と。そういうつもりでチャレンジに一歩踏み出していただければ幸いです。

【Businese Media 誠】



今、日本全体の旬な話題です。今回のワールドカップの戦い後の続編を聞きたくなりました。
by kura0412 | 2010-07-03 12:01 | スポーツ | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラーを片手に歯科医師の本音

回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。

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